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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
ベイカー寮221B/Baker House 221B TOP  >  ピノキオの冒険

ノートン先生とアドラー先生とホームズ

パペットホームズ関連で、この人物だけはそう詳しく書いていませんでした。ということで今更感もありますが、一応書いてみます。この美術のノートン先生、言うまでもなく『ボヘミアの醜聞』のゴドフリー・ノートンをモデルにしていますが、ビートン校の先生たちの中では、比較的ホームズとは馴染みが薄い先生です。そもそも、彼女である保険教諭のアイリーン・アドラー先生が、このホームズと親しげにしていること、ホームズ自身のいわば探偵ごっこが気に入らないことが、理由として挙げられます。ノートン先生は正にその『ボヘミアの醜聞』が原作の、「困った校長先生の冒険」でホームズと出会いますが、実際にホームズの捜査に関わるのは、「赤毛クラブの冒険」(赤毛クラブの部長であるはずのダンカン・ロスが、実は美術クラブの部員であるため)と「青いシロクマの冒険」ですが、どちらもサブタイに色がついているところが、美術教師絡みの事件であることを思わせます。

Godfrey Norton
(『シャーロック ホームズ』冒険ファンブックより)

しかし後者の「青いシロクマの冒険」、これはノートン先生自身が事件に関わっていました。順を追って行くと、

アーチャー寮の生徒で女番長のイザドラ・クラインが、ホームズたちの部屋、即ちベイカー寮221Bの前にぬいぐるみを置く
それをノートン先生が目撃し、声をかけるがイザドラは逃げて行ってしまう
ノートン先生は、アドラー先生の誕生日にそのぬいぐるみをプレゼントするが、突き返され、その後学校のバザーに出してしまう
アーチャー寮のインド人留学生アブドラがそれを手に入れるが、彼の目的はそのぬいぐるみをヨガ用のクッションに使うことだった
しかしアブドラが寮の屋根でヨガをしていた時に、そのぬいぐるみが落ちてしまい、「赤毛クラブの冒険」にも出て来たジェイベズ・ウィルソンがそれを拾うが、イザドラの手下のガルシアとヘンダーソンに追いかけられ、ホームズたちに助けを求める

ということで、ホームズがそれを逆に辿って行った結果、イザドラがワトソンへのラブレターを忍ばせたぬいぐるみだと言うことがわかります。そのラブレターを読まれては大変と、イザドラが必死になって探していたわけです。
しかし生徒から没収したのを、彼女の誕生日のプレゼントにしたり、バザーに出したりというのもどうかとは思いますが…尚ノートン先生は、ホームズが学校を去る日にはアドラー先生共々不在でした。そのような中、ホームズ自身は去り際にアドラー先生の幻を見ます。しかし当然というか、ノートン先生のことは頭の中にはなかったようです。

このホームズとアドラー先生の関係について、少年が大人になるための試練という投稿で書いています。最早幼くもなく、かと言って大人でもない(これはホームズがシリーズの最初に「(自分は)子供じゃない」と言い、最終回で「子供だ」と言う辺りによく表れています)少年と、『ピノキオの冒険』などに見られる、母を模した、しかし必ずしも優しいだけではない女性の存在についてのものです(尚その時々の投稿で、『ピノキオの冒険』の妖精の解釈がいくらか違うことを、ここでお断りしておきます)。ともあれ、このアドラー先生の幻というのはかなり暗示的です。この時一度退学したホームズは、やはり退校処分で社会人となったジェファーソン・ホープに迎えられて、大人の世界へ旅立ちますが、もう一度アドラー先生のいる世界に戻ることはあるのでしょうか。それは三谷氏次第となるのかもしれませんが、どのような心理状態で戻るのかを描いてほしいなとは思います。

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[ 2020/05/06 00:45 ] パペットホームズ | TB(-) | CM(0)

少年ホームズに取ってのアドラー先生とは

少し前に成長物語としてのホームズそしてピノキオという投稿をしています。実はその記事の方にもリンクを貼っており、そのリンク先「少年が大人になるための試練」では、カトリック圏での聖母信仰に触れています。『ピノキオ』とか『母を訪ねて三千里』などは、正に母なる存在を求める少年のイメージともいえます。(『ピノキオ』は「女神信仰」と結びつくという説もあり)そして、そのピノキオに鼻の形がそっくりなパペットホームズの主人公も、カトリック圏の話ではないとはいえ、ベイカー寮の寮母ハドソン夫人と、保健室のアイリーン・アドラー先生の2人の女性と常に接しています。

特にこの人形劇の場合は、保健室がホームズたちの溜まり場になっている印象があるため、よけいにこのアドラー先生と接する機会は大きいといえます。ではそのアドラー先生は、『ピノキオ』の妖精のように、ホームズに対して慈悲深い存在かというと、実はそうでもないのです。この場合の母親的存在は、ホームズのことを「シャーロック」と呼び、勝手に部屋(221B)の掃除をし、自分が焼いたクッキーを振舞いたがるハドソン夫人の方でしょう。

ではこのアドラー先生はどうかというと、単に保健室の先生というよりは、時と場合によっては、ホームズを抱きしめたり、あるいは鼻をぴんと弾いたり、「はい、あーんして」と、蜂蜜を食べさせたりといった感じで、何やら疑似恋人のような雰囲気も漂います。無論アドラー先生には、ノートン先生という恋人がいるわけです。しかしその前にオルムシュタイン校長と不倫の関係にもなっており、さらに奥さんと分かれなければ写真を見せると脅したりで、いささか一筋縄では行かない人でもあります。ちなみに蜂蜜は、ホームズが後に養蜂家になるという視点からのものです。そもそもこの保健室には蜂蜜以外まともな薬が(酔い止め以外)なく、その点で驚きなのですが、先生は、殆どの生徒は仮病だからとすましたものです。

さらにホームズの方も、先生が部屋を訪ねて来た時に大急ぎで片づけをしたりと、日頃女性に関心がない振りをしつつも、彼女に対しては特別な思いがあるようです。ただし最後の最後、ホームズが一番助けを求めている時にこの先生は不在で、しかも新婚旅行に出かけているということを聞かされます。しかも相手はノートン先生ではなさそうです。ホームズにしてみれば心が折れるような経験であり、それでもというかそれだからというべきか、学校を去って行く時に先生の幻を見ます。アイリーン・アドラーはホームズに取って永遠の女性ともいわれ、また知性においてホームズを出し抜いたともいわれますが、このアドラー先生は少年に取っての憧れの存在であると同時に、肝心な時に彼を(自立の目的も込めて)突き放す存在でもあるようです。

ところでホームズの兄マイクロフトもかつて仮病を使っており、保健室を出て行く時にたまたま来ていたホームズを見て、あけすけに「弟は先生が大好きで」などと言っており、その時にアドラー先生は、やはり兄弟だったのねと再確認する設定になっています。実はこの兄弟には確執があるのですが、それはここでは省略します。ちなみに『ミス・シャーロック』についても以前投稿していますが、この時のマイクロフトに相当する役は小澤征悦さんが演じています-この人は『篤姫』の西郷吉之助よりこちらの方がいいと思います。

Irene Adler
パペットホームズのアイリーン・アドラー(『シャーロックホームズ』公式サイトより)

[ 2018/11/05 01:00 ] パペットホームズ | TB(-) | CM(0)

成長物語としてのホームズそしてピノキオ

パペットホームズ関連です。3年以上前ですが、少年が大人になるための試練という投稿で、この人形劇のホームズが、特に鼻の形がピノキオにちょっと似ていること(三谷氏が意図的に似せたともいわれる)、また外見のみならず、様々な意味で慕う女性がいるという点、そして、様々な経験を重ねて成長して行く点などに言及しています。生憎このシリーズの第2弾はまだ放送も制作発表もされていません。既に転校生のワトソンに出会ってから、徐々に変化が訪れるようになっていたものの、学校を出て行ったホームズが、またどのように変化しているかを見たい気持ちは山々ですので、どうにかならないかと思っています。

シャーロックホームズ 
NHK ONLINE『シャーロックホームズ」サイトより
(現在は削除)

ところで前出の投稿にも書いていますが、このピノキオが登場する『ピノキオの冒険』も要は成長物語です。ただし名作童話や絵本関係では、その成長過程がかなり省かれています。この話自体、その当時の世相(イタリアでの)を反映した側面もありますので、ある程度の年齢になってから読む方が、むしろふさわしいかと思います。個人的に英語ではありますが、パフィンのシリーズで読んだのはかなり完璧でしたし、日本語でも少年文庫シリーズなどから出ているのはそれに近いです。無論絵本で予習して、その後きちんとしたのを読むという方法もありますが。それにしても、第2弾放送されないものでしょうか…。今回はちょっとしたぼやきになりました。

[ 2018/09/18 01:15 ] パペットホームズ | TB(-) | CM(0)

少年が大人になるための試練

久々に(汗)パペットホームズ関連です。この人形劇のOPのテーマは、既に以前にも書いていますが、Nanoの”Scarlet Story”です。通常流れるのは1コーラスのみですが、2コーラス分もあり、そちらでは、「もつれた糸を解きほぐす知恵を下さい」という意味のフレーズがあります。つまり少年ホームズは、まだまだもつれた糸を解きほぐすだけの知恵が、自分にはないと言っているわけです。大人になる前の時期に、大人並みの事件解決を要求され、本来彼にとっては全身全霊を傾けられるはずの推理でありながら、その対象や解決方法によっては、やはり少年らしく苦悩する姿が窺えます。

以前、ホームズを見かけの面のみならず、成長過程において様々な経験をするという点で、『ピノキオの冒険』になぞらえたことがあります。ピノキオの冒険というのは、少年向きだとそこまで描かれていないかもしれませんが、周囲の大人が結構ひどいし、妖精(仙女)も必ずしも優しい存在ではないわけです。ホームズも、ビートン校の先生たちからはよく思われておらず、密かに慕うアドラー先生も、何かちょっと不思議なところがある。しかも最終回では、鍵がかからないはずの保健室に鍵がかかっていて、もちろん先生はいない。ただホームズにはワトソンがいるけれど、ピノキオにはそういう存在がない分、善行を働いて、人間になるために努力することへの負担が大きいともいえます。もちろん彼の場合は、推理の仕事はないわけですが、その代わりあらゆる場面で操り人形と見られ、ある種差別を受ける。この物語を社会風刺という人もいますが、子供が大人になるまでの苦悩の物語と見る事もできるでしょう。

西欧世界の場合、子供というか少年が大人になるには、ドラゴンを退治することが通過儀礼であり、母親離れであるとされていました。そのためか、少年が主人公の物語には、あちこちをさすらって辛い思いをしながら、最終的には人間的に成長するというものが結構あります。『家なき子』しかり、『母をたずねて三千里』しかりです。そして『ピノキオの冒険』もそうですが、常に母を模した女性の存在がある。これはラテン文化圏=カトリック=聖母信仰と結びつくのかもしれませんが、ホームズの場合もアドラー先生とハドソン夫人という、タイプの異なる女性が常にいるというのは、この設定は少年物には避けられないテーマなのでしょうか。イギリス(以外もですが)の寄宿学校の生活も、厳しさという意味で若干似た物があるかもしれません。これについては、『トム・ブラウンの学校生活』などが参考になるかと思います。舞台はラグビー校です。ちなみに『母をたずねて三千里』は、元々『クオレ』の中に登場する物語ですが、この『クオレ』がやはり少年の成長物語であることも興味深いです。

飲み物-コーヒー
 
[ 2015/11/16 01:28 ] パペットホームズ | TB(-) | CM(0)
プロフィール

aK

Author:aK
まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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