クリスマスももう終わりですが、英連邦諸国の場合は26日にボクシング・デーというものがあります。この日はクリスマスに働いた人々をねぎらう日ですが、元々は聖ステファノの殉教の日です。 八木谷涼子氏の『キリスト教歳時記』これが後に公共に奉仕する人々、つまりクリスマスでも仕事をする人に心づけやプレゼントをする日となりました。
『ウェンセスラスはいい王様』というキャロルがあります。タイトルを知らなくても、メロディーを聴いたことのある人はいるかもしれません。動画サイトなどにも、かなりこの曲がアップされてあります。このウェンセスラスというのは、ボヘミア公ヴァーツラフ一世のことです。このヴァーツラフが、聖ステファノの日に外を見ていると、年老いた農民が働いているのが目に入り、その農民へ食料やワイン、そして薪などの贈り物をすることに決めて、小姓を連れて出発します。しかしその日は吹雪で、先導していた小姓が行く先がわからず立ち止まってしまい、ヴァーツラフは自分が先に立って歩き出します。すると雪が溶けて芝生となり、その農民の家にたどり着くことができたわけです。ボヘミアといえばかの『ボヘミアの醜聞』を思い出しますが、こちらの王様は領民よりもアイリーンにご執心だったようです。
このヴァーツラフは、祖母と父からキリスト教の教えを受けますが、母は異教の信者で、祖母を殺してしまいます。また、キリスト教の拡大を恐れた貴族たちは、ヴァーツラフの弟と謀り、彼を暗殺してしまいます。まだ二十代の若さでした。この殉教のため、彼は後に列聖され、ボヘミアの守護聖人となります。彼自身の聖日、つまり殉教の日は9月28日です。ちなみにこの聖ステファノの日以外にも、クリスマスの後には使徒聖ヨハネの日(27日)、幼な子殉教の日(28日)、主の命名日(1月1日)があります。1月1日は日本でも元旦で、この日に礼拝が行われることもあります。そして公現節(1月6日)を以てクリスマスの時期は終わり、ツリーや飾りを片付けます。日本の松の内が終わるのよりも1日早いわけです。