『武将ジャパン』大河コラムその3です。また『らんまん』を叩き棒にしていますね。
日本を二分する――こういうセリフで小手先だけのスケール感を出したいのでしょうが、かえって逆効果でしょうよ。
九州や奥羽がまだ残っているのに、気が早すぎるのでは?
しかもサブタイトルが、往年の名画を安直に真似た「史上最大の決戦!」です。だとしたら、関ヶ原の戦いや大坂の陣はどういう扱いとなるのでしょう?
「九州や奥羽がまだ残っている」
この場合の戦いとは、信長や秀吉に臣従した地域と、信雄や家康の領国の戦いを意味しています。これらの殆どは今の東海、北陸、近畿そして中国地方で、まだ九州、四国や奥羽(東北)はその版図に組み入れられていませんでした。
「往年の名画を安直に真似た『史上最大の決戦!』」
『おんな城主 直虎』のサブタイも、過去の映像作品の捩りが多かったのですが。
そしてこの場合、信雄+家康と秀吉軍の対決だからでしょう。関ケ原はそれぞれ味方の大名を従えており、大坂の陣に至っては、家康+諸大名VS豊臣+牢人という構図でしたから。
このドラマは、本当におにぎりを握る女が好きだな!
「勝て勝て勝て!」って言いながら握るのは何なのでしょう。
『花燃ゆ』のリベンジでもしたいのか。誰かの趣味なのか。
当時はおにぎりは兵糧である以上、勝つことを念じながら、家康の側室である於愛が音頭を取って握ってもおかしくはないでしょう。また『花燃ゆ』の場合、ワカメがおにぎりに混ぜられていましたが、戦国時代の場合はもちろんそれはなく、玄米を炊いて握ったものでした。
兵糧をあんなふうに作って見せる意味がわかりません。昭和レトロなラブコメですか。
また「昭和レトロ」(苦笑)
武者さんは観ていないかも知れませんが、『功名が辻』で一豊の妻の千代が、侍女たちと一緒におにぎりを作り、長浜城に駐留する軍勢に振舞う描写がありましたね。
『らんまん』を見ていて気づきました。
書状を手に取り、さっと振ることで広げる。そんな時代劇お馴染みの所作ができています。 そして気づきました。『どうする家康』では、そんな綺麗な所作を見たことがないことを。
そのことに気づくと、どうにも小道具の扱いもおかしくて気になって仕方ありません。
まず、『らんまん』は時代劇でありませんね。
ただ今よりもはるかに前の時代であり、昔の人はそういういう所作をしていたということでしょう。
そして
「『どうする家康』では、そんな綺麗な所作を見たことがない」
いつも思うのですが、具体的にどのようなシーンなのか、はっきり書いて貰えないでしょうか。武者さんの文章はそれが抜け落ちていることがあまりにも多いので。
筆の扱いについてははっきりそうと書いていましたが、あれもそうおかしなものではありませんでした。家康はちゃんと筆を立てて書いていましたし、お市自害を聞いた時は、筆を落としたのではなく放り出していたように見えたので、あの所作でも特に問題ないと思います。
思い出したように家康の薬作りが出てきました。
趣味というわりに薬研の使い方も雑。説得力がまるでありません。
そして家康の薬作り、というか薬湯を煎じるため薬草を粉末状にする薬研の使い方が雑とかなんとか。
では武者さんは薬研を使ったことがあるのでしょうか。どこが雑なのでしょうか。
尚この薬研を使った動画をいくつか見ましたが、特にあの使い方は間違っていないと思います。
それと「趣味というわりに」とありますが、この時家康は薬作りが趣味と言っているでしょうか?
太鼓の打ち方がおかしい。
軍勢ごとにルールがあって、もっときっちり打つもの。
やる気がないのか、そうした調子は一切感じられず、ポコポコ打つせいで迫力にも欠けている。
発声も声が裏返るので、本当に稚拙です。
大河ドラマをパロディにしたコントの類にしか見えません。
「軍勢ごとにルールがあって、もっときっちり打つもの」
これがまた何の具体例もないのですね。
ここまで言うのならばそのルールとやらを、ここでちゃんと明記してください。
「酒井の太鼓」について言いたいのでしょうか。ならばその太鼓についてだけ書いてほしいものです。
「酒井の太鼓」の記述 鶴岡市に保管された家臣の日記から発見
(NHK ONLINE)
そして
「発声も声が裏返るので、本当に稚拙です」
これもどのシーンで、誰の発声が裏返っているかが不明。
単に武者さんがそう思いたいからではないのでしょうか。
今週はやっとおもしろくなった。落ち着いた。
そんな感想もありそうですが、果たしてそうでしょうか?
(中略)
実在した女性がでしゃばって目立ったり。回想シーンまみれにしたり。いちゃいちゃする場面の比率は減りました。
そのぶんアリバイじみた描写が増えて相対的にマシに見える。それだけです。
どうにもちぐはぐで、それまであったむちゃくちゃな個性が薄くなったような気がします。
「実在した女性がでしゃばって目立ったり」
誰とは言いませんが、オリキャラの女性が目立つのはいいのでしょうか。
「いちゃいちゃする場面の比率は減りました」
ああいうのをいちゃいちゃすると思うのなら、武者さんの女性観はやはり偏っているなと思います。
「そのぶんアリバイじみた描写が増えて相対的にマシに見える」
「どうにもちぐはぐで、それまであったむちゃくちゃな個性が薄くなったような気がします」
またですか。武者さんは具体的にどれがアリバイじみているとか、誰の個性がむちゃくちゃなのか全く書かないのですね。
「あれが悪い、これがよくない」に終始しているだけだから、単なる自己満足にしか見えないし、もっと言えば、ドラマ本編そのものをちゃんと観ているようにも見えないわけです。
今まではおしつけがましかった。
「今までにない展開だろ?」
「俺たちってマジですげーだろ、イケてるだろ!」
「これぞシン・大河なんだよ!」
そういう自慢げな姿勢があった。それがどうにも落ち着いてきている。
それが良いのかどうか?
残ったのは歴史番組用の再現ドラマと、ラブコメじみた場面、そして説明セリフだけです。
今までは挑発的でしたよね?
「史実なんて誰も見たことないしww あなた別にその時代に生きてませんよねw 見てませんよね、だったらこういう展開がないとは言い切れないでしょwww」
「瀬名が悪役とかもう古いしw 森蘭丸でなくて森乱w 新説取り入れましたwww」
そういう思考停止の呪詛を振り翳し、どんな無茶振りで通してきた。
それがなんだかおとなしくなっちゃって。
「今まではおしつけがましかった」「今までは挑発的でしたよね?」
「それがどうにも落ち着いてきている」「それが良いのかどうか?」
「それがなんだかおとなしくなっちゃって」
この間の登場人物の月代を思い出します。
あの時も剃れ剃れと言わんばかりで、いざみんなが月代姿になったら、似合わないだのなんだの。
そしてこちらでも
「今まではおしつけがましかったと文句を言い、それが落ち着いたら落ち着いたで文句を言う」
単なる身勝手でしかありません。
あと「森乱」は史料に則った表記なのですが、それがなぜ思考停止になるのでしょうか。
平山氏に注意されたのがよほど面白くないのかと、勘ぐりたくもなりますね。
自分の思い通りに描かれないと、何でもかんでも史実無視のようで、この人本当に「歴史系ライター」なのかと疑ってしまいます。
歴史パートにせよ、戦国時代の合戦というよりも、現代劇の詐欺師ミーティングのような場面に過ぎません。
少し真面目にしたぶん、かえって基礎力が脆弱なのが露になった。それが現状でしょう。
結局何を言いたいのでしょうか。
「日本語でおk」というネットスラングがありましたが、あれを思い出してしまいます。
あと武者さん「詐欺師」も好きですね。本多正信にもこの表現しょっちゅう使っていますね。
本能寺も伊賀越えという歴史イベントも終わった。
マザーセナ、千代、女大鼠といった妄想ヒロイン大行進も終わった。
何も見どころがない。ものの見事に何も無い。きれいに中身がなくなり、積極的な不快感が薄くなった程度の話ですね。
豪華キャストと思える池田恒興と森長可が登場しても、何もワクワクは湧いてきません。
もう、盛り上がりも何もないんですね。
これから小牧・長久手の戦い、小田原攻め、江戸入りそして関ケ原…まだまだイベントは続きます。
そのためのキャストも発表されていますし、そして千代や大鼠は今後も出て来ないとも限りません。
武者さんが嫌なら観なくても構いませんが、その代わりこのコラムももう書かないでください。
このドラマは脚本がみっちり詰まっていない。スカスカのものを現場で手を入れて、どうにか形にしている。
だからこそ毎週のようにアドリブで補ったと語る裏話が披露されるのでしょう。
逆に、脚本を褒める出演者の声はほとんど聞こえてこない。今となって褒めているのは磯Pくらいではありませんか。
◆松重豊、「どうする家康」石川数正のラストシーンに言及「本来書かれていなかったセリフをアドリブで言った」(→link)
武者さんが好きな『麒麟がくる』でもアドリブはありましたが、好きな作品だと敢えてそれに触れないか、あるいは肯定的な見方をし、嫌いな作品だと積極的に叩いているように見えますね。
それと
「脚本を褒める出演者の声はほとんど聞こえてこない」
ひところ鳴りを潜めていましたが、また脚本を褒める褒めないで判断する癖が出て来たようです。
要は、一旦捨てた方法をまた使ってでも叩きたいということでしょうか。
ではガイドブック後編での出演者のコメントをいくつか。武者さんが叩いている築山事件に関してです。
松本潤さん
「さらには謎の多い『築山事件』。家康、瀬名、信康。この3人の関係性については諸説ありますが、古沢良太さんの脚本はきっとこうだったと思わせる筋書きだったので、僕自身そう信じています」
有村架純さん
「今作では、瀬名がたくらんだと言われている『築山事件』が出て来ます。初めて台本を読んだときは涙が出てきて自分でも驚きました。脚本の古沢良太さんも『書くのが苦しかった』とおっしゃっていたそうです。『潔く散るべし』という戦国時代の価値観の中で『やっぱり生きたい』という気持ちが表現されていたような気がします」
松重豊さん
「ドラマで描かれる『築山事件』部分の脚本を読んだとき、古沢良太さんの発想に感服しました。涙なしでは読めず、こんな物語があっていいと思いました」
視聴率では二桁を割ったり戻したりという体たらくで、それでも提灯記事は増えるのか、増えないのか?
「二桁を割ったり戻したりという体たらく」
これだと何度も割ったり戻したりしているようですが、スポーツ中継が裏に来ていなくて二桁を割ったのは、今までのところ第30回のみですよ。
そして
「超絶技巧記事が出ました」
などとあるのですが、つまるところ、同じ系列のメディアでも訴求対象によって書き方を変えているわけで、
「これぞできるプロの仕事だと思います」
などとあります。
こんなこと書くより、武者さん自身がきちんと「プロの仕事」をやるべきかと思いますね。
で、別の女性週刊誌の松本さん関連記事では、
「心底どうでもいい」
どうでもいいのにわざわざリンクを貼るのですね。タイトルだけ置いておきます。
「松本潤『どうする家康』の“制作スタッフと撮影打ち上げ”を主催、ムロツヨシは頻繁に参加も家康の正室・瀬名役の有村架純は「あえて誘わない」」
あと
惻隠の心は仁の端なり。『孟子』公孫丑章句上篇
哀れみや情けを持つことこそ、仁の基本です。
と、例によって漢籍引用ですが、いつもながらあっさりしているなと思います。惻隠の情とは、他人の不幸を憐れんで痛ましく思う心のことではないでしょうか。もう少し詳しく書いてください。
で、その後に茶々関連の持論展開。これまた例によって例の如くなので、パスしようかと思います。
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