ところでおとわの野辺送りの棺ですが、あれは箱型の物でしょうか。昔は土葬だから縦長の物が一般に用いられたようです。しかしこの主人公も、戦無き世にだの、挙句の果ては徳川に天下を取らせたいだの、一体何様かと思うような発言が目立ちました。この時代にそれはない。戦無き世に云々で、戦は嫌じゃがさらにバージョンアップしてしまいましたね。さらに於大の方に向かって、あの態度はないかと思います。ところで於大の方の、銀鼠と思しき地に刺繍の打掛は、『風林火山』の成田長泰の妻、井川遥さん演じる伊勢が、景虎に会った時に着ていた物でしょうか。
それから万千代改め直政が登場するシーンの、一つ一つが軽い。これが本当に人斬り兵部かと思うくらい迫力に欠けてしまっています。菅田さん、この役は早かったですね…どう見ても『民王』の翔ちゃん連想してしまうし。まあ徳川家そのものが、どこか軽めの印象があるにはありますが。それと最終回の顔見せよろしく、井伊つながりの武士がどどっと出て来るのも何だかなあ…しかし近藤さんあまり老けていませんね。
それから徳川陣で本多忠勝が、真田が北条に付いたと言うシーンがあります。要は昨年『真田丸』で井伊が出て来たから、そのお返しにということなのかもしれませんが、昨年が物見から徳川勢を見ていて、向こうにも赤備えがという流れで出て来たセリフに対し、こちらの方は、やはり唐突な印象があります。それまで真田を示唆するようなシーンなど、全く出て来ないのですから。しかし高嶋政宏さんには、やはり「北条氏政」か「出雲の阿国」と言ってほしかったものです。
それにしても
「戦国の世に果敢にも飛び込んだ女子」
「男たちと渡り合った」
と最後の方のナレに登場しますが、それ誰?といった感じです。男たちは確かに出て来ましたが、彼らに寄り添った、甘えたという方が正しいかと。おまけに子供の頃の直親(亀之丞)が「俺の意志を継いだ」と言いますが、この直親の志というのがかなり曖昧ですし、おとわがそれを継いだようにも見えないのですが。あと龍潭寺関係者は最後まで老けませんでした。流石に最後の最後で、和尚はいない設定となっていましたが、あのキジトラ猫はまだいるのですね。
それと子供時代のおとわを瞬間止めた、黄色っぽい服装の人物ですが、実は番組のガイドブックに、最終回に竜宮小僧を出そうとしているなるコメントがありました。あれがその竜宮小僧だったのでしょうか。しかしもう少しそれらしい雰囲気を作ってもよかったでしょう。この大河全体に関しては、また後ほど書きますが、結局何を言いたいのかがわかりにくい大河でしたし、結構下卑た印象がありました。
以前から、昼に放送されている『風林火山』と何かしらダブる部分について書いていますが、今回は
氏真の「武田を滅ぼしてくれて感謝」
「さだめじゃ」
この2つです。『風林火山』では、武田と今川の新しい盟約について描かれていました。その時氏真に嫁をというのを勘助が退け、今川の姫を太郎様にと言ったことで、これは四郎のためを思っているのではと、今川義元と小山田信有に勘繰られてしまいます。それと「さだめ」、これは大河によく登場する言葉で、昔の人、特に動乱期に生きる人々の人生観を感じさせますが、実は昨日観た『炎立つ』でもこれが使われていました。
ところで先週、この大河は『江~戦国の姫たち~』や『花燃ゆ』のよくない部分をこじらせていると書きましたが、今回はまさにそれですね。それも『花燃ゆ』の、美和の奥女中編のような感じです。無理やり著名人と絡ませないと出番がないという、女性大河の悪しき部分がまたも繰り返されています。いい加減NHKは学習するべきでしょう。しかも結構前から、『直虎』で何か変わった描写がなされるたびに新史実といった声も出ているようですが、多くは制作者が考えたフィクションでしょう。ただこの自然なる子は光秀の子で、坂本城落城で死亡したといわれています。無論昨年のように、新説発表会さながらというのもちょっと引きますが。
しかし「史実に縛られない大河を」と言いつつ、結局なんだかんだで史実を絡めてしまい、それとフィクションとの乖離が、結構大きかったように思えます。都合のいいところで、無理にはめ込むからだと思うのですが…。来週の伊賀越えにおとわが出て来たら、正に『江』ワールドの再来です。ところで伊賀越えといえば、昨年の『真田丸』の伊賀越えを思い出します。あの時は、如何にも何か企んでいそうな家康が、いざ逃げる際に小心さをあらわにするのが面白かったのですが、今回の家康ははじめから善人キャラだから、その辺りの意表をつく面白さはなさそうですね。
なお、公式サイトに森下佳子さんのインタビューがまたアップされています。個人的にあまり関心がないのでリンクは貼りません、興味のある方は公式サイトにアクセスしてみてください。またNHKのサイトに、恒例のバトンタッチの記事があります。
柴咲コウさんから鈴木亮平さんへ!大河ドラマ バトンタッチセレモニー!
(NHK ONLINE)
しかしこの記事に限らず、柴咲さんが大河の撮影でやけにいい雰囲気を強調するのに、言っては何ですがちょっと馴染めないものがあります。それと彼女の服装は、何かの衣装なのでしょうか。
まず北条と密約というのは、要は御舘の乱絡みですね。先日の田中城攻めでも触れましたが、この時北条は養子に出した上杉景虎(長尾景虎ではありません)が、家督を巡って景勝と争い、間に立った武田勝頼が不在の時に、景勝が景虎を討ち取ってしまいます。このため北条は武田との盟約を破棄し、徳川について武田を攻めることになるのですが、それが全然描かれていないので、家康が信康を延命させるために打ち出した、苦肉の策のようになっています。
それからおとわですが、彼女の目つきがまたすさまじい。ちょっと某野党の議員を思わせるのですが、それはともかく。まず瀬名へのタメ口に始まり、龍潭寺ではこう言います。
死んでいく奴は皆左様なことを言う!
お家のために命を捨てるは己の本懐。
そんなことばかり言いよる!
残される者のことを考えたことはあるか。
助けられなんだ者の無念を考えたことはあるか!
もう二度と私はあのような思いはしとうない!
徳川殿を大事というなら、どうか左様な思いはさせないでくれ
Author:aK
まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。
『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。
他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。