第34回の『武将ジャパン』大河コラムその4です。
前回、寧々が秀吉の横にいて、数正に説明セリフを吐く場面がありました。
今週はレーシックお愛が怪しい草を持ち込む場面もありました。
ああいう女性の発言場面はありなのかどうか?
戦国時代の女性は、江戸時代に低下した女性の発言権とは異なり、情勢を左右していたとはされます。
とはいえ、男女が別れているという建前があったのが戦国時代でしょう。
また「説明セリフ」。嫌いなドラマのセリフはすべて説明セリフのようですね。「説明」の要素がある程度入らないと、ドラマは成り立って行かないかとも思いますが。
この時の寧々はまず夫を牽制し、そして自己紹介をしたうえで夫をフォローし、数正の妻への贈り物を渡しています。妻としてごく自然な態度であるかと思いますが。
それと「レーシックお愛の怪しい草」
本当にこの書き方どうかと思いますね。於愛は評定中であることを敢えて承知で入って来て、戦無き世は他の人でもできるのではないかと言い、後を引き取る形で忠次が、数正の思いを伝えようとしています。
尚於愛は押し花を見つけた時、明らかに視力がよくない人だなと思われる物の見方をしており、この意味で「レーシック」呼ばわりするのは正しくありません。
さらにその後
女性が仲介役になって物事が動くことはありますが、そうはいっても、男のいる場で正面突破するのではなく、書状を用いたり、侍女に言伝をしたり。
おもてなしやら何やらで話す機会を設け、そっと意図を伝えるといったやり方が自然なアプローチです。
とありますが、ならば『麒麟がくる』の駒は何であったのかと、正直思わなくもありません。
その後最上義光の妹の義姫(お東の方)についてあれこれ書かれていますが、ここでは省きます。
そしてまた逆張り。
このドラマは逆張りが好きだから、そういう描き方が嫌なんですかね?
それともただの認識不足でしょうか。歴史は、城や武将に詳しければよいだけではなく、こういう思考のあり方やジェンダー観も重要ですよね。
こういうジェンダー観、武者さんがあまり好きではなさそうに思うのですが…。ならば瀬名が築山に今川氏真夫妻や穴山梅雪、千代らを呼び寄せて戦無き世の相談をしたのも、見方によっては
「男のいる場で正面突破するのではなく」
「おもてなしやら何やらで話す機会を設け、そっと意図を伝える」
に他ならないかと思いますが、武者さんにはあれがカルトにしか見えていないのですね。
まあこれも「好きな大河」ならよしとするのでしょう、この人の場合、結局はそれですから。
『鎌倉殿の13人』の北条政子は、そういう使い分けができていました。
頼朝から政治に口を出すなと言われているけれども、彼女なりのやり方で御家人たちの緩衝材になろうと努めます。
彼女が不満を聞いて、慰めているとわかります。プライベートで団欒を楽しむような場面でも、政子は人をなだめつつ、助言し、状況の把握につとめていました。
だからこそ坂東武者たちは「御台は素晴らしい、信頼できる」と語り合っていた。
その政子も、義時から理想論を言うなと諫められていたことがありましたし、御家人たちの働きがあったからこそ、彼女が尼将軍として表舞台に立てたと言えるのではないでしょうか。
それがこのドラマの女ときたら、お菓子、コスメ、男の話ばかりではしゃぐのが大好き。
そうかと思えば、唐突に瀬名と千代がカルト構想を持ち上げるとか、要はジェンダー観が昭和なんですよね。
ひとつ思うのですが、武者さんは言葉遣いからして女性と思われます。
今まであまり面識のない女性同士が話をする時、どのような話題から入って行くでしょうか。その当時のことですから、今のようなエンタメもなく、どこかに行くにしても制約があります。
たとえば瀬名と於愛のように『源氏物語』、あるいは和歌などから共通の話題を見つけるということもあるでしょう。しかし一般的には、化粧品の話、あるいは自分の夫の話などを、お菓子を食べつつ話すのが女性の社交であるとも言えるでしょう。実際『真田丸』でも、寧(寧々、北政所)、茶々そして阿茶局がお菓子を食べていましたね。
『真田丸』録画より
その後今度は昭和の専業主婦とオカルトの接点についてどうこう。
そんなにカルト認定したいのなら、別のコラムでやってください。武者さんは大河コラムを書いているつもりなのかも知れませんが、関係のない話が多すぎです。しかもその話を叩き棒にしているし。
武衛=『鎌倉殿の13人』のファンのみなさん、お元気ですか?
朝ドラ『らんまん』は、武衛好みの俳優を揃えています。
例えば実衣役の宮澤エマさんが活躍中ですし、ラスト一ヶ月では畠山重忠を演じた中川大志さん、江間次郎を演じた芹沢興人さんが出演します。
鎌倉もとい、いざ、らんまん! 是非ともご覧ください。
◆「らんまん」中川大志 4年ぶり朝ドラ出演!神木隆之介と共演「断る理由ありません」図鑑発行のキーマン(→link)
貴方、『らんまん』のPRをしたいのなら、noteの方でやっては如何ですか?朝ドラはあちらでやっていますよね?場違いだと思います。
朝ドラに他意は抱いてなくても、こういうのをわざわざ出してくること自体、このコラムに真剣に向き合っていないなと思います。ならばもうやめて貰いたいです。
「ネット」+「なんとか」は終わった
視聴率ではワースト2位の惨敗に終わることが有力で、もはや敗戦処理感のある本作。
となると定番の「ゴマカシ」が跳梁跋扈します。
「ネットでは」という言葉であり、いかにも「わかる人にはわかるんだ」とでも言いたげな主張ですね。
例えば以下の記事がそうでしょう。
◆ 大河ドラマ『どうする家康』が若者世代を繋ぎ止める?ドラマ評論家・木俣冬が教えるNHKの仕掛け「二次創作化の世界に入ってきている」(→link)
◆佐藤浩市「どうする家康」に圧巻の初登場 真田昌幸の“ニンマリ”クセモノ感にネット沸く(→link)
武者さんが好きな『鎌倉殿の13人』もネットではの記事は多かったのですが。
そして何度も言うようですが、昨年あれだけ書いていた
「NHKプラスの再生回数も多いようです」
が、今年は鳴りを潜めているのはなぜですか?
U-NEXTのオンデマンドについて書いてもいいのでは?
結局こういうのを書くと、自分に取って都合が悪いから、そのようにしか思えませんね。 そして武者さん、木俣冬さんお嫌いですね。
それからこの間、若い世代が観ているという分析があっても、当てにならない、動画再生でもしているのだろうといったことが書かれていましたが、その動画再生がNHKプラスの可能性もあるかも知れませんよ。
それと2022年9月第1週の大河世帯視聴率は11.9パーセント、今年は(つまり第34回)11.6パーセント、0.3パーセントしか違いません。
そしてツイッター(X)のネットの声観測は古いだのなんだの。で、こういう記事のリンクを載せています。
◆「Twitterは距離感バグったおじさんだらけ」Z世代はインスタで社会問題を発信(→link)
若者世代の声を「Xなんかで拾うなよw」ということですね。
記事の骨格やタイトルにする土台がすでに崩れている。
ハッシュタグを底視聴率の逃げ道にしていた『平清盛』や『いだてん』の時代とはもう違います。
距離感のバグもわかる気はします。
ならば武者さんも嫌いなツイッターを止めて、インスタでやってみてはどうかと思いますが。
そして
「ハッシュタグを底視聴率の逃げ道にしていた『平清盛』や『いだてん』の時代とはもう違います」
「底」ではなく「低」視聴率だと思われますが、それはさておき。要はハッシュタグをつけて皆が盛り上がるファンダムが嫌いなのだということでしょうから、そう書けばいいのにと思います。
でも『いだてん』は最初は褒めていましたよね?
こちらの記事を読んでいて、色々と腑に落ちました。
◆ジャニーズ擁護を頑張る人々:ロマン優光連載255(→link)
よくわからないのですが、「実話文化オンライン」なるサイトのようです。
そしてまたここでジャニーズがどうのこうの。
で、
『どうする家康』はジャニーズ主演ドラマです。
応援しているアカウントは紫色のハートマークを使うことも多い。主演のファンを示すものだと言います。
そしてファンであるからには、作品を褒めるのは自然なことかもしれません。
私はむしろ「こんないい役者にダメな台本を渡すな!」とイライラするタイプですが、そうでない人の方が多いでしょう。「動く推しが見られればいいんだよ」という心理ですね。
問題は、そういうファン層に迎合しつつ、歴史知識を披露して、主演をやたらと褒めそやし、批判者を叩いてスッキリしている層かもしれません。
「こんないい役者にダメな台本を渡すな!」
何を持ってダメな台本と言い切れるのでしょうね。
ならば、武者さんが自分で台本を書いてみて、視聴者の反応を見ては如何でしょうか。そう生易しい世界ではないと思いますが。
そして
「問題は、そういうファン層に迎合しつつ、歴史知識を披露して、主演をやたらと褒めそやし、批判者を叩いてスッキリしている層かもしれません」
実はこの後にこうあります。
『どうする家康』は、ダメな歴史学あるある現象も起こしているので気をつけた方が良いと思います。
たとえば「森蘭丸」を「森乱」と表記した。
その一点突破でもって新説採用だとはしゃぎ、ドラマがおかしいと批判する層に対してマウント取ったりする。
しかし、森蘭丸についてはもっと深く考える必要性があるのでは?
「ラン」という音になぜ「蘭」があてられるのか?
花のような美少年であって欲しいという願望ゆえじゃないか。そういう歴史と伝承、文学を読み解くのも大事な要素のはずです。
何だかなあ…こうなるともう平山優氏叩きですね。
先日投稿分でも、制作や出演者の人々に失礼なことを書いていると私は指摘しましたが、考証の人に対してもかなり失礼な態度を取っていると見て差支えないかと。
たとえば『信長公記』などは「森乱」ですし、『近江蒲生郡志』なども「森乱」とか「森乱丸」などと記載されています。しかもこういうのを見る限り、特に信長の色小姓だったなどという記載もありません。
「そういう歴史と伝承、文学を読み解くのも大事な要素のはずです」とありますが、それを持って一次史料を否定していいものではありません。
ならば「蘭丸」とはっきりわかる史料を武者さん自身が提示してください。
で、
「新説はアリバイやマウントの道具ではありません」
武者さんに言ってほしくありませんね。
たとえば今回の感想で、私は給湯室のOLじみた描写は差別的だから不愉快だということを書きました。
それを読んで一定数、こう思う人がいることも予想できます。
「フェミニストみたいなこと言いやがってw」
それはそうです。私は北村紗衣氏の著書でフェミニズム批評を学んでいるところでもありますので、全くもってその通りとしか言いようがない。
夫と離縁させられて、人質となった女性が、その当時なかなか手に入らないような南蛮菓子や白粉を、輿入れ先の女性たちに勧め、無理やりにでも明るく振舞おうとしているのと、「給湯室のOL」と同一視するべきでしょうか。単にこのシーンが気に入らない、あるいは『どうする家康』が嫌いだから、そのように見たがっているようにしか思えません。
ただ、それが気に入らぬ人は一定数いて、そういう方たちがどんな行動に出るか?というと、たとえば私が評価している『麒麟がくる』を貶めようとします。
「こいつは寧々だの愛をケチつけているけど、駒ちゃんが義昭と喋っていたのは無視かよw タブスタかよw」という具合ですね。
こういうことを書き込んでしまう方は、ある傾向があります。女性差別、ミソジニーです。
駒は、明国由来の医学知識を身につけた将軍の侍医です。義昭と二人きりの場面はあくまで私的な場であり、他の男性が混ざっている公式の場ではありません。
好きですね、決めつけたがりますね、ミソジニー。それを言うなら、「私が評価している『どうする家康』を、この人は貶めようとしている」という見方をする人がいてもおかしくないでしょう。
私も駒については、この投稿の上の方で書いています。寧々や於愛にああ言って、駒は不問に付すのは不自然です。「将軍の侍医」であると主張するなら、どこでどのようにしてそうなったのか、その経緯をここできちんと説明してほしいですね。あれではどう見ても側女か、あるいは秘書的役割にしか見えません。
それに本来将軍の侍医であれば、法院とか法眼などの称号を持っているものかとは思いますし、当時の女性はそれが無理であったとしても、もう少し将軍家に於いて、女性が医師であることのしがらみ、人間関係などが描かれてしかるべきだったかと思われます。
それに侍医ということが重要。東洋の「上医」は天下を診るとされた。
病人の絶対数を減らすには、社会基盤を頑丈にすることが効果的です。
医者ならばインフラ整備や貧困層の実態を実地で学んでいる。その観点からアドバイスができると考えられていたのです。
将軍が侍医に、世の中をより良くするにはどうすればよいのか尋ねても、全く問題はありません。
しかしそれは政の分野であり、特に侍医に相談するべきことなのか少々疑問ではあります。
そして、昭和平成レトロおじさんあるあるとして自分より経験豊富で賢い女性でもちゃんづけ、社長の親族女性相手にはそんなことはしない、そういうそういうレトロなミソジニーに骨の髄まで浸かった人というのは、自己の主張を正当化するものに飢えています、なのだそうで。
ミソジニーに合致するものを見ると、たとえくだらないものでもむしゃぶりつきます。
『どうする家康』って、そういうミソジニーには迎合するんですよね。そういう層に媚びてもこの先道はないでしょうに。
武者さんは否定するのでしょうが、『どうする家康』のメインの視聴層は若い世代だという分析があります。というか、自分が嫌いな作品は、何でもかんでも自分が嫌いなレトロおじさんが好きに決まっている、そう思いたくて仕方がないのでしょうね。
そしてこの後もまたジャニーズ云々。結局社長が交代し、今後是正する方針となるのでしょう。私は特にジャニーズのファンというわけではありませんが、こういう時にタレントや俳優のみが矢面に立たされ、またマスコミが過熱気味に騒ぐのは疑問です。
李下に冠を正さず
瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず。陸機『君子行』
瓜畑では靴が脱げても履き直さない、季の木下では冠を直さない。世間の人から怪しまれるようなことをするなってコト。
この間の桃李成蹊の続きなのか、今回はスモモが出て来ないのにこの諺ですね。ジャニーズ問題を皮肉っているのでしょうが。
しかしそもそも武者さんは、ジャニーズ事務所の前社長の人道的問題を叩くと言うより、『どうする家康』で、ジャニーズ所属俳優を叩きたいから、渡りに舟といった具合で叩いているようにしか見えません。それを言うのであれば、『麒麟がくる』の風間俊介さん、井上瑞樹さん、そして『鎌倉殿の13人』の生田斗真さんにも言及してしかるべきと思います。
尚私は、この3人の俳優さんもしくはタレントさんは特別ファンというわけではありませんが、別に嫌いではありません。
おまえら、いけしゃあしゃあといいかげんにしろ!
そうお怒りであれば、意見は「◆NHK みなさまの声(→link)」に送りましょう。
『漢書枚乗伝』にあるように、雨垂れ石を穿つ、と申します。
「おまえら、いけしゃあしゃあといいかげんにしろ!」
同じことを、武者さんに対して送りたくなってしまいます。おまえらじゃなくておまえですか、この場合。このコラムをNHKの関係者がご存知であれば、そのように思っているでしょう。
そして平山氏も呆れておられましたね。
では「雨垂れ石を穿つ」ですから、ささやかであったとしても、支持する旨のメールを送るとしましょう。尤もこの次は日本とチリの試合で、久々の「信長公」登場ですが。
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