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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
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『はたらく細胞BLACK』PD-1についてもう少し

先日投稿した『はたらく細胞BLACK』第7巻-2で、キラーT細胞が持つPD-1を攻撃としていましたが、正確にはキラーT細胞の表面にある受容体のことなので、訂正しています。元々このPD-1は、キラーT細胞に同じ体内の細胞を攻撃させないためのもの、つまり自己免疫疾患を避けるためのものです。

しかし、がん細胞はいわばそれを悪用して、自分への攻撃を避けている(免疫逃避)わけで、このためがん治療のひとつとして、がん細胞とキラーT細胞の結合を阻止する薬が用いられるわけです。元々これは、京大の本庶佑教授らによって発見されたもので、PDとはProgrammed cell Death(プログラム化された細胞の死)を意味しています。当初はこのPD‐1による、役目を終えたキラーT細胞の細胞死、所謂アポトーシスに関わる研究が目的であったためです。

同じ頃、アメリカのテキサス大学のアリソン教授も、キラーT細胞のがん細胞攻撃を阻止する物質の研究を行っています。ちなみにこのお2人は、共に2018年のノーベル医学生理学賞を受賞しています。

これについてもう少し知りたい、興味があると思われる方のために、関連サイトのURLを置いておきます。リンクは貼りませんので、お手数ですがコピペしてアクセスしてください。

https://cancer.qlife.jp/series/as005/article7810.html
(免疫チェックポイント阻害薬の正体─がんに効くしくみと治療 がんプラス)
https://www.gan-info.jp/dendritic/check/point/
(テラのがん免疫療法情報ガイド免疫チェックポイント阻害剤とは)
https://www.asahi.com/articles/ASLD702K6LD6UBQU00Y.html
(がん細胞が免疫にブレーキ 本庶さん発見のPD-1とは 朝日新聞デジタル)

飲み物-クリームとココア

[ 2021/12/12 00:30 ] その他 | TB(-) | CM(0)

『はたらく細胞BLACK』第7巻-2

『はたらく細胞BLACK』第7巻続きです。

<転移、放射線、抗がん剤。>
この身体は自分たちを拒絶したが、自分はまだ生きていると言いながら、がん細胞は地上に出ようとしていた。その時強烈な光が彼目がけて浴びせられ、肝臓リンパ節に高エネルギー反応が見られた。放射線療法だった。しかし他にも生き残ったがん細胞たちがいて、肝臓、腎臓や頭皮などでも目撃情報があり、明らかに転移が起こっていた。身体中に散らばった彼らを退治するため、ついに絨毯爆撃(抗がん剤、化学療法)が行われ、細胞たちも巻き添えになってしまう。しかも副作用で、ただでさえ少ない髪も抜け落ちてしまった上に、キラーT細胞たちも負傷しており、免疫力が落ちていた。

その中で例の若手キラーT細胞が、がん細胞と戦いに行くと言い出す。そして一般細胞たちは、なぜこのようなことが起こるのかと怒りをつのらす。AA2153は、この爆撃はがん細胞を退治するためのものだと説明するが、一般細胞たちは、この身体の勝手に付き合えないとうんざりしていた。そこへDA4901が、この痛みはこの身体が生きて、がんと闘うという決意の表れであると言い、自分にできることをすると言って酸素運搬に出かけるが、その時爆弾が降ってくる。肺も機能が落ち、毛はすっかり抜け落ちたが、そんな中でも赤血球たちは酸素を届けていた。

酸素を届け終わったDA4901は血を流していた。クールな考え方をする彼は、今までこの身体はどうでもいいと思っていたが、結局それは、生きることも死ぬことも真剣に考えていなかっただけだった。今の彼は死が怖くてたまらなかったが、だからこそ、生きることを選んだこの身体に頑張れと言いたいと力を振りしぼる。その時またも爆弾が降って来て、その後の彼は行方不明となる。無論AA2153も、がん細胞たちに追われながらも酸素を運んでいた。そこへ例の若いキラーT細胞が現れ、この爆撃でがん細胞もかなり弱っているからもう一撃したい、そのためにも酸素を頼むとAA2153に伝える。そして、彼らの目の前にがん細胞が現れる。

<免疫療法、存在、託されたもの。>
AA2153は酸素を受け取りに行く、がん細胞はこの期に及んで、せっかく赤血球さんに会えたのにと白々しく言うが、キラーT細胞は、お前らは生きることも許されない存在なんだよと言葉を浴びせる。するとがん細胞は触手を出し、これによってキラーT細胞の動きが阻止されてしまう、がん細胞が出したのはPD-L1で、これがキラーT細胞のPD-1と結合するため、キラーT細胞の攻撃を抑え込めるのである。しばらく両者のにらみ合いが続くが、その間AA2153は酸素を取りに行き、また肝臓では抗がん剤を代謝すべく、血液の浄化が始まっていた。

AA2153は、後輩NC8429が座り込んだまま動けなくなっているのを見つけ、すぐ離れるように言うが、彼は自信を完全に失っていた。その時がん細胞がAA2153に襲い掛かり、酸素を横取りしようとする。AA2153はがん細胞に捕らえられるものの、NC8429に酸素を渡し、必要なことはすべて教えてあると言い、行けと促す。やがてNC8429はキラーT細胞に酸素を届ける。あの赤血球はどこだとキラーT細胞は尋ねるが、彼は無言のままでいたため、キラーT細胞は何が起こったのかを察する。相変わらず攻めあぐねるキラーT細胞だが、その時ベルトが装着される。外部からの免疫チェックポイント阻害薬で、これによりがん細胞のPD-L1との結合が防がれ、再び攻撃が可能になった。

その頃AA2153はがん細胞と会話を交わしていた。自分はがん細胞としての存在を示せた、何度でも戻ってくると言うが、AA2153は、何度でも打倒し戦う、それがだめなら共存すると断言する。その後キラーT細胞はがん細胞を倒し、体内は元の平穏を取り戻したものの荒れ果てており、NC8429は今後どうすべきか悩んでいた。しかし頭皮に向かった彼は、1本だけ毛が生えているのを目にする。頭皮の細胞が、酸素を運んでくれた赤血球のおかげだと言うのを聞いて、彼は、あの時自分に託されたのはこの身体の未来だったとわかる。そして1196は、肺が細菌で暴れているため招集に応じる。一旦収まったかに見えた体内では、またもがん細胞が暴れ出そうとしていた。


がんとの闘いは一向に収まる気配を見せず、放射線療法が行われるものの、それにもめげず彼らはあちこちに散らばり、今度は抗がん剤の投与が行われます。この抗がん剤は、細胞たちに取っては絨毯爆撃ともいうべきもので、一般細胞たちはこの身体の勝手に付き合えないと、不満をあらわにします。しかしこれは今までの不摂生とは違い、この身体が生きようとする決意でもありました。そして赤血球たちは酸素を運び続けますが、DA4901は行方がわからなくなり、AA2153もがん細胞につかまり、後輩NC8429に今後を託します。

またキラーT細胞は、がん細胞を相手に戦うものの、自分たちが持つタンパク質(PD-1、抑制性受容体)が、がん細胞の出すタンパク質(リガンド)PDL-1と結合してしまうため、相手を倒すことができません。その時外部から、免疫チェックポイント阻害薬が取り込まれます。作品中のキラーT細胞のベルトがその阻害薬で、PD-1とPDL-1の結合を阻止するため、キラーT細胞が自由に攻撃できるようになるわけです。所謂免疫療法です。これによってがん細胞は、一時的に壊滅状態に陥りますが、AA2153との会話にあるように、またも戻ってくることになりそうです。

ところでNC8429、赤血球の仲間たちは次々といなくなり、一人きりになった彼ですが、頭皮で一本だけ髪が生えているのを見て、また、頭皮細胞が酸素を運んで来た赤血球(恐らくDA4901)に感謝するのを聞いて、自分に託されたのはただ酸素だけではなく、この身体の未来であったことに気づきます。とはいえ荒れ果てた体内の復興はまだまだで、肺で細菌が暴れ回り、白血球に招集がかかることになります。

しかし本編に比べて、やはりこちらのがん細胞の暴れ方、赤血球たちがどのような目に遭うかの描写はかなり迫力があります。結局がん細胞によって4人の赤血球がいなくなってしまい、ちょっと頼りなさそうなNC8429にすべてが託されることになりました。本編の場合、特に第5巻では、がん細胞がかなり大きくなっていたと思われますが、手術や薬、それによる細胞たちへの影響は描かれていないため、いささか不完全燃焼に終わったきらいがあります。

あと、白血球を除く免疫細胞は、こちらでは本編ほどには描かれていませんが、この巻でキラーT細胞が大々的に登場します。特に、まだ実戦経験もないナイーブT細胞が、活性化した後一人前のキラーT細胞となり、がん細胞と本格的に戦う様は、赤血球たち同様、細胞の成長物語といった雰囲気があります。本編やフレンドでは、白血球とのライバル関係が描かれることが多いキラーT細胞ですが、こちらではウイルスやがん細胞退治専門の、独立した、時にNK細胞と共闘する存在の免疫細胞として描かれています。


飲み物-エスプレッソ2

[ 2021/12/11 01:00 ] 漫画・アニメ | TB(-) | CM(4)

『はたらく細胞BLACK』第7巻-1

『はたらく細胞BLACK』第7巻です。

<無敗、否定、凶変。>
身体のうつの症状も治まり、赤血球たちは仕事に励んでいた。この状態を、自ら糖化して死んだQJ0076にも見せたかったと話していた彼らは、とある一角で、キラーT細胞やNK細胞、さらに白血球が集まっているのを見る。この光景は、前の身体でも見たものだった。AA2153が白血球1196に尋ねてみたところ、案の定がん細胞が発見されていた。

キラーT細胞のうちナイーブ細胞はかなり強気で、俺たちに任せておけ、重要なのは早期発見だと豪語するものの、1196から実戦経験がないことを指摘される。その後すぐ近くにがん細胞がいることがわかり、ナイーブ細胞は無謀にも一人駆けだして、危うくなったところを、樹状細胞から敵の位置を教えられ(活性化され)、一人前のキラーT細胞となって敵を倒す。そんなキラーT細胞を見ながら1196は言う。

「がん細胞も元々は我々と同じ細胞…しかし容赦することは許されない…」
「免疫細胞なら誰しも通る道だ…」

1196は、がん細胞がこの身体の免疫力を上回るほどに成長することを懸念する。その頃、肺細胞の面接試験に落ちた例の細胞は、頭の中で不思議な声がするのに気づき、引き寄せられるようにダクトを通ってその場所へ向かう。そこには自分と同じ顔かたちの者が何人もたむろしており、一目でコピーであることがわかった。彼らは気分が悪そうで、酸素と栄養素を持って来てくれと頼む。

AA2153たちは頼まれてその場所へ向かうが、入り口がわからず、新しく血管を作ることにする。その場所では「外に出るな」「静かに」といった張り紙が目についた。例の細胞は、なぜこのような所で肩を寄せ合うようにしているのか不思議に思っていたが、そこに例の不採用通知が山ほどあるのを目にする。彼自身も含めたこの細胞たちは、エラーがそのままコピーされたバグ、つまりがん細胞だった。例の細胞はそれを受け入れられずにいたが、やがて自分の体が変化して行くのを感じ、その勢いで赤血球の一人、SS1404を刺し殺してしまう。

<無残、一敗、挺身。>
結局赤血球たちは、彼をおいて逃げるしかなかった。働くことが楽しくなって来た、その矢先のことだった。肺ではナイーブから進化した新米キラーT細胞が、勇み足を班長に詫びるものの、がん細胞など大したことはないと大きな口を叩く。その彼に班長は、がん細胞は1日5000体も生まれるが、我々はそれを倒し続けていると教える。圧勝の負けなしだと言う新米だが、実は負けなしではなく、「負けられない」のである。一敗でもしようものなら、それはこの身体の命に関わることだった。

その時AA2153たちが、がん細胞が向こうにもいると走って来る。彼らの威力はすさまじく、大挙してやってきては酸素をほしがっていた。このがんは、喫煙との関係が大きい扁平上皮がんだった。肺を乗っ取らんばかりの勢いで圧倒して来るがん細胞に、赤血球たちはなすすべもなかった。その時外から光が照射(X線撮影)される。とにかく早く肺から酸素を運び出そうというAA2153の提案で、二手に分かれて酸素を運ぶことになるが、後輩NC8429はその気力を失い、もうまっぴらだと仕事を投げ出す。

AA2153は、こんなことは僕たちの代で終わらせると、彼を安全な場所へ逃がす。白血球たちもまた、がん細胞はキラーTとNKにまかせ、自分たちは合併症を防ぐためにスタンバイしていた。肺ではキラーT細胞や肺細胞のために酸素の運搬が行われていたが、新米のキラーT細胞は負傷し、残りのキラーTたちもがん細胞に及び腰の状態だった。その時大きな音がして、壁が崩れて行った。がんの周辺の組織が、外科手術によって切り離されようとしていたのである。AA2153の先輩、BD7599はまずいと思ったが、がん細胞を外に出すわけには行かず、危険を承知で取りあえず引き付けておくことにした。

<逃走、切除、強さ。>
BD7599はまだがん細胞を引き付けるべく、切断されつつある肺の中に留まっていた。そして結局その部分は、完全に切除されてしまう。それは彼に取ってもがん細胞に取っても、その場所が終焉の地であることを意味していた。先輩を失って嘆くAA2153だが、そこへ白血球が近寄ってくる。彼のすぐ近くに黄色ブドウ菌MRSAがいたのである。肺切除に伴って侵入して来たのだった。ともかく傷ついた肺と白血球に酸素を届けるべく、AA2153は動き出す。

一方病院にいた新米キラーTは、先輩からがん細胞が肺の上葉ごと切り取られたこと、しかし班長達も運命を共にしたことを聞かされる。また他の赤血球たちも、免疫細胞に酸素を運搬しており、DA4901は床に座り込んでいるツインテールの白血球を見つける。彼女は自信を失っていた。DA4901は、細菌が怖いのか、戦いが怖いのか、あるいは自分の無力さが怖いのかと問いかけ、かつての自分が判断を誤り、多くの赤血球を危険にさらしたことを打ち明ける。

その苦しみを恥じることはない、乗り越えて行けばいいとDA4901は彼女を励まし、酸素ボンベを置いて、自然と剣を触れる時が来たらまた働けばいい、その酸素はその時役立ててくれと言って去る。やがて彼女は立ち上がり、黄色ブドウ球菌退治へと向かって行って、苦戦する1196や仲間たちの助太刀をする。やがて黄色ブドウ球菌は全滅し、赤血球たちが集まっていた肝臓に活気が戻って来た。しかしその後がん細胞はリンパ管を移動し、転移して行くようになる。


ついに体内にがんが発生します。そのがんはキラーT細胞たちによって撃退されますが、彼らの存在はそこだけには留まりませんでした。例の何かと咳込んでいた若者は、実はがん細胞で、そのため肺のために働くことができずにいたのです。自分の運命を呪う彼は、しかしその気持ちとは裏腹にがん細胞として成長し、赤血球のSS1404を殺してしまいます。

そしてがん細胞たちは肺を占領するようになり、この身体の意志として、肺の一部を切除する手術が行われます。しかしそれは、赤血球や他の免疫細胞たちが、がん細胞たちと運命を共にすることを意味していました。

手術後は黄色ブドウ球菌が肺に押し寄せ、白血球たちが彼らを退治します。しかし例のツインテールの「白血球ちゃん」は、現場に向かうこともなく一人座り込んでいました。自信を失っている彼女に、DA4901は声をかけて励まし、酸素ボンベを置いて行きます。やがて彼女は立ち上がり、細菌退治へと向かって行きます。実際この時は、がん細胞や黄色ブドウ球菌と戦う免疫細胞に酸素を届けなければならず、赤血球たちも忙しさをきわめていました。

そしてAA2153の後輩、NC8429も気力を失っていました。
「こんな仕事、もうまっぴらだ」
それはかつて、AA2153自身が口にしたセリフでした。その後輩に彼は、こんなことは僕たちの代で終わらせると言い、彼を逃がします。

ところでDA4901が、自分の判断ミスを白血球に語る場面があります。網膜に酸素を届ける際に、新生血管を掘った経験のことですが、この冒頭でもがん細胞の要求に応えるべく、赤血球たちは新生血管を掘って、酸素を届けようとします。実際がん細胞は酸素を求めて新生血管を作り、赤血球を誘導するといわれています。

そして1196のこの言葉
「がん細胞も元々は我々と同じ細胞…しかし容赦することは許されない…」
「免疫細胞なら誰しも通る道だ…」
本編の白血球1146も同じようなことを口にしますが、意味合いが随分違っています。こちらは、容赦することは許されないときっぱり言い切っており、その点が、やはりBLACKが本編より魅力的に感じられる一因といえるでしょう。

しかしがん細胞が、そう簡単に退散するわけもありませんでした。彼らはリンパ管を通ってあちこちへ転移して行きます。

飲み物-ココアと生クリーム

[ 2021/12/06 01:00 ] 漫画・アニメ | TB(-) | CM(0)

『はたらく細胞』本編を振り返って 続き

まず。例によって、投稿したものの何となく意味が通じにくい箇所があった場合、随時修正しております。朝と夜とでいくらか表現が変わっていることもあるかと思いますが、あしからずご了承ください。

では『はたらく細胞』第6巻を振り返って、再度の投稿です。実はamazonのこの本のレビューを見たところ、やはりというか

企業や研究所のプロモーション臭い
無理やり感がある
作者の熱意が感じられない
失速した感じ
絵が変わった
がん細胞回で締めくくってほしかった

こういう内容のものが結構見られました。無論肯定的な意見もありましたが、私自身、第6巻はそれまでの路線ではなくなってしまったと感じただけに、上記の指摘にはうなずけるものがありました。

あと、乳酸菌関連のアニメも、劇場版とかぶっていたようです。それを考えると、

劇場版も含めたアニメ化のタイミング
作者のブランク(シリウスの連載休止)の期間
スピンオフの多さ

こういう点も考えられてしかるべきだったでしょう。乳酸菌関連を劇場版でやっていて、しかも最後の方はアニメ化の予定がなかったのなら、アニメ化は第1期だけでよかったかと思います。第1期で人気が出たためスピンオフが多くなり、作者の清水さんもその監修の仕事に追われていたと思われますし、結局休載のしわ寄せが、第6巻にそのまま来てしまった感もあります。

それから、第6巻の内容その2についての投稿で、新型コロナウイルスは、話題性はあるけど時期尚早であり、まだ治療方法や特効薬がはっきりしていない点について書いています。アニメ化されない点については色々意見があるようですが、アニメの影響力を考えると、現時点では以上のような理由から、まだミスリードを招きかねない部分もあると思われ、そのため慎重にならざるを得ないかと思われます。

ただ単行本が出ていながら、アニメ化されないというのも何とも妙なものです。アニメ化を視野に入れるのなら、最新医学や話題性のあるものを発表するのではなく、もう少し堅実なやり方で、もっと一般的な病気、あるいはダメージを扱った作品を載せてしかるべきだったのではないでしょうか。

またスピンオフも、今の時点で

はたらく細胞BLACK
はたらく細胞フレンド
はたらかない細胞
はたらく細胞BABY
はたらく細胞LADY
はたらく血小板ちゃん
はたらく細菌
はたらく細胞WHITE

この8シリーズがありますが、少し多すぎやしないかと思います。ブームに便乗した感は否めません。BABYやLADY、血小板ちゃんなどは女性向けを狙ったとも思えますが、実は私はこの手のシリーズを殆ど読んでおらず、読んだものといえばBLACK、フレンドそしてWHITE程度です。(『はたらかない細胞』は第1巻だけ読んでいます)

この中でアニメ化されているのは、『はたらく細胞BLACK』のみですが、実際これは連載、単行本発行そしてアニメ化のバランスが比較的うまく取れていたと思います。身体の持ち主の生活習慣、そしてそれに伴うダメージも無理がなく、最後にがん細胞の撃退で終わり、最後を締めくくるのにふさわしい内容となっています。

BLACKが今後またアニメ化されるのであれば、恐らく次の体に移った後の、オーバードーズやうつ、がん細胞などが描かれることになるのでしょう。


飲み物-コーヒーとキャンドル

[ 2021/11/23 01:00 ] 漫画・アニメ | TB(-) | CM(0)

『はたらく細胞WHITE』第1巻-2

先日の『はたらく細胞WHITE』の続きです。尚先日投稿分で、意味が通りにくいと思われた部分を修正しています。

<レッツ貪食!>
好中球は細菌を倒した後貪食をするが、桿状核球はこれに馴染めなかった。先輩の1146から、あっさりうまくないと言われてためらいつつも、一口食べてみることにするが、やはりさほど美味しくもない代物だった。そんな彼らをよそに4989はうまいと食べ続け、1146から味音痴だと言われてしまうが、どうも味がわかるわからないという次元の問題ではなかった。

一方好中球の1人2048曰く、4989と1146は食い方が汚いとのことで、「マイ箸」を取り出して食べる。桿状核球は、あるいは2048が食べている部位は美味しいのかと口に入れるが、特に変わりはなかった。しかも細菌はまだ生きているらしく音を立てる。するとどこからかいい匂いがして来て、桿状はその場を離れ、そちらの方へ行く。そこでは2626が、屋外なのに調理設備を持ち込んで獲物を調理していた。

この抗原は体を作るもとだ、俺は食べ物に妥協はしないと2626は言うが、当然ながら、貪食する細菌と白血球の体を作る栄養分とは別々だった。しかし見た目はかなり美味しそうであり、料理を一口食べてみた桿状だが、その場に倒れてしまう。細菌だから美味しくないのは当たり前だった。なぜ料理をするのか桿状に訊かれた2626は
「ただの趣味だ」
と答え、「創作イタリアン 二六」なるボードと暖簾を掲げて客を呼ぼうとしていた。
(キラーT班長も匂いに誘われて、暖簾の前に立っていた)

<迷子の骨髄球>
抗原との戦闘の後、2048と話していた桿状は、彼が新人だった頃の話を聞かされる。若い頃、久々の戦闘で未熟な白血球だった2048と仲間たちは駆り出され(左方移動)、先輩たちの戦いぶりに圧倒される。その後戻ろうとした彼らの前に、まだ幼い骨髄球が現れる。迷子のようだった。

骨髄に戻るから連れて行ってやろうとするものの、2048だけはジムに行くとその場を離れようとする。しかしその子は2048にしがみついて離れないため、やむを得ず彼が面倒を見ることになる。しかもお腹がすいたとその子は言い、2048はアイスクリームを買うはめになる。彼はダイエット中だったが、その子がお兄ちゃんも食べようよと口に入れてくれたため、久々のアイスクリームを楽しむ。その後この骨髄球は、疲れたと座り込んでしまう。

2048はその子を肩車して仲間たちと骨髄まで戻り、マクロファージに引き渡す。戻ろうとした彼にその骨髄球は声をかけ、折り紙で作ったスギ花粉を渡す。俺の魅力は子供にも伝わると、その折り紙を見せながら自慢げに言う2048だが、実はそれを作ったのは桿状自身であった。その骨髄球というのは、他ならぬ子供時代の彼自身であり、2048と別れた後、彼はまだ折れるかなと当時を懐かしむ。

<すり傷>
桿状核球は血小板たちの荷物運搬を手伝ってやる。しかしその直後すさまじい音がして、体が空中に浮く。その彼を引き止めてくれたのは4989だった。外からの衝撃で表皮近くの血管の壁が壊れ、血小板たちが穴をふさぐ間、好中球は外から侵入してくる抗原を防がなければならない。

風に飛ばされて穴に落ちないようにと、桿状核球は慎重になるが、4989は簡単に移動して行く。これは制服についているL-セレクチンのおかげだった。桿状は初めてその存在を知るが、4989も実は電源を入れ忘れていたため、彼自身も飛ばされて来たのだった。

その4989は無謀とも思えるジャンプをして移動し、後からやってくる、いささか頼りない桿状を手伝おうとするが、その時落ちそうになって逆に桿状に助けられる。しかしその後、4989の足元が落下し、桿状は彼が死んだものと思い込む。ところが彼は生きていて、穴の底の方にしがみついているのを発見される。


「レッツ貪食!」、白血球というか好中球は、抗原を捕食するのが仕事ですが、もちろんそれは彼らの栄養分にはなりません。無論美味しいものでもないわけですが、その時流れて来たいい匂いに誘われて、桿状核球はそちらの方へ向かいます。そこでは先輩の2626が倒した細菌で料理を作っており、桿状は食べてみますが、元が細菌であるだけに美味しいはずはありませんでした。しかし2626は自分の趣味だと言って料理を続け、何やらレストランまで出しています。やはり匂いに惹かれて中に入って来そうなキラーT班長が、この料理を口にして何と言うでしょうか。

ところで本編では、マクロファージがやはり捕らえた細菌で料理をしますが、こちらはどんなお味なのでしょう。

それから「迷子の骨髄球」、これは本編の赤色骨髄の話を踏まえているようです。ただこの骨髄球のちび君が、記念として、2048のお兄ちゃんに折り紙のスギ花粉をあげるところが違っています。桿状君、それは自分だとは流石に言わなかったようですね。先輩もあるいは感づいているのかも知れませんが。

ちなみにここで左方移動が出て来ます。本編と違って、こちらは抗原退治に駆り出された桿状核球の4人組が、先輩たち凄かったなと言っており、どういう状況下であったのかがわかりやすくなっています。ところで、なぜ桿状核球が増えた状態を左方移動(左方推移)というのでしょうか。

体内で病原体に感染すると、多くの白血球(好中球)が必要になり、そのためまだ若い桿状核球が血液中に増えます。白血球は赤血球と違って核を持っていますが、桿状核球はその名の通り、棹状の核があるのみです。これが成熟するに従って複数の核に分裂し、分葉核球と呼ばれるようになります。

この状態をグラフにして、縦軸を血液中の白血球の数、横軸を核の数とした場合、非感染時に比べて総体的な核の数が少なくなり、グラフの折れ線の山が左側に来るため、左方移動と呼ばれています。実際これはグラフがないとわかりにくいので、グラフ付きの記事のURLを置いておきます。

好中球の検査値ー左方移動(左方偏移)とは?
https://www.hanakonote.com/kensa/sahoido.html

そして「すり傷」ですが、こちらは本編のすり傷の回を、白血球サイドから見たものと言った方がよさそうです。L-セレクチンはここでは制服についている装置として描かれていますが、実際はもちろん、白血球自身が持つ接着分子です。


飲み物-冬のティータイム


[ 2021/11/22 01:15 ] 漫画・アニメ | TB(-) | CM(0)

『はたらく細胞WHITE』第1巻-1

『はたらく細胞』本編が終わったこともあり、『はたらく細胞WHITE』の投稿を開始します。主人公の桿状核球と、その先輩である白血球(好中球)が織りなす物語です。

<憧れの先輩>
抗原退治に余念のない白血球(好中球、分葉核球)チームだが、その日は新しく後輩(桿状核球)が来る日でもあった。桿状各球は初めて会う先輩たち(1146、2048、4989、2626)が血まみれなのを見て驚き、かつ不安に思うものの、新しい制服に袖を通して一人前の好中球となる。しかし2048がナイフの使い方を教えると言ってダガーを投げたため、1146に注意される。

その後交流を深めるため、茶でも飲みに行こうと誘われるものの、肺炎球菌の残党がいることを知り、彼らは目の色を変えて確保に向かう。一人残された桿状核球は後を追って道に迷い、緑膿菌に出くわす。緑膿菌は最初は驚くが、彼が新人でおぼつかないのを見て優勢に転じ、危ない目に遭うが、先輩たちが駆け付けて来て事なきを得る。寧ろ時間を稼いでくれたと感謝されるが、1146が自分を抱えたまま下ろしてくれないのに戸惑う。

<はじめての訓練>
鬼ごっこをすると言われた桿状核球、しかしこれも訓練の1つだった。子は鬼から逃げつつチェックポイントを回り、スタンプを集めながらゴールを目指すというもので、逃げる側の子が彼と1146、あとの3人が鬼という設定で、ロープを取られた時点で終了である。こうすることで体内マップを覚えさせるわけだが、鬼の多さに桿状核球は驚く。

一方で1146は、後輩ができたのを喜んでいた。しかし鬼を避けながら逃げるのは難しく、遊走経路も使って何とかスタンプを集め、血小板のいるところまで行ってスタンプを貰うが、そこへ鬼がやって来る。血小板たちは彼等の誘導尋問をはぐらかすが、茂みの影に隠れている2人は結局見つかり、何とか逃げ出すものの。今度は桿状核球が1146とはぐれてしまう。はぐれた桿状核球は樹状細胞に匿ってもらうが、その時先輩4人の昔の写真を見せられる。

しかしそれには裏があった。写真を見ている間に、木に登っていた鬼の1人が彼を発見する。これは罠だった。鬼(2626)は樹状細胞に何やら約束の物を持って来る。しかし反撃禁止のルールがないのをいいことに、1146がそこへ来て2626を倒す。両者の何やら殺気立った雰囲気の中、後ろから来た別の鬼に桿状核球はロープをはずされ、あえなく負けてしまった。ちなみに約束の物とは、好中球たちの子供時代の写真であり、それを熱心に見ていた桿状核球は、今度は自分がみんなから追われてしまう。

結局誰もゴールできず、要請を受けて1人ゴールを守っていた一般細胞は、後でお詫びの菓子折りを貰った。

<ライバル>
4人の先輩が子供時代から仲がいいのを見た桿状核球は、仲間がほしいと思う。その彼は、キラーT細胞の班長からナイーブ細胞が怒鳴られているのを聞き、彼と言葉を交わす。ナイーブは先輩が優しそうで羨ましいというが、桿状核球は、いざ敵が目に入ると豹変すると言い、また互いに変わり者とか怖いというイメージがあるが、実際はそんなことはないよと、2人は話に花を咲かせる。

新人ならではの悩みを語り合い、その後それぞれの先輩たちが抗原を相手にしているのを見た彼は、自分たちもああなりたいと思うが、そこへ強そうなキラーT細胞がやって来て、自分に話しかけるのを見て驚く。彼は元ナイーブ細胞、今は活性化されてエフェクターT細胞だった。その後再びナイーブに戻った彼と会った桿状核球だが、あのエフェクターを思い出して格の違いを実感し、筋トレを始める。


まず一風変わった先輩たちに驚く桿状核球ですが、何やら『新・三銃士』のダルタニアンを連想させます。しかし、新人の未経験者にちょっかいを出すのは、本編の赤色骨髄回同様、緑膿菌と決まっているようです。

それからはじめての訓練です、鬼にロープを取られると負けとなるのは、タグラグビーを連想させます。しかし訓練はいいのですが、相変わらず樹状細胞は曲者でした-変わった人物という点では、『はたらく細胞フレンド』もまた同じです。

あと昔の写真を手に入れるところ、これは本編と同じなのですが、本編の場合写真をばらまくことでサイトカインを放出することになるものの、この場合はそれとはまた別のようですね。またぽつんと1人でゴールを守っていた一般細胞への「詫び菓子」、この点もまたフレンドに共通したものがあります。

そして互いに新人ということで、ナイーブT細胞と仲良くなった桿状核球。しかしキラーT細胞のナイーブは、活性化することでエフェクターとなり、頼もしい助っ人になれるものの、自分はそうでないことを痛感します。その後筋トレを始めるのですが、いや、キラーT細胞と白血球はそこは違うから、無理しなくてもいいような…。

ところでこの白血球は、正確にいえば好中球です。この好中球は、好酸球や好塩基球同様顆粒球ですが、広義の白血球はこれに加えてリンパ球、つまりT細胞やB細胞、NK細胞なども含まれます。あとNKT細胞というのもいます。

その好中球の中でも、若い細胞を桿状核球、大人の好中球を分葉核球と呼んでいます。またこの桿状核球というのは、顆粒球の若手細胞に共通する名称で、好酸球の桿状核球や、好塩基球の桿状核球もいます。実はこの「桿状」とか「分葉」というのは、本編に一度登場した左方移動(左方推移)とも大きな関係があります。

飲み物-ティーカップと紅茶

[ 2021/11/21 01:15 ] 漫画・アニメ | TB(-) | CM(0)

『はたらく細胞』本編を振り返って

先日で投稿が完了した『はたらく細胞』本編について。人体に侵入してくる、あるいは常在している病原体を、擬人化された細胞がやっつけるという発想はよかったと思います。無論赤血球が道に迷うとか、白血球に何でもかんでも教えて貰うとか、免疫細胞を自分で呼んでくるというのはいささか疑問でしたが、免疫細胞にどのような種類があり、それぞれがどのような働きをするのか、少年向けメディアのシリウスらしい描写ではあったでしょう。

また赤色骨髄回(赤血球と白血球1146の子供時代)とか、胸腺細胞回(T細胞たちの少年少女時代)などもよかったとは思います。ただしがん細胞の描写にはこれまた疑問ありです。特に2度目(第5巻)のがん細胞回では、あれだけ増殖したがん細胞を、免疫細胞だけでどうにかできたのでしょうか。

それと、これはある程度やむを得ないかと思いますが、細菌のキャラデザインなどが、他の作品のキャラとの類似性を感じさせることもありました。さらにウイルス感染細胞のキャラデザイン、あれはどうにかならなかったのかと思います。元々が一般細胞だから仕方ないとは思いますが、かぶっている帽子と皮膚の色が多少違うだけで、その他が皆同じに見えてしまいます。加えて、白血球が獲物を狙う時の目玉をひん剥いた表情、あれもちょっと苦手です。

帽子といえば、「白血球」とか「血小板」の文字はやはり必要だったのでしょうか。彼らが何をしているかで、大体想像がつくのではないかと思うのですが。ただキラーT細胞の「NAIVE」や「MEMORY」は例外です。こちらは同じ制服を着ている集団の中で、役割をはっきりさせるのが目的なので。

その他にこのシリーズの特徴として、ウイルスも元は同じ細胞だから…といったセリフが目につきますが、彼らは同じ細胞でありながら、既に人体の安全を脅かす存在になっている以上、殊更にこういう台詞を繰り返すのも如何なものかとは思われます。がん細胞しかりです。

それとやはり乳酸菌中心の第5巻、本来の路線からはいくらか離れた感のある第6巻は、それまでの第4巻とは別にするべきだったかも知れません。

赤血球と白血球の関係がきちんと描かれているのは、この本編よりもBLACKの方だと思います。こちらは赤血球がチームで働いていること、免疫細胞が主に白血球(がん細胞関連ではキラーT細胞、NK細胞も)であることをはっきりさせており、また中年の不健康な体という設定のため、薬や外部からの治療も描かれていることから、本編とは異なった世界観になっています。私としては、これはスピンオフというよりは「もう一つの本編」、それも大人向きにシビアで、赤血球それぞれの個性が描かれた作品であると思っています。

それから『はたらく細胞フレンド』のキャラが、本編のそれと似通っていると書いてもいます。確かに登場人物の多くはほぼ本編と同じ、あるいは本編を多少アレンジした形になっていますが、NK細胞はいくらか雰囲気が違うし、マスト細胞に至ってはオタク的な男性キャラとなっています。また樹状細胞は本編と似てはいるものの、ハンドメイド大好きで乳酸菌のぬいぐるみばかり作っているキャラだし(抗原提示の仕事は?)、ヘルパーT細胞も買い物依存症でスイーツ大好きだし、全体的に緩めかつコミカルな設定が特徴といえるでしょう。


飲み物-ミルクティーとビスコッティ


[ 2021/11/18 00:30 ] 漫画・アニメ | TB(-) | CM(0)

はたらく細胞第6巻の内容について その2

 第6巻の続きです。一応これを持って本編の紹介は終わりですが、色々と思うことがあるため、これとは別にシリーズ全体を振り返っての投稿をしたいと思います。あと先日投稿分、一部修正しています。

<特別編 乾癬>
赤血球は表皮に来ていた。表皮付近は道が複雑であるため、またしても白血球1146が案内をしてくれることになる。ここはトラブルも多く、樹状細胞とヘルパーT細胞も常駐していた。そんな赤血球の顔に、表皮細胞増殖計画書なる紙が貼りつく。これが何のことやらわからないまま、ビキニ姿で関西弁を使う表皮細胞に酸素を届ける赤血球だが、彼女たち彼らは上へ行く計画を立てていた。

表皮細胞は古いものほど上へ行く決まりがあり、ヘルパーT細胞などからの指示で順に上がって行っていくのである。しかしその日は空が荒れそうで、こんな日は危ないから早く帰った方がいいと2人は言われてしまう。見た目ちょっと軽めなのとは裏腹に悲しそうな目つきは、そういうトラブルに晒される彼らの日常を物語っていた。

その後表皮付近で雷が発生し、のんびりしていた樹状細胞とヘルパーTも仕事に戻るが、この雷のせいで、樹状細胞はプロスタグランジン4の数値が上がって活性化し、サイトカイン=ヘルパーT細胞の昔の写真をばらまいてしまった。これによってヘルパーTも活性化してしまい、その結果増殖計画書が大量に届いて、表皮細胞が過剰に分裂増殖してしまう。増殖し過ぎた表皮細胞たちが上がって行く順番は大いに混乱し、家(皮膚)がぼろぼろに崩れて行った。

<新型コロナウイルス>
赤血球が酸素を届けた先の細胞が、やけに神経質になっていた。この細胞は分裂したてで、コピー元の細胞から、まだ色々なことを教えて貰っている最中だったのである。その時細菌が侵入し、白血球1146がやって来て撃退したが、ウイルスについて白血球から教えて貰った新人細胞は、ウイルス感染細胞は細胞もろとも殺すと知り、彼らを追い出してしまう。その頃記憶細胞やB細胞は、今まで見たことのないウイルスを相手にしていた。

このウイルスたちは、スパイク状の突起がついた帽子をかぶっていた。すぐにはダメージが出ない場合でも、他者に感染させるリスクをはらんでいた。その後味覚神経と聴覚神経がダメージを受けてしまう。そのためサイトカインIL-6が放出され、免疫細胞が活性化されて、キラーT細胞や白血球たちがウイルス撃退に乗り出す。しかしサイトカインの放出量が多すぎてサイトカインストームが起こり、キラーT細胞が正常な細胞をも攻撃し始める。

また血管が傷ついて血栓ができてしまう。さらにサイトカインストームがもとで、肺胞組織が破壊され始め、赤血球は急いで酸素を運び、多臓器不全を防ぐべく努力する。惨憺たる状況のもと、免疫細胞も普通の細胞もひどく荒れていたが、その後抑制性サイトカインが放出され、免疫細胞たちは我に返った。そして細胞たちと、この未知のウイルスとの戦いは終わりを告げたのである。


まず乾癬の方ですが、特別編とあり、恐らくは当初計画になかったものが追加されたと考えられます。また、皮膚の構造を紹介するという狙いもあったのでしょう。乾癬そのものは、外用薬を使って治すことになりますが、それ以外にも内服薬を使ったり、紫外線によって治療をすることもあります。尚この特別編は、製薬企業であるセルジーン株式会社の提供です。

ところで表皮のヘルパーT細胞といえば、『はたらく細胞フレンド』で、困りものの免疫細胞たちを表皮の保養所に連れて来てのんびりしようとしたものの、彼らがその表皮でまたひと騒動やらかすなどというのがありました。結局この時は、免疫細胞たちが花火を上げ、一般細胞たちを楽しませた後、ヘルパーT細胞に感謝のケーキを渡してめでたしめでたし…となるはずだったのですが、ケーキを渡す役の好酸球が緊張して自爆してしまい、新たなトラブルを引き起こしてしまいます。

樹状細胞も、フレンドでは相当な乳酸菌オタクです。そのため乳酸菌グッズと一緒にいない本編の樹状細胞は、何やら不思議な存在に見えます。両方ともキャラデザインはかなり似通っていますので。

それから新型コロナウイルス。正直言って、これは時期尚早な感じもしました。この作品が発表されたのが、2021年の1月下旬ですが、その頃は医療関係者のワクチン接種が行われる一方で、デルタ株が問題になっていて、何となく新たな不安が形成されつつある時期でもあり、単行本化された時期もなお、この描かれ方にあまり共感できなかったせいもあります。

話題性ということもあったのでしょう。しかしまだ治療方法が確立されていない、特効薬も一般に出回っていない病気である以上、予防策も改めて取り入れ(既に他の関連本で紹介されているため)、これだけ別冊にして出すといった方法もあったかとは思います。

そしてサイトカイン、このシリーズでは「過去の恥ずかしい写真」をばらまくのが通例となっていますが、この回でも何やら励ましの言葉とか、お茶しましょうなどといったビラが降って来る設定です。しかしこの乗りの軽さと、その後のサイトカインストームが与える深刻さが、どうも噛み合わないような気がするのですが…。

その後例によってというべきなのか、赤血球無双の展開になり、その後また白血球と一緒にハッピーエンドとなるのですが、これもどうもワンパターンだなと思います。確かに、サイトカインストームの中で仕事を続けた勇気は買いますが、私としては、やはり『はたらく細胞BLACK』の、抗がん剤で体中が爆撃される中、自らもダメージを受けながら酸素を運ぶ赤血球たちの姿の方に、より真摯なものを感じます。

飲み物-温かいカフェオレ
[ 2021/11/17 01:30 ] 漫画・アニメ | TB(-) | CM(0)

『はたらく細胞』本編第6巻の内容について

『はたらく細胞』本編第6巻です。

<たんこぶ>
栄養分と酸素を届けに来た赤血球(AE5803)は、白血球1146の同僚である4989に出会う。4989は、ここのところ1146はトラブル続きだから落ち込んでいないかと尋ねるが、赤血球は、1146のことだからマッタリしているはずだと答える。その時体内に抗原が侵入してくる。その抗原の一見可愛らし気な雰囲気も何のその、1146は飛び掛かって行った。その時、1146の活躍を見ていた血小板がいた。帽子を後ろ前にかぶったこの血小板は、うしろまえちゃんと呼ばれていた。

うしろまえちゃんは重い物を持ってのトレーニング中で、自分が非力なばかりに皆の足を引っ張っていると嘆くが、そこに血小板たちの先生である巨芽球が現れ、次の出血までに鍛えておくようにと告げて去っていく。この血小板に、失敗続きだった頃の赤血球が重なる1146は、うしろまえちゃんのやる気は、他の皆にもいい影響を与えると励ます。その時頭部で大きな音と激しい揺れが起きた。傷口がないため、これはたんこぶであることがわかる。

ここは血小板の独壇場だった。うしろまえちゃんは一次凝集が苦手だったが、穴が大きく開いており、他の細胞が落ち込まないためにも、彼らは一丸となる必要があった。巨核球は彼らのモチベーションを上げるために、一番頑張った子にはよい子ちゃん金メダルをあげると約束する。うしろまえちゃんも凝固因子を落としつつも必死に頑張り、巨核球は数の少なさを技術でカバーした血小板たち全員に、メダルを贈ることにした。

<左方移動>
好酸球と1146は、細菌との戦いでかなりの傷を負い、救急部隊を待っていた。好酸球は、例によって無茶した1146をかばおうとしたのである。彼のこの癖は、骨髄球の時から変わらなかった。元々同じ骨髄芽球である彼らは、白血球(好中球)と好酸球に分化するが、まだ一人前の免疫細胞でない以上、自分たちがなすべきことを理解するのは難しく、先輩である桿状核球に会うことにする。

この先輩は不思議な人物で、ボートに寝そべって詩を読んでおり、後輩たちが訪れて話を聞きたいと言い出した際に、いきなり立ち上がって、ひっくり返ったりしていた。彼は繊細そうな人物で生死について考えたりしていたが、ある時、生きることは死ぬことと見つけたりなどと言い出し、その時の先輩は、幼い骨髄球たちにはとても強そうに見えた。しかしその後左方移動で、桿状核球たちが前線にやられることになった。戦死者も多く、その後好中性、好酸性いずれの桿状核球の中にもその先輩の姿はなかった。

1146も好酸球も、その先輩の影響を受け、生死について考えたり、詩を書いたりとあまり免疫細胞らしからぬことをやっていた。しかし彼らは互いに勘違いしていた。1146はその人を好酸性の桿状各球、好酸球は好中性の桿状各球だと思っていたのだが、実はその先輩こそ、時々現れては謎めいた言葉をつぶやく、あの好塩基球だったのである。好酸球が口にした「子どもの頃の弱さとあの人の弱さが似ていた」はお気に入りのようで、彼らの会話を今後の詩作のためにメモさせて貰ったと言い、2人をうろたえさせる。

<ips細胞>
赤血球は網膜の桿体細胞に酸素を届けるが、そこに現れたのは好気性細菌だった。1146のお蔭で難を逃れるが、その1146はこの身体が最近ケガが多く、視覚に異常をきたしているのではないかと考えていた。眼底で2人は桿体細胞に出会うが、眼底は荒れ、桿体細胞は酒に溺れて自暴自棄になっていた。桿体細胞を含めた視細胞全体に、不具合が生じていたのである。

本体桿体細胞は光刺激を受け取って信号に変え、それを脳に送ることでものが見える仕組みになっていた。しかし他の桿体細胞たちは働けなくなり、しかも脳では彼らの言い分を聞いてくれなかった。彼は最後の桿体細胞であり、その自分がいなくなればこの体は失明する運命にあった。その時、まだ未熟な細胞が飛び込んでくる。この若い細胞は自暴自棄な先輩をたしなめ、脳に伝えたいことを手紙にして、赤血球に届けて貰うようにように促す。

この未熟な細胞は、本来の自分の居場所はわからなかった。しばらくそこに留まることにしたが、先輩の桿体細胞は最期の時を迎えていた。脳細胞は手紙を受け取るが、網膜細胞は再生能力が低くなすすべがなかった。体の中は真っ暗になって行く。しかしその時、桿体細胞から脳細胞に連絡が入る。例の未熟な細胞が、仕事を代わりにこなしていたのである。この細胞は実はips細胞で、他にも彼の仲間が続々と網膜にやって来ていた。

桿体細胞は脳細胞に、この身体の細胞たちに希望を失わせたくなかったと話し、脳細胞もそれに同意した後、桿体細胞は死を迎えた。彼の仕事は、ips細胞たちに受け継がれたのである。


まず言いたいこととして。そもそも本編があり、そしてスピンオフがあるのが本来の姿ですが、この第6巻を見る限り、『はたらく細胞BLACK』の後追いをしているように見えてしまいます。元々本来の『はたらく細胞』本編は第4巻までは本来の路線でしたが、第5巻は乳酸菌関連になり、この第6巻ではかなり様変わりしてしまった印象があります。

免疫細胞の働きという本来の姿勢から、最新の医学のPRといった形に変貌したと見るべきでしょうか。恐らく従来の路線を継承しているのは「左方移動」までで、「ips細胞」になると、味の素のips細胞培養装置の名が登場しているため、味の素が提供する形になっています。

また「たんこぶ」はともかくとして、「左方移動」になると、これは白血球1146と好酸球の思い出話になってしまっていて、具体的な左方移動の様子が描かれていません。これはちょっとまずいのではないかと思います。

確かに左方移動(左方推移)は、感染症などで大人の白血球(分葉核球)が足りない時に、一時的に若い桿状核球が動員されて、血液中にその数が増えることを指しますが、これはどちらかといえば、正にその桿状核球が主人公の『はたらく細胞WHITE』第1巻の方が詳しく、わかりやすいです。恐らくこの2つは大体同じ時期に発表されたのではないでしょうか。

「たんこぶ」には血小板たちの先生である巨核球が登場しますが、『はたらく細胞BLACK』第8巻にもやはり巨核球が登場することから、あるいはこちらもほぼ同じ時期に発表されたのではないかと思われます。

そして「ips細胞」。
実は、これこそ『はたらく細胞BLACK』でやってほしかったと思います。
細胞たちが働けなくなる、体の中が真っ暗になる、脳細胞がなかなか訴えを聞いてくれない。これらはすべて、BLACKのランゲルハンス島のβ細胞、血栓、薬の大量投与による赤血球の直訴を彷彿とさせるものであり、それゆえ何か後追いのようにも見えてしまうのです。事態のシリアスさからしても、この体(*)の持ち主と直接関係がある点を考えても、寧ろあちらの方がふさわしかったのではないでしょうか。

*本編では「体」となっていますが、BLACKでは「身体」ですね。

飲み物-クリームとココア

[ 2021/11/16 00:15 ] 漫画・アニメ | TB(-) | CM(0)

風邪の季節と炎症性サイトカイン

そろそろ風邪の季節です。少し前に、闘争・闘争反応」及びストレスが原因となる病気という投稿をしていますが、この中で炎症性サイトカインについて触れています。炎症性サイトカインというのは、ウイルス感染症などで産出され、発熱や倦怠感、ノンレム睡眠などを引き起こして、身体を休ませるようにする働きがあります。

風邪の発熱や倦怠感も、要は体がウイルスをやっつけるための機能なのですが、免疫という概念がなかった時代は特に、本人が普段と違った状態に置かれ、苦しそうでもあることから、早く元に戻さなければならないと考えるのは、やむを得ないことでもありました。

しかしウイルス撃退のみならず、免疫細胞活性化のためにも、いつもよりも体温を高くする必要があるわけで、それを可能にするのがこのサイトカインです-正確に言うと、このサイトカインが放出されることで作られるプロスタグランジンE2が、体温を上げる作用を促すわけです。風邪だからという理由で、無理に熱を下げようとはしない方がいいということですね。

無論、あまり熱が高くて症状が重い時には、解熱剤で症状を和らげる方法はあります。あと氷枕を後頭部に当てるよりも、冷却シートで首筋を冷やした方がいいとか、無理して普通の食事をさせず水分の多い物にする、スポーツドリンクなどで水分を摂らせるのが先決などなど、色々注意すべきことはあります。

一方でしんどいとか疲れたといったような、所謂疲労感を覚えるのも、この炎症サイトカインが関係しているといわれています。ちなみにこの疲労感は、痛みや発熱同様、体の異常を知らせる「生体アラーム」と呼ばれています。

ところで免疫細胞といえば、『はたらく細胞』、本編とフレンドの紹介は、いよいよ最終巻(第6巻)を迎えようとしています(BLACKは第8巻まで)。

ただ本編に関していえば、第6巻はどうも、最新医学理論のPRツールになっている感もあります。というか、体内の異変に細胞がどう対応するかは、第4巻で終わっているようにも思います。第5巻は乳酸菌メインですし。

乳酸菌といえば、フレンドの方の樹状細胞は元々そうでしたが、物語が進むにつれて乳酸菌愛を拗らせて行っています。これはこれで結構笑えるのですが、さてどちらを先にしますか。


飲み物-ココアと生クリーム

[ 2021/11/08 01:00 ] その他 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

aK

Author:aK
まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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