今回は「あれこれ」ではなく、一応囲碁と将棋というテーマが決まっていますので番外編とします。
一般に囲碁は戦略、将棋は戦術といわれます。戦局とは戦いをマクロな視点から見たもの、戦術はミクロな視点から見たものといえばいいでしょうか。たとえば武将甲が隣接する地域の乙に戦いを挑み、勝利して自分のものにしようとする場合に、そのために別の隣国と同盟を結び、兵器をどこから仕入れて、誰に最前線に行かせるかといったことを決めるのが戦略です。そしてそれを実行に移すためのものが戦術であり戦法となるわけです。この場合は、
戦略:甲が乙を攻めて自国領とするために丙と手を組み、兵器を調達する
↓
戦術:甲の軍勢が国境まで行って、乙の城に襲撃をかける
↓
戦法:乙の軍勢が籠城を続けているため、包囲戦をしかける
といった感じになります。
戦略はかなり大まかなものですが、その中に戦術も戦法も存在します。従って戦略がきちんとしていないと、戦術も戦法も狂ってしまいます。
囲碁は元々どれだけの領域を確保するかが目的ですので、戦略を立てるにはこの方法が向いています。一方将棋は、相手の大将をどのようにして奪うかに重点が置かれますので、戦術、ひいては戦法を立てるのに向いています。『真田丸』の中で昌幸が一人で石を並べている、あるいは家臣の高梨内記と碁を打っているのには、このような背景があるのも一因です。
第一回「船出」では、信幸と信繁の兄弟が将棋の駒で山崩しをしています。信幸はこのようなことで勝負をつけるより、きちんと将棋を指そうと言っているのですが、信繁はこういう遊びの方が面白いようです。両者の性格の違いが見て取れる一幕でもあります。ところで、ここで登場する「醉象」や「太子」という駒は、もちろん今の将棋には存在しません。今の形になるまでは様々な将棋が存在し、かつての大将棋や小将棋といった、いわゆる古将棋には、醉象の成駒として太子が存在したといわれています。ちょうど戦国時代は、この将棋が入れ替わる時期で、真田家に伝わる将棋にはこの駒がまだあったのでしょう。ちなみに右下の画像がそれですが、こちらは『真田丸』インスタグラムにアップされているものです。また敵の駒を取って再活用する、所謂持ち駒もこの時代に登場しました。
しかし「真田丸とシャーロックホームズ」にも書いていますが、この大河は、歴史以外のものからもあれこれ盛り込まれているようですし、過去の大河へのオマージュも少なからず感じ取れますので、そういった点にも惹かれます。
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