『武将ジャパン』大河コラム、あらすじレビュー総論まとめについての疑問点その1です。ちなみに今回は第49回となっていますが、ドラマ本編ではないので、特に第49回をつけなくてもいいのではと思うのですが。
そして内容ですが、少なくとも武者さんとしてはこの大河は大成功としたいようです。私としては、別に人それぞれの基準があっていいかとは思うのですけどね。このため、今までとは基準が違うといったことまで、かなり長々と書かれています。かなり手放しでほめちぎっている感もあり、突っ込んでいるととても時間がないので(年をまたぎそうなので)、主なところだけピックアップして行きます。
鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー総論まとめ第49回「傑作か否か」 - BUSHOO!JAPAN
(武将ジャパン)
果たして2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は成功だったのか、それとも失敗に終わったのか?
その是非を問われたら、私は大きく頷きながら「大成功だ」と答えたい。
確かに本作は突出した視聴率も残しておらず、何を持ってして大成功というのか?という問いかけに対し、明快な数字はありません。
既存の価値観からは説明しにくいと申しましょうか。
それは最終回で北条時房が語った状況に似ていると思えます。
「いいか皆、もはや朝廷は頼りにならない。これからは武士を中心とした政の形を長く続くものにする。その中心に北条いるのが我ら北条なんだ。よろしく頼むぞ」
“朝廷”とは既存の基準であり、“武士を中心とした政の形”とは新しい指針であり、本作が示した成功要素とも言えます。
その中心に『鎌倉殿の13人』はしばらく座り続けることでしょう。
『鎌倉殿の13人』は私には大成功だった、でも今までの基準ではそうだと言えないから、いっそのこと新しい基準を作ってしまおう。
どうもこのように取れてしまいます。何だか無理やり感があるなと思いますが。
「その中心に北条いるのが我ら北条なんだ」
とあるのは、「その中心にいるのが我ら北条なんだ」と書きたいのでしょうか。
それとこの時房のセリフですが、「朝廷は頼りにならない」ではなく、「朝廷を頼る世ではない」ですね。そして実はその後も朝廷との共同統治は行われるわけです。朝廷を離れて武家政権になるのは室町時代以降なのですけどね。
そして視聴率に関しては、過去4年間の数字(数字的にほぼ同じだった、2018年の『西郷どん』まで)をリストアップし、「かなり凡庸な数字」とあります。しかし凡庸というのは、主に人の性質を表すものであり、この場合はぱっとしないとか、さほど高くもないといった表現の方がふさわしいのではないでしょうか。
しかしコロナ禍を迎えたこの2、3年はテレビ視聴の在り方が前例がないほど急変しており、とても視聴率が伸びる環境だったとは言えません。
その他の下落要因もざっと考察してみると、以下のような理由が挙げられると思います。
・そもそも主人公の知名度が低い
・舞台が人気の戦国や幕末ではなく、馴染みの薄い平安末期から鎌倉時代前期だった
・実質的にR18指定がふさわしいと思えるほど、陰湿で残虐な描写が続き、大泉洋さんですら「娘には見せたくない」ほどであった
・プロットが複雑で、伏線を引っ張り、難易度が高い。しかも主人公はじめ登場人物に共感しにくい
・ワールドカップと重なって極端に低くなった第45話6.2%がある
・NHKプラスによる配信視聴が増えた
NHKを含め、テレビは番組視聴者数そのものが、今後、低下の一途をたどることは避け難く、その辺は皆様だけでなく作り手も痛いほど理解しているでしょう。
反面、動画サイト(VOD)への移行は今後も伸び続けるわけですが、それを担っていた「NHKプラス」は、プロットが複雑な『鎌倉殿の13人』にとっては非常に適していたと感じます。
まず「なぜ」コロナ禍を迎えたこの2、3年はテレビ視聴の在り方が前例がないほど急変しているのでしょうか。
「なぜ」視聴率が伸びる環境だったとは言えないのでしょうか
その辺りの具体的な説明もありません。民放を含め、コロナ禍でも視聴率を伸ばしたドラマはあるのです。それを言うのなら、『青天を衝け』も2月放送開始、オリンピック中継が入る変則的な放送スケジュールの中で、健闘したのではないでしょうか。
そして
わかりにくい場面や回があったら、後で見返すことが簡単にできます。何度でも見たいリピーターの数も把握できます。
NHKプラスの再生回数は、NHK内部でしか把握していません。
ただ、大河については2021年と2022年では大差がついていると言われ、実際、今年は成功だったことが以下の記事にも記されています。
その以下の記事というのは、スポニチの記事
「NHK総局長「鎌倉殿の13人」“三谷マジック”絶賛 配信好調「超優等生」来年「どうする家康」も期待」
なのですが、武者さん、嫌いな大河でこういう記事があれば、こたつ記事だと叩いていたことでしょう。この辺がこの人のわかりやすさでもありますが、レビュアー以前にライターとしての鑑識眼を疑いたくなる所以でもあります。
あと『鎌倉殿の13人』はプロットが複雑と言うより、いつもの三谷さんの小ネタとコント路線という印象の方が強かったですね。
それと
「大河については2021年と2022年では大差がついていると言われ、実際、今年は成功だったことが以下の記事にも記されています」
それはNHKの再生回数がわからないと、何とも言えないかとは思います。逆に2021年はリアルタイムで観た人が多かったのではないでしょうか。
また他にも延々と武者さんの言う「新基準」とドラマ本編とがリンクされており、
こうした再生回数が多い成功作品は、近年であれば『鎌倉殿の13人』だけでなく、朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』と『ちむどんどん』も該当します。
ただし、公的に大きく発表される数字は今も視聴率であり、この辺のアンバランスさが世間での評価を難しくしているのでしょう。
朝廷の定めた律令が武士を想定しておらず、坂東武者は混沌とした基準のもとで生きてきた――その様が『鎌倉殿の13人』で描かれたように、大河の評価基準もそんな状態なんですね。
武者さん、前にもこの3作品を挙げていましたが、自分が好きな作品ばかりですね。
仮に『カムカムエヴリバディ』や『青天を衝け』の再生回数が高くても、恐らくは書かないのでしょう。
そしてこれも前にも何度か出て来ていますが、タグ付きツイは当てにならないとか、エコーチェンバーだなどとありますが、私は武者さん自身が、別の意味でのエコーチェンバーに囚われているように見えて仕方ありません。
尚こういう記述もあります。
『鎌倉殿の13人』では、後鳥羽院が寵愛する武士・藤原秀康が、鎌倉に備えて流鏑馬をすると言っておりました。
今さら流鏑馬なんかを鍛錬したところで、獰猛な坂東武者にはさして意味がない。そんなことするなら敵の進軍経路でも調べておいたほうがよい。
それでも藤原秀康のように「やっている感を見せたら良い」と考えている将は流鏑馬をしてしまう。
視聴率や「ネットの声」を拾う記事は、いわばこの流鏑馬でしょう。
先ほどのにもありましたが、朝廷は駄目、朝廷がやることは駄目と言いたげです。要はこの大河の朝廷が嫌いなのでしょうね。私は朝廷や西国の御家人をもっと描いてほしいとも思いましたが、それはともかく。
「今さら流鏑馬なんかを鍛錬したところで、獰猛な坂東武者にはさして意味がない。そんなことするなら敵の進軍経路でも調べておいたほうがよい」
流鏑馬は武芸のひとつで、軍事訓練なのですが。確か最初の方でも武者さんは同じことを書いていました。そして
「そんなことするなら敵の進軍経路でも調べておいたほうがよい」
も何も、戦う上では武芸を身に着けておくに越したことはないでしょう。この時代流鏑馬というのは大きな意味を持っていましたし。とにかく武者さんが『太平記』を観ていないことはこれではっきりしました。
あとこういうのもありましたのでご紹介しておきます。
私はしばしば「お前の意見なんか参考にならん!」「お前とは意見が合わない!」と宣言されます。
そう言われると私は正直嬉しい一面もあります。
誰かにわざわざ反論されるということは、耳に心地よいだけの論評を垂れ流してはいないのだな、と思える。
人間は、一人一人が自分の頭で考え、判断を下す方が良い。
それが難しいのは、長沼宗政の話でもしたところですが、それでもやはり個々の自主性を重視したい。
とか何とか言うより、先ほどの流鏑馬でもそうですが、歴史をちゃんと把握しているように見えない(歴史系ライターですよね?)、ドラマもきちんと観ているように見えない上に、やけに漢籍マウントを取りたがっているように見える、それでなぜ大河のレビューなのかと疑問に思う人が多いからではないでしょうか。
そして武者さん本人は反論されることに対して、きちんと自分の考えを述べているでしょうか。プロのライターならそのくらいやってほしいし、こうい文章自体、反論をきちんとできる人が書いてしかるべきと思います。
つまるところ
「反論される自分がかっこいい!」
ということなのでしょうか。