最近読んでいる本について少々。
1つは篠田真由美さんの『誰がカインを殺したか』です。桜井京介シリーズといえば、ぴんとくる方もいるかもしれません。目下読みかけで、かなり心を打つ場面、印象的な場面が様々な形で登場します。ホームズ繋がりの作品でもあり、BBC版の、『緋色の研究』を元にしたエピソード、「ピンク色の研究」について登場人物が会話をする部分があります。ジェファーソン・ホープ(BBC版ではタクシー運転手)が、シャーロック・ホームズを相手に、一方が毒薬である2つの薬の、どちらを飲むかで迫る場面がありますが、この中ではホープは今までも同じことをしていて4人を殺しており、そのことへの優越感、犯罪を楽しむが如き有様についても会話に登場します。また、私がよくお邪魔している、BBC版のファン(というか研究家?)のナツミ様のブログ『
21世紀探偵 』も後書きで紹介されています。
もちろんパペット版にもジェファーソン・ホープは登場しますが、少年ということもあり、原作ともBBC版とも180度違った、観る側が共感を覚えるキャラとなっています。グラナダ版で『緋色の研究』が作られなかったのが残念です。しかしこのBBC版のホープは、先日書いた
『ガリレオ』「攪乱(みだ)す」 と
その続き に登場する、高藤という人物を思い出させます。無論動機も方法も違いますが、著名な相手へのふてぶてしいとも思える挑戦、犯罪そのものを楽しみと捉える愉快犯的手口、そして最後があっけない…などなど、いくつかの共通点が見受けられます。
そして江戸川乱歩全集第23巻『怪人と少年探偵』。前半は、かつてポプラ社から出ていた少年探偵団関連の、如何にも子供向けな物語の展開、後半は「探偵小説の『謎』」です。少年探偵シリーズもさることながら、この「探偵小説の『謎』」は、著者の探偵小説のトリックのメモ、それをベースにした原稿の集大成ともいえ、大変興味を惹かれます。一部他の巻に掲載されている物もありますが、殺人のトリックや動機等々、国内外の小説から様々な例を引用しての解説は、1950年代ごろの物ではありますが、結構今の時代にも通用する物がありそうです。
画像はいずれもAmazon.co.jpより。
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