先日分の続きです。
中尾氏は企業アマをアマチュアと呼ぶのは仕方ないと認めつつも、こう書いています。
問題は、企業アマ制度がスポーツを利用した、企業の宣伝広告の役割を果たしていることです。
だれの眼にも明らかな、アマチュア規則第4条とのギャップ、このギャップをなんとかしなければなりません。第4条を削除するか、チーム名からJリーグのように企業名を取るか、難しい選択です。
企業の宣伝であることは事実ですが、どうも当時のアマチュア規定を殊更に問題化しているように見えます。企業アマを真剣に考えていると言うより、その企業アマとアマチュア規定のギャップを協会叩きに利用している、やはりそういう感じですね。あと
「チーム名からJリーグのように企業名を取るか」
ですが、企業名を取ると、どこがスポンサーになってくれるかということにもなりかねないでしょう。Jリーグはプロ化に当たって地域との密着性を図るために企業名を取りましたが、ユニフォームはスポンサーロゴだらけです。無論今のリーグワンではそれも珍しくありませんが。
その後、企業の業績が傾けば休部廃部の憂き目に遭う、会社の人事で部長や監督などが変わる、トップがラグビー好きだから続いていたものの、そのトップが失脚したりするとその影響が出ると、企業アマのデメリットを書き連ね、さらに
スポーツ文化が貧しく、インフラ(グラウンドなど)が整備されていない日本には、最適のシステムであるように思われます。企業アマ制度の問題点は、それが何十年たっても成熟しない点にあります。企業の宣伝広告のために存在し、会社の福利厚生部門に位置づけられているのですから、成熟を期待するのが間違っているのかもしれません。
と書いたうえで、紙幅がないので稿を改めるとあります。ならば最初から書かなかった方がいいのではと思ってしまうのですが。と言うか、やけに日本のスポーツ文化は貧しいから、企業アマのようなインチキアマがお似合いだと主張したがっているように見えます。
それと成熟かどうかはともかく、企業アマにもそれなりの歴史はありますけどね。
そして協会が企業アマを純粋アマチュアだと抗弁するのは、ラグビー選手が9時-5時終業で会社の営業時間外にラグビーをしているという事実にしがみつくせいだ、文武両道というアレだと言い、彼らは本当に働いているのか、ただ会社にいるだけではないのかとも書いています。何だかこれも失礼だなとは思いますが、その次の箇所
とはいえ、文武両道-パート・タイムの競技者-であることは、プローフル・タイムの競技者ーでないことの証しであることは事実です。
中尾さん、「プロの対立概念はパート・タイム」と書いていたはずなのですが、ここに来てフル・タイムに変わっていますね。
そして文武両道は美しい言葉だが、こういう言葉はしばしば、眉にツバして考えなければいけないとし、こういうことまで書いています。
オールド・ラガーマンの伝記、協会公史、部史を読むと驚くことは、多くのラガーメンが、学生時代はラグビー三昧だったと書いているのです。勉強のことなどはほとんど書かれていません。一種の謙遜かも知れません。でも、現在の彼らの行状を見る限り、知性の欠如、教養のなさ、行儀すらできていないことを考えると、やはりラグビーしかやってなかったのでしょう。これは現在の学生も同じですが。
これもちょっと失礼だなとは思います。少なくとも、すべての企業アマに関わる選手たちがそうであるとは言い切れないでしょう、一体何をもって彼らが
「知性の欠如、教養のなさ、行儀すらできていない」
と決めつけてしまうのか不明です。ならば実例を出してほしいものです。
そして
オールド・ラガーマンが大した勉強もなしに進学し、一流企業に就職できたのは、決して文武両道だったせいではありません。
進学するだけの財政的余裕があった
競技レヴェルが低かった
縁故(ラグビー人脈)採用が当たり前だった
以上のような状況が、どこの馬の骨ともわからぬ人間を、エリートと錯覚させていたのです。
とありますが、実際にそう言い切れるものでしょうか。ここまで言い切れたと言うことは、何か裏付けがあるのでしょうから、それを引用するなり何なりしないと説得力に欠ける気がします。
あと「オールド・ラガーメン」(複数)になっていたり、「オールド・ラガーマン」(単数)になっていたりしていますが、この場合複数で統一していいのではないでしょうか。一応原文ママの形で引用していますが、実際にラガーメンとラガーマンが入り混じっています。それともここで単数のラガーマンと表記されているのは、特定の個人を指しているのでしょうか。
ならば別に「昔のラグビー選手」でもいいでしょう。
そして
現実の問題として、トップ・レヴェルのアスリートは、スポーツの才能故に名門高校、名門大学に進学を許され、一流企業に就職できるわけです、文武両道の「文」の中身は決して問われることはありません。
これは、ラグビー・フットボールで得た名声を利用して、何らかの報酬、利得を得ていることにほかならないわけです。
また、大学生がフル・タイムの専門競技者であることも、言い逃れようのない事実です。
これは、やはりシャマチュアです。どうしても、アマチュア規定を変えざるを得ないと思います。
まず、中尾氏が何かにつけて問題視するアマチュア規定第4条ですが、
「ラグビーフットボールで得た名声を利用して如何なる形式に於いても商業目的の宣伝にたすさわってはならない」
とあり、中尾氏が言うような
「スポーツの才能故に名門高校や大学に進学を許され、一流企業に就職できる」
はまた意味が異なるかと思います。進学や就職は商業目的の宣伝なのでしょうか。マスコミが勝手に騒ぐことはあるかと思いますが。
それから、
「ラグビー・フットボールで得た名声を利用して、報酬や利得を得ている」
「大学生はフルタイムの専門競技者」
にしても、前出の第4条に抵触するかどうかは疑わしいものです。
確かに彼らがこれに書かれている通りならば(というか、今も実際そういう面があるとは思いますが)、決して言葉通りのアマチュアではないでしょうが、そもそもそういうアマチュアはこの時代もういないし、この2つにしても商業目的の宣伝とは言えないでしょう。