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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
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スタジアムとリーグワンの問題点

以前スタジアム関係でサイモン・イングリス氏の本について書いていましたが、まだご紹介できずにいます。そのうち必ず…。

さてスタジアムと言えば、現在、静岡ブルーレヴズの運営に携わっている五郎丸歩氏が、前回のワールドカップ後に専用スタジアムが増えたとか、各チームが自分たちのスタジアムを持つようになったかといえばそうでない、2035年にワールドカップを開催するのに、ラグビーをとりまく環境整備が進んでいないと発言していたことがあります。これはある意味やむを得ない部分もあるかと思います。

ワールドカップはうまく行ったとは思いますが、それだけで新設スタジアムができるわけでもなく、また仮にその計画があったとしても、コロナ禍が影響したとも考えられます。無論スタジアム建設にはお金もかかります。サッカーのスタジアムで、数百億はかかると言われていますし、立地条件も大事になって来ます。いくらスタジアムを作っても、アクセスが悪いと客足は鈍るでしょう。

無論2035年に再びワールドカップを開催する予定であれば、ある程度インフラを増やすに越したことはありません。ただその場合、既存のスタジアムに手を加えるという方法もあるかと思います。特に今ラグビー界では環境面での問題から、ワールドカップのためだけにスタジアムを新設することができなくなっています。

それに関連することですが、スタジアムのアリーナ化が世界的な流れです。ですから秩父宮アリーナ化には反対しませんが、如何せん試合の時の座席数が少なすぎです。1万5千では、国内の大きな試合も難しいと思います。せめて3万近い座席を確保できないものでしょうか。

それからリーグワンの運営に関して。これも前にリーグワンの問題として取り上げたことがありますが、クラブの頑張りに対して、リーグそのもののやり方はどうも今一つな感があります。こういうツイートがあります。

https://twitter.com/loverugbyworld/status/1655117843174944769

ここで指摘されているように、地域密着を謳いつつ地方を切り捨てている(に等しい)点、地上波放送も関東限定という点などは、地方に住んでいる人やライトなファン層に向けてアプローチしているようには見えません。

残念ながら、せっかくの地上波(日テレ)中継が関東限定というケースは、リーグワン公式サイトの日程のページでよく目にします。今回のD1プレイオフ中継も、準決勝の1つが関東限定日テレ、もう1つはBS日テレとなっています。なぜ条件を同じにしないのでしょう。

ラグビーはコアでなくマスになるべきとも書いたことがありますが、日本に於いては今なお地域に向けて開かれたクラブではなく、企業と大学(高校)を拠点とする、しかもその色彩が極めて濃いスポーツであることから、閉鎖的な印象を持たれやすいし、特定の地域に固まる傾向も強いものがあります。本来これを変えて行くのもリーグの役割であるはずなのですが。どうもこの辺がやはり素人臭いと言わざるを得ない所以です、正直何か大英断を下せるような雰囲気でもありませんし。

それとやはり、トップリーグをそのままスライドさせてしまった感はあります。これが10クラブ程度から始めたのであれば、多少首都圏中心でもまだ納得できたでしょう-たとえば首都圏5、関西2、東海と釜石と九州から1といった具合です。それ以外は一旦地域リーグ所属として、それぞれのリーグの優勝チームを昇格させた方がよかったのではないでしょうか。

飲み物-タンブラーの白ビール
[ 2023/05/10 00:30 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

リーグワン2022-23入替戦の結果その1

ラグビー関連情報です。
リーグワンの入替戦、第一試合が5月5日から7日にかけて行われました。
結果は、以下の通りです。(赤文字勝利チーム)

D1/D2入替戦
豊田自動織機シャトルズ愛知 21 - 59 三菱重工相模原ダイナボアーズ
(D2-3位)           (D1-10位)
三重ホンダヒート 34 - 29 東葛グリーンロケッツ
(D2-2位)      (D1-11位)
浦安D-Rocks 14 - 36 花園近鉄ライナーズ
(D2-1位)    (D1-12位) 

D2/D3入替戦
釜石シーウェイブス 25 - 25 クリタウォーターガッシュ昭島
(D2-4位)       (D3-3位)
清水建設江東ブルーシャークス 0 -48 九州電力キューデンヴォルテクス
(D2-5位)           (D3-2位)

上位ディビジョンのチームがきっちり勝った試合がある一方で、下位ディビジョンのチームが上位を食った試合もあります。しかしD2とD3の入替戦は、それぞれ引き分けと完封試合でしたね。D2最強のD-Rocksも、最下位とは言えD1のライナーズにはちょっと歯が立たなかったようです。

第2試合は次の週末(5月13日~14日)に行われます。

あとご存知の方もおられるでしょうが、豊田自動織機シャトルズ愛知に不祥事です。

ジャパンラグビーリーグワン参加チーム所属選手の起こした不祥事への対応について
(リーグワン公式サイト)

飲酒による第三者への傷害ということで、被害者の理解を得たうえで、今回の入替戦に出場することを決めたとのこと。ちょっと多くないかとも思いますが…そう言えばやはり不祥事を起こしたD2の日野レッドドルフィンズは、来シーズンD3からのスタートになりますね。


飲み物-マグとビール
[ 2023/05/08 00:00 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

1991年時点での中尾亘孝氏のJリーグ観

まず、能登半島での地震に遭われた方に、お見舞い申し上げます。

今回は以前書いていた、中尾亘孝氏のJリーグ観(1991年当時)に関して。その当時出版された中尾氏の『15人のハーフ・バックス』から少し引用してみます。

ここでちょっと回り道となりますが、看過できない問題が発生したので触れてみようと思います。
それは、サッカーのプロ化です。
(中略)
その前に、サッカーがW杯に出られるかどうかという疑問に答えておきましょう。まことに御同情にたえない次第ですが、ノーです。ジャパンがオールブラックスに勝つより確率は低いといえそうです。それはどうしてか、現場に限って原因を追究すると、
①日本独自の理論がない
②人材が揃わない
③学閥、派閥の足の引っ張り合いが激しい

このようになっています。このJリーグが発足して既に30年ですが、その30年で状況はかなり変わって来ていると見るべきでしょうし、理論不足、人材不足や派閥などを裏付けるものがほしいですね。無論この時点で、サッカーのプロ化は無理だと言う声がまだ強かったのも事実でしょう。

しかし

「ノーです」
「ジャパンがオールブラックスに勝つより確率は低いといえそうです」

はちょっとどうかと思います。そしてこの7年後に、サッカー代表はワールドカップに出場しており、その時以来一応毎回ワールドカップ本大会に出場していますが、ラグビー代表はまだオールブラックスに勝ってはいません。南アフリカに勝ったことはありますが。

しかも、サッカー代表のワールドカップ初出場時に中尾氏は、スポーツ紙は「優勝か」などと書いているが、初登場のチームに望めることはせめて1勝などと書いています。無論それはその通りなのですが、とかく針小棒大な傾向があるスポーツ紙の一面の見出しを、なぜわざわざ引き合いに出すのか、よくわかりません。

また

プロ化構想発表から実行までの移行期間が短すぎる点に、ナニやら公表されていない背景がありそうです。

などとも書かれていますが、このプロ化構想は80年代後半には始まっていたことが、その後に報道または出版されています。無論その当時わかっていないことが多かったのは事実でしょうが、関連メディアの情報を拾って行けば、もう少し詳しい経緯が見えて来たのではないでしょうか。

そしてなぜプロ化するのかに関して、

現状の企業アマ制度の枠内では、世界選手権出場なんて夢のまた夢であるという認識は当然です

実はサッカーでは、80年代には既にプロ選手も認めていましたが、まだアマチュア(社員)選手の方が多かったのは事実でしょう。この点に、今のリーグワンの現状を見る思いがします。(後述)

それに加えて、

でも、「日本のサッカーをもっと強くして、W杯に出る」― この目標めざして、具体的な戦術、戦略を示さずに、サッカーをプロ化すればいいのだといささか飛躍した結論に飛びついたかのように見えることは否めません。

ともありますが、いくら何でもそこまで単純ではなかったと思いますが。元々はJSL(日本サッカーリーグ、Jリーグの前身)を如何に活性化するかというのがスタート地点だったようです。

その次はプロ化の条件に関してです。

問題はプロ化に当たって、虫のよすぎる条件がついていることです。
①フランチャイズ制
②チーム、クラブ名から企業名を取る(外す)。
③クラブ組織内でジュニア育成
全面的に賛成です。支持します。(中略)欧米では当たり前のこうしたスポーツのあり方は、ここニッポンの土壌に移植しようとすると、それはそのまま”革命”に他ならないということを別にすれば、申し分のない到達目標です。回りくどいいい方をしてしまいましたが、123のすべてがかなりの難問です。2などは不可能でしょう。

実際Jリーグは、すべて企業名を取ることに成功し、選手のユニフォームのロゴにのみ企業名を入れるにとどめています。なぜ「不可能」だと中尾氏は思ったのでしょう。そして他にも、3は10年20年のタイムスパンで考えたとしても難しいと書いていますが、90年代の終わり頃には、高校サッカーの出場選手がクラブのユース組織所属ということもありました。

またこれも前に書いていますが、2002年ワールドカップでキャプテンを務めた宮本恒靖氏は、ガンバユースでプレイし、同志社大学経済学部に通っていました。尚現在JSPORTSで放送されている高円宮杯のU18リーグでは、クラブのユースと高校が同じレベルで対戦しています。

しかしどうもこのシステムに中尾氏は賛同できなかったようで、

サッカー協会首脳部の決断は立派ですが、協会首脳部にこうした改革が”革命”だという認識があったのでしょうか。まったくもって不可解なプロ化騒動です。企業アマ制度の否定のみならず、学校体育をも否定しているのですから、否定した相手に甘えることは許されないはずです。

と書いています。
革命であるかどうかはともかく(中尾氏は結構この言葉がお好きなようですが)、
「まったくもって不可解なプロ化騒動です」
とは如何なものでしょうか。ちなみにこの時点で川淵三郎氏の名前が登場していませんが、あまり気に留めてはいなかったのでしょうか。

Jリーグの発表はこの年の7月に行われていますが、前述のように、マスコミ発表の時点で既に構想は固まっていたはずであり、それを段階的に実行に移すというものだったと思われます。さらに学校体育を否定するとも言っていないはず。無論当面は高校生、あるいは大学生を新戦力とするのはやむを得なかったでしょう。取りようによっては、大学を安定した若手供給の場としているラグビーを、やけにちらつかせているようにも見えます。中尾氏の推しのチームもいますからね。

一方先ほど触れたリーグワンの現状に関して。クラブ運営はかなりプロ的になっていますが、選手のすべてがプロ契約でなく、実質企業アマ的なクラブも多く、また選手の育成組織としてアカデミーを設けてはいますが、高校生以上は学校の部活がベースとなっています。ひとつ前にも書いていますが、安定した若手供給の場が大学または高校しかないのもどうかとは思います。

本当はこの状況をこそ改善して行くべきかと思いますが、運営サイドの発言が限られているせいもあり、どこまでグランドデザインを描けているのか疑問に思えて仕方ありません。
(2023年5月6日加筆修正)

飲み物-黄金色のビール
[ 2023/05/06 01:45 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

「快楽的スタジアムの方程式」とリーグワン

以前日本ラグビー狂会の著書で、「快楽式スタジアムの方程式」というコラムをご紹介しています。このコラムの中で著者の平野ゆり氏によれば、快楽度の高いスタジアムの条件は以下の通りです。

観やすさ(グラウンドからの距離の近さ、キャパシティに応じてスタンドをダブル・デッカーにし、最適な視覚を確保)
居心地のよさ(全席に屋根、そして質の高い座席)
親切であること(ビデオスクリーン、照明の設置、十二分な数のトイレ)

そして私はこれに関して
「実際問題、今のリーグワンに於いてさえ、これらの条件を満たしているスタジアムは限られていると思います」
と書いています。で実際どのくらいのスタジアムが、この条件を満たしているかを、リーグワンのサイトで調べてみました。大部分のスタジアムは画像があるためそれでチェックできますが、一部画像がない分は、リンク先の画像で判断しています。

リーグワンで使用されているスタジアム一覧
(リーグワン公式サイト)

今回は「グラウンドからの距離の近さ」と「屋根のあるなし」で見て行きたいと思います。尚照明やスクリーンは殆どのスタジアムに取りつけられています。

まず「グラウンドからの距離の近さ」ですが、陸上トラックなどがなく、すべてのスタンドから見てピッチと客席の間のスペースが殆どない、または狭いスタジアムは

釜石鵜住居復興スタジアム
熊谷スポーツ文化公園ラグビー場
秩父宮ラグビー場
ヤマハスタジアム
豊田スタジアム
パロマ瑞穂ラグビー場
ヨドコウ桜スタジアム
東大阪市花園ラグビー場
ノエビアスタジアム神戸
Balcom BMW Rugby Stadium
グローバルアリーナ
ベスト電器スタジアム
ミクニワールドスタジアム北九州

以上13のスタジアムになります。
尚三重交通Gスポーツの杜鈴鹿(ホンダヒートの本拠地)もスタンドから比較的近いのですが、スタンドは一部のみで、それ以外は芝のスペースとなっています。

さらにこの中で、メインスタンドとバックスタンド(場合によってはサイドスタンド)が屋根付きのスタジアムは

豊田スタジアム
ヨドコウ桜スタジアム
ノエビアスタジアム神戸
ベスト電器スタジアム
ミクニワールドスタジアム北九州

の5つのみです。
今すぐ増改築をとは行かないかも知れませんし、リーグワン主導のみでは難しいかも知れません。ならばせめてJリーグと協働でスタンドに屋根を付けるとか、ピッチからの距離が近いスタンドへの改修工事を、推し進めて行くべきではないかと思う所以です。またこういうのは、トップリーグ時代から検討されていてしかるべきだったとも言えます。

ところで4月最後の週末は、久々にリーグワンの試合のない週末でしたが、来週は入替戦第一戦が始まります。尚この入替戦は、すべてJSPORTSで中継予定です。
(2023年4月30日一部加筆)


飲み物-マグに注がれたビール
[ 2023/04/30 01:30 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

リーグワン第16節の結果と入替戦情報

ラグビー関連情報です。
まずリーグワンの結果です。
(赤文字勝利チーム)

D1
(第16節)
東芝ブレイブルーパス東京 22 - 34 埼玉ワイルドナイツ
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ 39 - 24 東京サンゴリアス
三菱重工相模原ダイナボアーズ 21 ― 31 ブラックラムズ東京
花園近鉄ライナーズ 26 - 43 グリーンロケッツ東葛
静岡ブルーレヴズ 27 - 37 トヨタヴェルブリッツ
コベルコ神戸スティーラーズ 26 - 52 横浜キヤノンイーグルス

D2
(順位決定戦)
浦安D-Rocks 48 - 28 三重ホンダヒート
清水建設江東ブルーシャークス 10 - 38 釜石シーウェイブス

D3
(第15節)
クリタウォーターガッシュ昭島 62 - 34 中国電力レッドレグリオンズ(D3-M29)
九州電力キューデンヴォルテクス 40 - 7 スカイアクティブズ広島(D3-M30)


以上を以て2022-23シーズンの日程は終わり、あとはD1の準決勝と決勝のプレイオフ、そして各ディビジョンの入替戦を残すのみとなっています。
まずD1のプレイオフですが、ブレイブルーパスが負けたため、イーグルスのベスト4入りが決定しています。

準決勝(5月13日~14日)
埼玉ワイルドナイツ - 横浜キヤノンイーグルス
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ - 東京サンゴリアス

3位決定戦は19日、決勝は20日です。

そして入替戦です。今回は第1戦のご紹介です。

5月5日
三重ホンダヒート - グリーンロケッツ東葛
(D2-2位)    (D1-11位)
清水建設江東ブルーシャークス - 九州電力キューデンヴォルテクス
(D2-5位)          (D3-2位)

5月6日
豊田自動織機シャトルズ愛知 - 三菱重工相模原ダイナボアーズ
(D2-3位)         (D1-10位)
釜石シーウェイブス - クリタウォーターガッシュ昭島
(D2-4位)     (D3-3位)

5月7日
浦安D-Rocks - 花園近鉄ライナーズ
(D2-1位) (D1-12位)

繰り返すようですが、日野レッドドルフィンズは入替戦辞退のため、本来対戦するはずだったレッドハリケーンズは入替戦なしでのD2昇格となっています。


飲み物-ジョッキのビール
[ 2023/04/26 01:45 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

中尾亘孝氏「貧者の核爆弾・企業アマ制度考」について思うこと 4

先日分の続きです。突っ込んでいる内に、当初の予定より長くなってしまいました。引き続き、企業アマに対する1994年当時の中尾氏の主張です。

規定を変え、企業アマを純アマとするような無謀な発想をやめたとき、新しいヴィジョンが拓けてきます。
それは、企業アマ制度とは、貧者の核爆弾になりうるということです。この春、NZを憤激させたジンザン・ブルック引き抜き騒動があり、NZユニオンのチェアマンが来日しました。その騒動の際、NZの『ラグビー・ニュース』に発表された公開状で、マーク・フィンレー(元伊勢丹)は、「就職先をトップ・レヴェルのプレイヤーに紹介し、それと同時に彼らをプロフェッショナルのレヴェルの体調に保つということを日本は(企業アマ制度により)成し遂げている」と言い、NZも企業アマ制度を採用すべきと述べています。
NZのアマチュア規定を知りませんが。フィンレーは、企業アマ制度はNZのアマ規定には触れていないとも言っています。

このジンザン・ブルックとは、かつてのオールブラックスのNO8の選手です。この選手のお兄さんがマツダ(現スカイアクティブズ)に所属していました。そしてこの引き抜きに関してのマーク・フィンレー氏の言葉(の日本語訳)の中で、「体調」とあるのは状態とか状況という意味ではないかと思います。恐らく元々はconditionだったのではないでしょうか。

で、ここでタイトルの「貧者の核爆弾」が出て来ます。この場合は貧者=日本、核爆弾=企業アマの意味でしょう。そして中尾氏は、フィンレー氏のアドバイスは一考に値するとした上で、この手のドタバタはいい加減にしてほしいが、先行きは暗いと書き、その後本場に於いてプロフェッショナルとは、プロ(13人制リーグ)の選手しかいないとも書いています。

フィンレー氏の言葉を評価しながら、その言葉にあるプロフェッショナルという表現を否定するようなのはどうかと思いますし、この場合のプロフェッショナルは、専従、つまり1日の大半をラグビーやトレーニングに割けるという意味ではないでしょうか。そしてアマチュアとはその道の愛好者であり、プロとはその道の達人であるとも中尾氏は言います。さらにこうも書いています。

現実は、プレイヤーにとり余りにも過酷です。このままでは、プレイヤーのみがババを引くという結果になります。一刻も早く、プロに対する偏見を改めるべきです。

このプレイヤーというのは、日本人選手のことを指しているのだと思います。日本人でないのなら、それをまずはっきりさせるべきでしょう。その日本人選手は日本の企業アマとしてプレイしており、無論アマチュア規定によってこの当時はいくらか制約を受けていましたが、そこまで「過酷」だったのでしょうか。しかもこの後中尾氏は、

シギー(今野滋氏、当時日本協会会長)にも、IB(現ワールドラグビー)にも、ホーム・ユニオンのエリートにも、選手がプロ化するのとを止めることはできない。
トップ・レヴェルのラガーメンにとって、オフ・シーズンは無いも同然です。フル・タイムの競技者でなければ、ワールド・ワイドの選手権のプレッシャーには勝てない。それほど競技レベルが上昇しているのです。

と書き、さらにフランスの有力クラブやイタリア、そしてイングランドの中核プレイヤー、7人制ラグビーなどは実質プロであると指摘しています。実際フランスとかイタリア(オフシーズンのオールブラックスの選手がプレイしていたことがある)などはそうだったと言えます。

ただ元々は、日本協会のアマチュア規定、そして企業アマはインチキである、企業アマの選手は文武両道ではないなどと書いていたはずです。なのにいつの間にか、プロを認めて選手の救済をといった形に変わって来ています。中尾氏が企業アマが元々のアマチュアではなく、アマチュア規定にも問題があると指摘したいのであれば、企業アマの問題点やアマチュア規定の再検討、場合によっては撤廃について書くべきでしょう。しかし選手のプロ化にすり替わってしまっています。

確かにこの当時、特に強豪国の選手は最早アマチュアではどうしようもなくなり、プロを認めるようにという声は強まっていました。結局それをそのまま日本にスライドさせ、企業アマはインチキだからやめろ、プロを認めろといった論調になっているように見えます。何だか極端だなと思います。

ならば企業アマをどうやってプロにどのように移行させるのか、それを明記してしかるべきであったかと思いますが、このコラムには詳しく書かれていません。また当時の日本人選手が企業アマを、また外国の選手がアマチュアをどう考えているのか、そういう声も紹介されていません。

あと今野氏と言えば、

日本協会のチャウシェスク(チャウチャウではない、念のため)ことシギー

などと書かれてもいますが、こういうのもどうかと思います。チャウシェスクとは独裁的な姿勢で有名だった、かつてのルーマニアの大統領で、共産圏民主化が進んだ1989年の末に夫人共々処刑されています。

さらにこの後も同じようなことが書かれており、さらに

中国のことわざに「上に政策あれば、下に対策あり」というものがあります。

とありますが、中国を引っ張ってくるのが武将ジャパンの武者さんを思わせます。そして自分の書きたいことを優先させた結果、何か辻褄が合わなくなってしまっているようにも見えます。この点も何となく似通ったものがあります。一応この中尾氏のコラムについてはこれで終わりですが、何かでもう一度書くかも知れません。しかしリーグワンの今、この当時と変わったところもあり、意外に変わっていないなと思うこともあります。

それと武者さん(小檜山氏)と言えば、『どうする家康』の歴史考証の平山優氏がツイッターで、この方のツイに呆れておられましたね。

飲み物-タンブラーの白ビール
[ 2023/04/23 01:45 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

中尾亘孝氏「貧者の核爆弾・企業アマ制度考」について思うこと 3

先日分の続きです。
中尾氏は企業アマをアマチュアと呼ぶのは仕方ないと認めつつも、こう書いています。

問題は、企業アマ制度がスポーツを利用した、企業の宣伝広告の役割を果たしていることです。
だれの眼にも明らかな、アマチュア規則第4条とのギャップ、このギャップをなんとかしなければなりません。第4条を削除するか、チーム名からJリーグのように企業名を取るか、難しい選択です。

企業の宣伝であることは事実ですが、どうも当時のアマチュア規定を殊更に問題化しているように見えます。企業アマを真剣に考えていると言うより、その企業アマとアマチュア規定のギャップを協会叩きに利用している、やはりそういう感じですね。あと
「チーム名からJリーグのように企業名を取るか」
ですが、企業名を取ると、どこがスポンサーになってくれるかということにもなりかねないでしょう。Jリーグはプロ化に当たって地域との密着性を図るために企業名を取りましたが、ユニフォームはスポンサーロゴだらけです。無論今のリーグワンではそれも珍しくありませんが。

その後、企業の業績が傾けば休部廃部の憂き目に遭う、会社の人事で部長や監督などが変わる、トップがラグビー好きだから続いていたものの、そのトップが失脚したりするとその影響が出ると、企業アマのデメリットを書き連ね、さらに

スポーツ文化が貧しく、インフラ(グラウンドなど)が整備されていない日本には、最適のシステムであるように思われます。企業アマ制度の問題点は、それが何十年たっても成熟しない点にあります。企業の宣伝広告のために存在し、会社の福利厚生部門に位置づけられているのですから、成熟を期待するのが間違っているのかもしれません。

と書いたうえで、紙幅がないので稿を改めるとあります。ならば最初から書かなかった方がいいのではと思ってしまうのですが。と言うか、やけに日本のスポーツ文化は貧しいから、企業アマのようなインチキアマがお似合いだと主張したがっているように見えます。
それと成熟かどうかはともかく、企業アマにもそれなりの歴史はありますけどね。

そして協会が企業アマを純粋アマチュアだと抗弁するのは、ラグビー選手が9時-5時終業で会社の営業時間外にラグビーをしているという事実にしがみつくせいだ、文武両道というアレだと言い、彼らは本当に働いているのか、ただ会社にいるだけではないのかとも書いています。何だかこれも失礼だなとは思いますが、その次の箇所

とはいえ、文武両道-パート・タイムの競技者-であることは、プローフル・タイムの競技者ーでないことの証しであることは事実です。

中尾さん、「プロの対立概念はパート・タイム」と書いていたはずなのですが、ここに来てフル・タイムに変わっていますね。

そして文武両道は美しい言葉だが、こういう言葉はしばしば、眉にツバして考えなければいけないとし、こういうことまで書いています。

オールド・ラガーマンの伝記、協会公史、部史を読むと驚くことは、多くのラガーメンが、学生時代はラグビー三昧だったと書いているのです。勉強のことなどはほとんど書かれていません。一種の謙遜かも知れません。でも、現在の彼らの行状を見る限り、知性の欠如、教養のなさ、行儀すらできていないことを考えると、やはりラグビーしかやってなかったのでしょう。これは現在の学生も同じですが。

これもちょっと失礼だなとは思います。少なくとも、すべての企業アマに関わる選手たちがそうであるとは言い切れないでしょう、一体何をもって彼らが
「知性の欠如、教養のなさ、行儀すらできていない」
と決めつけてしまうのか不明です。ならば実例を出してほしいものです。

そして

オールド・ラガーマンが大した勉強もなしに進学し、一流企業に就職できたのは、決して文武両道だったせいではありません。

進学するだけの財政的余裕があった
競技レヴェルが低かった
縁故(ラグビー人脈)採用が当たり前だった

以上のような状況が、どこの馬の骨ともわからぬ人間を、エリートと錯覚させていたのです。

とありますが、実際にそう言い切れるものでしょうか。ここまで言い切れたと言うことは、何か裏付けがあるのでしょうから、それを引用するなり何なりしないと説得力に欠ける気がします。
あと「オールド・ラガーメン」(複数)になっていたり、「オールド・ラガーマン」(単数)になっていたりしていますが、この場合複数で統一していいのではないでしょうか。一応原文ママの形で引用していますが、実際にラガーメンとラガーマンが入り混じっています。それともここで単数のラガーマンと表記されているのは、特定の個人を指しているのでしょうか。
ならば別に「昔のラグビー選手」でもいいでしょう。

そして

現実の問題として、トップ・レヴェルのアスリートは、スポーツの才能故に名門高校、名門大学に進学を許され、一流企業に就職できるわけです、文武両道の「文」の中身は決して問われることはありません。
これは、ラグビー・フットボールで得た名声を利用して、何らかの報酬、利得を得ていることにほかならないわけです。
また、大学生がフル・タイムの専門競技者であることも、言い逃れようのない事実です。
これは、やはりシャマチュアです。どうしても、アマチュア規定を変えざるを得ないと思います。

まず、中尾氏が何かにつけて問題視するアマチュア規定第4条ですが、
「ラグビーフットボールで得た名声を利用して如何なる形式に於いても商業目的の宣伝にたすさわってはならない」
とあり、中尾氏が言うような
「スポーツの才能故に名門高校や大学に進学を許され、一流企業に就職できる」
はまた意味が異なるかと思います。進学や就職は商業目的の宣伝なのでしょうか。マスコミが勝手に騒ぐことはあるかと思いますが。
それから、
「ラグビー・フットボールで得た名声を利用して、報酬や利得を得ている」
「大学生はフルタイムの専門競技者」
にしても、前出の第4条に抵触するかどうかは疑わしいものです。

確かに彼らがこれに書かれている通りならば(というか、今も実際そういう面があるとは思いますが)、決して言葉通りのアマチュアではないでしょうが、そもそもそういうアマチュアはこの時代もういないし、この2つにしても商業目的の宣伝とは言えないでしょう。


飲み物-ポーターとクルミ
[ 2023/04/22 01:45 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

中尾亘孝氏「貧者の核爆弾・企業アマ制度考」について思うこと 2

先日投稿した分の続きです。前回分には1の通し番号をつけています。

さらに中尾氏は「シャマチュア論」という見出しで、プロ化の波を避けようとしていた協会を批判しています。尚ご存知の方も多いと思いますが、シャマチュアとは、偽アマチュアのことです。で、中尾氏はスポーツ選手を以下の7つに分類しています。

  1. 純アマチュア
  2. 企業アマ
  3. ステート・アマ
  4. セミプロ
  5. マルビ(注・○の中にビの字)プロ
  6. プロ
  7. スーパー・スター

すべての説明は省きます。要するに中尾氏が言いたいのは、この企業アマやステート・アマ(旧共産圏のオリンピック選手のように、国家が資金を出すことで生活が成り立つスポーツ選手)はシャマチュアリズムである、それを純アマチュアと主張さえしなければ、アマチュアリズムの疑似概念として認めることができるとしています。

何だか上から目線な感じもしますがそれはともかく。中尾氏曰く、アマチュアリズムとは19世紀ごろの、主に支配層が下層階級の専門競技者に負けることに耐えられず、自分たちの楽しみのためだけにやるものという名目のもと、自主独立性を守ったものであったわけです。無論こういうアマチュアリズムは、20世紀の終わりにはもう消滅しているに等しくなっています。

そこで中尾氏は、だから協会もアマチュアリズムを唱えるのはやめるべきと主張し、日本協会のアマチュア規定第4条を持ち出しています。

「競技者または役員は、ラグビーフットボールで得た名声を利用して如何なる形式の商業目的の宣伝に携わってはならない。チームが団体として行為する場合も同様とする。」
とあるが、ご丁寧にも企業アマはいかん-つまり、シャマチュアであると、自らの首を締めるような規定をしている。
このような矛盾をのうのうと書き記すぐらいですから、文武両道を謳う協会の役員は、ノミの心臓じゃなく、ノミの脳味噌程度の知性の主に違いありません。

この
「ご丁寧にも企業アマはいかん」
ですが、確かに企業チームがロゴ入りジャージーで選手をプレイさせること、試合をTVで流して、会社名を連呼させたりすることは自社宣伝と言えます。また試合の様子を報じる新聞の紙面記事には、かなりの宣伝効果があるとも言われています。

しかしだからと言って「ノミの脳味噌」はないだろうとは思いますが。アマチュアリズムを論じると言うより、協会叩きといった感じです。

それとこの部分ですが、実は同じ「ジャパン幻のキックオフ」の最初の方に、大友信彦氏のコラムがあります。大友氏は自ら小藪氏にインタビューをし、それを基に書いているわけですが、その時の小藪氏の発言にこうあります。

「日本は(中略)もっと世界にはばたかないかん、と思わないいけないと思うんだ。その点では、アマチュアという美徳が、足枷になっている面もある。ジャパンはアマチュアでやれ、といっておいて、各チームは商業主義でやってる面が強いんだから、考え方はスリ合わないよ」

つまり小藪氏も、各チームは商業主義と言っているわけですから、この点中尾氏の主張と共通するものがあります。なぜ中尾氏は、小藪氏のこういう点は評価しなかったのでしょうか。

それからこのアマチュア規定ですが、かなり前に廃止されたはずです。でないと代表選手がビールのCMに出演したりできないでしょう。

それからクラブ運営に関して、

地域に根付いたスポーツ・クラブを!
美しい理念です。Jリーグも、このようなクラブ・システム導入を最終目的としています。ところが、当の本場でもクラブの実態は全く変化してしまっています。
(中略)
極論になりますが、慎ましい町のクラブ・チームでスポーツをエンジョイするというイメージは、幻想にすぎません。
高度資本主義社会では、常に資金源をどこかに求めなければ、クラブの運営は不可能になっています。たとえ全国区の人気があっても、競技収入だけでは予算の50%~60%しか満たすことはできません。どうしても、スポンサーが必要なのです。

「地域に根付いたスポーツ・クラブ」とは、プロのクラブも当然含まれると思われます。その意味で、如何にもアマチュアリズムを思わせる「慎ましい町のクラブ・チーム」と同列に論じるのは難しいのではないでしょうか。あるいは中尾氏が、アマチュアリズムなど今の時代には存在しないと強調したいため、敢えてこう書いたのかも知れませんが。

プロスポーツのクラブが、様々なスポンサーを必要としているのは、この1994年当時でもJリーグが存在している以上、周知の事実だったはずです。またJリーグとは異なりますが、プロ野球もスポンサーあってこそのものです。そのスポンサーは選手のユニフォームにロゴを入れたり、会場の看板、今ならばデジタルサイネージも加える形で、自社の広告活動を行っているわけです。インタビューの時に選手が前に立つ、スポンサーパネルしかりでしょう。

あと、何度か書いていますがご参考までに。リーグワン入りを目指しているクラブ「ルリーロ福岡」は、様々な地元の会社とスポンサー契約を結んだり、トークンを購入して支援して貰ったりといった形で運営費を出しています。

うきは市を本拠地とする新設ラグビーチーム「LeRIRO福岡」がトークンを新規発行・販売開始!
(PR TIMES)

さらに中尾氏は財政難に陥らないため、カルテル組織のリーグを作ることを提案し、その方法が分析されている本を紹介したりもしていますが、要は

「真のアマチュアリズムはもう存在しないから、選手はプロを目指せ!
企業アマはシャマチュアだ!その意味で、協会のアマチュア規定は間違っている」

こう言いたいわけですね。
しかしこの1994年という年は、ラグビーユニオンのプロ化が認められる、オープン化の1年前に当たっており、まだ選手のプロ化に踏み出したわけではありませんでした。プロ化と言うより、アマチュア規定の見直しと企業アマの改善と言った方が、この場合正しいのではないかと思われます。

それから

というか、すべてアマチュアは最高峰のプロフェッショナルを目ざす、あるいは目指さざるを得ないという人間(競技者)の本質を、素直に認めるしかないようです。これを認めれば、プロとアマは対立概念でないことがよく分かると思う。ちなみに、アマとの対立概念はノン・アマ、プロの対立概念はパート・タイム。

アマチュアがプロとなる云々はともかく、ノン・アマというのはあまり聞かない言葉です。ゴルフでプロとアマの中間的な位置づけがそう呼ばれているようですが。それとパート・タイムの対立概念はフルタイムではないでしょうか。「フルタイムのラグビーウォッチャー」らしからぬ物言いです。


飲み物-バーのビール
[ 2023/04/21 01:45 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

「快楽的スタジアムの方程式」2

前回の続きです。この『ジャパン幻のキックオフ』が出版された当時の、国内の「快楽的香りがある」スタジアムとして、

茨城県立カシマサッカースタジアム
栃木県グリーンスタジアム
東平尾公園球技場(現・ベスト電器スタジアム)

が挙げられています。

まず鹿島アントラーズのホームである、カシマサッカースタジアムですが、日本で初めて全席に屋根がついたスタジアムとされており、劇場というコンセプトで設計されたことが、観戦する上でいい雰囲気を作り出していると書かれています。

次に栃木県グリーンスタジアム、メインスタンドの上段部分にのみ屋根があり、周囲との風景に溶け込んでいて美しいと評価されながらも、広範囲を屋根が覆っていない点、そしてJR宇都宮駅から車で30分の立地なのに、この時点でラグビーの試合が殆どない点に言及されています。尚ここはJ2の栃木SCのホームですが、Jリーグの条件を一部満たさないため、今はカンセキスタジアムとちぎが本拠地となっている由。

そして東平尾公園球技場。今はベスト電器スタジアムとなっており、J1アビスパ福岡のホームです。またリーグワンの九州電力キューデンヴォルテクスも、ホストゲームでここを使っています。このコラムによれば、コロセウムのような円形劇場を目指したとあり、メインとバックの両スタンドに、照明が組み込まれた屋根がかかっています。

そして基本的三原則として

観やすさ(グラウンドからの距離の近さ、キャパシティに応じてスタンドをダブル・デッカーにし、最適な視覚を確保)
居心地のよさ(全席に屋根、そして質の高い座席)
親切であること(ビデオスクリーン、照明の設置、十二分な数のトイレ)

といったことが指摘されています。
実際問題、今のリーグワンに於いてさえ、これらの条件を満たしているスタジアムは限られていると思います。前出Jリーグの基準のように、リーグワンも、試合を開催するための基準を固めるべきではないでしょうか。

さらにその後に、国立や主だったラグビー場の改修案があります。無論この中には、新しくなった国立競技場をはじめ、いくらか改善されたスタジアムもあるのですが、まだ上記の条件を完全に満たしているとは言えないようです。

それから数日前、私は歴史のあるラグビー場に、すべてを覆う屋根がないのは経験者目線ではないかと書いています。つまり選手が雨に濡れている時は、自分も濡れながら観戦するべきといった発想が、屋根のあるなしに関係してくるのではないか、そのように思ってしまうわけです。特に昔の代表経験者、協会首脳部などの意見が通りやすいスタジアムには、あるいはそういう意見が反映されやすいのかとも考えてしまいます。

しかし観戦するのは、何もラグビー経験者の特に男性だけではありません。経験者でない女性や子供、高齢者ももちろん観戦するわけで、その場合は、レインポンチョ(雨合羽ですね)を着ているとは言え、雨で体を冷やすのが、健康上のリスクを高める人もいるでしょう。その意味で、一部だけでも屋根がつけられたのは評価できますが、願わくばすべての席、最低でもメインとバックそれぞれのスタンドにつけてほしいところです。

またこれもこのコラムで指摘されていますが、FIFA、国際サッカー連盟のスタジアム建設指針として
「観客席の3分の2以上に屋根を付ける」
とあり、これが90年代以降、特にサッカースタジアムで屋根付きが増えた一因と思われます。

スタジアムの改修については、宿沢広朗氏の著書『テスト・マッチ』のデベンチュアも紹介されています。英国では協会がデベンチュアという社債のようなもの(元々デベンチュアは債券の意味)を発行し、購入した人がテストマッチのチケットの購入権を得るという仕組みになっています。

ただこれには英国ならではの事情もあるようです。日本と異なり、チケットはラグビークラブのメンバーに販売されるため、クラブ会員でない一般人はチケットの購入ができず、それを考えてのデベンチュア制度とも受け取れますし、今はどうなっているのかはわかりません。今ならばデベンチュア購入だけでなく、クラウドファンディングなども可能でしょう。

それからヨーロッパや英国の主なスタジアムの、グラウンドとスタンドの配置や設計について書かれたサイモン・イングリス氏の著書も紹介されてます。このイングリス氏の本は、実は私も持っています。今度引っ張り出してこようかと考えています。

さらに試合会場の飲食ブースと快楽度についても、飲食ブース、特にビールとの関係に関して、香港スタジアムやフランスの例が引き合いに出されています。元々ラグビーの地域クラブがなく、(ビールを楽しめる)クラブハウスの概念も日本にはないが、試合の余韻を楽しめる要素も必要とも指摘されています。ただこの飲食に関しては、トップリーグ以後はかなり改善されています。

リーグワンやテストマッチの会場では、周囲に食べ物、通称スタジアムメシや飲み物を売るブースやキッチンカー、さらにグッズ販売のテントなどもあり、この点は快楽度が増したと言っていいでしょう。確かに飲食物、特にビールと試合のセットが根付くまでには、それなりの時間を要したと言えそうです。そして実際外国のファンはかなりの飲ん兵衛です。2019年のワールドカップで外国人ファンによるビールの消費量が半端ないのを見て、それを実感した人もいるのではないでしょうか。無論これは、アルコール分解能力の違いもありますが。

最後に、このコラムの著者は平野ゆり氏というライターの方です。自身のフェイスブックのページをお持ちのようで、フェイスブックでの検索、あるいは検索エンジンで「平野ゆり ラグビー」などのキーワードを入れると、当該ページはヒットするはずです。それからこの中の中尾氏のコラムについても、今後書いて行こうと考えています。

しかし、ラグビーひいてはスポーツインフラを採り上げていること、今なおここで指摘されている問題は継続中という点で興味深いコラムです。このコラムだけでもいいので、デジタルデバイスで読めるようにならないかと思います。
(2023年4月19日一部加筆修正)


飲み物-ビールと夜景
[ 2023/04/19 01:45 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

リーグワン第15節結果と入替戦その他

ラグビー関連情報です。

まずリーグワンの結果です(赤文字勝利チーム)。

D1
東芝ブレイブルーパス東京 52 - 19 三菱重工相模原ダイナボアーズ
花園近鉄ライナーズ 34 - 33 コベルコ神戸スティーラーズ
横浜キヤノンイーグルス  9 - 11 東京サンゴリアス
埼玉ワイルドナイツ 25 - 44 静岡ブルーレヴズ
ブラックラムズ東京 34 - 36 トヨタヴェルブリッツ
グリーンロケッツ東葛 17 - 59 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

D2
豊田自動織機シャトルズ愛知 13 - 14 三重ホンダヒート(D2-M33)

D3
スカイアクティブズ広島 29 - 25 中国電力レッドレグリオンズ(D3-M28)
NTTドコモレッドハリケーンズ大阪 35 - 33 九州電力キューデンヴォルテクス(D3-M27)

ちなみにD1-第15節、D2―順位決定戦、D3-第14節です。またこれにより、D1でダイナボアーズの10位(入替戦対象)が決定的となっています。一方D3は、ウォーターガッシュが3位となりそうです。

まず、ワイルドナイツが敗れるという大波乱です。リーグワンでは初めての黒星となります。それから、ライナーズが終盤に来て初勝利となりました。

その他にも16日は悪天候により、ブラックラムズとヴェルブリッツのキックオフが延びたり、また後半で一時的に中止となったりしていますし、グリーンロケッツとスピアーズの試合も、雷のためハーフタイムが多めに取られています。

それと思うのですが、秩父宮ラグビー場、もうすぐ新スタジアムができることになりますが、今まで屋根はつけられなかったのでしょうか。今日の悪天候を見るとやはりそう思ってしまいます。寧ろ地方のJリーグと兼用のスタジアムの方が、屋根付き、そしてスタンドが何層かに分かれているなどで、雨の日でも快適に観戦できるようになっています。

歴史のあるスタジアムほど屋根なしというのに、先日書いた「経験者目線」が何となく窺えるような気がします。これについてはまた機会があれば。

飲み物-グラスビールと泡
[ 2023/04/17 01:45 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)
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aK

Author:aK
まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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