中野渡は、かつて大和田を辞めさせなかったのは、行内融和のため、そして旧東京第一の不正融資の問題で使えると踏んだからでした。一方半沢が出されたのは、大和田への土下座がやり過ぎであったこと、そして証券という外の世界を見せるためだったのです。中野渡はまた、いずれ半沢は頭取になると言い、半沢には未来を、大和田には過去を託したと話すもののそれが叶わず、自らの力不足を嘆きます。その半沢は中野渡に、権力に屈することのないように進言します。
債権放棄の会見は翌日に迫っていましたが、大和田は白井にこっそりメモを渡します。このメモの指示通りに東京中央銀行へ向かった白井は、箕部への送金記録を要請され、さらに半沢からは、債権放棄は必要だろうかと質問を投げかけられます。白井は、銀行案を受け入れたら債権放棄はしなくて済むが、債権放棄をした方が復興は簡単だという姿勢を崩しませんでした。
白井が債権放棄を肯定するのは、箕部という後ろ盾を失うのを恐れるためですが、事実を明らかにすると危機にさらされるのは、銀行も同じでした。そして半沢は10年前の危機、東京第一銀行の箕部への20億円融資、牧野の自殺について白井に説明します。中野渡は牧野の為に真実を明らかにすると誓っている、中野渡が銀行の未来を考えるなら、白井は国の未来を考えるべきと半沢は言い、白井が除名処分になるのであれば、自分も責任の一端を負うと退職願を出します。
結局白井はやるべきことを果たすと言い、また中野渡は半沢の辞表を受け取る前に、もう1度帝国航空担当を任せ、記者会見に出ろと命じます。そして会見当日。乃原が仕切る会場は中野渡を迎えるために拍手が送られますが、そこに現れたのは半沢でした。その頃中野渡は牧野の墓前にいて、タブレットで中継を見ていました。
半沢はタスクフォースから検討を要求された件について、債権放棄をきっぱりと断ります。この様子を、智美と花も観ていました。大多数の世論に従えと言う箕部に、それは進政党の弱者救済世論とも矛盾すると言う半沢。そして白井は債権放棄はしなくてもいい、タスクフォースは失敗であったと言い、激昂する乃原の態度を表立って批判します。当然箕部もいい顔をしません。
半沢は改めて債権放棄を拒否し、さらに銀行案に瓜二つのタスクフォース案に唯一記載されていなかった、羽田-伊勢志摩路線の撤退に言及します。加えて15年前の箕部への融資がファミリー企業への転貸資金であり、その後空港ができて大儲けしたこと、さらにかつての東京第一銀行が、そのことを知りつつ融資していたこと、口止め料のことと箕部への送金についてなどなど逐一話したため、箕部は証拠を見せろと迫ります。半沢は証拠はあると答え、そこへ大和田が入って来ます。
会見30分前、幹事長室に残った笠松はスパイラルの瀬名と連絡を取り、PCの履歴を復元し、箕部の隠し口座が名古屋のUAE銀行にあることを突き止めます。白井がこのことを黒崎に連絡し、黒崎はデータを大和田に送付していたのです。山久の協力を得た半沢は、東京中央銀行からの引き出し日と、UAE銀行の隠し口座への入金日が同じであることを証明し、しかもその総額は100億8000万円でした。しかも箕部は、その金額を如何なる報告書にも記載していませんでした。
出て行こうとする箕部の前に白井が立ちはだかり、半沢は国民に向けて説明するよう迫ります。たじたじになった箕部は記者団の前で土下座し、中野渡は牧野の墓に、すべてが終わったことを伝えます。その後東京中央銀行の過去の不正融資13件が発表され、中野渡は謝罪しました。片や箕部は政治資金規正法違反、収賄と脱税で逮捕されることになります。また乃原は紀本と白井の告発で、強要罪で弁護士会を退会させられました。
帝国航空再建は開発投資銀行に委ねられることになり、白井は離党届を出して大臣を辞任、無所属議員となって出直すことになりました。半沢はその後頭取室に呼ばれるも、中野渡は既に頭取を辞任し、半沢の努力をねぎらいます。中野渡は半沢に、今正しいと思える決断をするべきであると諭し、自分も銀行を辞めるという半沢を制して銀行を去って行きます。しかし半沢は中野渡が責任をすべて取ったこと、白井も一から出直すことから、辞めるという気持ちは変わりませんでした。
その時大和田から連絡が入ります。大和田は箕部の土下座を見て嫌な思いがしたものの、自分が半沢ネジに融資しなかったのは正しかったと言い、半沢は大和田と自分の考えが異なることを実感します。さらに大和田は、銀行の信用は地に堕ちたから自分も辞める、半沢が自分の正義を通すには頭取になるしかないとまで言い、中野渡と自分が辞めるのだからそれくらいやってみろ、もし頭取になれなかったら土下座しろ、その代わり慣れたら自分が土下座すると大見得を切ります。
この大和田の挑戦状とも取れる発言を半沢は受け入れ、
「今度は容赦しない、あなたを完膚なきまで叩きのめす」
と断言するのでした。
さて最終回の後半、銀行が箕部とタスクフォースを追い詰める作戦に出ます。しかも半沢を見込んでいる中野渡は、自分の代わりに半沢を記者会見場に行かせ、自分は牧野の墓前でことの次第を見守ることにします。そして案の定、尻尾を出した箕部は記者団に対して土下座せざるを得なくなります。しかし疑問に思うのは、箕部は白井から、いわば飼い犬に手を噛まれるような事態を見越していなかったということです。あれだけの老獪な人物なら、自分の影響力を削がないためにも、その位考えておいてしかるべきかと思うのですが。
それにしてもUAE口座関連での、瀬名→笠松→白井→黒崎→大和田の連携プレイは大したものです。瀬名の存在意義ここにありです。しかし隠し口座がいよいよになるまでわからなかった辺り、結構危ない橋を渡っていたのですね。それから白井が会場に行く直前になって、箕部の盆栽の鉢を床にたたきつけますが、彼女としては既に箕部と決別していたようなものでしょう。会場で乃原の発言にキレるシーンもまたしかりです。あの場で自分を束縛していた箕部、乃原から解放されて、かえってせいせいしていたのではないでしょうか。無論「ドラマとフィクション」でも書いたように、フィクションだからこそ、銀行=善と幹事長=悪の対決構図は可能なわけですが。
あと、智美と花が中継を観ているシーンですが、ちょっと智美の描写が弱かったように思います。『ノーサイド・ゲーム』の最終回で、アストロズとサイクロンズの試合を様々な人が観ている、あのシーンを思わせますが、あれとはまた事情が異なりますし。一方最後の大和田の一人芝居は楽しめました。銀行を辞めるなどと言っていますが、実際のところどうでしょうか。この2人はそれぞれがそれぞれを必要としているわけですし、頭取になったら土下座すると言っている辺り、両者とも東京中央銀行にとどまることになりそうです。