柴門が監督に決まり、アストロズの強化がスタートします。一方で君嶋は地元に密着しようと、選手にボランティアを勧めますが、これに関して選手間で意見が割れます。そして肩を亜脱臼した岸和田は、病院で思いがけない経験をします。
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アストロズは三保ヶ関部屋部屋に出稽古に行った。力士たちを相手に選手はよく奮闘するが、唯一ラグビー経験のないGMの君嶋隼人まで、まわしを締めて土俵に上がることになる。幕内力士になすすべもない君嶋だが、攻撃ラグビーを目標に掲げる、柴門琢磨を監督に迎えて新しいスタートを切る。その柴門の監督就任を、サイクロンズの首脳部は苦々しく思っていた。そして君嶋の息子博人は、かつて自分をいじめていた龍一という少年と共にラグビーをやろうと決心し、アストロズでラグビーを教わることになる。しかし人数のあまりの少なさに、龍一、そして博人もグラウンドを離れて行った。
君嶋隼人(大泉洋、中央)はアストロズのメンバーと三保ヶ関部屋を訪れ、自らも土俵に立つことになる
一方柴門のアドバイスで、アストロズはGPSを使った練習を行い、選手個々のプレイを把握することにした。君嶋が不思議に思ったのは、日本のラグビーが2015年のワールドカップ後、世界で注目されているのに、なぜ国内では低迷しているかということだった。アストロズの昨シーズンの平均観客数は2500人、しかもその多くはタダ同然のチケットで入場した人々だった。その収益は日本蹴球協会に入っていた。君嶋は日本蹴球協会でのプラチナリーグのGM会議で、集客のための努力について意見するものの、OBが殆どのラグビー界は閉鎖的であり、専務理事の木戸は規模はともかく、金銭面に関してはラグビーはアマチュアであると、すげなく断られる。
しかも君嶋の家族、真希や博人や尚人は皆、サッカーのファンクラブの方に心が傾いていた。そこで君嶋は、アストロズにも同じ物を作ろうとする。地域貢献のための清掃や施設訪問などのボランティアで、選手たちはオフの時間をそれに割き、さらに柴門は選手の一体感を図るために合宿を前倒しして、クラブハウスで寝泊まりをさせていた。選手たちは仕事以外はラグビーとボランティアに集中するようになっていた。しかも柴門はボールを多量に買い込み、地元の小学校の子供たちに配ってアストロズをPRした。その子供たちを博人と龍一が、離れた所から見ていた。
岸和田徹(高橋光臣、左から2人目)をはじめアストロズの選手は、ボランティアで小学校を訪れる
アストロズは入院中の子供たちもボールを配り、ホームページも起ち上げていた。これらの経費のため、予算は修正を余儀なくされた。しかもこの最中にも滝川桂一郎はカザマ商事買収を進め、社長の座を狙っていた。2000万の追加予算の要請で、君嶋は批判され、滝川からはプレッシャーをかけられるが、社長の島本はそれを受け入れた。そんな君嶋に柴門は声をかける。
俺は優勝争いをする、お前は黒字にする。お互いの仕事を果たすまでだろう。
その日、トキワ自動車では第二新卒の面接が行われていた。それにはニュージーランド帰りの七尾圭太も顔を見せていた。城南大が遠征でニュージーランドを訪ねた際、顔見知りになった七尾は、かつての膝の負傷は癒えていたが、リスクの多いプロよりも、一般社員として仕事をする道を選んでいた。
ファンクラブには125人の申し込みがあった。しかしボランティアに時間を取られ、優勝を狙うはずなのに、練習ができないことに選手は不満を感じていた。このためボランティアに顔を出す選手は限られて行った。しかも練習中に岸和田徹が肩を負傷してしまう。
君嶋は岸和田にすべてを押し付けた責任を感じた。さらに選手の間でも、ボランティアを巡って対立が生まれる。しかも真希がFC東京のファンクラブに入ると言い出し、ならば名前だけでいいから、アストロズのファンクラブに入ってくれと君嶋は頼み込む。しかし真希は名前だけというのは嫌だとパンフレットを丸めてしまい、ラグビーのどこが面白いのかを説明してくれ言う。シーズン開幕を控えた週末、練習を見ていた君嶋に、佐倉多英は現時点で登録したのは184人だと伝える。君嶋はボランティアの効果を話し、諦めずにやろうと言った後、退院する君嶋を迎えに行く。
母親の真希がくしゃくしゃにしたパンフレットを拾う博人(市川右近)
(画像はTBS公式サイトより)
岸和田はボールで遊ぶ子供たちを眺めていた。その中には、かつて自分がボールを贈った少年もいた。その子は翌日に心臓の手術を控えていたが、ボールに書かれた「勇気」の文字のお蔭で、怖がらずに手術に臨めたと母親は話した。ボランティアは自分のためにある、あの子から自分は勇気を貰ったと岸和田は君嶋に話す。
君嶋はある日ミーティングをキャンセルし、選手たちを行きつけの店「多むら」での飲み会に誘った。その場で君嶋は、練習もボランティアも頑張ってくれと話す。既にボランティアをやめる選手も多く異論も出るが、君嶋はアストロズを強くするには収益のため、そして次世代を担う子供たちに、ラグビーを知ってもらうためだと力説する。また岸和田も病院で経験したことを話す。選手たちは次第に耳を傾けるようになった。柴門は、ラグビー経験のないお前が役に立つとはこういうことなのだなと言い、選手たちはその後両方に精を出すようになる。
やがてシーズンが開幕し、アストロズのファン登録は5000人を超え、チケットは1万2000枚の売れ行きを見せた。当初は空席が目立ったスタジアムだが、その後スタンドには人々が集まり、選手たちがグラウンドに呼ばれた。その人々が、かつてボランティアで触れ合った人々であることに選手たちは感動する。その中には、岸和田がボールを渡した少年や、君嶋の息子博人、そして龍一をはじめとする友達もいた。やがてキックオフの笛が吹かれる。
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この中で柴門がしきりに「家族」という言葉を使います。実際ラグビー選手の一体感というのはかなりのものです。逆にそうならないと、プレイに影響が出かねません。そのための合宿でもあるわけです。実はこれは、日本代表のジョセフHCも口にしたことがあります。それと君嶋隼人が選手たちを前に、会社の予算に頼っている社会人ラグビーに言及するシーンがありますが、これと、先日の清宮克幸氏のプロリーグ構想を一緒に考えると、興味深いものがあります。尚柴門の「ラグビーを知らない云々」は、GM会議関連で、お前は素人だ、ラグビー界の常識がお前には非常識だと言うのが伏線となっているようです。
ところで君嶋家の長男の博人ですが、この子は友達となった龍一の意見に多少なびくところがあるものの、本当はラグビー好きなのでしょう。実際母親の真希がくしゃくしゃにしたアストロズのパンフレットを、じっと見てからファンクラブに入りたいと言う辺り、大人しいけど芯のある子のように見えます。結局FC東京のファンクラブよりもこちらを選んで、その結果龍一やその家族も入ることになったと考えられます。
それから、イングランド代表相手に日本が健闘したことを話すシーンがあります。ただこの時点では2017年の設定で、イングランド戦は2018年ですね。2017年はフランスに引き分けていますが、ドラマでのプラチナリーグの開幕よりも数か月後ですから、時系列的には前年2016年の、ウェールズに僅差で敗れた試合を話題にした方が、よかったのではと思います-あくまでも個人的見解ですが。
そして、これはまた改めて投稿しますが、パシフィック・ネーションズカップ(PNC)のトンガ戦、日本は41-7で快勝しました。次はフィジーのスバでアメリカとの試合ですが、このアメリカもサモアに勝っています。この『ノーサイド・ゲーム』のプラチナリーグ初戦も、アストロズ勝利となりそうです。ところでNHK『みんなのうた』でも米津玄師さんの曲が採り上げられていますが、私としてはこの方は、やはりこのドラマのOPのイメージです。