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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
ベイカー寮221B/Baker House 221B TOP  >  半沢直樹

フィクションの中の非現実 その1

今年の流行語大賞が、やはりと言うか何と言うか「3密」に決定した由。昨年はワンチームだったから、何やら最近数字に縁があるなと思わなくもないのですが、まあ偶然でしょうね。

さて本題に行きますが、最近とあるドラマに関する賛否両論の意見を目にしました。私はそれを観ていないので何とも言えないのですが、要は主人公無双で、無能もしくは凡庸な上司を差し置いて諸問題を解決して行くという筋書きで、その描写に関して色々意見があるようです。実際これを視聴した人の意見で、ドラマのスタッフやキャストはいいが、この主人公無双に感情移入するのは、それは現実逃避ではないかというのもありました。

確かにその主人公に自らを重ね合わせる、感情移入することで、現実の鬱憤を晴らしたくなることもあるでしょう。しかしそれはともかくとして、ドラマとはそもそもフィクションです。その中で描かれる世界は、やはり現実とは違うものなのですが、それをドラマだからと言って、あまりに誇張してしまうと、フィクションの中でさらに非現実的なことが起こってしまうことになります。ドラマだから、フィクションだから何をやってもいいというのは、ちょっと違うのではないかと。

視聴者が感動するだろうという前提で、少々大げさなシーンをこれでもかとぶち込むのは、却って興ざめなところもあります。そもそも私は、ドラマに何が何でも感動や希望を求めるというわけではなく、観終わったそのうえでなにがしかの感慨を覚えたら、それでいいと思っています。

私は以前日曜劇場の『ノーサイド・ゲーム』について書いたことがありますが、これも試合のシーンでは、心を揺さぶられるものがありました。しかしただの感動物語ではなく、勝たなければチームがなくなるかも知れない、負けるわけには行かない、少ない予算でどうやって強化するかといった、日本の企業ラグビーチームならではの現実的な悩みもまた含まれていたわけです。『半沢直樹』にしても、主人公があれこれやってしかも順風満帆というのであれば、そこまで面白くは感じなかったでしょう。半沢が常にリスクを負った身であるからこそ、少々オーバーなことをやっても許容範囲内だったのです。

また昔のドラマでも、主人公無双とは言わずとも、主人公もしくは主要登場人物偏重と思われる部分があり、周囲の人物が彼や彼女、あるいは彼らをサポートすべく動いている部分があります。確かに主要な人物が主要な位置を占めるのはわかります。しかしそれ故に、そういった人物がどこか特別な存在と化してしまい、人間関係がおかしくなってやしないかと思われるところもあります。これもまた問題でしょう。

前出のドラマに関する意見を見て、思い出したのは『麒麟がくる』です。これについてはまた書きますが、この場合は戦国時代が舞台ということもあり、寧ろ主人公無双であるべきなのです。しかし残念なことに、「オリキャラ無双」になっている感があります。以前からその傾向は感じられましたが、今はそれがエスカレートしているようで、前回分を観た人によれば、オリキャラを出すために子供に怪我をさせるシーンまであったようです。そうまでして出す必要があるのでしょうか。

このテーマに関しては、折に触れて何度か書いて行く予定です。
(2020年12月2日一部加筆修正)

飲み物-ホットカフェオレ
[ 2020/12/02 00:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)

70年代ホームドラマと2000年代以降のドラマそれぞれの男女関係

数日前に投降した、1970年代のドラマ『ありがとう』シリーズ関連の記事についてです。ここでご紹介している関連サイトでは、主人公とその恋人は「身分の違い」云々とあり、さらにその恋人のことなのでしょう、「星の王子さま」なる表現が使われていますが、「白馬の王子」のことと思われます。それ以外にも「玉の輿」ともあり、実際この言葉は今も使われますが、個人的には寧ろ「シンデレラ・ストーリー」ではないかと思います。

ちなみに以前、医療ドラマと医療関連シーンについてのあれやこれやという投稿で、男女(あるいは男性もしくは女性同士)のどちらかが病気になって、一方が看病をしていることで距離が縮まり、仲が深まって行くといったことを書いています。実は先日、このシリーズの再放送分をアップされている方のブログを偶然見つけたのですが、それによるとやはり似たような場面が登場します。この主人公は看病のプロである看護師で、またかなり献身的であるようです。無論この当時は、それはそう珍しくないことではあったのでしょうが、今だとミソジニー的だと批判されそうな雰囲気でもあります。実際シンデレラというキャラそのものが、今ではジェンダー論で取り上げられることも多いです。

その同じ投稿の終わりの方で、私は

しかしやはり私としては、2000年代以降の『JIN-仁-』や『相棒』、『ガリレオ』、前出『半沢直樹』などから受けるメッセージの方が、時代が近い分インパクトが大きく感じられます。その当時は存在しえなかったゲイカップルのドラマ、『きのう何食べた?』もまた然りでしょう。

とも書いています。
この中で『相棒』の杉下右京はバツイチで今は妻子はおらず、『半沢直樹』の主人公は既婚で、2013年シリーズはかなり家族の存在が大きかったものの、2020年シリーズではそこまでではなく、寧ろ東京セントラル証券の部下だった森山が「女房役」的な部分があります。

その一方で『ガリレオ』と『JIN-仁-』ですが、両作品とも主人公である男女が、ひょんなことから出会うことにはなるのですが、一緒になるということはありません。かつてのホームドラマにありがちな、結婚して家庭を築くという展開にはならず、本当は互いに思ってはいるものの、自分自身でそれを打ち消してみせたり、様々な理由で両者の恋が実らないという形で結末を迎えます。そのため、なぜ彼らは自分の気持ちを否定し、夫婦として添い遂げられなかったのか、それらのメッセージに色々考えさせられる部分があります。

『きのう何食べた?』も、男性同士のカップルである以上、男女が結婚して家庭を持つ展開とは明らかに異なり、それどころか筧史朗の方は、ゲイであることのカミングアウトすら戸惑う始末です。こういった事情を考えると、今の時代はドラマの舞台や設定が複雑化しており、社会の様々な在り方がクローズアップされているという点が、恐らくは大きなインパクトを与えているのでしょう。無論、半世紀ほど前のドラマはよく知らないけれど、ここ10年ちょっとなら実際に観ていることもあり、そういった時間的な近さや実際の視聴経験が、ドラマが与えるメッセージを知るうえでの手掛かりになっているとも言えます。

ところで、上記の投稿のその次に書いていた『プライド』、これの第1巻を観たところ、この中にも「病気の男を看病する女」のシーンがあります。キムタク演じる里村ハルが、雨に濡れて風邪を引き、所属アイスホッケーチームの親会社のOLで、友人の夏川の彼女である村瀬亜樹(竹内結子さんが演じています)の部屋へ転がり込みます。実は亜樹は彼に腹を立ててはいたものの、薬を飲ませた後にホットレモネードを作ったり、リンゴをすりおろして食べさせたり、最終的には泊めてあげたりもするわけです。このハルは恋愛には極めてクールなのですが、彼女が自分の求める「古き良き時代の女」ではないかと思い、徐々に恋愛に対する姿勢が変わってくるわけで、これはまた機会があれば書くことにしましょう。

飲み物-ホットウイスキー
[ 2020/11/01 00:30 ] その他 | TB(-) | CM(0)

70年代ホームドラマ考察に関して思ったこと 続き

先日投稿分のホームドラマ関連の続きです。

所謂ホームドラマも、舞台となる病院や警察署を前面に押し出し、医療ドラマなり刑事ドラマなりにリメイクして放送するという方法もあります。ただ本来の作品とは、かなり趣が異なったものとなるでしょう。その前に、地上波TVのドラマというのがこの先どの位続くのかの懸念もあるにはあります。しかし、今に比べると昔の番組はよかったという人々も、半世紀ほど前はその当時の高齢者、明治生まれの人たちに同じようなことを言われていたのでしょう。この手の発想は、古今東西を問わないようです。

私の場合、90年代はそこまで連続ドラマを観ず(『お江戸でござる』は観ていました)、2000年代以降からちょいちょい観るようになりました。昨日のでは触れていませんが、『僕シリーズ』とか『プライド』なども観ていた記憶があります。『プライド』はキムタク主演なのになぜか観ていたのですが、スポーツドラマだったことも関係していたのかも知れません。この時初めてアイスホッケー雑誌を買った記憶があります。また当時NHLをJSPORTSが放送していて、ラグビー実況で有名な土居壮氏がこちらの実況をしていたこともあり、時々ですが観ておりました。当時はなぜかNYアイランダーズがお気に入りでした。土居氏はアイスホッケーの実況でも、しばしばラグビーを入れて来ていましたね。

ところで昭和の終わり頃に登場したドライな雰囲気の映画ですが、ずばり
「マルサの女」
です。舞台が国税局査察部という、当時の映画としてはきわめて画期的なもので、しかも脱税とその調査がメインのストーリーは、一般的なドラマとは一線を画しており、その意味で面白い作品です。後年『半沢直樹』をすんなり受け入れられたのも、これを観た経験があるせいでしょう。ちなみに公開されたのは1987年ですが、その翌年の日本アカデミー賞の主要部門を総なめにしています。元々監督の伊丹十三氏が、先行作品での収益の多くを税金として持って行かれたことが、これを製作する動機となったらしいのですが、ストーリーといいキャスティングといい、なかなか意表を突く作品です。

無論これは映画で、しかも『半沢』よりも四半世紀ほど前の作品ですし、顔芸も歌舞伎調のセリフもありませんが、それまでとは違った分野に足を踏み入れたことが、特に最初の作品が受けた一因でしょう。映画やドラマというのは、恐らくはこういうのをきっかけとして、少しずつ変化して行くものかとも思います。また『半沢』の顔芸その他に関して言えば、映画と違い、ドラマというのが理由として挙げられそうです。次回も視聴者に観て貰うためには、何かしらインパクトを与えておく必要があるのではないでしょうか。あと『半沢』のスピンオフをもし作るのなら、大和田が主人公でもいいのですが、黒崎をメインにして国税庁視線というのもありそうです。

ところでその『半沢』の中野渡頭取、つまり北大路欣也さんが出演している、テレ東系列『記憶捜査2』が現在放送中です。こちらは昨年放送分のパート2です。テレ東はネットワークが限られてるのが残念ですが、ケーブルTVなどで視聴可能かと思います。ちなみにその前日の同局のバラエティで、新潟県山古志村の錦鯉の値段の話から、北大路さん自身がかつてイランでの映画のロケの際、ペルシャ絨毯を購入したいきさつについて語っていました。この映画は多分『燃える秋』です。と言っても私もよく知らないのですが、何でも三越絡みだったことで、1982年の三越事件の煽りを受けてお蔵入りとなった、ちょっと気の毒な映画でもあります。

飲み物-ローズヒップティー
[ 2020/10/29 23:15 ] その他 | TB(-) | CM(0)

70年代ホームドラマ考察に関して思ったこと

少し前に、70年代のホームドラマについて書いたことがありましたが、今回全く別の検索をしていて、昭和のホームドラマについてのサイト(https://shiseiweb.com/
%E3%81%82%E3%82%8A%E3%81%8C%E3%81%A8%E3%81%86、リンクは貼りません)の『ありがとう』シリーズ関連記事を見つけたので、少し引用させてもらいます。文章は意味を変えない程度に省略しており、また少々批判的であることをお断りしておきます。

このサイトには、「第一部では母親が娘を直接教育し、第二部では母親が優位だが、遠くから見守っている。そして第三部では母親のほうが娘に依存し、母親は再婚し、家業の鮮魚店を娘に任せる。つまり娘がついに第三部で一本立ちしたのである。人間も社会も自然も、決して止まったままではない。10年一日の世界のようでいて、実はしっかり時が移ろいでいる。ホームドラマを舞台とした大河ドラマといった趣だ」
とありますが、恐らくは同じキャストで何シリーズか作ることが決まっており、制作サイドがいつも同じパターンではあれだから、いくらか設定を変えてみたということではないかと思われます。それと最後の言葉ですが、同じ登場人物で同じ設定なら大河と比べるのもありですが、この場合はやはり違うでしょう。ただホームドラマを観ていた人というのは、年齢からして大河も熱心に見ていたのだろうなと思われます。

さらに第二部(看護師編)だけ趣向が違うとして、「医院の跡取り候補である医師と、片や母子家庭の住み込み看護婦という、「 身分の違い 」がわかりやすく描かれていた」とあります。今時こういう表現はちょっと微妙に思えますが、要は勤務先のオーナー社長の息子と結婚する女性のパターンですね。さらに
「それでもまだ、戦前同様、「どんな男性と結婚できるか」が、女性の人生には最重要項目だった。こうしたドラマは、女性はもちろん男性の側から見ても、家や名誉のための政略結婚ではなく、愛情で相手を選んだという心地よさを感じさせ、女性に希望をもたせ、男性の“度量”を見せることで、お茶の間の庶民に夢と希望と感動を与えれば、それは人気番組になるだろう」とあります。
このシリーズ自体きちんと観ていない-だから一度どういうものか観てみたい-ので何とも言えませんが、これも当時はそうだったのだろうと考える他はありません(無論今もそうかも知れませんが)。しかしホームドラマの中で、主人公とその恋人的存在を結婚させるのはいわばお約束ですし、ドラマという虚構の中の出来事と、現実とはまた違うものでしょう。そのため「夢と希望と感動」という表現には今一つ共感できません。

ところでこの場合の人気番組云々というのは、視聴率56パーセントというのも関係しているのでしょうが、どうもこの数字に必要以上に引きずられているようにも思います。何度か書いていますが、その当時と今の視聴形態を比較すれば、ビデオが普及していない、TV以外の動画配信やSNSなどが存在しないといった理由から、数字は伸びるのではないでしょうか。(『半沢直樹』第1シリーズの40パーセント越えの方が、寧ろ画期的かとも思います)何よりも第一部で観て、そのまま観続けた人もいるでしょうし、同調現象という言い方は何ですが、皆が観ているから自分も、新聞に載っていたから自分もということもあるでしょう。

確かに時代のニーズに沿ったものではあったかもしれません。しかしそれは即ち、同じような設定を仮に2020年の今に持って来ても、当然ながらそこまで数字は伸びないということです。今現在の時点で一番時代のニーズに応えているのは、10日間で100億円の興行収入を得た『鬼滅の刃』でしょう。無論この数字には、コロナ禍の最中の娯楽であること、事前にアニメがあったことなども、少なからず関係してはいると思います。

それとこのシリーズ第二部の、何かのメディアの番宣記事と思われる画像がアップされています。(https://middle-edge.jp/articles/4Russ、こちらもリンクは貼っていません)しかし失礼ながら、どうも出演者のコスプレのように見えてしまいます。個人的にはこれよりも、以前投稿したことのある『37歳で医者になった僕』の、名刺を持っている草彅さんの方が医師らしく感じられます。閑話休題。確かに前出の記述のように、シリーズによって異なる母と娘の在り方、当時の人々の結婚観など、このシリーズから受け取るメッセージもあったでしょうし、私も現在、録画しておいた70年代のドラマを観ているため、その当時の価値観や考えに触れることはあります。しかしやはり私としては、2000年代以降の『JIN-仁-』や『相棒』、『ガリレオ』、前出『半沢直樹』などから受けるメッセージの方が、時代が近い分インパクトが大きく感じられます。その当時は存在しえなかったゲイカップルのドラマ、『きのう何食べた?』もまた然りでしょう。

それと、この後にこういったコメントが紹介されています。

>近ごろホッコリ系のホームドラマ無くなったね 2000年代に入ってから 連ドラ面白いのないし 殺伐してたり ドロドロ←イジメ 虐待など取り上げたり 殺伐としてて 見る気になれない?? ほんと 昭和のホームドラマ毒がなくて ホッコリとして 安心して見れたね
>暴力や、殺人事件の謎解きがエンタメント化してるサスペンスドラマはもうたくさん!
>なつかしいですね。もう一度じっくり見直してみたいです。 

要するに「この当時はよかった、なのに近頃は」というありがちなパターンなのですが、今は高度成長期ではもちろんありません。その後のオイルショックがあり、バブルがあり、デフレを経た時代であり、また犯罪も猟奇的なものが増え、社会現象も大きく変化している以上、ドラマの内容も変わって当然です。逆にこういうホームドラマがいつまでも続くわけもありません。最後の「なつかしいですね」はわかりますが、「殺人事件の謎解きがエンタメント(ママ、恐らくエンターテインメント)化」するのはそこまで悪いことでしょうか。それを言うなら、刑事ドラマもホームズ物もすべてアウトでしょう。

最初に取り上げた記事の冒頭では、かつての『ありがとう』シリーズのキャストの、この記事が書かれた時点での近影が紹介されています。無論若い頃とは違い、それぞれ顔にしわが刻まれる年齢となっていて、年月の移り変わりを物語っています。ならば年月が移り行く間に何が変わり、なぜホームドラマが廃れたのか、最近のドラマはその当時と比べてどう変わったのか、その辺りも考察されていいかと思いますが、「昭和映画・テレビドラマ懐古房」とある以上そういうのはやっていないのでしょうか。昭和はよかっただけでは単なる思考停止のように見えるのですが。上記コメのドラマが殺伐としている云々も、とどのつまり社会情勢の変化が大きく影響していますし。

ところでその昭和の終わり、ドラマではなく映画の方ではドライな感覚の物が登場するようになっています。これについてはまた後日。

飲み物-ミルクティ2
[ 2020/10/28 23:45 ] その他 | TB(-) | CM(0)

『新・平家物語』総集編を観て 3

第2巻前半のあらすじと感想です。

第1巻の最後で、清盛が常盤の姿を見送ってから10年が経ち、平家一門は栄華の頂点を極めました。しかし院政を敷く後白河法皇とは、次第に対立するようになります。そんな折、清盛は娘の徳子を入内させることにします。後白河法皇の御所で琴を弾く徳子を、高倉天皇が目にします。徳子は慌てて一礼し、帝から清盛の愛情深い娘であろうと訊かれて、自分は兄たち同様木登り好きで、父に肩車をしてもらったと答えます。無論帝にそのような経験はありませんでした。

その清盛は、法皇に大輪田の泊での日宋貿易の許可を得ようとしますが、これに反対する者も多いため、時を待てと法皇は言い、やがて徳子は入内します。一方で鞍馬寺に預けられていた牛若は、「天狗」たちと密かに剣の稽古をしており、やがて鞍馬の火祭の稚児舞の後、天狗たちと山を下って、母常盤と久々の体面を果たした後に東国へ向かいます。一方伊豆に流されていた頼朝は、北条時政の娘政子と恋仲になります。

やがて鹿ケ谷の陰謀が発覚します。平家一門が武装して西八条の館に集まりますが、陰謀のもとは、法皇の住まいである仙洞御所と言う噂が流れます。大納言藤原成親が首謀者のようで、清盛は、流石に法皇に弓は引けないから、ことが収まるまでお引きこもり遊ばすようにと言います。御所の蛆虫どもを退治するというのが清盛の言い分でしたが、さらに法皇が、源氏の流れを汲む多田行綱に軍資金を与えていたことがわかります。最終的に成親、俊寛僧都、平康頼そして西光法師が処罰の対象となり、然る後に清盛は甲冑姿で法皇に目通りします。最近は伺候する者もおらぬと法皇は言い、さらに例の4人は清盛に委ねると言うものの、清盛が甲冑姿であったことから、ゆるりと話したいのに、そのような暑苦しい格好をと皮肉ります。

治承2(1178)年12月22日、徳子は皇子を出産します。後の安徳天皇です。その誕生を祝う式典で、清盛の嫡男重盛は具合が悪くなって中座し、その後ほどなくして亡くなります。そして平家一門と院とは、重盛の領地没収を巡ってさらに対立し、法王は鳥羽へ蟄居となります。これには時子も、帝と徳子の心痛は如何ばかりかと夫に直訴しますが、清盛は何もかも承知している、一門のためであると時子を諭します。しかしその翌年、源頼政は以仁王の御所へ赴き、平家追悼の令旨を求めます。令旨を渡すべき源氏の武者たちについても、頼政は既に調べ上げていたのですが、これは平家の知るところとなります。

平家の圧倒的な武力の前に、以仁王と頼政は三井寺を出て奈良へ向かいます。しかし最早頼政が探していたのは自らの死に場所でした。そして若草山を見た後、以仁王も覚悟していたのか、新宮十郎行家に託した令旨の行方を案じつつ、自らの首をはねるように頼政に命じ、後に頼政も後を追います。これは反平家勢力にも影響を与えました。

清盛は都を福原に移します。しかしその間にも令旨は諸国へと行き渡っていました。やがて源氏の中でも頼朝と妻政子の実家北条氏、木曾義仲が蜂起し、そして東国へ逃れた義経は初めて兄と面会します。また清盛は、負け戦を嘆いても仕方ない、これ以上負けられないとのみ口にします。その頃京では、福原から都を戻すようにとの声が高くなり、清盛も福原に固執はするものの、最終的に時忠の進言により京へ戻ります。

清盛は、いつかまた福原へ戻る日が来るかと商人の伴卜に尋ねます。清盛の福原、ひいては大輪田泊への愛は根強いものがありました。そして彼が戻った京は、南都興福寺を始め反平家勢力の巣窟と化していたのです。(第2巻前半終わり)

平家の栄華と没落の始まりが描かれます。娘の徳子の入内ですが、その前に徳子がたまたま高倉天皇に会い、自らのことを語るシーンが出て来ます。この時木登りをしたと徳子が言いますが、大河における少女の木登り=おてんばというパターンはこの頃既にあったようです。もちろん帝は、そのような経験はありませんし、徳子も最近は、父と触れ合う機会は少なくなったと言い、平家の置かれた立場の変化が窺えます。それでも清盛と一緒に福原に、恐らく独身最後の旅行をしているわけですから、彼女が惜しみない愛情を受けていたことがわかります。

清盛は、日宋貿易の許可を得るべく後白河法皇に拝謁しますが、既に工事を進めていることを法皇は見抜いていたようです。もう少し待てと法皇は言うものの、この辺りに両者の確執が後々深くなって行く、その伏線が見えて来ます。実際、鹿ケ谷の陰謀が発覚し、これに法皇の側近成親が関与していたということから、清盛は御所の蛆虫を退治すると言いつつ、その実法皇の動きを牽制したかったようです。それやこれやで、甲冑姿で御所に参内した清盛に対し、法皇はそのような暑苦しい格好をと、皮肉めいた口調で述べます。

その後皇子、後の安徳天皇が誕生しますが、平家がかつて残した禍根-つまり頼朝や義経は既に大人となり、東国で旗揚げを窺うようになっていました。これは木曾義仲も同様でした。また清盛の嫡男重盛が病を得て亡くなります。この嫡男は清盛とは違った立場を取り、それゆえに清盛を暴走させないための枷となってもいました。その人物が父親より早く亡くなったことで、その後の平家に狂いが生じるようになります。尚、父や兄を子や弟が諫めるという点では、
毛利元就-毛利隆元(父子)
武田信玄-武田信繁(兄弟)
豊臣秀吉-豊臣秀長(兄弟)
も似たようなものです。
(真田昌幸と信之も当てはまるかも知れません)

さて源頼政と以仁王の令旨です。『平清盛』ではこの令旨の回は視聴率が最低であり、大河視聴率ワースト20のうち19を『いだてん』が占める中で、唯一残っている『平清盛』のエピでもあります。私としては、この回も1つ前の回も、そこまで内容がよくないとは思いませんでしたが、裏にスポーツ中継でもあったのでしょうか。閑話休題。重盛の死後その領地を巡って、清盛と法皇のバトルがいわば表面化します。ちなみにこの大河では盛子の所領は出て来ません。そして今度は源三位頼政が以仁王に令旨を依頼して、新宮十郎行家に持たせて全国を廻らせます。この令旨により、諸国の源氏が蜂起するに至ります。

ただ肝心の頼政、そして以仁王は平家に屈し、奈良へ逃げて共に人生を終えます。この時以仁王が頼政に対して、「老いたりとも、その老木に花が咲く」という、老木(おいき)の花の例えを持ち出します。しかしこれは世阿弥の言葉と思われますので、実際はそれよりも遥か後のはずなのですが…。ともあれこの後、2人の悲願であった令旨は様々な武士の許へと届けられ、頼朝は挙兵、義経も富士川の合戦の後頼朝の宿営を訪れます。この時の頼朝は(嘘の)涙を流すのではなく、微笑していました。尚この大河での以仁王の中の人は、『半沢直樹』の中野渡頭取の中の人です。

そして清盛。負け戦を嘆いても仕方ない、これ以上負けないようにすると、何やらワールドカップのリーグ戦で連敗したチームの、監督のような言葉を口にしています。自らが半生を賭けた、それゆえに思い入れの深い福原の都に、やはりというか尋常でないこだわりがあるようですが、時忠と話し合った結果、結局京へ戻ることになります。しかし京は、既に平家に取っては敵だらけの地となっていました。

尚この総集編には、建春門院滋子は出て来ません。『平清盛』で天然パーマの髪が印象的だったこの人物の崩御は、その後の政変に、少なからず関与してくるわけなのですが。

飲み物-ショートカクテル
[ 2020/10/20 00:30 ] 大河ドラマ | TB(-) | CM(0)

時の流れとともに

またも訃報です。作曲家の筒美京平さんが7日に亡くなられたことが、12日にマスコミに公表されました。筒美さんといえば、歌謡曲のヒットメーカーでもあり、『サザエさん』の音楽担当としても有名でした。また13日には、俳優の森川正太さんが亡くなられました。今年の7月に俺たちシリーズというテーマで投稿をしていますが、このシリーズにも出演していたとの由。筒美さんは80代でしたが、森川さんは60代後半、まだ十分に若いでしょう。お二人のご冥福をお祈りします。

しかし時は常に移ろうし、また人間が不死身でない以上、訃報が人間社会から消えてしまうことはありません。そして、時の流れに連れて様々な物が変化して行き、うち一部は元に戻るとしても、完全に元の形での復活というのはまずありません。戦後から高度成長にかけての時期に作られ、大々的に脚光を浴びた物が、今も同じ形で注目され続けるかと言うと、残念ながらそうではないわけです。このブログでは昔のドラマや映画などについても書いていますが、特に過去の一時期メジャーであったジャンルや作品が、今後どのような形で生き残るのか、あるいは消えて行くのか、今はその分岐点に突入しています。特に地上波は同時動画配信が当たり前になり、その意味で地上波のみのTV放送というのは成り立ちにくくもなっています。

ところで先日、TBSチャンネルの番組について書きましたが、このチャンネルで今『顔で笑って』というのをやっています。まだ録画を観ていませんが、病院を舞台にしたホームドラマで、今時の医療ドラマとどのように違うのかをチェックしたいと思います。このドラマは、かの山口(三浦)百恵さんのドラマデビュー作で、この後宇津井健さんとの父娘の役が、何年かにわたって続くことになります。また彼女の義母(父の再婚相手)が倍賞美津子さんなのです。しかし倍賞さんというとどうしても、『半沢直樹』第1シリーズの、伊勢島ホテルの羽根専務を思い出してしまいます。

飲み物-ミルクティ2
[ 2020/10/15 00:00 ] その他 | TB(-) | CM(0)

10月5日に思うこと

まず、デザイナーの高田賢三氏が、コロナウイルスによる感染症で亡くなられました。KENZOの創設者で、独自の色遣いで一世を風靡した人物でもあり、以前ご紹介したフランスラグビーのプロ14所属チーム、スタッド・フランセのジャージーのデザインも手掛けていました。ご冥福をお祈りします。

ラグビーと言えば、昨年の10月5日は、ラグビーワールドカップで日本がサモアに勝利を収めた日です。この試合、日本はアイルランド戦で封印したキックを多用し、サモアの選手を走らせて体力を奪う作戦に出ました。この白星によって、決勝トーナメントがかなり見えて来はしましたが、予選リーグ通過できるか否かは、最終戦のスコットランド戦に持ち越されることになります。

ラグビーワールドカップ関連でもう一つ。今年の12月に、2023年ワールドカップフランス大会の予選リーグの組み分けが決定します。尚ラグビーの場合、プール3位までであれば無条件で次回の出場が決まります。今年1月の世界ランキングを基に5つのバンド(グループ)に分けて抽選を行い、4つのプールに振り分けます。現時点では以下のようになっており、日本のバンド2は今回が初めてです(前回はバンド3)。ちなみにこのバンドが上位になるほど、組み分けで有利になります。

バンド1 南ア、NZ、イングランド、ウェールズ
バンド2 アイルランド、豪州、フランス、日本
バンド3 スコットランド、アルゼンチン、フィジー、イタリア
バンド4 オセアニア1位、ヨーロッパ1位、南北アメリカ1位、アジア太平洋1位
バンド5 アフリカ1位、ヨーロッパ2位、南北アメリカ2位、最終予選勝利チーム

オセアニアはサモアとトンガが有力、南北アメリカはアメリカとカナダ、ウルグアイの三つ巴状態で、ヨーロッパはルーマニア、ロシア、グルジアが挑むことになりそうですが、無論どのような結果となるかは未定です。

尚今現在出場が決まっている中で、日本が過去の大会で唯一当たっていないチームがあります。イタリアです。少し前までは日本と互角の相手でもあり、そろそろ当たるのではないでしょうか。

『三谷かぶき 月光露針路日本 風雲児たち』を観に行こうかと考えています。まる3週間の上映なので、早めに行った方がいいでしょうね。市川猿之助さん、片岡愛之助さんに加え、語りが尾上松也さんと『半沢』トリオの揃い踏みです。

それと『峠の群像』の総集編第1巻について、そろそろあらすじと感想を投稿しようと考えています。

飲み物-カフェラテ2
[ 2020/10/05 23:45 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

『半沢直樹』のざっとした感想 10その2

中野渡は、かつて大和田を辞めさせなかったのは、行内融和のため、そして旧東京第一の不正融資の問題で使えると踏んだからでした。一方半沢が出されたのは、大和田への土下座がやり過ぎであったこと、そして証券という外の世界を見せるためだったのです。中野渡はまた、いずれ半沢は頭取になると言い、半沢には未来を、大和田には過去を託したと話すもののそれが叶わず、自らの力不足を嘆きます。その半沢は中野渡に、権力に屈することのないように進言します。

債権放棄の会見は翌日に迫っていましたが、大和田は白井にこっそりメモを渡します。このメモの指示通りに東京中央銀行へ向かった白井は、箕部への送金記録を要請され、さらに半沢からは、債権放棄は必要だろうかと質問を投げかけられます。白井は、銀行案を受け入れたら債権放棄はしなくて済むが、債権放棄をした方が復興は簡単だという姿勢を崩しませんでした。

白井が債権放棄を肯定するのは、箕部という後ろ盾を失うのを恐れるためですが、事実を明らかにすると危機にさらされるのは、銀行も同じでした。そして半沢は10年前の危機、東京第一銀行の箕部への20億円融資、牧野の自殺について白井に説明します。中野渡は牧野の為に真実を明らかにすると誓っている、中野渡が銀行の未来を考えるなら、白井は国の未来を考えるべきと半沢は言い、白井が除名処分になるのであれば、自分も責任の一端を負うと退職願を出します。

結局白井はやるべきことを果たすと言い、また中野渡は半沢の辞表を受け取る前に、もう1度帝国航空担当を任せ、記者会見に出ろと命じます。そして会見当日。乃原が仕切る会場は中野渡を迎えるために拍手が送られますが、そこに現れたのは半沢でした。その頃中野渡は牧野の墓前にいて、タブレットで中継を見ていました。

半沢はタスクフォースから検討を要求された件について、債権放棄をきっぱりと断ります。この様子を、智美と花も観ていました。大多数の世論に従えと言う箕部に、それは進政党の弱者救済世論とも矛盾すると言う半沢。そして白井は債権放棄はしなくてもいい、タスクフォースは失敗であったと言い、激昂する乃原の態度を表立って批判します。当然箕部もいい顔をしません。

半沢は改めて債権放棄を拒否し、さらに銀行案に瓜二つのタスクフォース案に唯一記載されていなかった、羽田-伊勢志摩路線の撤退に言及します。加えて15年前の箕部への融資がファミリー企業への転貸資金であり、その後空港ができて大儲けしたこと、さらにかつての東京第一銀行が、そのことを知りつつ融資していたこと、口止め料のことと箕部への送金についてなどなど逐一話したため、箕部は証拠を見せろと迫ります。半沢は証拠はあると答え、そこへ大和田が入って来ます。

会見30分前、幹事長室に残った笠松はスパイラルの瀬名と連絡を取り、PCの履歴を復元し、箕部の隠し口座が名古屋のUAE銀行にあることを突き止めます。白井がこのことを黒崎に連絡し、黒崎はデータを大和田に送付していたのです。山久の協力を得た半沢は、東京中央銀行からの引き出し日と、UAE銀行の隠し口座への入金日が同じであることを証明し、しかもその総額は100億8000万円でした。しかも箕部は、その金額を如何なる報告書にも記載していませんでした。

出て行こうとする箕部の前に白井が立ちはだかり、半沢は国民に向けて説明するよう迫ります。たじたじになった箕部は記者団の前で土下座し、中野渡は牧野の墓に、すべてが終わったことを伝えます。その後東京中央銀行の過去の不正融資13件が発表され、中野渡は謝罪しました。片や箕部は政治資金規正法違反、収賄と脱税で逮捕されることになります。また乃原は紀本と白井の告発で、強要罪で弁護士会を退会させられました。

帝国航空再建は開発投資銀行に委ねられることになり、白井は離党届を出して大臣を辞任、無所属議員となって出直すことになりました。半沢はその後頭取室に呼ばれるも、中野渡は既に頭取を辞任し、半沢の努力をねぎらいます。中野渡は半沢に、今正しいと思える決断をするべきであると諭し、自分も銀行を辞めるという半沢を制して銀行を去って行きます。しかし半沢は中野渡が責任をすべて取ったこと、白井も一から出直すことから、辞めるという気持ちは変わりませんでした。

その時大和田から連絡が入ります。大和田は箕部の土下座を見て嫌な思いがしたものの、自分が半沢ネジに融資しなかったのは正しかったと言い、半沢は大和田と自分の考えが異なることを実感します。さらに大和田は、銀行の信用は地に堕ちたから自分も辞める、半沢が自分の正義を通すには頭取になるしかないとまで言い、中野渡と自分が辞めるのだからそれくらいやってみろ、もし頭取になれなかったら土下座しろ、その代わり慣れたら自分が土下座すると大見得を切ります。

この大和田の挑戦状とも取れる発言を半沢は受け入れ、
「今度は容赦しない、あなたを完膚なきまで叩きのめす」
と断言するのでした。

さて最終回の後半、銀行が箕部とタスクフォースを追い詰める作戦に出ます。しかも半沢を見込んでいる中野渡は、自分の代わりに半沢を記者会見場に行かせ、自分は牧野の墓前でことの次第を見守ることにします。そして案の定、尻尾を出した箕部は記者団に対して土下座せざるを得なくなります。しかし疑問に思うのは、箕部は白井から、いわば飼い犬に手を噛まれるような事態を見越していなかったということです。あれだけの老獪な人物なら、自分の影響力を削がないためにも、その位考えておいてしかるべきかと思うのですが。

それにしてもUAE口座関連での、瀬名→笠松→白井→黒崎→大和田の連携プレイは大したものです。瀬名の存在意義ここにありです。しかし隠し口座がいよいよになるまでわからなかった辺り、結構危ない橋を渡っていたのですね。それから白井が会場に行く直前になって、箕部の盆栽の鉢を床にたたきつけますが、彼女としては既に箕部と決別していたようなものでしょう。会場で乃原の発言にキレるシーンもまたしかりです。あの場で自分を束縛していた箕部、乃原から解放されて、かえってせいせいしていたのではないでしょうか。無論「ドラマとフィクション」でも書いたように、フィクションだからこそ、銀行=善と幹事長=悪の対決構図は可能なわけですが。

あと、智美と花が中継を観ているシーンですが、ちょっと智美の描写が弱かったように思います。『ノーサイド・ゲーム』の最終回で、アストロズとサイクロンズの試合を様々な人が観ている、あのシーンを思わせますが、あれとはまた事情が異なりますし。一方最後の大和田の一人芝居は楽しめました。銀行を辞めるなどと言っていますが、実際のところどうでしょうか。この2人はそれぞれがそれぞれを必要としているわけですし、頭取になったら土下座すると言っている辺り、両者とも東京中央銀行にとどまることになりそうです。

飲み物-注がれるビール
[ 2020/10/05 00:30 ] その他 | TB(-) | CM(0)

『半沢直樹』のざっとした感想 10その1

中野渡頭取がファイルを箕部幹事長に渡したため、半沢の未来は断たれたも同然になります。大和田はその後白井国土交通大臣、乃原、箕部と会い、半沢が出向になるであろうことを伝え、箕部はあの男はバンカーではなく、ただのバーカだと蔑みます。

1人道場で竹刀の素振りをする半沢ですが、瀬名と森山も道着姿で現れ、3人で撃ち合いをします。半沢は片手を負傷した森山にも容赦はせず、瀬名はそんな半沢に惚れ込んでいました。そこに渡真利が現れ、紀本が銀行に戻って来たことを伝えますが、彼の部屋にいたのは大和田でした。大和田はあの時頭取と箕部に頭を下げるべきだった、銀行では頭取の決めたことこそすべてと半沢をなじります。

紀本の居場所を突き止めた半沢たちは、書類について尋ねるものも、箕部へ金が渡ったことを証明する書類は例のファイルにはなく、だからこそ中野渡もファイルを手渡したのでした。半沢はこの件にさらに突っ込もうと、伊勢志摩ステートの社長野川に会うべく国税庁に黒崎を訪ねます。しかし黒崎も同じことをやろうとして、金融庁から飛ばされていました。

野川と会うには、箕部が100パーセントクロでなければ無理な話でした。箕部に渡った金は100億8000万円でしたが、黒崎は現金は足はつかないものの隠すのが困難で、しかも国内銀行の口座に振り込んだ形跡がないと言い、半沢は最寄りの名古屋の海外銀行の口座が怪しいとにらみます。ただ国税が動くと箕部がまた行動に出るため、勝負は一度きりでした。

半沢は箕部の秘書である笠松に近づいて協力を求めるも、笠松は、立派な政治理念を持つ白井が後ろ盾を失うと断ります。そこで半沢は、白井、乃原、そして帝国航空の神谷と山久が会食しているところを挨拶がてら訪れ、乃原が箕部の悪事を知りながら、それを銀行との交渉に使ったことを批判します。この時、白井が乃原の言動に不快感を示していること、さらに彼女が箕部の悪事を知らないことを確信します。

その夜帰宅中の半沢は、社宅の外で白井そして笠松の車を目にします。半沢は、人目につかない所での話を望む2人を、智美の店の、開店5周年祝いの花で埋め尽くされた自宅に招き入れます。花は桔梗を一輪白井にプレゼントし、花言葉は誠実であると教えます。しかし白井は、半沢が箕部の悪事の確たる証拠を掴んでいないことに難色を示し、官邸に赴く箕部に同行するため戻ってしまいます。箕部は白井の桔梗に不審を抱き、踏みつけてしまいます。

落ち込む半沢に花は、いざとなったら辞めてしまえばいい、自分が稼ぐし生きていれば何とかなる、そう思っていたら楽になるだろうと耳元で囁いたうえで、正義という花言葉の竜胆を1本、夫にプレゼントします。そして半沢は中野渡の呼び出しに応じ、頭取室で中野渡に向かって、箕部の悪事の証拠がないからこそ書類を差し出したこと、大和田を使って隠し口座を暴かせようとしていたことを問い詰めます。

いよいよ大詰めです。銀行のためにも、箕部の悪事を暴こうと四苦八苦する半沢ですが、帝国航空の再建から外されてしまいます。この件でかなり怪しいと思われた紀本も、ファイルには箕部に渡った金を証明する書類はなく、いよいよ八方塞がりかと思われましたが、それでもなお追及の手を緩めず、果ては黒崎に掛け合い、隠し口座を突き止めようとします。

そんな折、半沢は白井が、箕部の悪事を知らないことを突き止めます。しかし白井は、それを証明する手段がないことから半沢に対しては半信半疑でした。ただ彼女は、乃原の言動にはかなり不満を持っているようでした。万事休すかと思われましたが、妻の花から激励の言葉と竜胆をもらった半沢は、中野渡にファイルのこと、大和田はスパイの役割をしていたのではないかということを問いただすのでした。

そして、一層意地汚さが増した感がある箕部が、石部金吉なる言葉を使っています。融通が利かないという意味ですが、もちろん半沢という人物は、決して融通が利かないわけではありません。ただ箕部にしてみれば、一直線に突っ込んでくるため目障りであるのは確かでしょう。

飲み物-カウンターとカクテル
[ 2020/10/04 00:30 ] その他 | TB(-) | CM(0)

ドラマとフィクション

『半沢直樹』(ざっとした感想はまた後日投稿します)の最終回が放送された翌日、関連ツイートがかなり流れていましたが、その中で「現実の政治で、ここまで善悪ははっきりしない」といった内容の物がありました。確かに事実ではありますが、しかしこれはドラマなのだから、当然であるといえば当然です。ドラマとは現実と異なり、フィクションの世界です。

善悪それぞれの勢力がはっきりしていて、それぞれが火花を散らすというパターンはよく見られますし、寧ろそれだからこそ感情移入もでき、一種のカタルシスを得ることも可能になるわけです。それとは別に、この政党は現実の〇〇党で、箕部幹事長は誰それだと指摘されたツイもありましたが、私としては、そこまでドラマと現実をリンクさせようとは思いません。

しかしドラマによっては、実際にあった出来事をベースにした物もありますし、大河のようにある程度史実を入れた物もあるため、必ずしもフィクションの世界とは言えないのも事実です。『いだてん』で、史実を基にしたフィクションといった説明がされたことがありましたが、この大河に関しては、どうも当のフィクションの部分に賛同しかねるところがありました。

無論『いだてん』のみならず、それ以外の大河でも似たような物はありましたし、結局のところ、フィクションの部分が面白いか面白くないかが、その作品に対する評価基準となるわけです。また大河に関して言えることですが、経歴がはっきりしていて、功績が多い人物の方が、フィクションの部分も面白く感じられるような気がします-無論、一概にそうとは言えませんが。

上記のような主人公の場合は、功績の合間合間にフィクションを入れてつなげばいいわけで、しかも本人が何をしたのかがある程度わかっている以上、フィクションのパートも比較的作りやすいといえます。逆にそうでない主人公はやはりフィクションパートも作りにくく、どこか浮いた印象になりがちです。主人公によっては、はじめからすべてフィクションにした方が、かえって作りやすいのではと思いますが、近現代以外の大河はやはりそれではまずいのでしょうか。

飲み物-バーのラテフロート
[ 2020/10/02 00:00 ] その他 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

aK

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まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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