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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
ベイカー寮221B/Baker House 221B TOP  >  本

『風花帖』-20

藩主忠固が出雲派を遠ざけたことで、与市たちはこれで藩政改革が成ったと喜んだ。しかし源太郎は主膳が殺された日以来、病と称して登城することもなく、屋敷にいた。源太郎は犬甘派との接触も断ち、何事かを考えているようだったが、ある日吉乃にこう話して聞かせた。

「わたしは印南殿に助けられて、渋田見様への刺客となることを免れた。僥倖と言っていいが、上原(与市)殿のやり方は過激なので、旧犬甘派から身を引こうと思う」源太郎の、憑き物が落ちたような言葉を聞いて吉乃は嬉しく思う。吉乃もこれ以上、源太郎に争いの渦の中にいてほしくなかったのである。

これもそなたが印南殿に頼んでくれたおかげだ、ありがたく思うと言う源太郎だが、吉乃は新六のことが気になった。源太郎に代わって主膳を殺めたことを、罪に問われそうな気がしたのである。新六に難儀がかかるのではないかと案ずる吉乃に、源太郎はこう言う。

「印南殿があの場にいたことを知る者はわたしと早水(順太)殿、直’(方円斎)殿だけだ。誰もあの一件を口にする恐れはないし、印南殿は刀ではなく手槍を使われた。斬り口から印南殿とわかることもあるまい」

源太郎は確信ありげに言ったが、人ひとりの命を奪っておいて、そのままで済むとは吉乃には思えなかった。しかも新六が刺客を引き受けたのは、自分の頼みを聞いたからであり、吉乃は申し訳なさが募った。自分が新六に甘えすぎていると思った吉乃は、新六に詫びなければと思う。

10月に入って、新六の非番の日を確かめると屋敷を訪ねた。新六の屋敷には、相変わらず年寄りの家僕しかおらず、吉乃が案内されて屋敷に上がると、新六は、わずかな庭木があるだけの庭を、縁側でぼんやり眺めていた。吉乃が挨拶すると、新六は慌てて膝を正した。

何をしておられましたかと尋ねる吉乃に、新六は苦笑し、庭を眺めていただけですと答える。吉乃は微笑んで、庭は面白うございますかと訊いた。こんな形で新六と語るのは、これが初めてだった。新六は言う。面白うはございませんか、四季折々で変わるからと。

それを眺めて楽しまれるのですねと言う吉乃に新六は、四季があることは時が流れることであり、命というものを何となく感じると答える。命を感じるという新六の言葉に、吉乃は眉をひそめた。源太郎を助けるため、刺客になったのを後悔しているのではと思ったのである。

新六は再び庭に目をやった。その新六に吉乃は声をかけた。「やはり、わたくしは申し訳のないことをしてしまったようです」新六は怪訝な顔で、何のことであるのかを尋ねた。

吉乃は、自分が頼んだために、新六が意に添わぬことをしたのだと思ったこと、今日はそのお詫びに来たことを伝え、頭を下げる。新六は手を振って言った。武士であれば常に生死の覚悟はしていること、渋田見主膳も同じ思いであったであろうこと、武士はいつ何時、首を失うことになろうとも、悔いる心は持っていないと。

しかし吉乃はこう尋ねた。
「されど、新六殿は浮かぬ顔をされておられました。生死の覚悟を定められておられるはずなのに、なぜでございましょうか」

吉乃に重ねて訊かれ、新六は思いがけず真面目な表情になって答えた。
「上原殿たちは、殿が怒りをお見せになられぬゆえ、諫言を受け入れられたと思われているようですが、さようなことはありますまい」


渋田見主膳の暗殺後、源太郎はいわば引きこもってしまいます。新六が刺客を自ら代わってくれたことは幸いであったものの、上原与市の過激なやり方とは、一線を画したいと考えているようです。そして吉乃も、夫が争いのただ中から身を引くことに賛成でした。しかし一方で吉乃は、暗殺者が新六であることが発覚するのではないかと案じます。それに関しては、手槍で主膳を殺めており、主膳の刀傷から犯人が割り出されることはないと、源太郎は確信したように答えます。

しかし吉乃は、人命を奪っておいてそのままで済むとは思えず、しかも自分が頼んで刺客を引き受けさせたことを申し訳なく思い、新六の非番の日に屋敷を訪ねます。新六は庭を見ていました。四季折々の移ろいに命を感じると言う新六に、吉乃は、刺客を引き受けたことを後悔しているのではないかと思い、そのことを詫びますが、新六は、武士とは常に生死を覚悟しているものと答えます。

ただ新六は、生死を覚悟しているとは言うものの浮かぬ顔でした。どうも与市たちが、藩主忠固が怒りをあらわにしないため、藩政改革が成されたと喜んでいるものの、実はそうではないことを見抜いているようです。嵐の前の静けさのようなものかも知れません。

飲み物-白いカップの紅茶
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[ 2023/10/02 23:15 ] その他 | TB(-) | CM(0)

『風花帖』-19

驚く方円斎に新六はこう言った。
「それがしも旧犬甘派に身を置いているのであれば、小笠原出雲につながる渋田見主膳を斬ったところで不思議ではござるまい」

方円斎は、6月に出雲を斬ろうとした時には巧みに逃げた印南殿が、なぜ考えを改められたのか、実は主膳を助けようという魂胆かもしれぬなと疑わし気に言うが、新六は、それがしにはお守りせねばならぬひとがおり、そのひとの願いによってかくは参ったと答える。

方円斎は一声、笑止とかけて間合いを詰め、居合を放った。新六は後方へ跳び下がって刃を避け、片手で方円斎を制して言った。待たれよ、それがしはまことのことを申しておるだけ、早水(順太)殿と菅様だけではしくじるやも知れませんぞ、それがしが参れば万に一つも主膳を逃したりいたさぬ、直(方円斎)殿ならおわかりのはずと。

方円斎は刀を鞘に納め、ならば行くがよい、菅殿らは馬場の北の端にて主膳を待ち伏せいたしておると言い、新六はならば参ると走り出した。そして方円斎のそばを駆け抜けようとした時、方円斎は腰を静め、新六に斬りつけた。

新六は宙に飛んで白刃をかわした。方円斎はさらに間合いを詰めて斬りつけてくるが、新六は揺れるように動き、方円斎が冗談から振り下ろした刀の峰に飛び乗った。
「おのれ、足鐔(そくたん)か」

方円斎は叫び、大胆にも刀を捨てて、空中で回転して跳ぶ新六に向かって、脇差で斬りつけた。地面に降り立った新六は刀に手を添え、鍔で方円斎の脇橋を受け止めた。次の瞬間、2人はそれぞれ後ろへ跳び下がり、方円斎は笑って言った。
「勝負なしじゃな」

新六は頭を下げ、方円斎に背を向けてまたも走り出した。その頃源太郎は提灯の灯が近づくのを待ち受け、刀の柄に手をかけて、今にも立ち上がろうとした時、背後に誰かの足音を聞いた。振り向いた源太郎に、菅様かと声をかける頭巾姿の男がいた。その声は新六の声だった。なぜ来られたと驚く源太郎のそばに、新六は身を寄せた。

「奥方様に頼まれたのでござる。刺客など菅様のなさることではない。それがしが代わりましょう」
さようなことはできぬと低い声音で断る源太郎。それと同時に順太が飛び出して
「来たぞ」と言うなり駆け出した。

源太郎は後を追いかけようとしたが、新六はご免と言って源太郎の腕をつかみ、腰を入れて投げ飛ばした。地面に叩きつけられて、うめき声をあげる源太郎に、新六はすぐに立ち去られよと言い、順太を追って走って行った。そして新六は順太に追いつき、たちまちのうちに抜き去ると順太の手槍を奪って行く。

そして新六は、提灯を持った供を連れた主膳に駆け寄った。主膳は新六に気づき、
「何者だ」
と怒鳴るが、その時新六は宙に舞っていた。

新六は主膳の頭上を飛び越える時、順太から奪った手槍を投げつけた。そしてそのまま地面に降り立つと、振り向かずに走り去って行った。
主膳の供の者は、主に駆け寄った。主膳の肩先から首筋にかけて手槍が刺さっており、体が揺れてそのままあおむけに倒れた。

この供の者が主膳を屋敷まで運び、その時はまだ息があったが、4日後に主膳は絶命した。この主膳暗殺に対し、藩主忠固はすぐには怒りを表さず、出雲派の重職たちを遠ざけ、小笠原蔵人、伊藤六郎兵衛、小西四郎左衛門や二木勘右衛門らを重用する姿勢を見せた。


刺客として馬場に赴いた新六ですが、いきなり方円斎の挑戦を受けることになります。出雲の刺客とならなかったことが、旧犬甘派の不信を招いているようです。しかしそこは夢想願流の使い手の新六、方円斎の襲撃をものともせず、源太郎が身を潜めている方向へと走り出します。

当然ですが、源太郎は新六の出現に驚きます。奥方様、つまり吉乃に頼まれたのでござると言う新六は、自分が代わりを買って出ます。そのようなことはできないと答える源太郎ですが、ここで新六は少々荒っぽい手を使います。つまり源太郎を投げ飛ばし、即座に動けないようにした後、今度は順太に追いついて、手槍を奪うと主膳に近づきます。しかも相手に有無を言わさず宙を舞い、手槍を相手に投げつけます。

実に素早く、的確に仕事をやってのける新六。しかも彼の得意技である夢想願流、相手の刀の峰に飛び乗る技を披露したのは、やはり武術の腕にすぐれた方円斎に対してのみであり、主膳に対しては、相手に刀を抜く隙すら与えませんでした。主膳は4日後に亡くなり、藩主忠固は表向き平静にことを進めて出雲派を遠ざけますが、しかしこれだけでことが収まるようには思えません。

飲み物-アイスコーヒーとストロー
[ 2023/09/30 23:30 ] その他 | TB(-) | CM(0)

『風花帖』-18

新六が闇の中を黒い影となって走り出した頃、馬場ではやはり頭巾をかぶった源太郎と順太が、松の幹に身を潜めていた、順太は手槍を持っていた。そして方円斎は、2人の邪魔にならないよう少し離れた場所から見張っていた。既に月が昇っていた。主膳が下城してくるのも間もなくと思われた。

源太郎は主膳を襲うことを心に決めていた。何度か話をするうちに、主膳はどこか冷淡であることがわかり、源太郎との関係は、政に利用するためのものと思われた。ゆえに藩の改革のために斬るしかないと考えたものの、斬ることですべてが終わるのかと不安に感じてもいた。

ひとたび人を殺めれば、その争いは際限なく長引き、新たな血が流れることになるのではないか。与市は君側の奸を除けば、藩政を改めることができると考えている。しかし家老の小笠原出雲は、藩主忠固の意を受けており、出雲を藩政から追放することは、忠固をもないがしろにすることになり、そうなれば改革の行く末は困難なものとなる。

とどのつまり、主君との争いになることを思えば、源太郎の心は重かった。屋敷で自分を待つ吉乃の顔が脳裏に浮かんだ。何ら不自由もないのに、藩政を思うあまり、修羅の道に足を踏み入れてしまったのである。

しかしここまで来てしまった以上、最早引き返すわけにも行かなかった。源太郎は吉乃の面影を消そうとした。主膳を斬れば、最早屋敷に戻ることもないかも知れない。源太郎は我が心を鎮めようとしたが、その時大手門の方角で小さな灯が動くのが見えた。

順太がささやくように、主膳の供が持つ提灯かも知れないと言う。そうだなと答える源太郎は、声が落ち着いていることに安心した。最早迷ってはいない、後は主膳が近づくのを待って斬るだけである。源太郎は胸の内でつぶやく。
「渋田見様、どうやらわれらが出会ったのは悪縁だったようでござる」

すると闇の中から
南無阿弥陀仏
南無阿弥陀仏
南無阿弥陀仏
と低いつぶやきが聞こえてきた。

順太が、これから斬る主膳のために、阿弥陀仏に帰依し奉ると唱えているように聞こえた。源太郎もいつの間にか、小声で南無阿弥陀仏と唱えていた。今から自分が振るうのは破邪顕正の剣であると、自らに何度も言い聞かせた。

一方新六は闇の中を走り、やがて松並木が続く馬場が見えて来た。馬場に入ろうとした新六は足を止めた。月が出ており、松の影が伸びていたが、その影に隠れるような形で人が立っていた。その影が動き、月明かりの下に出て来た、頭巾をかぶっているものの、腰の構えそして体つきで、方円斎であることが新六にはわかった。

また方円斎も、新六であると見破っていた。いずこへ行かれると声をかけた方円斎に新六はこう尋ねた。
「直殿がここにおられるからには、渋田見様を襲うのは、やはり馬場ということですな」

方円斎は含み笑いをし、そうだとしたらどうするつもりだと問う。新六は、刺客の中に菅様がおられようと尋ねるも、方円斎は言えぬと素っ気なかった。しかし新六はこう言った。
「その返事だけで十分でござる。それがしが参ったのは菅様を連れ戻すためにございますゆえ」

それを聞いた方円斎は、我らの企てを邪魔するつもりかと言い、わずかに腰を落として身構える。しかし新六は頭を振り、こう答える。
「さにあらず。菅様は刺客にふさわしくないゆえ、お戻りいただき、それがしが代わって主膳を斬り申す」


夜のとばりが下りる中、新六は馬場へと急ぎます。源太郎の代わりに主膳を殺めるためでした。そしてその馬場では案の定、源太郎と順太、そして方円斎が主膳の下城を待って、松の陰に身を潜めていました。

源太郎は、主膳を討つことを決意していました。何度か会ううちに、この人物は自分を利用していることに気づいたためですが、ただし与市が言うように、斬ることのみですべてが解決するとは思えず、それが新たな流血を呼び起こしかねないとも考えていました。まして出雲を追放することは、藩主忠固との対立をも意味していました。何ら生活に不自由することもなく、家庭もありながら、藩政に深入りしたことが思わぬ方向へと進んでいたのです。

これは正義のためであると源太郎は自分に言い聞かせ、順太に合わせるように念仏を唱えます。するとそこに彼らと同じく、頭巾をかぶった者が現れます。方円斎はその者が新六であると見破りますが、新六は刺客の中に源太郎がいるのではないかと尋ねます。言えぬと方円斎は答えますが、その返事だけで新六はすべてを察し、自分が源太郎に代わって主膳を斬ると言い出します。自分に取って大事な女性である吉乃の願いのためでした。


飲み物-ティーカップと紅茶
[ 2023/09/28 01:00 ] その他 | TB(-) | CM(0)

『風花帖』-17

吉乃の顔が明るくなった。夫には止められていたが、新六殿をお頼みしてよかったと言う吉乃だが、夫に止められていたという言葉に新六は悲しい思いをした。その新六はこう尋ねた。
「吉乃様、それがしが昔、生涯かけて吉乃様をお守りいたすと申したのを覚えておられますか」

突然このように言われ、吉乃は戸惑いつつもうなずく。源太郎と結婚する前、素戔嗚神社で伊勢勘十郎に乱暴されそうになった時、新六は「ご安心ください。わたしが吉乃様をお守りいたしますから」と言った後声を低めて、
「このことは生涯かけて変わりませんぞ」と付け加えたのである。

後になって、この頃親戚の間では、自分と新六との縁談が進んでいたのを吉乃は知った。新六が吉乃を助けた時のあの言葉は、やがて妻となる女性に向けられたものだったのである。しかし新六はその後江戸に追いやられた。

吉乃が恐れをその後も抱き続けることがないように、御前試合で勘十郎を叩き伏せ、ケガをさせたのが原因だった。そしてその後吉乃も源太郎と結婚し、2人の歩む道は別々の物となったが、新六は今なお吉乃への思いを失わずにいるように見えた。

それに気づいた吉乃は、源太郎を助けるように新六に依頼したのは酷いことなのではないかと思った。しかし今夜、源太郎を救えるのは新六しかいなかった。
「新六殿、わたくしは申し訳なきことをお頼みしているのかも知れません」

吉乃はうなだれた。新六はあわてて、こう言葉を継いだ。
「何を言われまするか。それがしは吉乃殿のお役に立てるのが嬉しいのでござる。よくぞそれがしを頼ってくださいました」

吉乃は言った。新六殿にご迷惑をおかけしては申し訳ない、夫が無事戻れば、自分にできることならどんなことでもさせていただくと。思いつめた表情で言う吉乃を新六は悲し気な目で見つめ、吉乃様からは既に十分なることをしていただいておりますと言った。吉乃は問い返した。

「わたくしが新六殿のために何かして差し上げたことがございましたか」
新六はその年の春、桜の花びらが舞う中で、千代太と剣術の稽古をしたことを話す。

吉乃は意外だった。しかし新六はこう言った。申し訳なきことながら、あのおり、吉乃様を妻に迎えて成した男子に剣を教えているような気持ちになり、まことに温かく満ち足りた思いがしたのだと。それを聞いて吉乃は、新六から助けられてからのことを思い出していた。

もし自分がおびえなければ、新六は御前試合で勘十郎を打ちのめすようなこともなかっただろう。新六の人生を曲げてしまったのは、自分なのではないだろうか。しかも今また吉乃は、源太郎を助けてくれと無理な頼みをしていた。

そのことがまた、新六の運命を大きく変えてしまうかも知れない。後悔の念が吉乃の胸にあふれた。自分は何と言うことをしてしまったのだろうと嘆く吉乃だが、新六は笑顔で、それがしが引き受けたからには、ご安心なさって屋敷で菅様のお帰りをお待ちくださいと言う。

吉乃を見送った新六は袴の股立ちを取り、頭巾で顔を隠して草鞋をはいた。家僕には外出したことを誰にも洩らすなと言い含めてから、新六は裏口を出た、日が落ちて薄闇となったいた。新六は、主膳が下城の際に、大手門の近くの松並木で囲まれた馬場を横切るため、主膳が襲われるならその馬場だろうと見当をつけた。


新六は吉乃に、かつて彼女を勘十郎から助けた際に口にしたセリフを、再度耳にします。それは、やがて自分の妻となる女性に向けられるものでした。実際縁談が進んでいたわけですが、新六はその後、二度と吉乃を恐れさせないように、御前試合で勘十郎を打ちのめし、ケガを負わせます。これがもとで新六は江戸へやられ、吉乃は源太郎と結婚することになり、2人の人生はそれぞれ違ったものとなって行きます。

しかし新六は、吉乃のためになることであればそれでいいと割り切っているようです。そして吉乃の無理な頼み、刺客となろうとしている源太郎を、生きて吉乃のもとに戻すという役割を引き受けます。吉乃は新六に、源太郎が無事戻ればできることをしたいと言いますが、新六は既に十分なことをしていただいていると答えます。かつて桜の散る中で、千代太に稽古をつけていた時、新六は自分が吉乃を娶り、2人の間に生まれた息子に稽古をつけているような、そういう「疑似家族体験」的なものを感じ取っており、それだけで十分であったようです。

そして新六は一匹の殺人鬼、つまり源太郎に代わって主膳を暗殺する刺客へと変貌します。かつて、霧ヶ岳の烽火台に火を放った時のように、今回も「実行犯」としての役目を源太郎、ひいては吉乃のために引き受けることになります。


飲み物-ミルクを注がれるアイスコーヒー
[ 2023/09/26 00:15 ] その他 | TB(-) | CM(0)

食文化がらみであれこれと

はなはだ他愛ない話ではありますが、以前、カップ麺(特にうどんとそば)のつゆの色の東西の違いは、どの辺りが境界線なのだろうと調べたことがあります。その時は東海地方が境界線で、特に関ケ原周辺で変わるとありました。

そして最近、もう一度これについて調べたところ、やはり関ケ原周辺のようで、この意味でもかの地域は天下分け目の役割を果たしていたことになります。一般にはやはり東が鰹だしで濃口醤油、西が昆布だし中心で薄口醤油となっているようです。

ただ最近ではメーカーによってはもっと細分化され、東日本、関西、北海道に西日本と4種類の味の商品を出していたりもします。この場合東日本は関東と東北、そして東海地方で、西日本は中国・四国・九州に北陸が加わります。

一般に調味料というのは、その土地の食物や食習慣の影響も受けるようです。また気候によっても異なります。特に昔はその土地の物でないと手に入りにくいことも多かったわけですから、なおさらでしょう。

またフォロー中の福岡PRメディアアカウントの記事ですが、九州で甘口醤油がよく使われる理由はなぜなのかが、ここに書かれています。
(『目次』の「独自の魚食文化が生み出したのが甘いしょうゆだった!?」をクリックしてください)

漁港取扱高No1! 福岡で“おいしい魚”が食べられるのには、理由がある。
(フクリパ)

実際玄界灘だと青魚や白身魚、イカなどが多いなと思います。季節ものとしてアラ(クエ、九州場所の相撲部屋の宿舎に差し入れされることもある)とかフグが多いのも特徴でしょう。

ちなみに以前ちょっと書いた、福岡藩を舞台にした『十刻半睡事件帖』の「包丁ざむらい」という短編があります。当時は御禁制だったフグをさばいて食べて、毒にあたる武士の話が出て来ますね。幸い微量であったため回復するわけですが、物語の最後の方で、この武士は長崎御番、つまり長崎警備に行くことになり、その時に卓袱料理を覚えてくると、半睡に嬉しそうに話す場面が登場します。

長崎と言えば、少し前に長崎街道(シュガーロード)について書いたことがあります。菓子もまた食文化であり、これは先日投稿した、taketak39460607さんのnoteにある嘉祥の菓子などをはじめ、様々な逸話あるいは土地の伝承などに基づいたものも、また多いかと思われます。

ところでこの街道は、小倉から黒崎を経て長崎までを結ぶことになっています。この黒崎は筑前国福岡藩にあり、かなり繁栄した宿場町でした。尚10月に『ブラタモリ』で2回に分けて北九州を歩くようですが、豊前パートと筑前パートに分けての放送となるようですね。

『ブラタモリ』放送リスト
(NHK)

そしてそろそろ『風花帖』が、白黒騒動の核心とも言うべき藩士の締め出し、そして小倉藩からの出奔となって行きます。ものものしいいで立ちで脱藩した小倉藩士たちを見て、福岡藩の役人たちは驚き、城に使いを走らせて今後の指示を仰ぐ一方で、藩士たちは黒崎の本陣にとどめ置かれることになります。

飲み物―アイスコーヒー5
[ 2023/09/25 05:00 ] その他 | TB(-) | CM(0)

『風花帖』-16

源太郎は訝し気な顔になり、こう言った。
「印南殿はそなたの親戚ではあるが、わたしとは何の縁(ゆかり)もない。それなのに、迷惑はかけられぬ」
迷惑とは思われぬと存じますと吉乃ははっきり言うが、源太郎は首を傾げる。

なぜそのように思うのかと尋ね、そして霧ヶ岳で烽火台に火を放った時もに自分をかばってくれたような気がしたが、そうしなければならない理由があるのかとも口にする。吉乃は口ごもったが、恐る恐る言った。
「新六殿はお優しい方だと存じます」
しかし源太郎は、新六に頼るわけには行かないと結論を出す。庭では虫が鳴いていた。

その10日後の夕刻、吉乃は新六の屋敷を訪ねた。この間にも方円斎や順太が訪れて何やら打ち合わせをしており、源太郎も夜中に起き出しては、庭で真剣を振るなどしていた。夫婦の間で親しく言葉を交わすこともなくなり、そしてこの日の朝、いつもより早く下城した源太郎は、今夜は遅くなると言って、出て行ったのである。

この夜何かが起こることは、吉乃にもはっきりわかった。このままでは取り返しがつかないことになると思った吉乃は、新六の屋敷を訪ねることにしたのである。屋敷の門は夕焼けに染まっていた。

年寄りの家僕に案内され、新六が玄関先に現れた。夫を助けていただきたいと切羽詰まって言う吉乃を、新六は屋敷に上げた。未だ妻帯していない新六の屋敷は、どこか寂しげだった。障子を開け放って、夕暮れの日差しを奥まで届かせながら、吉乃に話すように促した。吉乃は口を開いた。

「夫は今夜、どなたかを殺めに参ったのではないかと思います」
「それ上原殿らが関わりのある話でござろうか」
新六は出し抜けにこう尋ねた。事態が急であると見たのである。

吉乃は、夫の源太郎が渋田見主膳と近づきになったため、上原与市たちからあらぬ疑いをかけられたようだと話す。新六にもおおよその察しはついた。そのため源太郎は刺客の役目を求められたのである。源太郎が何度も主膳の屋敷を訪れており、これは与市たちも黙っていないのではないかと新六は思っていたが、案の定だった。

新六は吉乃を見つめてこう尋ねた。
「菅様は誰を狙うかをお話になりましたか」
「いえ、聞いておりませぬ」

そうだろうと思いつつ、新六は狙われているのは主膳だと見当をつけた。今の時点で、旧犬甘派が国許で暗殺を企てる相手は、主膳くらいしかおらず、しかも主膳は常に職務に励んでおり、下城はいつも深夜に及んでいた。源太郎たちはどこかに潜んで主膳を待ち受けるつもりだろう。

ならばもう少し時間があると考えた新六は、落ち着いて吉乃に、自分に何をしてほしいのか尋ねた。吉乃は戸惑いながら、懸命にこう答えた。
「夫に刺客などして欲しくありませぬ。生きて戻って来て貰いたいと思います」

しかし新六は、無理に源太郎を連れ戻すことはできても、それでは面目を失い、卑怯者の汚名を着ることになると吉乃に話す。このことばに吉乃はぞっとしたかのように、頭を激しく振って言った。さようなことになれば夫は生きておらぬと思う、武家の妻として覚悟ができていないと蔑まれるだろうが、私は夫に生きて欲しいと。

新六は感銘を受けたように、吉乃の話をうなずいて聞き、膝をぴしゃりと叩いて、自分が何としても、源太郎が生きて吉乃のもとに戻れるようにすると断言した。


新六を頼ろうと言う吉乃ですが、源太郎はそれに反対します。そしてそれから10日の間、渋田見主膳を斬ろうという企てとその打ち合わせが、菅家で行われていたようです。吉乃は夫とその仲間が、何かを企てていること、そして一旦戻りながらまた出て行ったこと、今夜は遅くなると言ったことに、ただならぬものを感じたのでしょう、新六の屋敷へ行ってことの次第を打ち明けます。

無論吉乃も、誰を殺めるのかまでは知る由もありませんでした。新六は旧犬甘派が敵視する人物で、今国許にいるのは主膳くらいであり、しかも職務にに励んで帰りが遅いことなろどから、源太郎が斬ろうとしている人物は主膳であると見抜きます。しかしこの企てを聞かされて、いささか過激であることから、与市が絡む話であると考えたのは、流石であると言えそうです。

ただし無理やり源太郎を連れ戻すと、武士としての面目が立たなくなってしまいます。武士とはなかなか厳しいもので、これは、武士の妻もまたしかりだったようです。しかし夫には生きて戻ってほしいと言われた新六は、ある策を思いついたようですが、それは一体何なのでしょうか。


飲み物-グラスのアイスカフェオレ
[ 2023/09/22 01:15 ] その他 | TB(-) | CM(0)

『どうする家康』第35回に関しての武将ジャパンの記事について-2

第35回の『武将ジャパン』大河コラムその2です。


本作はきちんとキャラクターを描いてこなかった。
こんな終盤にもなって、秀吉が徳川家臣団のメンバーを説明セリフで語るって異常ですよ。
歴史に興味がないという脚本家だけに、自身も忘れていて、コピペでもしているのでは?と思わせるほどです。

まず何を言っているか不明です。「秀吉が徳川家臣団のメンバーを説明セリフで語る」て、具体的にどのシーンのことでしょうか。そしてそれが「歴史に興味がない」と何か関係あるのでしょうか。取りあえず、何かネガティブなことを書こうとして、適当なことを書いているようにしか見えないのですが…。
そしてこれも3行で1パラグラフ。こういうのも実に適当だなと思ってしまいます。

それと『どうする家康』の場合、「終盤」は、関ケ原が終わってから後ではないでしょうか。後半の核になる部分に入って来てはいますが、まだ江戸の町を作る段階でもありませんし。

秀吉とねねの衣装コンセプトはなんとなくわかった。
質素な三河武士(どいつもこいつもアイスクリームフレーバーですが)とは異なり、ともかくド派手にしたいのでしょう。
しかし、だからといって夫婦揃って同じコンセプトのペアルック状態とは何事でしょう。
林家ペー&パー子じゃないんだから。
◆林家ペー&パー子オフィシャルサイト(→link)

どうする家康第35回秀吉と寧々2

ペアルックてこれですか?(『どうする家康』公式サイトより)
同じには見えませんけどね。関白殿下の方がどちらかといえば派手目でしょうか。
2人とも贅を尽くした着物を着ているなとは思います。大政所しかりです。

そしてペー師匠とパー子さんはあれがひとつの芸風ではありますが、この関白夫妻はそれとは違いますね。

それから、松本潤さんの家康がよほど気に入らないようで。

冒頭で、本作は演技過剰だと指摘しましたが、主演の家康も際立っています。
いちいち「俺、かっこいいです! この角度を見て! この口の歪め方どうよ?」といわんばかりの表情。イントネーションをつけすぎた台詞回し。
一体なんなんでしょう。
彼は顔の作り方が幼い。演技をするどころではなく、セリフを覚えるだけで精一杯だと伝わってくるのですが。
大河の主演に演技力を求めることは高望みなのでしょうか。
話題性と事務所の力だけに頼ってよいものでしょうか。

「一体なんなんでしょう」「頼ってよいものでしょうか」
例によって如何にも問題提起していますといった口ぶり(武者語録と言うべきでしょうか)ですが、要は自分が気に入らないから、やたらに問題視したいのだろうなと思ってしまいます。

そして
「彼は顔の作り方が幼い」
「演技をするどころではなく、セリフを覚えるだけで精一杯だと伝わってくるのですが」
「大河の主演に演技力を求めることは高望みなのでしょうか」
俳優さんの外見を云々し(ちなみに作り方ではなく『作り』かと)
「セリフを覚えるだけで精一杯」「演技力を求めることは高望みなのでしょうか」
と、特におかしな演技をしているわけでもない相手に、自分が嫌いだというだけで誹謗中傷のしまくり。問題だなと思います。

これじゃ、武者さん自身に対して「一体なんなんでしょう」と言いたくなってしまいますよ。

しかしなぜこんな文章を書かせますかね。まず分別というものが感じられないし、そしてもちろん出演者への敬意もまるで感じられません。

あと事務所関連で思い出しましたが、経団連の十倉会長が、ジャニーズのタレントの活躍の場を奪うのは如何なものかとコメントしたようですね。

『麒麟がくる』のキャストとスタッフで、本能寺の後を見たかった――ふとそう思ったら、心から切なくなりました。
あの作品は、本能寺で終わるように作られている。
その先は蛇足になる。
だから、そういうことは考えたくないのに、どうしても考えてしまう。

だったら『麒麟がくる』だけ観て、その思い出にどっぷりつかっていた方がいいのではありませんか。これを書くのは何度目だろうかと思いますね。逆に私、武者さんに『どうする家康』もう観てほしくないのですけど。

第一本能寺後はもう光秀はいないことになっているのだから、その後は作れないでしょう。主人公の最後の見せ場である山崎の戦いは結局描いていないわけですし。ならばあそこで終わるしかなかったわけですが、一体何を言いたいのですか。

仲と井伊直政の絡みは、序盤だけで終わらず、しつこく繰り返される。
不愉快でしかありません。
このドラマはLGBTQを雑に出したり、たまに意識高いセリフをいうくせに、こういう「ババアはイケメンが好きw」みたいなミソジニーを堂々と垂れ流す。
趣味は差別、特技は逆張りみたいなドラマです。

武者さんのルッキズムとミソジニーの方が、よほどしつこく感じられるのですが。
どこをどうすれば
「ババアはイケメンが好きw」
なんて出て来ますかね。こういうことを勝手に想像する武者さんの人間性が問われるような気がします。

そしてなぜこれが差別になるのでしょうか。
あらすじと感想でも書きましたが、仲は愛すべき息子であったであろう秀吉が、最早得体の知れない存在になってしまい、その代わりを直政に求めていたように思われます。
「不愉快に思われる」なら余計に観ない方がいいのに、なぜか毎週観ては5ページもある文章をアップしていますね。

稲のだらしなく舐め腐った態度は、一体なんなのか。脚本家の趣味でしょうか?
このドラマから感じることは、武家の誇りがあるような女性のことを「ダサいしうぜえw」と捉えているということです。
武士の誇りがある明治生まれの女性というのは、昭和の時代はいました。アジア・太平洋戦争の敗北まで、日本人は武士の精神が掲げられていましたからね。
本作脚本家の世代は、祖母世代にそういう女性がいたはずです。

嫌いな人物が出てきたらなんでも「脚本家の趣味」。
出演者のみならず、脚本家もすべて否定しまくっていますね。
そして急に出て来た「武家の誇りがあるような女性」(『ような』が不可解、武家の誇りがある女性でいいでしょう)とは何ですか。

さらに、唐突に明治生まれの女性が出て来たと思ったら、これも脚本家叩きですか。ならばリアルに武士が存在した時代は、武士も武家の女性も皆それ以上に、誇りも覚悟もあったと思いますよ。あるいは今でも、そういう考えを受け継いでいる人はいないとは言えないでしょう。

しかしここの部分、何だか、書き方がもたついているように見えますね。

「脚本家の祖母世代には、明治生まれで武家の気質を受け継いだ女性もまだいて、周囲にそういう人がいたかも知れないのに、稲の描写を見る限り、武家の女性を貶めて描いているように見える。武家育ちである稲は、もう少し気高くあったのではないか」

こうとでも書いておけばいいのでは。

それなのになぜ、彼女たちをコケにするようなスタンスになってしまうのか。
「そんなクソババアみてえな女いらねえしw せっかくのかわいこちゃんはギャルにしちゃえwww」とでも言いたげ。
しょうもない逆張りしかできないんですかね。

しょうもない逆張り、ですか。
では武者さん、貴方は瀬名と於愛、2人とも武家の女性ですが、彼女たちを何と呼んだでしょうか?
瀬名はカルト教団のマザー、於愛は近眼設定は嘘でちゃんと見えているからレーシック於愛。そう呼んで蔑んでいませんでしたっけ。
そういう人に「武家の誇りがあるような女性」を云々されてもなあ、と思います。

秀吉のお膝元にやってきて、周囲には誰がいるかもわからない。
そんな緊迫感に包まれたはずの敷地内で、廊下でダラダラ話す徳川家臣団。
直後に、石田三成に出会うから、くだらなさここに極まれり、というところです。
彼らはどんなセキュリティ意識を持っているのか。
三成との出会いにせよ、偶然に頼らないと展開できないのでしょうか。

緊迫感に包まれたのは秀長の屋敷に着いた時、その後一連の儀式も終わって、すっかり打ち解けたのがこのシーンです。
そしてこういうシーンで偶然誰かに会うのが「くだらない」らしい。大河の出会いの半分ほどはこの偶然ではないでしょうか。八重が尚之助に出会うのも、直虎が龍雲丸に出会うのも、はたまた光秀が駒に出会うのもそうではありませんか。
そしてセキュリティ意識も何も、同じ屋敷の中にいるわけだし、しかも三成は賊でも何でもないのですが。
ならば武者さんは、どのような出会いをお望みだったのでしょうか。

石田三成はなぜ西洋の星座の話をするのでしょう。
もしかして脚本家は西洋占星術ぐらいしか知らないのでは?
朝のテレビ番組で流される星占いコーナーじゃないんだから。
「獅子座の今日の運勢は最悪! まさかと思っていたことが現実に……」

三成が話しているのは「星座」についてであり、「星占い」についてではありません。
武者さんがちゃんと観ていないなと思われる所以です。なのに繰り返しますが、5ページもある文章を毎週アップしていますね。但しその半分は、大河と特に関係ないものと言っていいのですが。

東洋にも星座はあります。北斗七星は誰でもご存知でしょう。
当時、星座といえば中国由来の星宿があり、それならば気にする武将もいると思います。本来の軍師には必須の教養でしょう。

やっぱり観ていないのでしょうか。家康が「厠と兎」の話をしていましたけど、どうせ家康のセリフだからと飛ばしましたか。
要は西洋のうさぎ座の一部が、中国では厠であることを意味しているのですけどね。そしてこの星座は、二十八宿の1つの参宿の一部と考えられており、このうちの4星が厠を表すとされていました。

衣装がチョコミン党員みたいな、見た瞬間にガッカリしたくなるミントグリーンときた。さっさと関ヶ原に散って欲しい石田三成を初めて見ました。

『麒麟がくる』の三渕さんの直垂のグリーンも、同じような色使いではなかったのでしょうか。

どうせ星を使うなら『北斗の拳』でもネタにすればいいのに。
ドラマ自体に「死兆星」が見えていますよ。
死兆星(しちょうせい)とは! アルコルのことである。北斗七星の横に寄り添うように光る四等星。死の運命を持つものの上に輝く不吉な星だ!

アルコルと言えば、視力検査に使われた星でもありますね。そして『怪盗ルパン』にも、文章のそれぞれの頭文字を取ってつなげるとこのアルコル(アルコア)になり、それが財宝の隠し場所を意味するというあらすじのがありました。
別に『北斗の拳』だけに出て来るわけではありません。

ようやく家具が増えたことは評価できるようで、時間がないことは伝わってきます。

日本語としておかしくないですか?
ようやく家具が増えて来たことは評価できますが、時間がないことが伝わってきます
とでも言いたいのですか。

大型プリンタで印刷して貼り付けるとか。
ポスターカラーで雑に描くとか。
そういう手抜きをしていませんか?

戦も一段落して、浜松城の城主ともなれば当然持ち物は増えるでしょう。
しかし大型プリンタだのポスターカラーだの、比喩が正直言って何だか安っぽいなと思います。そう言えば最近「ホームセンター」は鳴りを潜めたのでしょうか。

レーシックで完治したはずが、近目(近眼)が進んだそうです。
これまで何事も問題なく普通に見えていたのに、急にどうしたのでしょうか。
再手術となれば危険ですからご注意ください。
“家康の尻をぶっ叩きたい”だけのために近眼を言い訳にしてはいけませんよ。

これも何だか安っぽい印象があるのですね。
於愛は近眼設定じゃない、見えてるじゃないか、レーシックしたんだろうと無理やり感のある決めつけ。
おまけに
「再手術となれば危険ですからご注意ください」
余計なおせっかいです、私手術なんかしていないのにと言う於愛の声が聞こえてきそうです。
彼女は夫である家康も散々に言われて気の毒な話です。

レーシックお愛と家康の慈悲を施す態度がイヤだなぁ。
しかもここで団子に石を入れた老婆が出てくるのも意味わかりません。
殿様に嫌がらせしたなんて、黙っていればバレるわけがない。こっそり受け取って去ればいいだけですよね。
なぜ、わざわざ自己申告する?

「イヤなら観るな」
慈悲の心に触れて、かつての悪行をカミングアウトしようとしたのでしょうね。あのお婆さんも、心の中では後悔かつ反省していたのでしょう。

そんなバカげた行為をさせてまで、家康の器量が大きくなったとでも言いたいのですか。
このしょうもない場面で「伏線回収!」という提灯記事が出たらどうしましょ。もう脱力するしかありませんよ。

家康の器量は、間違いなく大きくなっていますし、彼らが噂したことは、実は本当であると言うこと自体成長しています。
別に伏線回収なら、それで構いません。脱力したいのなら、悪いけど勝手に脱力していてください。


飲み物-マグに注がれたビール
[ 2023/09/21 00:30 ] 大河ドラマ どうする家康 | TB(-) | CM(0)

『風花帖』-15

主膳はおのれが生き延びることを考えねばならぬ、ひとのことは構っておられぬとためらいなく話し、勘十郎にもう一服進ぜようと言い出した。主膳の手前を見つめつつ勘十郎は愉快そうにこう言った。
「菅源太郎め、間もなく首を失うやもしれませんな」

そして勘十郎は、源太郎の妻となっている吉乃に乱暴しかけて、印南新六に御前試合で打ち据えられ、ひどいケガをしたことを思い出した。源太郎がひどい目に遭えば、吉乃が嘆くことになる。それが新六への仕返しになると勘十郎は心の内でつぶやいていた。

その夜。源太郎は書斎でロウソクをともし、書見台に向かっていたが、読書は表向きで、渋田見主膳を暗殺すればどうなるかをひたすら考えていた。もし暗殺したなら、出雲派との争いに勝たない限り、切腹か斬首となりかねない。武士として常に死は覚悟しているが、藩主の命に逆らっての死は不忠となり、それを恐れるあまり、源太郎は悩み続けていた。

そこへ茶を持って吉乃が現れるが、夫の様子が気になるようだった。与市たちが訪れた斎、あまりにもただならぬ様子であったと吉乃は伏し目がちに言う。源太郎はため息をつき、事実を話すことにする。

「これは御家の大事に関わることゆえ、妻であるそなたに洩らすのも如何かとは思うが、私の身に万一のことがあるやもしれぬから、話しておこうと思う」

吉乃もひとには洩らさないと約束し、夫に真摯なまなざしを向けた。源太郎は唇を噛み、顔を引き締めたうえで話し始めた。今自分が旧犬甘派の同志の疑いを受けていること、主膳の屋敷に行って藩政についての話をしただけで、やましくはないこと、しかし与市たちは自分を信じておらず、証を立てるように言ったこと。それを話す源次郎の顔は翳っていた。

吉乃は痛ましいものを感じていた。旦那様は決して、私利私欲で動かれる方でないことは、皆さまもよくご存知と夫に言い、源太郎も2度深くうなずいて言った。自分も信じて貰えると思ったがそうではない。不徳の致すところかも知れないが、証を立てるためにさる人物を斬れと言われたことも話した。

その言葉に吉乃は目を見張った。どなたでございますかと訊く吉乃に、それは言えぬ、言えば同志を裏切ることになると源次郎は答える。吉乃は出過ぎたことかと思いつつも言う。
「仮にも同じ家中の方を殺めるなどあってよいこととは思えませぬ」

源次郎は腕を組み、ぽつりぽつりと話した。
「わしもさようには思うのだが、いつの間にか、どうも抜けられぬ罠に落ちたような気がする」
吉乃は思いを巡らせていたが、ふと口を開く。

「かような時、新六殿ならいかがされましょうか」
源太郎は印南新六とは意外な気がしたが、6月に出雲が帰国した斎、暗殺計画があったことを思い出した。あの時、方円斎は新六を刺客とするつもりだったようだ。

しかし新六は機先を制して、その役目を辞退した。刺客の役目を言い出される前に印南殿は身をかわされたが、あれもまた剣の奥義なのかもしれぬなと源太郎。吉乃は、では新六殿ならこのような場合、どう切り抜けたらよいかおわかりなのではないかと、勢い込んで言う。

吉乃の顔を見つめた源太郎は、しばらくして顔を横に振る。新六を頼ろうとするこの考えに源太郎は同意せず、既に身をかわしている以上、新六が源太郎のことに関わるのはよくないと源太郎は話す。その夫に吉乃は、必ず力になってくれると力を込めて言った。


渋田見主膳と会っていたことで、旧犬甘派の面々は源太郎を信じなくなり、証を立てるべく主膳を斬るようにと言い出します。無論主膳に取っては計画通りであり、勘十郎にしてみれば、源太郎がひどい目に遭って吉乃が悲しむことで、自分にケガをさせた新六に復讐するつもりでした。

一方で旧犬甘派。元々は出雲を家老の座から引きずり下ろすためのものでしたが、いつの間にやら自分たちに対抗する相手を、いわば粛清するようになっており、本来の目的とはかなりの隔たりができているようです。しかも与市のいくらか過激とも言える発想が、この旧犬甘派を動かしており、組織としては柔軟性を欠いたものとなっていました。源太郎は吉乃に、実名は伏せつつも、主膳暗殺計画のことを打ち明けます。

同じ家中の方を殺めるのはよくないと言い、新六ならどのように立ち回るかと吉乃は口にします。実際新六は出雲暗殺の刺客にされそうになった時、うまく身をかわしていました。吉乃は新六なら力になってくれると言いたげですが、源太郎はそれをよしとしません。かつて新六が刺客となることを拒否している以上、この対立に巻き込みたくないという思いがあるようです。

飲み物-コーヒーフロート
[ 2023/09/18 23:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)

『風花帖』-14

与市は、源太郎が渋田見主膳の屋敷に行っているのを、小笠原出雲の派閥の者たちが言い触らしていることに触れる。さらにそれはなぜか、将来は藩の重役と目されている源太郎が旧犬甘派と袂を分かてば、藩の中で動揺する者もいるからであるとだと述べる。源太郎はそれを否定しようとするが、ないと仰せなら証立てていただきたいと順太に言われる。

源太郎は言う。
「どうせよと言われるのだ」
方円斎がふわりとした言い方で造作もないこと、疑いの元となっている主膳を斬ればよろしいと口を挟む。

以前出雲を斬ろうとした時は、警固が厳重で手を出せなかったが、主膳であれば警固は手薄のはずで、斬るのはさして難しくないと言われ、源太郎は如何なる大義名分があるのかと尋ねる。与市は笑い、出雲の手先であるだけで十分な理由であると言い、方円斎と順太もうなずく。

源太郎は目を閉じ、渋田見様を斬って身の潔白の証を立てろと言われるかと尋ね、方円斎はこれに対してぴしりとこう答える。
「さよう、武士なれば逃げられぬところと存ずる」
源次郎は苦し気な表情で考え込む。

この日伊勢勘十郎は、出雲からの手紙を見せるため、主膳の屋敷を訪れていた。主膳は勘十郎に茶室で茶を振舞い、勘十郎が茶を嗜んでいる間に手紙に目を通した。その後自分のために点てた茶を飲みほした主膳はこうつぶやく。
「出雲様はよほどのお覚悟のような」

勘十郎は出雲が藩主忠固と申し合わせているらしいこと、逆らう者を根こそぎにするらしいことを伝える。しかし逆らう者となれば、家臣の半分にも及ぶのではないかと思えた。勘十郎は言う。
「それほどにいたさねば、殿の溜間詰昇格のことはかなわぬと思われたのでありましょう」

主膳は皮肉な笑みを洩らし、殿はさほどに老中になりたいと思われてかと尋ねる。最近異国船が出没するようになり、今こそ幕閣にあって働きたいという理由のようだが、そのために金をいくら使っても惜しくないというのは、家臣や領民に取って困りものと、主膳は主君忠固を謗るかのように言う。

勘十郎は主膳を諫めようとするが、主膳は声を出さずに笑い、自分は忠義の臣、仮にも殿のなされることを謗りはしないが、百姓どもが搾り取られるだろうと冗談めかして言う。その主膳に、勘十郎は思い出したようにこう言う。

「そう言えば、渋田見様が彼の菅源太郎に仕掛けられた罠は功を奏したようでございますな」
そして勘十郎は旧犬甘派の者たちが、源太郎が寝返ったと疑って、騒ぎになっていることも伝える。
主膳は言う。
「あの男は学問もでき、頭もよいが、上士の家に生まれただけに、いささか甘いところがある」

甘うございますかと問う勘十郎に主膳は、親しくもなかった相手が近づいてくれば、眉に唾して言うことを聞くべきところを、まっとうに耳を傾けると答える。

しかし勘十郎は、何やら源太郎を買っているようにも聞こえる主膳の言葉に首を傾げる。源太郎は物の役には立つが、家中の争いがこれだけ根深くなれば、生き延びるのは難しいと言う主膳は、勘十郎の、菅を救ってやろうとはお思いになりませぬかという問いにこう返す。

「さような甘いことはせぬ。これからは一歩足を踏み外した者が首を失うという厳しき事態になろう。まずはおのれが生き延びることを考えねばならぬ。ひとのことを構ってはおられまい」


源太郎は旧犬甘派の上原与市から、自分が渋田見主膳と会っていることを、出雲派の者が言い触らしているため、藩の中で動揺している者がいることを知らされます。源太郎は将来藩の重役とも言われており、そのような人物が主膳と会い、旧犬甘派と袂を分かつことは、藩内に波紋を広げると言っていいものでした。源太郎も元々は、藩政改革を目指しての主膳との付き合いではあったわけですが、方円斎は、ならば騒ぎの元である主膳を斬ればいいとまで言い、源太郎は考え込みます。

一方主膳ですが、やはり源太郎に近づいたのは罠であったようです。そして源太郎も、これに関してはやはり読みが甘いと言わざるを得ず、恐らく玄関先で主膳が、してもいない約束を、あたかもしたかのように言い放った時に初めて、しまったと思ったのでしょう。そしてその一方で、出雲はついに強硬手段に出るようです。それは反対派を根こそぎ始末するというものでしたが、いささかやり過ぎであるようにも思えます。

結果的にこの出雲の有無を言わさぬやり方が、大勢の藩士が黒崎へと出奔して立てこもってしまう、その直接的な動機となるのでしょう。ところで最近主人公の新六は影を潜めています。その代わり、新六に取って大事な女性でもある吉乃、その夫の源太郎の立場が危うくなって行き、この2人のために新六が駆り出されることになりそうです。


飲み物ーアイスカフェオレ2
[ 2023/09/16 00:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)

『風花帖』-13

源太郎は主膳に続いて立ち上がり、主膳の供2人が控えている玄関まで見送りに出た。玄関先で刀を差した主膳は、出て行こうとして振り向き、こう言った。
「本日はまことにありがたきお話をうかがえた。これからのことを思うと、まことに心丈夫でござる。菅殿とそれがしはこれから同志であるとお思い願いたい」

源太郎は気づいた。自分は主膳に何の言質も与えていなかったが、主膳は供がいる前で声高に、あたかも源太郎との間に約束事ができたかのように振舞ったのである。

源太郎が「渋田見様」と言いかけるも、主膳は重々しげに
「大事ござらぬ。菅殿の心中、よくわかり申した」
と言って、そのまま蒸し暑さが増した外へと、供を連れて出て行った。

一方で小笠原出雲は家老たちと話し合いを行い、あわただしく江戸へ戻った。しかし国許の家老たちとの足並みは、揃ってはいなかった。そして9月になり、藩主の忠固が帰国した。

忠固はかつて出雲を経由して伝えた、主膳を家老とすることについて改めて家老たちに告げた。小笠原蔵人、伊藤六郎兵衛、小宮四郎左衛門そして二木勘右衛門らはこぞって反対し、寧ろ主膳を罷免するべき、出雲のやり方に不満を持つ家中の者は多いと反対した。しかし忠固は、主命に逆らうとはまことに不忠の者たちであると吐き捨てるように言い、家老たちは茫然自失となる。

それ以上聞きとうははないゆえ下がれと言う忠固に、蔵人は尚も進言しようとするが、忠固は腹立たしげに立ち上がる。
「もはや、聞かぬと申したのが、わからぬか」
家老たちはもはやうなだれるしかなかった。

その頃旧犬甘派では、源太郎が孤立状態にあった。源太郎はその後も招かれるままに、主膳の屋敷を訪れては、藩政について語り合っていた。無論源太郎は出雲派に寝返る気持ちはなかった。

ただ主膳を通して藩に貢献できるならと思ってはいたが、このことが旧犬甘派の知るところとなり、与市と方円斎、そして順太が屋敷を訪れた。奥座敷に通されるやいなや、与市は厳しい声で、菅殿が渋田見主膳を通して、出雲に誼を通じようとしている噂があるが、まことでございましょうかと切り出す。

源太郎は硬い表情で、そのようなことはない、藩政についての意見をいささか申し上げただけと答えるが、与市はそれはよきことでござるが、つまりは自らを用いてくれという意を伝えたというわけですなと与市は冷ややかに言った。そんなことはしていないと答える源太郎だが、方円斎から、渋田見屋敷を訪ねることで、かような疑いを持たれることはわかっていたのではないかとも訊かれる。

源太郎は観念したように、疑念が生じるやもしれぬといいう危惧はあったと答える。しかし、それでも主膳を訪ねたのはなぜかと問われ、源太郎はこう口を開いた。

「渋田見様は政とは悪人の仕事だと言われるから、謗られてでも成し遂げねばならぬことがあると。それゆえ、危ういと思いつつも献策いたそうと考えたのでござる」
与市はふふと笑い、こう言った。

「つまるところ、菅殿は主膳めにだまされたのです」
だまされたと言われるかと源太郎は問い返すが、源太郎が主膳を訪れていることをなぜ我々が知ったか、それは出雲の派閥の者たちが言いふらしておるからですぞと与市は言う。


渋田見主膳と近づきになり、藩政を改革しようと思った源太郎ですが、結局嵌められてしまったようです。ぞの証拠に主膳は、供が控えている玄関口で、さも何か大事な約束をしたように言い、供の耳にそれを入れることで、既成事実を作り上げてしまいます。また源太郎もこの点に関しては、もう少し注意しておくべきだったでしょう。

このことで旧犬甘派の他の面々、つまり与市と方円斎と順太の間に、亀裂が入りかねない状態となります。源次郎もためらいはあったようですが、ともあれこの行動に関して、出雲派の人物が喧伝していること、そして源次郎は主膳からだまされたのだということを、与市からあっさり言われてしまいます。

一方で藩主忠固は、主膳を家老にすることに異を唱える国許の家老たちに、主命に逆らうのかと一喝します。これで家老たちは何も言えなくなりまが、忠固はどうも意固地になっているようにも見えます。

飲み物-アイスコーヒーとストロー
[ 2023/09/11 23:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

aK

Author:aK
まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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