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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
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ラグビーあれこれ-中尾亘孝氏2

先日の続きのようになりますが、再び中尾氏の発言について。

中尾氏が、サッカーのプロ化はうまく行かないと書いたのは、1991年発売の『15人のハーフバックス』でした。この中でサッカーには日本独自の理論がない、学閥の足の引っ張り合いが激しい、サッカーがワールドカップに出るより、日本がオールブラックスに勝つ方が、確率としては高いなどと書いていました。

その後このコメントは部分的に修正されましたが、ならば最初から、こんな書き方をするべきではなかったでしょう。尚サッカー代表は何度もワールドカップには出場していますが、ラグビー代表はまだオールブラックスに勝っていません。南アフリカには勝ちましたが。

バスケへの否定的な意見は、その前に出版された『おいしいラグビーのいただきかた』に書かれていました。バスケよりラグビーをやれといったことも書かれていましたが、当事者にしてみればここまで不愉快なものもないし、そこまで安易に他競技を否定するべきかとも思います。

尤も中尾氏はラグビーについて、ラインアウトのジャンパーが育たなければ、日本人はラグビーをやめた方がいいと言ったことまで書いているわけで、否定的な表現を使いたがるのは、本人の書き方の癖とも言えそうです。あるいは「ラグビーウォッチャー」であって記者ではないから、何でも書けると思ったのかも知れません。

確かにその当時、主に選手または監督経験者から見たラグビーに関する本、あるいはルール関係の本はあっても、こういう一応ファン目線で書かれた本はなく、その意味で割と受け入れられたのではないかと思われます。数日前の投稿でも書いていますが、この当時はまだ伝えたいものを伝えようとしていた感はあります。

しかしその後中尾氏の「守りたいもの」と「批判したいもの」がメインになるにつれ、それまでの路線から逸脱して行くようになります。初期の方向性をもう少し変えずにいたら、ほぼ同時に立ち上げた「日本ラグビー狂会」にしても、今なお継続されていたと思うのですが…。

ここの本も何となくマンネリ化して行き、2000年前後の時点で、メンバーであったラグビーライターの大半が姿を消してからは、中尾氏とお仲間のイメージが強くなって、この狂会の本も、2016年を最後に出版されなくなりました。結局2019年ワールドカップ関連の狂会本は、出版されずじまいとなっているようです。


飲み物-琥珀のエール
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[ 2023/02/27 00:45 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

『ちむどんどん』と『若草物語』

まず先日の投稿で、「戦国時代」としたつもりが「戦後時代」になっていました。失礼いたしました。朝ドラとごっちゃになっていたのかもしれません。当該部分は直しています。

ところでその朝ドラ『ちむどんどん』は、かの『若草物語』を参考にしているようで、脚本家の羽原大介氏が、この記事でそのように語っています。

「若草物語を参考に、長男と三姉妹の構成は面白いと…」 朝ドラ作者「ちむどんどん」に込めたテーマ
(沖縄タイムスプラス)

しかしこの記事で見る限り、『若草物語』で参考にしたのは、長男と三姉妹の4人の兄妹という設定だけのように思われます。その時代をたくましく生きた人という点にも、この小説のイメージが盛り込まれているのかも知れませんが、『若草物語』の四姉妹は皆十代ですし、しかもその年齢で父の不在、生活費を稼ぐ2人の姉、主婦を務めることの大変さ、社交でのつらい思い、父と妹の1人の重病などなど、かなりの試練を受けていることがわかります。

しかし『ちむどんどん』の場合は

投資の話を皮切りに、詐欺師まがいのことをやり、借金で首が回らなくなってしまう。母親に金をねだり、妹の財布にも手を出すようなことを繰り返した挙句、養豚場に転がり込む
長姉
教師になるが、結婚一歩手前までいった男を振り、仲間の教師と結婚した後退職する。しかしその後復職を目指すも夫の家族に反対され、子供を連れて実家に戻り、子供は妹に預け、夫の実家には挨拶にも行かない
次姉(主人公)
高校卒業間際に料理人になると宣言し、当てもなく東京に出て、沖縄県人会会長から、以前友達と行ったレストランを紹介して貰う。しかし髪はまとめない、失敗する、果ては普通の女性より手際が悪いなど、どう見ても料理人とは思えない。沖縄出身の智のプロポーズを断る一方、婚約者がいる和彦に恋心を抱く
末妹
体が弱く、兄妹の中で一番地味なタイプ。歌が好きでアイドルを目指すが、オーディションで倒れてしまい、運送会社に勤める。しかし欠勤が多く、退職することになり、その後姉の子供の面倒を見ながら、仕事で留守の母の代わりに家事を行うかたわら、民謡歌手を目指すようになる

『若草物語』とは、やはりかなり違うなと思います。もちろん舞台も時代も違うのだから、違っていて当然なのですが、『若草物語』にあるような家族の太い絆もあまり感じられないし、何よりも、自分の生き方を貫こうとする(それはそれでいいのですが)一方で、他者を傷つけたり、あるいは迷惑をかけたりしている点が大きく異なります。また兄、賢秀に該当する人物は、『若草物語』にはもちろんいませんね。

それとやはり『若草物語』の場合、宗教の影響もかなり見られます。姉妹がクリスマスの朝に聖書を贈られたり、父が病気で母が看病に発つ朝、その聖書を読んでいたり、あるいは巡礼ごっこをやっていて、自分の夢を語ったりするところは、プロテスタント諸派、特にピューリタニズムの影響が強いと思われます。

あるいはウークイの夜に兄妹が集まって諦めないなどと言うのは、あの巡礼ごっこをモデルにしているのでしょうか。しかしやはりどこか違うなと思います。

あと土曜日に放送される1週間分のまとめですが、優子が捕虜収容所と言ったのが、ただの「収容所」に直されていたようです。なぜ事前に調べないのでしょう。プロの仕事とは思えません。

それから小檜山青氏の朝ドラ関連記事で、こういうのがありました。

そして暢子は、房子から結婚も仕事も両方頑張れときっぱり命令されるのでした。
 これは朝ドラが明確に新たな流れに舵を切ったと私は大歓迎したい。そういう流れはありました。先人の戦争経験を踏まえてこうなるといえば、『なつぞら』や『スカーレット』。『スカーレット』は才能で夫を圧倒した末の離婚でしたが。
 その前の朝ドラって、高度経済成長期にあったモデルを継承するせいか。外で働く母に罪悪感を植え付けかねない小細工があって不愉快でした。『カーネーション』は違う。問題は『あさが来た』と『わろてんか』。どちらもヒロインモデルが働こうと、それに子供が不満を漏らしたわけではない。そもそも『あさが来た』ほどの大金持ちは自分で家事育児をしなくてもどうにでもなります。それを「鍵っ子はかわいそう」みたいな理屈を無理矢理時代考証を無視してあてはめていて邪悪でしたね。だいたい、あの二作は高度経済成長期にヒロイン生きてないのに。

私は『あさが来た』と『わろてんか』の当該回は観ていませんが、この暢子に限って言えば、仕事は未だ中途半端な感があるし、しかも相手は婚約者と別れたばかりの人物なわけです。房子がそう言うのもどこかおかしいし、何よりも本人が相手とまだ付き合ってもいないのに、このような行動に走るのもちょっと考えられません。

それと小檜山氏は自分が批判したい作品には「邪悪」だ何だと書きたがりますね。このへんが極端だなと思います。
ちなみに以前、ファンのコミュニティでやたらロスだ何だと言われるのが、ご本人のお気に召さないような記述もありましたが、そういうのはスルーするなりミュートするなりすれば済む話です。

第一、他人の意見を自分の力で変えることなど、一部例外はあるにしてもかなり難しいでしょう。過去と他人は変えられないが、自分と未来は変えられるわけで、ご本人が自分の気持ちを切り替えた方がいいかと思います。

ところで小檜山氏と言えば、先日、『武将ジャパン』の武者さんの方の記事で、『鎌倉殿の13人』第27回の、義時と頼家の会話についての疑問点を取り上げています。

その会話関連で武者さんは

「頼家は、景時から聞いていた話と違うと察知。
つまりは、どちらかが嘘をついている。
もう誰も信じられなくなりそうで、実際、情で丸め込んだつもりでもほだされぬと突っぱねる頼家です」

と書いていますが、「景時から聞いていた話と違う」は、13人の発表が行われた後の頼家のセリフ「平三、聞いていた話とは違うな」ではないかと思われます。

実際この時は景時も、「当初の予定よりいささか増えてしまい申した」と頼家に答えています。もちろんその後の「情で丸め込んだ」云々も、このお披露目の時のセリフであることは、私もこの時の投稿で書いています。

しかしこのコラムでは、上記のやり取りが行われた後に
「そしていよいよ13人お披露目の場となりました」
とあるのですから、どう見てもやはり時系列的におかしいと言わざるを得ません。


飲み物-アイスカフェラテ
[ 2022/07/24 00:45 ] 朝ドラ | TB(-) | CM(0)

聖ゲオルキスの日

先日の投稿にも書きましたが、4月23日は聖ゲオルキス(聖ジョージ)の日です。竜(ドラゴン)の日であるともいえるでしょう。槍を持った馬上の騎士として描かれる聖人と竜、そして美女あるいは姫君にまつわる様々な伝説があります。聖ジョージはイングランド他多くの国の守護聖人でもありますが、そもそもはカッパドキアの人でした。

イングランドの国旗と言うべき聖ジョージ旗は、白に赤の十字があしらわれています。イングランド代表の試合にはこれがスタンドを埋め尽くします。尤も聖ジョージ旗にはドラゴンの姿はなく、お隣のウェールズの旗の方に、レッドドラゴンが描かれています。

ところでサンジョルディの日、我が国では子ども読書の日でもありますが、本に関しては聖人とは関係なく、セルバンテスとシェークスピアの命日にあやかったとの由。

飲み物-アイスコーヒー
[ 2022/04/24 01:00 ] その他 | TB(-) | CM(0)

ガブリエルの猟犬

3月25日は「受胎告知日」でした。つまり大天使ガブリエルが、ナザレのマリアのもとに、イエスを身籠ったことを告知したとされる日です。ちなみにこの時期、ワイルドハントの一種とも取れる「ガブリエルの猟犬」が、空を跋扈するといわれています。

「西洋魔術博物館」様のツイートにはこのようにあります。


実際は雁の渡りというのが、何だかオチのようでもあり。

ところでこのリプ欄に”My Favorite Things”とありますが、かの『サウンド・オブ・ミュージック』に登場する曲です。確かにこの”wild geese that fly with the moon on their wings"という歌詞もありますね。

雁が渡るのはもちろん西洋でも同じで、『ニルスの不思議な旅』では、ニルスとモルテン(NHKアニメではキャロットも)が、アッカ隊長率いる群れと共にラップランドへ、そして秋には南の方へと旅をしています。

飲み物-ミルクが注がれる紅茶

[ 2022/03/27 01:15 ] その他 | TB(-) | CM(0)

フジテレビ『シャーロック』劇場版

2019年秋ドラマとして、フジテレビ系列で放送された『シャーロック』が映画化され、6月に公開予定です。

映画『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』公式サイト

メインキャストと警視庁関係はドラマと同じです。ただ今回は、『バスカヴィル家の犬』を原作としていることもあり、東京から離れた瀬戸内海の離島が舞台となっています。原作との相違、名前の日本人風アレンジも見どころといえばそうなるでしょうか。ちなみに元々の原作の登場人物は以下のようにアレンジされています。

ヘンリー・バスカヴィル→蓮壁千里
ベリル・バスカヴィル→蓮壁紅
バリモア→馬場杜夫
ステイプルトン→捨井遥人
フランクランド→冨楽

このバスカヴィル家の犬とは、イギリスに伝わる、不吉の黒犬伝説が基になっています。パペットホームズでは、ステイプルトンがバスカーヴィルを、密かに愛するメアリーから遠ざけるための、巨大な犬の装置となっていました。それはよかったのですが、その後に出て来る「モンスターバナナ」は如何にも三谷さん脚本でした。

個人的には、高殿円さんの『シャーリー・ホームズと緋色の憂鬱』がアニメ化されないかと思っています。シャーリー、ジョーン・ワトソン、そしてグロリア・レストレードが登場する女性版ホームズです。

飲み物ー暖炉とお酒
[ 2022/02/06 01:15 ] シャーロック・ホームズ | TB(-) | CM(0)

『鎌倉殿の13人』ガイドブック関連まとめ

大河ガイドブックの三谷幸喜氏インタビューに関してもう少し。
まずニッコームックですが、以下のようなコメントがあります。

  • (当時の)神様への敬意の払い方は想像以上でした
  • 挙兵時の頼朝は、信頼できる家臣がほとんどいない状態であり、だからこそ、北条政子やその父・時政、弟・義時の存在が大きくなってくるわけです 
  • 後継者がいない時の義時は自由気ままでしたが、泰時が生まれると「息子や北条氏の血筋を守るためなら、どんなことでもやってやる!」と、方向を転換していきます
  • (小栗旬さんが)大河ドラマ『八重の桜』にて吉田松陰を演じられた時も、点描のような出演シーンでしたが、松陰にしか見えませんでした
  • (史実をきちんとはいているということについて)『真田丸』では、残っている文献から信繁が秀吉の側近だったという設定を思いついたら、偶然、それを裏づける史料が発見されて、ほらね、とうれしくなったのを覚えています
  • でも、夏は暑く冬は寒いといった共通認識は変わらないし、同じような景色を見たときに僕らが感じたことを彼らも感じたはずだと思います。僕らと共通する部分を見つけなければ、人物を描くことはできません

まず「神様への敬意」、これには頼朝が観音像を持っていたこととか、夢占いなども含まれるわけですが、平安時代から鎌倉時代にかけては当然のことでしょう。戦国時代でさえも、たとえば明智光秀が本能寺の変前におみくじを引くなどというのがありますし、寧ろ通説にあるような、無神論者的織田信長のような人物は恐れられる存在であったと思われます。そしてこの敬意や信仰は、無論現在に至るまで、日常生活の中にその片鱗をとどめてもいます。

それから「家臣のいない頼朝」、これも流人という待遇である以上、無理はなかったかと思われます。NHK出版の方では、徳川家康との違いについても触れられていますが、家康は人質に出されていたとはいえ、彼に従う三河武士たちもまた多かったわけですから。

そして「息子が生まれて」云々ですが、これは豊臣秀吉に通じるものがありますね。三谷さんも、お子さんがいる以上これはよくご存じでしょう。

『八重の桜』の小栗さんの吉田松陰。こちらは江戸での佐久間象山塾にいた頃と、東北行きの際の松陰であり、松下村塾の先生としての松陰ではありません。松下村塾の先生として「フレーヘート」(自由)を唱えるのは、やはり『花神』の篠田三郎さんがダントツかと思います。

史実を書いているという点。史実から推測した設定を裏付ける史料が出て来た時、嬉しいのはわかりますが、それに対しての「ほらね」は、どこか「してやったり」的な感情が込められていて、今一つ同意し兼ねるものがあります。

また当時の人々と今の我々の共通認識ですが、それとは別に、その当時の人物と今の人物がどのように違うか、それを描くことも大事であるかと思われます。何せ、人々を取り巻く環境はその当時と今ではかなり異なっていますし、何よりも三谷さん自身が語っている当時の人々の信仰心、これこそが今とはかなりの隔たりがあるでしょう。

他にもNHK出版の方で、この当時は戦国時代と違って戦で石を投げていた話や、また、「義時は結果的には勝者だけど、犠牲にしたものや失ったものが大きすぎる。果たして本当の意味での人生の勝者だったのか」なとというのもあります。
この投石は印地と呼ばれるもので、古代には投石機を使っていたともいわれていますが、石を投げること自体は、戦国時代も行われていたようです。それから義時が「真に人生の勝者であったのか」ということですが、これに関しては、時代の変革者と呼ばれる人たちなら、何かしら同じようなものを背負ってはいたのではないでしょうか。

で、前の投稿で触れた史実と史実の間の空想について再度。三谷さんとしては、史料に沿った部分はその通りに書く、しかしそれ以外は自分なりの解釈で書くと語っているわけですが、たとえば『真田丸』の時のニッコームックのインタビューでは、この程度で済まされています。
「(『新選組!』は)できるだけ史実に近いかたちのなかで、自分の想像力をふくらませて1年間ドラマを描いたという記憶しかありません。今回も可能な限り、歴史に残っていない部分だけを想像力で埋めていこうと努力しています」
しかし今回は
「実際に舞台となった現場まで足を運んだ」(ニッコームック)
「僕の大河は荒唐無稽なんかじゃないです」(NHK出版)
と、かなり力が入った表現となっています。
『真田丸』の終盤の描き方に関して、かなりクレームが来たのだろうなと思われますが、三谷さん自身既に還暦でかなりキャリアも積んでおり、スタイルも確立しているわけで、今までの攻めから守りの姿勢、あるいは前出の「子どもができた故の守り」に入っているようにも感じられます。

あとNHKで、『鎌倉殿の13人』に合わせてでしょうか、『新選組!』総集編の再放送をやっていましたが、これは私としては、どうにもくどく感じられます。『青天を衝け』を年末ぎりぎりまでやったせいで、今年の大河関連の特番が年明けにずれ込んだのはわかりますが、何もここまでやらなくてもいいのではないでしょうか。

それから『武将ジャパン』の、『青天を衝け』最終回に関するコラムについて、この次から投稿したいと思います。今となっては、第1回と最終回しか覗かないようになっていますが、どうも中身が薄く、整理されていない書き方だなと思わざるを得ません。


飲み物-ボトルとコルクとワイン

[ 2022/01/03 00:45 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(2)

『鎌倉殿の13人』ガイドブックを見て感じたこと その1

来年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』のガイドブックの内容について、思ったことを書いて行きます。主にニッコームック(産経新聞出版)『鎌倉殿の13人 完全読本』の内容をベースにしていますが、一部NHK出版のガイドブックの内容もまた参考にしています。

まずいずれも、出演者の紹介やインタビュー、スタッフの紹介、時代背景、舞台となる地の紹介、あらすじが紹介されており、ニッコームックの場合は、お馴染みの松平定知氏が今年も登場しています。

そしてキャスト関連です。以前から武蔵坊弁慶は誰なのか、あるいは今回は出て来ないのかと思っていたのですが、このガイドブックを見て、佳久創さんが演じることがわかりました。佳久さんといえば、あの『ノーサイド・ゲーム』で、アストロズからサイクロンズに移籍した里村亮太を演じていましたね。そして平維盛が濱正悟さんですが、この人も『ノーサイド・ゲーム』に出演していました。三谷さん、恐らくあのドラマを観ていたのではないかと思われます。

それから今回一番書きたかったのは、三谷さんのインタビューに関してです。このガイドブックの147ページにこのようにあります。

ただ、僕の大河ドラマは、「史実無視で好き放題書いている」と言われがちです。じつは『新選組!』も『真田丸』も、歴史上に起きたとされる出来事は、参考資料に従って、その日付まで忠実に書いていますし、必ず舞台となった場所に足を運んで風景まで眺めています。(中略)史実と史実のあいだを想像で埋めるのが、僕の仕事だと思っています。(中略)大河ドラマは、史実と史実の行間を読んで、史実の裏側に隠れているものに思いをこめることができると思っています。もちろん時代感覚の違う歴史上の人物を、現代目線で描くことの危険性は承知の上です。でも、夏は暑く冬は寒いといった共通認識は変わらないし、(中略)脚本家は人間を書くのが仕事ですから、僕らと共通する部分を見つけなければ、人物を描くことはできません。

三谷大河については前にも書いていますが、どうもふざけているように見えるという批判も多いと思われます。これに関して三谷さんは、史実は参考資料に従って書いている、史実と史実の間を想像で埋めると答えています。この史実と史実の間を想像で埋めるというのは、かつて『花神』の制作統括であった成島庸夫氏のコメントにもありましたが(『花神』大河ドラマストーリーより)、この「想像」の解釈について、何らかの食い違いがあるのではないかと思われます。

またNHK出版のガイドブックでは、三谷さんは史実でない部分は解釈をふくらませるといった意味のことを語っていますが、やはりこの「想像」とか、史実でない部分を自由に書くといった点が、視聴者が考える大河とのギャップとなって表れている感もあります。一例として『真田丸』の史実でないと思われる部分に、信繁と梅の婚礼で、きりがあれこれ信繁の世話を焼くシーンがあります。梅が、きりにそれをやめてほしいと言った時、

「あんた、嫁になったら急に強気になったわね」

と、月9さながらのセリフが飛び出して来ます。他にも、秀吉がいなくなってしまい、片桐勝元があちこちの部屋を探し回っていて、たまたま侍女が着替えをしているのを見てしまう、所謂「ラッキースケベ」のシーンなどが出て来たりしますが、こういう部分に馴染めないという人ももちろんいるでしょう。

何よりも、かつて『風林火山』の脚本を担当した大森寿美男氏のコメントにはこうあります。

何しろ殺戮も略奪も認められていた時代なわけで、彼らのしたことを今の価値観で判断すると、限界が出てくるのは必至です。ですから、善い悪いではなく、今に通じる人間ドラマが描ければそれでいいと考えています。

そもそも三谷さんも、当時の人々の感覚を大事にしたいと以前語っており、その意味では大森氏と共通するものがあるはずなのですが…。さらに三谷さんは、どちらのガイドブックでも、ベースとなる『吾妻鏡』に反することは描かないと言っていますが、結局そういった書き方が、史実に縛られた部分と、史実に縛られない自由な部分のギャップを大きくしているのではないかとも思います。
(この項続く)

飲み物-ロックグラスカクテル



[ 2021/12/30 01:15 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

北欧のクリスマス

先月末にユールについて書きましたが、その続きです。この日はユール・ボードが準備されます。今の感覚で捉えれば、クリスマスのご馳走となるわけですが、元々は帰って来る祖霊に捧げられるものでした。

この頃ワイルドハントも現れると考えられていましたが、元々ユールの時期は、オーディンが祖霊を引き連れて戻る時期でもあり、そのオーディンが率いる死者の霊が、キリスト教伝来後にワイルドハントになったと考えれば、納得の行く話です。またユール・ボードは、特に戦死した者に捧げられたともいわれています。

このユール・ボードですが、北欧では特に豚肉がメインとなります。豚は豊穣を表す物とされており、クリスマスにはユールフィンカと呼ばれるハムが登場します。無論これ以外にも、様々なご馳走や飲み物がテーブルを飾ります。スウェーデンの作家、アストリッド・リンドグレーンの『やかまし村のクリスマス』には、子供たちがユールの前に、餌が少なくなる小鳥たちのために麦束を準備し、ビスケットを作る場面が登場しますが、この時豚の形のビスケットも焼くことになっています。

この本にはその他にも、クリスマスツリーにする木を森から伐り出したり、部屋の飾りつけをしたりするところや、プレゼントの準備なども描かれています。いよいよユール当日になると、皆でご馳走を食べ、ツリーの周りを踊ったりして過ごします。またお粥を食べる時は、詩を作ることになっているというくだりがあります。

木といえば、ユール・ログというのもあります。これも森から切り出して来る丸太のことですが、この丸太の灰には病気を治す効能があるとか、あるいは丸太を燃やす時、炎に映る影に頭がないとその年の内に死ぬといった、ちょっと呪術的な意味合いがあり、元々のユールの原型となった冬至祭には、多分にこのような性格があったのだろうなと思われます。尚この丸太は、今はフランスのクリスマスケーキである、ブッシュ・ド・ノエルに形を変え、その名残をとどめています。

飲み物-ホットウイスキー

[ 2021/12/19 00:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)

大河関連のガイドブックに思うこと

『青天を衝け』も残すところあと6回(今年は年末ぎりぎりまで放送されますので)となりました。その一方で『鎌倉殿の13人』関連本をamazonでチェックしたところ、これがかなりヒットします-無論、その多くは現時点では「発売予定」となっていますが。三谷大河ということもあってか、何とか盛り上げようとしているようにも見えます。『真田丸』の時と似ているような気がします。

しかしというか、事前にあまり騒がれ過ぎるのも正直どうかとは思います。下馬評を覆すことにならなければいいのですが。それにしても、大河ドラマの前編というのはわかりますが、今回はそれとは別に、ドラマの完全ガイドブックとして「THE BOOK」なる物も出るらしいです。あと歴史ハンドブックなどもありますが、この3冊はすべてNHK出版です。

一方で、ニッコームックや東京ニュース通信社のガイドブックの情報はありません。この2社は大河から手を引いたのでしょうか。その代わり、宝島社(TJMOOK)から関連ムックが出るようです。無論関連本(ソフトカバー、ハードカバー)もあります。鎌倉時代についてよく知らないという人は、この手の本から入るのもいいでしょう。私も義時関連本というか鎌倉関連本はあまり持っていないので、新学説などで面白いのがあれば読んでみたいです。

しかし先日も書きましたが、大河は1年経てば次の主人公、次の時代へ移って行くし、公式サイトや大河ドラマ館も早々と閉鎖されるわけで、やはりこの辺りをどうにかできないかと思います。来年が義時なら次は泰時、そして『北条時宗』以来の元寇という手もあるにはあるのですけどね。言っては何ですが、来年の今頃は『どうする家康』関連本がかなり出て来て盛り上がるのでしょう。

そういえば松本潤さん、いまは風邪薬のCMに出ていますね。やはりこの人は元・嵐的な雰囲気が売りなのだなと思います。片や来年の小栗旬さん、プレモルに加え、味の素の餃子でご飯を食べているCMに出演中です。

飲み物-パブのビール2
[ 2021/11/20 00:30 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

感謝祭と『少女レベッカ』

先日11月11日は聖マルチノの日と書いていますが、わが国ではこれ以外にも
箸の日
ポッキー&プリッツの日
きりたんぽの日
ピーナッツの日
麺の日
鮭の日
など様々です。

箸とかポッキーなどは、11という数字が棒状または線状の物を連想させるためでしょう。ピーナッツは、11がセットになっているのにちなむからと思われますし、鮭の日も、鮭の字の構成が魚+十一+十一となっているからといわれています。あとチーズの日にもなっていますが、日本史上でチーズが初めて作られたのが飛鳥時代の700年、文武天皇の時代の10月であり、その後グレゴリオ暦採用時に11月11日とされたようです。この時代、もちろんチーズという言葉はなく、蘇と呼ばれていました。

ところで、過去何度か『少女レベッカ』という小説について書いています。この作品はアメリカを舞台にしているため、もちろん感謝祭の描写が出て来ます。この中でレベッカと親友のエンマは、シンプソン家の子供たちが、石鹸を売ることで、賞品のランプを手に入れようとしているのを知り、自分たちも協力しようと、2人で馬車を借りて行商することにします。(子供たちだけで大丈夫だったのでしょうか)

ちなみにこのシンプソン家というのは、レベッカたちと同じ町に住む一家で、父親がちょっとだらしなく、よその物をくすねては物々交換をするという有様で、当然一家は貧しく、子供たちはよその家で夕食をご馳走になったりもしていました。

レベッカとエンマは行商の途中で、ある家に入ります。そこではアダムという青年が留守番をしていました。彼はレベッカに、このお金を何に使うのか尋ね、レベッカはお金目当てではなく、シンプソン家の子供たちのために、ランプを貰うのだと答えるのですが、それを聞いたアダムは、石鹸を全部買ってあげようと言い出します。実はこの青年とは、後にレベッカが高等学院に進んだ際に思わぬ再会をすることになります。

尚この時、レベッカが着ていたのは、彼女のお気に入りのピンクのギンガムの服でした。ミランダ伯母さんから与えられた茶色の生地で服を縫うのににうんざりし、レベッカは別の色の服がほしいと言い出します。ミランダ伯母さんは不満そうですが、もう一人の伯母さん、ジェーンが助け舟を出してくれて、レベッカはこのピンクの服を縫いあげることになります。あるいは、そのお気に入りの服を着ていたのも、石鹸を売るうえでのプラス要因になったと言えそうです。

努力の甲斐あって、念願のランプを手に入れたシンプソン家の子供たちは、感謝祭の夜にそれを灯して大喜びです。レベッカやエンマたちは、様々な食品を持ち寄ってパーティーを開きます。しかし問題は油でした。するとどこからか油が届けられていることがわかります。実はその油を贈ったのは、アダムだったのです。

しかしながら、シンプソン家の子供の一人であるサミュエル、ちょっと鈍そうな子としてこの中に登場しますが、その彼が、お父さんがこれを知ったら早速交換してしまうと、かなり鋭いことを言い出します。そして残念ながらその言葉通り、年が明けて早々に、このランプがどこかの教会にあることを知らされたレベッカとエンマは、シンプソン家の子供たちが憐れで涙ぐみます。

ところでこのレベッカ、フルネームはレベッカ・ローウィーナ・ランダルです。レベッカとローウィーナ、どこかで見聞きしたことがある人もいるかも知れません。これは『アイヴァンホー』に出て来る女性2人の名前で、彼女の両親は子供たちの名前をつけるのに、小説の登場人物や歌手、ダンサーの名前を参考にしていました。実際これはレベッカ自身が、自分の名は『アイヴァンホー』から取ったのだと言っています。

以上、感謝祭絡みでちょっと書いてみました。ちなみにこの作品と構成上似ている『赤毛のアン』ですが、こちらはカナダが舞台であるため、もちろん感謝祭は登場しません。10月になってダイアナを招いてお茶をする場面が出て来ますが、実は果実酒を飲ませて酔わせてしまったため、ダイアナとの仲が一時疎遠になってしまいます。


飲み物-注がれる紅茶
[ 2021/11/12 00:30 ] その他 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

aK

Author:aK
まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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