「警察官が登場するホームドラマ」と「推理ドラマ」の比較について3日目です。
『ありがとう』の主人公光をはじめとする婦人警官は、BS12トゥエルビの公式サイトによれば
「婦人警官を志す3人の明るい下町娘の物語」
となっています。どうもこの辺りが、時代劇に時々登場する、娘岡っ引きに似た立ち位置ではありますが、それはさておき。この当時のことを考えると、やはり男性のアシスタント的な意味合いはまだ強かったでしょうから、このような「3人娘」的なキャラ設定にする必要もあったのでしょう。
元々は「死体を見た後で肉を食べられるかどうか」という部分に焦点を当てる形で始めたこの投稿ですが、もう一つ、これは警察が大きく関わっている以上ありうることですが、何か大きな事件とかきわめて危険な状況に巻き込まれ、辛うじて窮地を脱したヒロインが、自分を助け出してくれた男性に対して抱きついてしまう(あるいは相手が抱きしめる)というのも、年月を経て尚変わらないものではあるかと思われます。
木島の「レッド・マーキュリー」に監禁された後、やっと解放された後の内海薫は、やはりこうなるのでした。ちなみに『ありがとう』のシリーズでも、舞台である保育園の園児を人質とした立てこもり事件(かなり世間の顰蹙を買いそうな事件です)で、ヒロインの光が、憎からず思っている段進矢との間で似たような状況が起こりますが、これはこれで、光がなぜ抱きしめたのかなどと問い質してしまうようです、わかってあげなさいと言いたくもなります。『ガリレオ』では、普段うるさい内海が黙るとかえって気が散るなどと湯川が言っていますが、『ありがとう』のヒロインの光もお喋りで少々うるさい設定のようです。
(『ガリレオ』DVDシリーズより)
ところでこの『ガリレオ』のエピは、核兵器開発をめぐるいざこざが殺人に発展したものですが、しかし木島が東京の半分を壊滅させられる、しかもトラップ仕掛けのレッド・マーキュリー(元々は核兵器製造を可能にする物質、諸説あり)を作り、その中に内海を閉じ込めたことに加え、解除方法は7000通り以上あるというのは、湯川への宣戦布告ともいうべきものでした。つまり内海は人質であるわけです。
そういう中から湯川が苦心惨憺して解除方法を見つけ出すものの、最終的には意外と簡単な方法でロックが解除され、クリスマス当日を迎えたその時に、内海は晴れて自由の身になり、腑抜けたような声で「メリー・クリスマス」を言います。また同じ時刻に捜査本部の先輩の草薙も、手酌で酒を飲んでいた城ノ内先生も、ケーキの箱を抱えて帰宅途中だった栗林宏美も実に晴れ晴れとした表情になります。この辺の演出はうまいなと思います。
ただこの「メリー・クリスマス」の前に、湯川が例によってちょっとKYなことを言います。
「そういえば以前君は、僕がサンタクロースを信じていたかどうかについて、きわめて非論理的な…」
「先生、その話は今しなければなりませんか」
そう言われていやと答える湯川ですが、君を助けたいといったことを言いながらも、いざ問題解決となったらなったでこうですから、あまりロマンチックとは言い難いようで。このサンタクロース云々は、第2回の空中浮遊少年の回で登場しましたね。
ということで、ご参考までにこの2作品関連のリンクを置いておきます。
フジテレビ『ガリレオ』バックナンバー
<ドラマ> ありがとう 第1シリーズ
3日間にわたるこの投稿に目を通してくださりありがとうございます。自分では割と楽しめましたが(でないとこういうのやりませんよね)、如何せん『ありがとう』シリーズの映像はなし、もしあれば、もう少しあれやこれやと比較ができたかも知れません。無論この比較というのは、優劣をつけるという意味ではなく、時代の違い、女性の警官の描かれ方の違い、さらにホームドラマと推理ドラマとの違いなどを比較してみるということではありますが。