『真田丸』とはあまり関係なさそうなタイトルで恐縮ですが、「安心毛布」とか「ライナスの毛布」という言葉があります。これは『ピーナッツ』で、いつもくちゃくちゃの毛布を引きずって歩いている、ルーシーの弟ライナスに由来しています。
彼にとってこの毛布は心のよりどころであり、毛布がないと途端に元気がなくなります。そんな弟をどうにかしようと、ルーシーが強制的に毛布を取り上げたりしたこともありますし、スヌーピーに至っては、毛布をスポーツジャケットに仕立ててしまったこともあります。実はこの時は、彼が毛布離れするいい機会でもあったのですが、チャーリー・ブラウンが責任を感じて、新しい毛布を与えたため、元の木阿弥になってしまいました。
さて第23回は、小田原征伐ということもあって、上杉主従が久々に登場した回でもありました。この上杉家においては、行政全般のみならず、安全管理、いわばセキュリティも直江兼続に一任されているようで、そのため兼続はネット上では「セコム」の異名でも親しまれています。真田信繁に対しても、景勝は扱いが穏やかで、しかもかなり心を開くのに対し、兼続はこの真田の倅を、どこか冷ややかな目で見ています。
同時にこの兼続は、お屋形様である景勝にとっては、このうえなく頼れる相手、家臣中の家臣でもあり、むしろ兼続がいないと困る部分もあるようです。彼はセキュリティの要であると同時に、お屋形様にとっては安心毛布なのかもしれません。無論上杉家のみならず、徳川家康にとっての爪噛みとか、真田昌幸にとっての胡桃などもある意味そうであるように見えます。そういえば家康の爪噛み、復活させてほしいです。
一方でライナスは、この毛布を武器のように使って木の枝を折ったりしていますし、毛布そのものが意志のある人間のように、何かと口を挟むルーシーめがけて襲いかかったりもしています。つまるところ安心毛布は、自分を守ってくれる存在という意味では、セキュリティの要であるともいえそうです。それを考えると、家康にとってのダブル本多も一種の安心毛布といえるのかもしれません。しかし真田昌幸の場合に限り、息子や家臣がいるものの、自分自身がセキュリティの要であるように見えて仕方ありません。