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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
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スポーツの情報発信方法とリーグワンとブランコ氏

横綱白鵬引退絡みで、スポーツ(含武道)の情報発信について投稿しています。実は29日に、日本ラグビーフットボール協会から、新リーグ「リーグワン」関連の記者会見第二弾が予定されているのですが、この発信の仕方、どうもどこかまずいのではないかと思われます。

一度ご紹介しているかとは思いますが、下記のリンクがリーグワンの公式サイトです。

(JAPAN RUGBY LEAGUE ONE)

9月28日現在で、このサイトに確かに情報はありますが、SNSのアカウント関連が全く見当たりません。恐らく今後発表されるのと思われるので、念のため現時点でのサイトのスクショを取っています。しかし今の若いファンを取り込むのなら、ツイッターとインスタのアカウントくらは作っておくべきでしょう。

それと情報そのものも、どうも通り一遍な印象があります。下方へ移動して行くと、MIND IDENTITYなるものがあり、それにスローガンめいたことが書かれてはいるのですが、どうも今一つ具体性に乏しいのです。主語がないのが一番の問題ですが、どうも日本協会のサイトの一部を、加筆修正しただけのような感じです。

先日ご紹介した川村慎選手のnoteには、上層部はスポーツビジネスの経験者ではないから、選手が変えて行かなければならないとありますが、なぜスポーツビジネスのプロを連れてこなかったのでしょうか。寧ろチーム単位では、そういったビジネスの経験者を雇ったりもしてりいるのですが、肝心のリーグがこれでは、求心力を欠くことにもなり兼ねません。つくづくラグビー界は、トップダウンが下手だなと思う所以であり、また選手頼みの体質も改善されていないなと思います。これは昔の代表チームもそうでした。

それと協会関係者が、リーグ上層部の兼任をしている点、これもデメリットと言えるかも知れません。本来協会とリーグは、分けて考えるべきものです。

一応この体制で3シーズンやるようですが、その間にリーグに物申すことができるチームが、どのくらい出て来るのかと思います。

それからこれは余談ですが、かつて日本協会の理事を務めたこともある人物が、もう30年程前になりますが、海外のラグビー紹介本を出したことがあります。それはいいのですが、当時フランス代表だったセルジュ・ブランコ氏について、強豪国の選手たちが彼につけた渾名は「水銀」、とにかくとらえにくいといったことが書かれていました。

しかし「水銀」=とらえにくいと書かれても、ちょっと何のことだかわからないと言う人もいるはずです。私もそうでした。そして考えてみたところ、水銀は英語でマーキュリー(mercury)であり、これはローマ神話の神、メルクリウス(ヘルメス)と同じです。このメルクリウスは他の神々の伝令でもあり、また盗人の守護神とも言われ、とにかくすばしっこくて抜け目のない神です。恐らく強豪国の選手たちは、素早くてチャンスを逃さず、手抜かりのない(実際名選手でした)ブランコ氏を、メルクリウスに例えたのだと思われます。

情報源が何であったのかは不明ですが、同じ紹介するのであれば、こういう点をもう少し考えてほしかったなとは思います。確かに水銀は常温常圧で凝固しない唯一の金属であり、その流動性がブランコ氏の動きを思わせるという意味にも取れますが、そもそも水銀がマーキュリーと呼ばれるようになったのは、このメルクリウスの柔軟でそつのない性格と関連があると見られたためで、どちらにしても、行きつく先はこのメルクリウス神となるようです。

飲み物-ギネススタウト

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[ 2021/09/29 00:45 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

気づいたことあれこれ 23 英語スラングと海外ドラマとイギリス海軍作品

ネット上の英語、さらに海外ドラマや映画について、とりとめもなく書いて行きたいと思います(既出の話題も含みます)。まずbitchという単語があります。元々は雌犬とか、他にもイヌ科の動物の雌の意味ですが、最近はあまりこういう意味では使われないようです。今は主に「性悪女」、「不愉快な状況」、また女性同士で「みんな」という呼びかけで使われたりもします。その他にも「不平を言う」、さらには「女、彼女」という意味で使われることもあるようですが、あまり乱用するのはちょっと抵抗を覚えます。

以前BBCの“SHERLOCK”で、SHERLOCKEDとかCUMBERBITCHなどという言葉が、特にファンの間で使われたりしましたが、後者に関しては、私としてはやはりちょっと抵抗がありました。この言葉、もちろん主演のベネディクト・カンバーバッチに引っ掛けた表現です。

ついでにもう一つ。ネット上で女性から見た恋人、彼氏や男性アイドルのことをdaddyと呼ぶ風潮があります。似たような表現として、元々sugar daddyなる言葉が存在します。若い女性に貢いで言い寄る中年男性のことで、所謂援助交際に近いものがあります。またゲイのスラングで、中年層のゲイ(若者からおじさん呼ばわりされる)を指す言葉としても使われます。仮にそれとはまた別であっても、男性が女性を支配している意味などとも言われていて、これもちょっと抵抗を覚える表現ではあります。

さて前出のベネディクト・カンバーバッチが出演した『パレーズ・エンド』(BBC)というドラマがあります。第一次大戦を通じて、貴族の没落と女性の参政権獲得、社会進出を描いた作品ですが、かの『ダウントン・アビー』も、この時代を描いた作品でした。ちなみに『ダウントン・アビー』は、第一次大戦後のシーズン3辺りまでは観ていました。ところでカンバーバッチがやはり出演した『僕が星になる前に』の中で、主人公の男性4人組の前に奇妙なおじさんが現れるシーンがありますが、そのおじさんの中の人が、『ダウントン・アビー』のグランサム伯爵の中の人ですね。

それからイギリス海軍を描いた作品として、以前『ホーンブロワー 海の勇者』について書いたことがあります。海尉心得(士官候補生)のホレイショ・ホーンブロワーが、一人前の士官として成長する姿を描いた作品です。このシリーズの第2話でペストが流行し、ペストが発生した陸地に降り立ったホレイショと船員たちが、隔離されることになったり、また裏切り者の船員が脱走しようとして、ホレイショが初めてピストルを彼に向けて撃ったり、海尉試験で火船が艦に接近し、艦長でもある試験官たちが慌てふためき、ホレイショが身の危険を冒して火船を引き離して、晴れて海尉となってハッピーエンドを迎えます。

ところでやはりこの第2話の中で、海尉試験に向けて勉強中であるにも関わらず、船員たちが騒いで勉強できず、彼は一人デッキに出て本を読みます。その時ページが一枚はがれ、それを掌帆長が拾ってくれるのですが、その人はホレイショに、彼らもまた(ペストが)不安なのだと言い聞かせるところがあります。ちょっといいシーンです。

他にも映画『マスター・アンド・コマンダー』で、海戦が始まると被弾を避けるために帆を巻き上げ、血で滑らないように床に砂を巻き、手術道具(と言っても手足を切断するもの中心)を揃えて行く様が描かれています。この中で若い海尉心得の1人が、腕を切断することになり、ラッセル・クロウ演じるオーブリー艦長が、彼自身が敬愛するネルソン提督の本を彼にプレゼントします-ちなみにネルソン提督は、隻眼隻腕でした。隻眼といえば、先日『はたらく細胞』とBLACKの白血球について書いていますが、彼らのキャラデザインと何か関係あるのでしょうか。

手術といえば、『炎の英雄シャープ』の手術風景も凄まじいものです。弾丸を浴びて倒れた主人公のシャープ(平民出身将校で、貴族階級の将校と折り合いが悪い)を、教会の戦死者の安置所で見つけた仲間たちは、彼の弾丸をまず取り出そうとしますが、これが麻酔なし、しかも焼け火箸のようなもので弾丸を取り出し、その後ひどい熱を出した彼を水風呂で冷やすという荒業に出ます。その当時の医療としてはそんなものだったのでしょう。幸い彼は一命を取り留め、次なる戦線へと向かうことになります。

飲み物-ポーターとクルミ

[ 2021/05/23 01:30 ] その他 | TB(-) | CM(0)

気づいたことあれこれ 22

まず、『きのう何食べた?』の英語版を取り寄せて、日本語版と比較しつつ読んでいます。史朗が調理をするシーンで、その過程を説明して行くわけですが、なるほどこうなるのかと思ったり、賢二のセリフを見ながら、向こうのオネエ言葉はこうなのだなと感じ取りつつ読み進めています。
あと日本料理に主に使う食材、たとえば三つ葉などはやはりmitsubaですし、「いただきます」は””Thanks for the meal”となっています。

それから先日ご紹介していますが、26日放送予定の『桶狭間 OKEHAZAMA〜織田信長 覇王の誕生〜』に、竹中直人さんが出演しますが、堀田道空の役ということです。この人物、詳細はよくわかっていないのですが、斎藤道三の家臣です。しかし、「水戸のご老公」とどうもダブってしまいそうです。ちなみに道三役は佐藤浩市さんです。

元々これは、海老蔵さんの市川團十郎白猿襲名記念の企画でしたが、昨今の事情から襲名公演が遅れ、このドラマのみ先行して放送されることになっています。海老蔵さんが信長を演じるのは、かの『おんな城主 直虎』の「魔王」信長以来2度目ですが、ナレーションを務めた昨年の『麒麟がくる』でも、染谷将太さんでなく、海老蔵さんが信長を演じればいいという声もあったようです。


そして『相棒』。もうシーズン19も終わりましたが、ねとらぼでレギュラー登場人物の人気投票が行われていたので、その結果をurlのみ貼っておきます。


https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/147643/4


やはり登場回数が多く、しかも特命に近い人物のランキングが上になっていますが、既に退場してかなりの年数が経っているにもかかわらず、小野田官房長の人気はかなりのものですね。中の人が『無用庵隠居修行』でも共演というのもあるのかもしれませんが、回転寿司で皿を戻したり、殺人事件で第一発見者になったりと色々なエピソードがあり、しかも飄々とした雰囲気は私も好きです。あと、神戸君も気に入っています。当初はかなり冷めた目で、ある意味スパイとしてで杉下右京を見ていたにもかかわらず、徐々に互いを認め合うコンビになって行く様がよかったです。


飲み物-エスプレッソ2

[ 2021/03/24 01:15 ] その他 | TB(-) | CM(0)

ラグビーメディアに思うこと-1

平尾氏関連でラグビーメディアに言及したことがありましたが、それに関してもう少し。まずこれはラグビーメディアのみならず、いくつかのスポーツメディアに関していえることですが、雑誌系メディアでは、海外メディア、あるいは海外のライターと提携している記事が掲載、または連載されています。実はこの日本語が読みづらいことがしばしばあります。最近は雑誌もあまり読まなくなり、いくらか変貌を遂げているのかもしれませんが、過去にはそういうことが何度かありました。

以前、あるスポーツのメディアの翻訳記事が読みづらく、辞書をきちんと引いているのか疑問に思えることもありました。無論、ラグビーメディアもしかりでした。当該メディアの他の日本語の記事に比べると、どこか読みづらく引っかかるものがあり、外注で訳しているのかもしれませんが、もう少しチェックを入れてほしいと思ったことも少なからずあります。例として専門誌のある記事で、「選手の崩壊」なる表現が出て来たことがあります。

普通人間に対して「崩壊」などという言葉は使いません。恐らくは名声が落ちたとか、あるいはこの人は代表選手であったため、代表落ちしたといった意味でしょう。その他にも専門誌のワールドカップ展望号、つまりワールドカップ出場チームのメンバー、前大会の成績などが記載されている別冊ですが、これにも海外選手の取材記事の翻訳で、「チームの手綱を引く」とか、「生真面目で開放的だ」などといった表現が登場しますが、日本語としてどうも不自然さがあります。

「手綱を引く」の手綱は恐らくreinと思われますが、keep a rein onで統率するという意味がありますから、この場合は、チームをまとめるといった程度の意味でしょう。それと「生真面目で開放的」というのも妙な感じです。開放的なという意味の単語には、openとかfrankなどがありますが、この2つの単語には「率直な、意見を受け入れる」という意味がありますので、多分そちらの方の意味だと思います。

この別冊は1995年のものなのでちょっと古いのですが、その後も海外関連の記事で、何を言いたいのかよくわからないといった表現が垣間見られたことがあります。こういう記事を訳して載せるということは、海外事情を読者に知らせるのが目的であるはずなのですが、文章の日本語がぎこちなければ、読む側に伝わるべきものも伝わりません。スポーツメディアはこの辺りが大ざっぱに感じられることがあります。今も掲載されているのであれば、わかりやすい日本語であってほしいです。

この90年代はまだ既存メディア中心でしたが、その後のネットの発達と共に、情報を得る手段はネットへと移って行き、その結果、既存メディアだけではわからなかったことも、わかるようになって行きます。現在の新聞雑誌の低迷はそれが一因になっています。ラグビーメディアも、恐らくはその例に漏れないのではないかと思います。今後ラグビーメディアを巡る諸問題(と思われるもの)について、しばらく書こうかと考えています。

飲み物-パブのビール3杯
[ 2018/06/04 00:30 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

翻訳与太話 『真田丸』英語サイトの文章に関して

このブログでは『真田丸』の英語字幕関連の記事があるせいか、それ関係で検索して来られる方もいます。検索結果にもわずかながら、英語字幕関連の記事があります。無論見方は様々ですが、その中に英会話学校のサイト記事があり、この中で『真田丸』サイトのこの一文が、「”侍”感を伝える英語ライティング」として紹介されています。その文章なのですが、

Sanada Nobushige tore through the Warring States period and eventually become a legendary commander who even awed the ruler Tokugawa Ieyasu.

このtore throughとは、tear throughの過去形です。このコラムによると、tear throughとは竜巻やハリケーンが駆け抜ける時の表現であり、正に戦国の世を疾風の如く生き抜いた信繁にふさわしいとあるのですが、これには疑問です。

いくら何でも、竜巻やハリケーンと戦国武将の戦いは異質のものです。そもそもtear throughという表現は、文字通り風や突風が吹き去ることで、慌ただしく過ぎ去るという意味が強いですし、tear自体に破壊的な意味があるせいで、あまりいい意味では使いません。渋滞している道を車で横切るという意味で、tear acrossという表現を使うことはありますが。しかもこれは比喩的表現であり、ここは普通にsurvive(生き抜く)を使った方が収まりがいいでしょう。どうしても「疾駆する」的な表現を入れるなら、"...made a brilliant career like a shooting star"などというのもありでしょうか。

またWarring States periodというのは戦国時代の意味で使われることもありますが、これも私としては、Sengoku Period、あるいは戦が多いという意味で、troublesome periodでいいかとも思います。それからbecomeが過去形になっていませんね。

そしてawedの使い方ですが、これは主に神や自分よりも上の人物、あるいは力のある人物を畏怖する時に使うもので、家康が信繁を恐れるのとはちょっと違うように思われます。むしろこの場合、怖がらせるというより「悩ませる」、annoyくらいの方が意味が通るのでは。

というわけで、私流に修正してみました。eventuallyでもいいのですが、ここではfinallyを使っています。こちらの方が「長く待ったその結果」の意味が強いので。commanderでなくsamurai、bushoでもいいかと思いますが、一応大坂の陣では司令官的な役割なので、これは残しています。

Sanada Nobushige survived the troublesome period and finally became a legendary commander who even annoyed the ruler Tokugawa Ieyasu.

ちなみに当該コラムでは、ワードチョイス、どのようにして言葉を選ぶかについて、この文章を例に挙げて言及されていますが、個人的に、この一文の単語選びは今一つな気がします。無論英語を母語にしているのではない以上、完璧な単語選びというのは難しいものですが、ある程度辞書を引き慣れていれば、それに近づけることはできるでしょう。

それから「直江状」の英訳、ちょっと延び延びになっていましたが、またアップする予定です。あくまでもこれは「挑戦状」ではなく、西笑承兌への返書ですのでそれらしく。しかも「あの」直江兼続のイメージに沿ってできたらと思っています。

<付記>当初、「生き抜く」の意味でpull throughも候補に入れていましたが、この場合いささかニュアンスが異なるため候補から外し、surviveにしています。またspend unhappy daysなども使えそうです。

[ 2016/10/01 14:15 ] 大河ドラマ 真田丸 | TB(-) | CM(0)

翻訳与太話 直江状を英訳してみる

ここのところ、過去の英語字幕動画のチェックをお休みしているので、翻訳関係ではご無沙汰していました。何か、ラグビー関連でテーマでも見つけようかなと考えていたところ、ここ何日間か、「直江状」「上杉主従」で検索して、このブログに来られている方が多いのに気づきました。これにヒントを得て、かの「直江状」を英訳してみようと思い、日本語版の動画に登場する以下のセリフを

我らが戦道具を集めているとのことなれど、上方の武士が茶器などをお集めになるように、我等田舎武士は鉄砲や弓矢を集めるだけ。逆心なければ上洛できるはずとのことは、赤子の理屈で全く話にもなり申さぬ。

このようにしてみました。

You say in your letter that we collect weapons like guns, arrows and bows but we samurais in eastern region do so as you in Kamigata collect tea-things. Your indication that out intention of rebellion prevents us from visiting you is like a baby’s fret, please shame on you.

書きたいこと、相手に何を求めているかがはっきりしているので、結構訳しやすいかとも思います。気が向いたら、またご紹介するかもしれません。ま、物好き以外の、何物でもありませんが…。

飲み物-カクテル
[ 2016/08/31 20:30 ] 大河ドラマ 真田丸 | TB(-) | CM(0)

「5分でわかる真田丸」の英語字幕に関して 7

久々に字幕関連です。第8回「調略」、実はこの回は序盤の中でも特に好きで、結構凄まじいシーンもあるものの、昌幸・信尹兄弟の策略全開です。第9回と続けて観るとさらに面白いのですが、ただやはり字幕には「?」です。

まずこの回も、Lord HojoとかLord Takedaなど、一応は正しい使われ方をしている一方で、春日信達のことがSir Kasugaとなっていたり、SirとLordの使い分けがかなり適当です。それから信繁が、叔父の信尹と差し向かいでいるのにsirを使うのも変な感じ。それから昌幸のセリフの中で、春日信達が「海津城を守る」とあるせいか、その部分の字幕がprotectorになっています。しかしこの場合城代だから、せめてcastle keeperでしょう。それから内密の話という意味で"Keep this between us"とありますが、これはusでなくourselvesかと思われます。

それから信尹が「あと一押し」というシーンで"Another nudge"とありますが、このnudgeとは「注意を引くためにひじでそっと突く、ひじで横に押して動かす、ひじで押しながら進む」といった、物理的な意味で押すという意味で、この場合の「一押し」の意味ではないかと思われます。これはAnother effortくらいでよかったかも。

キャプチャ26
(動画よりキャプチャ)

それから昌幸がしんがりを務めるよう、北条氏直に命じられたことを信繁が口にするシーンで、"The Hojos have retreated and Father has remained as the rear guard" となっています。しかしセリフにある「しんがりとして残る」なら、protect the rear guardの方がいいのではないでしょうか。また「しんがりを務める」はbring up the rearという表現があります。
それからこれも成句ですが、春日信達を仕留めた後、上杉主従に信尹がことのなりゆきを説明するところで、"It seems that they trap us, with the Hojos attacking from behind" とあります。セリフでは挟み撃ちにするとありますが、それならin collusion withという言い回しがありますので、このようにしてもよかったかと思います。
Maybe he intended to attack us in collusion with the Hojos.

こういう比較的最初の方の回の字幕にしても、NHKの広報局に送ってはいるのですが、今のところ何の反応もありません。この辺りが、やはりNHKはお役所的なのかなとも思います。

[ 2016/07/13 23:30 ] 大河ドラマ 真田丸 | TB(-) | CM(0)

「5分でわかる真田丸」の英語字幕に関して 6

先日アップした分の続きです。

キャプチャ18

このセリフ以外にも、"The Uesugis, the Hojos and the Tokugawas all want the land of Shinano."という表現が出て来るのですが、これも如何にもベタな訳です。要は信濃を手に入れようと目論んでいるわけですから、”All of the Uesugis, the Hojos and the Tokugawas plan to control Shinano.” くらいでいいのではと思います。


また、"We’ll take control using Shinano as our trump card."、つまり信濃を使って大名たちを操るというのもありますが、take controlは仕切るとか支配権を持つという意味ですし、日本語のセリフでは操るとなっているわけですから、manipulateでもよかったかもしれません。またtake controlを使うにしても、「何を」操るかをはっきりさせないといけないわけですが、その「何」に相当する目的語がありません。この辺りが、プロらしからぬ訳だなと思ってしまう所以です。


他にも"We should defeat the Akechis under Sir Takigawa, to avenge Lord Nobunaga."というのもありますが、既にavenge onで仇を討つという意味がありますから、ここはdefeatはなしでもいいかと思われます。無論Sir Takigawa、Lord Nobunagaではなく、Lord Takigawa、Lord Odaとなるでしょう。

そして「臣従する」の意味でsubmitが使われていますが、これは降参するとか不快なことを甘受するなどの意味ですから、普通にserveでいいかもしれません。それから昌幸が、母上という意味でMotherを使っていますが、家族同士で呼ぶ場合は特にこれで問題なしかと思います。しかしそうでない場合は、「マザー・テレサ」のような修道女の意味もありますので、その辺が紛らわしくならないように注意してほしいです。これはfatherやbrother、sisterも同じですが。

[ 2016/06/24 21:15 ] 大河ドラマ 真田丸 | TB(-) | CM(0)

「5分でわかる真田丸」の英語字幕に関して 5

先日アップした分でsirとlordについて書いていましたが、その次の回の英語字幕では、このようになっていました。

キャプチャ17

Sir Yoshitsugu=大谷刑部です。小田原城総攻めの前に、まず周囲の落ちていない城を落としてはどうかと提案する吉継に、それがしも刑部殿に賛成でござると徳川家康が言うシーンです。これが本来のsirの使われ方です。大河を訳する以上、こういうのはまずきちんと辞書を調べていただきたいものです。この大河では所謂諱、つまり武士の本名でなく通称や官職で呼ぶというのがかなり徹底されていて、評価されるべきものではあるのですが、しかし英語字幕のsirの場合は、やはり諱を持って来ざるを得ないところはあります。あるいは通称にsirをつけるという方法もありますが。

それから、少し前の回の字幕を見ていたところ、こういうのがありました。

キャプチャ18

ちょっと文字が小さめですが、”Each time I look out from here, I think to myself”とあります。このシーンは第6回「迷走」で、物見の上で信繁が、「私はこの景色を見ると、いつも思うのです」と父昌幸に話しかけるところなのですが、「この景色を見ると」だとwheneverの方がいいようにも思えます。

それにlook outとありますが、これは「外を見る」意味です。信繁が家の中から外を見ているのであればこれでいいのですが、物見そのものが外にあるのですから、これもちょっと変です。お寺などで、窓越しでなく直接外を見る時に使われることもあるようですが、この場合もlook out intoとなっています。またthink to myselfというのもあまり聞かない表現です。こういう場合のチェックは、どのようになされているのかと思います。私としてはWhenever I see the view from here, I always think that~として、次の文に続かせた方がいいのではと思います。
(画像はいずれも動画からのキャプチャ)

[ 2016/06/23 23:45 ] 大河ドラマ 真田丸 | TB(-) | CM(0)

翻訳与太話 アサリとザルガイとモリー・マローン

与太話です。『真田丸』第12回「人質」で、越後の漁師たちがアサリの漁場を巡って鉄火起請を行うシーンがあります。この時の字幕では、確かアサリではなくハマグリの意味のclamとなっています。元々日本でいうアサリは東アジアにしかなく、学名はVenerupis philippinarumで「フィリピン」が入りますし、それとは別にJapanese cockleなどと呼ばれている点でも察しがつきます。このcockleというのは、ザルガイのことです。この貝も、大きく分けるとアサリやハマグリの仲間になります。またパスタで使われるボンゴレも、アサリの仲間ではありますが、本来は日本のアサリとは違う種類です。

ところでこのcockleは、『モリー・マローン』の歌詞に登場します。この曲はアイルランドの国民的愛唱歌というべきもので、モリー・マローンという娘が、手押し車に貝を並べ、ダブリンの町を「生きがいいよ!」(alive, alive, oh!)と商売をしながら歩き回っていたというものですが、彼女は熱病で世を去ります。しかしその後、彼女の幽霊がなおも手押し車を押しつつ、ダブリンの町を歩いていたという話で、この時の貝がザルガイと、ムラサキイガイ(mussel)となっています。しかし如何にもアイルランド的な内容の歌詞です。この曲は、ラグビー(サッカーも?)のアイルランド代表チームの応援で歌われていたこともあります。曲の方はyoutubeで「モリー・マローン」、あるいは”Molly Malone”で検索するとヒットします。

上杉家からアイルランドにいきなり飛びましたが、貝ひとつ取っても、地域が異なれば種類も変わるわけです。Japanese cockleにすると字数も取りますし、その意味ではClamの選択は悪くないというか、ぎりぎりの妥協案であるかと思います。

飲み物-黒ビール
[ 2016/06/19 01:00 ] 大河ドラマ 真田丸 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

aK

Author:aK
まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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