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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
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大河ドラマのガイドブックに対する不満点

まず先日の「『国盗り物語に見る明智光秀』番外編」で、僧とあるべきところが層となっていました。失礼いたしました。

そして今回は大河ドラマのガイドブックについてです。大河は通常4社ほどがガイドブックを作っています-ただし『いだてん』の場合のみ、恐らくはオリンピック関連の著作権絡みということもあって、NHK出版のみが発行していました。

このガイドブックは、NHK出版の場合は
前編
後編
完結編
となっており、それ以外の場合は前編と後編となっていますが、『るるぶ』のガイドブックに関しては前後編には分かれていなかったかと思います。

またこれは主人公の知名度などにもよりますが、ガイドブック以外にも大河を特集したムックや、主人公に関連した書籍などもそこそこ発売されています。

で、そのガイドブックなのですが、必ずしも前後編や完結編への切り替わりに合わせて、書店に並ぶわけわけではありません。たとえば今年の場合、前編が第16回の解説まで掲載されていますが、第16回の放送が終わった時点で、後編がすぐ手に入るわけではないのです。先日放送された、第17回の解説がガイドブックの後編に載っているにも関わらず、今現在の時点での入手は不可能で、今月下旬まで待たなければなりません。

ドラマそのものは放送されているのに、ガイドブックがそれに対応していないというのもおかしな話です。しかもこれに関しては、かなり前からその状態が続いています。恐らくは脚本や収録の進捗具合、あるいはキャストの発表との歩調を合わせるためなのでしょうが、何とも不親切な話です。

今年であれば、せめて6月の初め位には後編が店頭に並ぶのが、本来のあり方でしょう。尚NHK出版によれば、当初は5月下旬の予定だったのが延びたとのことですが、その理由をはっきりさせてほしいとさえ思います。またこのNHK出版のみが発行する完結編も、例年9月頃の発売ではありますが、やはり3週間ほどの空白期間が、毎年のように生じています。

しかしNHKも視聴者サービスがどうこうというのなら、この辺りをまず改善するべきではないのでしょうか。でなければ以前のように前後編だけに戻し、しかも各エピの解説をするのではなく、大まかな流れだけを載せておけばいいと思います。


飲み物-アイスミルクティ

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[ 2021/06/07 23:45 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

『若い人』その6

かなり月日が経ってしまいましたが、『若い人』という小説について、昨年から何度か投稿して来ました。その間に新しいテーマの投稿も始めたこと、さらにこの本の真の面白さを語るには、少々手に余るかも知れないと思ってもいることから、ごくざっと、前回の投稿後のことを書いておきます。

学校では、寮にいる生徒の一人が小為替がなくなったと言って来たことから、寮の部屋を先生たちが探し回り、生徒たちの反発を買いますが、江波恵子は相変わらずでした。間崎も話が合う女性教師橋本に惹かれつつ、江波のこともまた気になっていました。そんな中、江波が妊娠しているという噂が流れたり(実際は違っていた)もします。

その後冬期休暇に入り、江波は正月を含めて3度間崎の下宿にやって来ます。最後は如何にもいわくありげで、しかも間崎の下宿で寝てしまい、最終的に橋本が彼女を連れ帰ります。それからしばらく経って、今度は橋本の家に行った間崎ですが、共産主義に感銘している橋本の家に、1年生の増井アヤ子が遊びに行ったりしているのに気づいたりします。アヤ子の父は警察官で、間崎はそのことを懸念します。橋本の家を出た間崎は飲食店を経営する江波の家へ行き、そこで夕食をご馳走して貰いますが、その間崎の前で江波の母は酔っ払い、かつて娘と心中しようとしたことまで口にします。

間崎はその後小競り合いに巻き込まれ、大けがをします。そのまま江波の家で養生していましたが、このことは学校に知られることとなっていました。橋本が見舞いにやって来ますが、江波の母はどうもこの人と相性がよくありません。また江波が帰って来て、2人は一緒の部屋で休み、肉体関係ができます。間崎が学校に出られるようになって後、江波はストーカーのように彼について回りますが、橋本が非合法活動で逮捕されたことから、江波は間崎との別れを感じ取り、実際別れてしまいます。卒業式当日、釈放された橋本と間崎は東京へ向かい、江波は卒業式で『蛍の光』を謳うのでした。

とまあこんなふうなのですが、何せ昭和の初めの頃の文学のことです。文学はまだ一部の人たちのものであり、「知」を語る一方で、人々の心情、内なる思いもまたあれこれ書き込まれていて、それについ引きずられそうになり、結局のところ、要所と思われる部分のみを拾った結果、かなり端折った読み方になってしまいました。本当はまだ色々と伏線と、その回収もあったかと思います。また共産主義がエリートのものと言うのも、この時代らしい描写です。

しかし当時としては、この小説を貫く男女関係は一線を越えたものだったでしょうし、今の時代であっても何とも中途半端な感じです。この間崎と言う男性教師がいささか優柔不断であり、また江波がどこかあざとい雰囲気で、それゆえ魅力的であるがために、どちらにも惹かれてしまったというところでしょうか。

結局卒業が2人の関係に最終的にピリオドを打ち、どこか危なげな雰囲気の江波は、思いをかなえることもなく(かなえられそうな雰囲気でもなく)、ある意味自己犠牲的に、そのまま母と二人の生活に戻って行くことになります。

またこの本の解説によれば、この作品はアンドレ・ジッドの作風と共通したものがあり、実際『狭き門』に見られるような贖罪の意識も感じ取れます。とはいえジッドは実は同性愛者であり、それを後に自伝で暴露することになってしまうのですが。ともあれ、この小説についてはこれで終わりにします。


飲み物-注がれる紅茶
[ 2021/05/21 11:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)

『きのう何食べた?』レシピブックそしてインタビュー

『きのう何食べた?』レシピブックについて少し。
このレシピブック、「シロさんの簡単レシピ」なるサブタイトルがついていて、アマゾンの売れ筋ランキングで(本 簡単レシピ部門)1位にもなっています。レシピブックではなくガイドブックという感想もあったようですが、ちゃんと「公式ガイド&レシピ」とありますし、約3分の1がガイドブック(出演者と原作者のインタビュー付き)、それ以外がレシピで、シロさんこと史朗のレシピのみならず、賢二のサッポロ一番味噌ラーメンや、史朗が病気の時に作った出汁巻きや雑炊のレシピも掲載されています。

レシピブック
(Amazon公式サイトより)

出演者インタビューの、作品についての感想では、史朗役の西島秀俊さんも、賢二役の内野聖陽さんもずばり
「人の心の機微の描き方が丁寧」
実際ドラマでもそれは活かされていていて、そのためゲイカップルという、個人的にはかなり未知の世界であるにも関わらず、かなりすっと入り込めますし、また2人の関係がぎくしゃくしても、料理がうまく仲立ちしているというのは好感が持てます。

この2人は硬と軟の正反対の立場を取っており、史朗が弁護士で物堅い雰囲気があるのに対し、賢二は彼の心を癒す立場です。内野さんが、「ケンジよりシロさんの気持ちの方がわかる」というのもむべなるかなです。
その賢二は、同居していながら食費を史朗から要求されない点で、いわば居候(内野さん談)でもあります。ある意味賢二は精神面での奥さん的存在なのですが、実際に家事の多くをやっているのは史朗の方であり、これが男性カップルであるがゆえの面白さと言えそうです。

あと史朗が賢二に「家へ来い」というシーンは、史朗が一生分の勇気を振り絞るシーンであり、その後賢二が荷物を持って転がり込んでくるところは、内野さん曰く「新妻の初夜のつもり」だったようで、どちらにしてもこれは人生の分岐点であり、同時にスタート地点となっています。
他にもこのインタビューでは料理がとっつきやすいこと、2人の男性が同居する内で年齢を重ね、家族という形を築いて行く点などが挙げられており、このどちらもポイントが高く、ゲイであることがポジティブに描かれた作品ではあります。

尚作品中に出て来る料理は、原作者のよしながふみさんが、すべて自分で作った物ばかりということで、作り方や仕上がり、盛り付けなどが具体的に描かれているのも、自分で経験したがゆえの賜物と言えそうです。
尚主演の西島さん、内野さんに関しては
「豪華すぎる組み合わせ」
とのことで(同感です、それに山本耕史さんもプラスされていますし)、こういうキャスティングもまた、このドラマに味わいを添えていると言えるでしょう。

飲み物-ビール2種類
[ 2021/01/31 00:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)

NHK関連であれこれと

大河について色々書いて来て思うことですが、大河ドラマとは、そもそもそんなに特別な存在なのかとも思います。確かに多額の予算をつぎ込み、1年かけて放送するわけですから、制作番組の中でも別格で、しかも看板にならざるを得ないというのは理解できます。そしてかつては、恐らくは日曜日のプライムタイムの主役的存在であったとは思います。
無論ここ10年ほどはそうでもなくなっていますが、それならそれで、まだ生き残る方法はあるはずです。しかし当のNHKが過去の栄光にしがみついている感があり、それが決断を鈍らせているように見えるため、先日モラトリアムという言葉を使ったわけです。やはりスポンサーに頭を下げなくていいと、こうなってしまうのでしょうか。

それでもツイッターでは評価が高い、あるいは毎週トレンド入りするという意見もあるでしょう。それも事実ですが、そしてこれは大河に限りませんが、ツイッターというのは、基本1人でいくつものツイを流せますし、また関連ツイが必ずしも高評価ばかりでもないわけです。botを使うことも可能です。従ってある程度の参考にはなるかも知れませんが、それのみに頼り過ぎるのも如何なものかとは思います。
しかしNHKも、ネットの書き込みには批判的な傾向がある一方で、好意的なツイートは受け入れているようです。何だかダブスタだなとも思いますが、無論他のマスコミにも同様のことが言えますし、これは個人レベルでもそう変わらないかも知れません。しかしネットの暗部のみでなく、自分たちマスコミの暗部も公にしてこその公共放送ではないかとも思います。

ところでNHK大阪制作の朝ドラ『おちょやん』は11月開始かとも言われています。それはともかく、朝ドラも大河も、できるだけ放送期間内に済ませるべきでしょう。間に合わないのであれば放送日程を変える(大河の場合週2回にする)とか、2回分をつないで放送するといった具合に、何らかの工夫はできそうです。
特に大河の場合は、『紅白歌合戦』で、翌年の大河の出演俳優がゲスト審査員として招待されています。このことから考えると、やはり年内に終わるに越したことはありません。しかしドラマのロケが可能になるということは、別にNHKの番組に限ったことではありません。民放ドラマやスポーツといった競争相手も、また稼働開始となるわけです。特に『半沢直樹』を観たいと思っている人たち(私もそうですが)や、プロ野球ファンは今か今かとその時期を待ち望んでいるでしょう。

その一方で来年の大河『青天を衝け』も、あまり進展が見られない状況です。未だにNHK公式サイト内の関連記事が2つしかなく、これは再来年の大河『鎌倉殿の13人』と同じです。脚本もある程度は進んでいると思われますが、肝心のクランクインがない限りPRが難しくなっています。主役以外のキャストもまだ発表されていません。
この『青天を衝け』に関しては、主人公の渋沢栄一が若い時代中心なので、あまり期待できないという声もあるでしょう。本当はやはり晩年期までを描くべきかと思いますし、もう少し年季の入った俳優さんを使うべきかとも思われます。無論実際に観て、意外に面白いという可能性もまだあるにはありますが。

一方で私は、そろそろ北条義時絡みの本を探していますが、まだそこまで出版されてはいません。何といっても2年後であり、恐らく来年の春辺りから、徐々に増えてくるのではないかと思われます。現在のところ、一番新しいのが昨年出版された、岡田清一氏の『北条義時:これ運命の縮まるべき端か』(ミネルヴァ書房)で、amazonには「2022年NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」主人公三上皇を配流した稀代の逆臣か…悩み葛藤する一人の武士の実像とは。」とあります。

それから先日『国盗り物語』のOPについて書いていますが、このOPのテーマは林光氏の作曲で、冒頭のぐんぐん押してくる感じと、途中から(馬の脚のスローモーションになってから)のスローテンポとの対比が結構好きです。尚この『国盗り物語』と『花神』は、原作、脚本そして音楽のラインアップがすべて同じです。
また『国盗り物語』のウィキには、当初は濃姫の役が浅丘ルリ子さん、その侍女の各務野の役が加賀まりこさんだったとありますが、このお2人は『花神』でそれぞれイネ・シーボルト(楠本イネ)、お琴(大村益次郎の妻)の役で共演しています。

それからここ数日の投稿で、ホームズ関連の話題が3つなのに2つとしていたことを始め、いくつかミスがあったので修正しています。

飲み物-バーのラテフロート
[ 2020/05/20 00:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)

『シャーロック・ホームズ語辞典』

ホームズ関連です。昨年暮れに出版された『シャーロック・ホームズ語辞典』(誠文堂新光社)という本があります。著者は北原尚彦氏で、絵の担当はえのころ工房(ミステリー関係のイラストで有名)さんです。辞典というと、ちょっととっつき難そうな印象がありますが、ソフトカバーで値段も1600円+消費税と、かなりお手頃な辞典です。どちらかといえば、今までのホームズ関連作品や映像、登場人物に関する豆知識と言った方がいいでしょう。

無論ホームズ関連といえば、日暮雅通氏の翻訳書『シャーロック・ホームズ大百科事典』なども有名です。ただこういった本は翻訳書であるため、日本国内のホームズ関連作品を知るうえでは不便でした。その点この本であれば、今までホームズを基にした作品をものした作家や、パペットホームズや『名探偵コナン』のように、日本で制作されたホームズ関連作品、さらには、海外のホームズ関連TVシリーズの、主演俳優の声を当てた俳優さんについても触れられています。

映像作品の場合は、そのワンシーンがイラストで紹介され、概要、主演俳優などがわかりやすく紹介されています。尚主演俳優の項もあり、こちらも本人のイラストつきです。その上で、例えばグラナダ版やBBC版でそれぞれ主役の声を当てた、露口茂さんや三上哲さんについても紹介されていますし、パペットホームズの場合は、三谷幸喜氏と山寺宏一さんについての紹介があります。『ミス・シャーロック』及び竹内結子さんについても書かれています。

シャーロック・ホームズ語辞典
(amazonより)

また146-147ページは、ホームズ関連本らしく、ベイカー街221Bの居間を俯瞰した様子も描かれています。さらに各国のホームズ本の画像があったり、巻末には「ホームズが歩いた時代のロンドン」と「ホームズ事件すごろく」もありますし、とにかくイラストが豊富でそれだけでも楽しめます-ただ、ゴドフリー・ストーントン(スリー・クォーターの失踪)と、ロバート・ファーガスン(サセックスの吸血鬼)が着ているラグビージャージーが、もう少し19世紀的だったらなとは思います。無論、今時のジャージーに比べると十分クラシックではあるのですが。

ホームズの名言も出て来ます。その中の1つ、
「一滴の水を見ることによって、自分の見たことも聞いたこともない大西洋やナイアガラの滝の存在を推理できる」
これは、パペットホームズのOPの最初に登場します。その他登場人物は言うに及ばずですが、特にホームズに頻繁に登場するメアリーという女性(コナン・ドイルの母親がメアリーという名前だったことにちなむ)、そのキャラごとに描き分けられたイラストがついています。これは、ホームズ初心者にはかなり親切と言っていいでしょう。

もちろんシャーロキアンに取っても、かなり楽しめる本でもあります。最近なかなか外に出られないから、ホームズ関連で何か読みたいという人に、お勧めの一冊です。

飲み物ウイスキー
[ 2020/04/19 00:30 ] シャーロック・ホームズ | TB(-) | CM(0)

少女小説あれこれ 続きその2

少女小説について書いた分のそのまた続編で、『ジェーン・エア』と『小公女』に関してです。実は『ジェーン・エア』は高校時代に副読本か何かで読まされ、随分暗い小説だなと思ったことがあります。主人公のジェーンは孤児院から寄宿学校に入り、その学校で親友を病気で失います。その後住み込みの家庭教師となり、その家の主人ロチェスター氏に恋心を抱いて結婚までたどり着きますが、実はロチェスター氏には精神を病む妻がいました。このためジェーンはその家を出て、牧師のセント・ジョンとその妹たちの所へ身を寄せます。

実はその後でわかったのですが、彼らはジェーンのいとこでした。セント・ジョンはジェーンに求婚し、伝道のためインドへの同行を勧めますが、恋愛というよりは、牧師としての使命としての結婚であり、ジェーンはそれを断ります。その後ロチェスター氏の家が火事になって、妻は亡くなり、ロチェスター氏も片腕を失って、さらに片目を失明するという悲劇に見舞われます。しかしジェーンは、このロチェスター氏と共に生きて行くことを決意します。女性からの求婚など、発表当時としてはかなり画期的な要素が盛り込まれていました。

しかし北米での孤児物語(『赤毛のアン』、『あしながおじさん』)とは違い、孤児院を出たジェーンにバラ色の未来があるわけではなく、さらなる試練が待ち受けています。孤児ではありませんが、『小公女』のセーラも同じです。こちらも途中までは、何不自由ないお嬢様の話ですが、父親が亡くなってダイヤモンド鉱山の事業も失敗したことから、在学していた学校の使用人にさせられてしまいます。彼女は父親の要請もあって、1人部屋でしかも専属メイド付きという暮らしをしていたため、180度違う環境に置かれたのです。

その時苦労を共にしたのが、学校のメイドのベッキーでした。このベッキーはスカラリー・メイド、皿洗いなどをする年若いメイドでした。しかしその後、父親の親友に引き取られることになります。また父の事業も実は成功していたことがわかり、セーラを使用人にしたミンチン院長は、この期に及んで寄付金を当てにし、何とかしてセーラを復学させようとしますが、セーラはそれを拒否します。この2人にいえるのは、アンやジュディのような親友がいなかったということです。セーラの場合はベッキーがいるにはいましたが。

しかもこの『小公女』のミンチン院長は、何やら如何にも計算高そうな感じに描かれています。典型的悪役ともいえます。この作者であるフランシス・ホジソン・バーネットは、『秘密の花園』も手掛けていますが、この小説の主人公メアリーも、最初は孤独で身内を失った少女で、義理の伯父の家で荒れ果てた庭園を見つけ、その再生に取り掛かります。そしてここでも『ジェーン・エア』のロチェスター夫人同様、存在を隠されていた少年と出会います。このロチェスター夫人がジェーンのベールを引き裂く場面は、何とも恐ろしく感じられました。

こういう特定の人物の存在を隠すという発想は、シャーロック・ホームズの『ブナ屋敷』に通じるものがあります。さらにメアリーの伯父の家がムーア(湿原)にある点は、『バスカヴィル家の犬』の手紙で、この「ムーア」だけがインクで書かれていたのをを連想させます。また『小公女』のベッキーがスカラリー・メイドという点では、『ダウントン・アビー』のデイジーをちょっと思い出します(作品の設定はかなり違いますが)。その他にもセーラの学校での特別待遇、これで思い出すのが、パペットホームズでお金持ちの子が入るディーラー寮です。

イギリスを舞台にすると、主人公の有り様もかなり変わってくるものです。また特に『ジェーン・エア』は、大人向けの描写の比重がかなり大きく、この点では他の少女小説または家庭小説とはかなり趣が違っています。その他にもアメリカで『ケイティー』というシリーズがあるのですが、こちらは生憎読んだことはありません。それから『あしながおじさん』のスピンオフともいうべき『続・あしながおじさん』があります。主人公はジュディの親友サリーで、かつてジュディがいた孤児院に院長として赴任します。

ここでサリーは孤児院改革を行うことに決め、子供たちのこと、そして医師のロビンとのことに腐心しながら、最終的にはロビンと結ばれます。このロビンも実は妻帯者でしたが、そのことを表に出していませんでした。この作品の現代は"Dear Enemy"ですが、このEnemyとはロビンのことであり、こちらも書簡形式で綴られています。もちろんペンデルトン夫人となったジュディにも手紙を送っていて、『あしながおじさん』同様に、原作者ウェブスターのイラスト付きになっています。

飲み物-ワインのデキャンタとグラス
[ 2019/01/27 16:30 ] その他 | TB(-) | CM(0)

少女小説あれこれ 続き

昨日の少女小説関連の続きになります。この中で『赤毛のアン』と『少女レベッカ』が似ていると書いていますが、実際これだけの共通点があります。

主人公が想像力豊かでお喋りが好き
新しい家に(アンはカスバート家、レベッカは叔母さん2人が暮らすソーヤー家)行くまでの馬車でのお喋りで、主人公の性格やそれまでの人生が紹介される
新しい環境でそれぞれ親友ができ、なおかつ周囲の風景を大変気に入る
主人公は家事、特に裁縫があまり好きでない
学校でトラブルが起こる
主人公がひどく叱られるが、その後でご褒美的なものがある
クリスマスに素敵なプレゼントをもらう
高等教育を受けるため家を離れ、寮生活をする
どうにも性の合わない人物がいる
預金をしていた銀行の経営難で家計が傾く
終盤で家族の一人が亡くなる

無論異なる点もあります。

アンは孤児だがレベッカは大家族の一員である、そのためレベッカは家族絡みで様々なことに関与する
2人とも友人が多いが、アンはほぼ同年代、レベッカの場合は年齢層が広い
レベッカは貧しいシンプソン家の子供たちのために、親友エンマと石鹸の行商をしてランプをプレゼントするが、その時知り合った青年は、後に進学した学校の理事であり、またレベッカはその学校の先生に気に入られる
アンがグリーン・ゲイブルスに到着した時の部屋はわびしかったが、レベッカの場合は身内でもあることから、最初からきれいな部屋が準備されている
レベッカはお気に入りのピンクのパラソルを持っているが、アンにはそれに類した物はない
アンはクイーン学院卒業時に、マリラからグリーンの素敵なドレスを作ってもらっている。レベッカの場合は、ソーヤー家は緊縮財政状態にあり、そのためドレス用の布地をエンマの家で都合してもらう。なおエンマは同じ学校に進学しているが、レベッカと同時期の卒業ではない。またアンの親友ダイアナは進学していない
レベッカの場合は複数の友人の家族や家庭も描かれているが、アンの場合、友人の家庭で描かれているのはダイアナの場合のみである
アンにおけるギルバート的な存在はレベッカの場合はいないと言っていい。やたらにレベッカに憧れて真似る男の子がいるが、ギルバートのように後々まで絡んでは来ない。

それからアンは、マシューの馬車でグリーンゲイブルスに向かう途中、自分が赤毛である(そして、それで悩んでいる)ことを口にしますが、レベッカは御者のコブさんが、彼女が黒髪と黒目である点に目を止めます。また些細なことですが、アンが帽子に花を飾って教会へ行ったことと、レベッカが新しいドレスにバラをつけ、それがミランダ叔母さんの気に入らなかったことにも共通点が見られます。

こういう風に書き出すと様々ですが、やはり共通点が多いことから、いくらか影響を受けているとはいえるでしょう。また『赤毛のアン』も、アンが髪を緑色に染めてしまい、髪を切るシーンで、「家のために髪を切って売る」といった意味のことを話しており、恐らくは『若草物語』で、ジョーが髪を売る場面を踏まえているようです。ちなみにアンの舞台のプリンスエドワード島と、レベッカの舞台であるメイン州はそう離れていません。ただ国単位でいえば、一方はカナダで一方はアメリカです。しかもプリンスエドワード島は、独立した植民地やアメリカ併合を目指していた時期もあり、方やマサチューセッツ州から分離した歴史を持つ州となれば、その違いも両者の作風に反映しているのかもしれません。

飲み物-ワインとワイングラス
[ 2019/01/19 01:15 ] その他 | TB(-) | CM(0)

少女小説あれこれ

『若草物語』と『赤毛のアン』、どちらも読んだことのある人もいれば、どちらも読んだことのない人もいるのではと思います。この2冊は、所謂少女文学の双璧だった頃もありました。個人的には『赤毛のアン』の方が好きで、特にこの中に英文学が様々な形で登場するのは、かなり興味深いものがあります。またいずれもその宗教的背景を考えると、納得できることも多々あります。『若草物語』はその生活や家族の会話から見てピューリタン、『赤毛のアン』もやはりピューリタンの一派である長老派(改革長老派)です。

ただし『若草物語』の作者オルコットはユニテリアン派、日本に『赤毛のアン』をもたらした村岡花子はメソジストです。(このブログでしばしば登場する大河コラムの著者氏が、メソジストなのに泥酔はおかしいと書いていたことがありますが、実際禁酒のイメージが強いメソジストでも、お酒を飲む人はいます。飲酒に対して厳しいのは、メソジストから枝分かれした救世軍やホーリネスです。無論明治大正期と今ではいくらか違ってはいたでしょうが)

ところでその『花子とアン』の中で、花子が『少女パレアナ』を翻訳するシーンがあります。この小説のタイトルを取った心理学用語に「ポリアンナ効果」、そして「ポリアンナ症候群」があります。特にポリアンナ症候群は「よかった探し」をすることで、一種の現実逃避、物事のいい部分だけを見ようとする状態を指しますが、本来は絶望の中にありながら、生きる勇気を受け止めることを意味しているようです。

それから『少女レベッカ』というのもあります。これは主人公が想像力が豊かなこと、新しい環境の中で親友ができること、そして本人は高等教育を受けながらも、母親がけがをして家に戻り、その家に住むようになることなど、『赤毛のアン』に似た部分があります。ただこちらは大家族の一員で、そのため孤児であるアンのような、ある種ファンタジックで理想的な雰囲気がなく、家族の愛情を感じると同時に、プレッシャーを感じているところもあります。アンよりは知名度が低いかもしれませんが、これはまた別の面白さがあります。

その他にも『あしながおじさん』を推す人もいるかと思います。イラスト入りの書簡形式の小説で、孤児院で育った少女が作文の才能を見出され、女子大学に進んで、学校生活を自分の支援者に報告する形になっています。この「女子大学」がどこであるかははっきりしませんが、恐らくセブン・シスターズのどれかと思われます。このセブン・シスターズはアメリカ東部の7つの女子のリベラルアーツ・カレッジですが、そのうちヴァッサー・カレッジは後に共学化し、またラドクリフ・カレッジはハーバード大に併合されています。

元々これらのカレッジは、女性版アイビーリーグ的なところもありました。ただしそれ以外は、今も女子大のままです。出版されたのが『若草物語』よりもかなり後、しかも『赤毛のアン』よりも後で発表されていることもあり、大学での生活がメインということもあって、時代的にどこか新しい印象があります。私としては学校生活もそうですが、ロック・ウィロー農園での生活の描写が、かなり楽しめた記憶があります。

飲み物-ローズヒップティー
[ 2019/01/18 01:15 ] その他 | TB(-) | CM(0)

大河ドラマ雑考-18 大河に原作は付けるべきか

今回はこちらの方を先にアップします。本来大河ドラマというのは、原作付きであったことを、今までにも度々書いてきました。原作と一口に言っても様々で、複数作が採用された作家は以下の人々です。
(敬称略)

大仏次郎
吉川英治
司馬遼太郎
海音寺潮五郎
山岡荘八
永井路子

無論これ以外にも、山本周五郎氏(樅ノ木は残った)、新田次郎氏(武田信玄)など、話題性のある大河の原作を手掛けた人はいます。なぜ大河に原作を付けた方がいいかと言うと

  • 原作の展開に沿ってドラマを展開させやすい
  • 原作を読むことで視聴者がドラマの方向性を理解しやすい
  • ある程度の史実に沿っているため、極端に創作を盛り込んだ大河にはなりにくい
  • 同じ著者の原作をいくつか組み合わせることで、ドラマに奥行きを出せる
  • 登場人物の設定がやりやすい

これらの条件をすべて満たすわけではないにしても、いくつかの条件は満たせる可能性は高いと思います。また、必ずしも原作通りに展開させる必要はなく、複数巻あるものの場合は、特定の巻をメインに持って来ることもできます。また、オリキャラを入れることも可能でしょう。ただしオリキャラは、あまり浮いた存在になったり、登場人物をつなぐ何でも屋的になったりもしますので、悪目立ちさせないことが重要です。その部分で脚本家の腕が試されることになります。

実際『風林火山』なども結構アレンジされています。この大河は脚本も結構よかったため、脚本でかなり補うところもあり、その点で成功したともいえます。ところで来年の大河『西郷どん』も原作付きです。これを読むべきか、それともぶっつけに大河を観るべきかどうかで迷っています。来年も賛否両論ありそうですが、少なくとも今年よりはまともな作品であってほしい。来年も再来年も、まだ観ていないので現時点では何ともいえませんし、過度に期待はしないでおこうかとも思いますが、最初からあまりネガティブなのも、如何なものかなと思いますので。

2020年の大河が忠臣蔵なのか戦国なのか、はたまたそれ以外の時代なのかはわかりませんが、原点に返るということで、原作付きにしてもいいのではないかと思っています。無論、それとタイアップしたPRも期待できるわけです。

飲み物-ミルクティ2
[ 2017/11/07 01:15 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

白いトナカイの伝説

以前ご紹介した、コミック『シートン動物記』に収録されている「白いトナカイの伝説」です。時期的にクリスマスということで。

*************************

春のノルウェー、ヨツンハイムの峰。メスのトナカイ、バーシムレに白い毛のオスの子供が生まれた。白い子の誕生を祝うフォセカルの歌を聴く、スベッカムじいさんと孫のクヌート。スベッカムじいさんはクヌートに、フォセカルは水の精や幸運の精ともいわれ、いい兆しがあると歌で知らせることを教える。しかしその時の2人には、それが何の兆しであるのか、まだ見当もつかなかった。

自然界の掟は厳しい。強い者、自分から学ぼうとする者だけが生き残る世界である。その年生まれたトナカイの子の中で、生き残ったのは例の白いオスの子だけだった。ある日、草を食んでいる白い子をクズリが狙っていた。自分を狙おうとしているクズリに、白い子は生えかけていた角で胴を突いた。母親のバーシムレがクズリを踏みつぶすも、白い子は何度も何度もクズリの体を突き続けた。

3年後、スベッカムじいさんはトナカイを追っていた。半野生のトナカイは、調教すれば橇を引くにはうってつけと言うじいさん。その中に、白いトナカイがいるのをクヌートが見つける。それはあの白い子の、成長した姿だった。じいさんは鞭でしつけるようなことはせず、徐々にトナカイに歩み寄り、心を開かせるようにした。その年のクリスマスの頃、スベッカムじいさんのトナカイ、ストルバックは氷上レースで次々と優勝し、ノルウェー全土に知られるようになった。

じいさんはストルバックが勝つたびに、引き具に銀の鈴を一つずつつけてやった。ストルバックには様々なうわさが飛び交うようになり、100キロの距離を20分で走ったなどという噂もあった。また、雪崩で埋まった村を救うために、65キロを駆け抜けて救援を呼びに行ったとか、クヌートが薄氷を踏み破り、川に落ちたのを救ったという話もあった。しかしフォセカルの予言は、これだけにはとどまらなかった。

その当時、ノルウェーとスウェーデンは連盟関係にあった。そして国会議員のボルグレビングは、反国王派の高官に接近して、金をもらっては国民を煽って独立させ、自分が権力を握ろうとしていた。ボルグレビングは宣誓書を作って仲間に署名させ、いざ状況が不利になった時は、自分だけ寝返るつもりだった。ボルグレビングの集会に行っていたスベッカムじいさんは、何かがおかしいことに気付いた。

じいさんは文字は読めなかったが、人を見抜く洞察力があった。集会の後、じいさんはボルグレビングの仲間に、宣誓書にボルグレビング自身の名前が書かれているかどうかを確認し、そこでみんなは初めて彼の悪だくみに気付く。じいさんは、次の集会が行われるニスチューエンへとストルバックを走らせ、ニスチューエンでは、ボルグレビングの署名がない宣誓書に、誰も署名しようとしなかったのである。

ボルグレビングは不意打ちを食らった思いだった。そして群衆の中に、一人だけ署名をしなかった、スベッカムじいさんを見つけた。ボルグレビングはニスチューエンでの失敗がばれないうちに、急いでベルゲンに向かおうと考え、じいさんにストルバックを借りたいと申し出る。じいさんは断るが、ならば反逆罪で牢にぶち込むと言い出す。じいさんは仕方なくストルバックと橇を貸すが、ボルグレビングのトナカイへの態度は、如何にも荒っぽいものだった。

ボルグレビングはストルバックを走らせ続けた。やがて嵐が来る前触れの雲が垂れ込め、ストルバックは歩を緩めた。こんな時、スベッカムじいさんならすぐに引き返すのだ。しかしベルゲンへの道を急ぐことしか頭にないボルグレビングは、ストルバックを容赦なく鞭で打ったため、今度はストルバックは猛スピードで、子供の頃を過ごしたヨツンハイムの方へと走り出した。ボルグレビングは悲鳴を上げたが、トナカイは走り続けた。

翌日、ボルグレビングはベルゲンには到着しなかった。何が起こったのかは定かではないが、ストルバックもボルグレビングも、目にした人はいなかった。スベッカムじいさんは、大きな鈴を手に持っていた。今度ストルバックが戻ってきたら、今までで最も大きな勝利を納めたストルバックの、引き具につける予定の鈴だった。じいさんは反逆罪に問われることもなく、その後ノルウェーは無血の独立を勝ち取って行く。

ヨツンハイムの峰の近くでは、今も雪嵐の夜には、白いトナカイが引く橇が現れ、橇に乗った男が、気がふれたように叫んでいる。そしてトナカイの角の間には小人が立ち、ノルウェーの幸運とストルバックについて歌うのである。

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如何にも北欧らしい物語といえます。イメージとしてはワイルドハント、あるいはカナダ東部の言い伝えである、空飛ぶカヌーを連想します。この中で小人となっているのは、元々はトロールと呼ばれる妖精で、『ハリー・ポッター』のシリーズなどにも登場しています。

[ 2016/12/24 00:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)
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『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『青天を衝け』の感想も書いています。またBSで再放送中の『黄金の日日』の再放送も観ています。そしてパペットホームズの続編ですが、これは是非とも来年の大河が始まる前に、三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、『相棒』をはじめとする刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2021年には北半球最強であるブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズとの試合も組まれています。このチームにいい試合をし、今後さらに上を目指してほしいものです。国内のラグビーも、2022年からはいよいよ新リーグがスタートです。

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