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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
ベイカー寮221B/Baker House 221B TOP  >  藤井雄一郎氏のインタビューに見る協会の問題点

藤井雄一郎氏のインタビューに見る協会の問題点 5

『Number Web』の藤井代表強化委員長のインタビュー、第5回です。今回はスーパーラグビー(以下、SR-引用部分を除く)を加えたうえで、如何に3つのカテゴリーで国内外のラグビーを回して行くかです。

僕は、日本協会が明確なビジョンを打ち出すべきだと思う。これは僕の私案ですが、日本のラグビーカレンダーは日本代表、スーパーラグビー、そして国内のトップリーグあるいは今検討されている新リーグという3つのカテゴリーで回していくのがいいと思うんです。

そのうえで、藤井氏はこのように提案しています。

仮にSRに日本から3チーム出る場合、1チームのスコッドが40人とすると、3チームで120人がSRを経験できる
そこから30人ほどが代表に選出される
残り90人がトップリーグに行く、トップリーグの質も上がる
3つの掛け持ちは難しいが、2つなら大丈夫
(尚このトップリーグは、来年開幕予定の新リーグにも当てはまります)

さらに経験を積み、家族との時間を持ちたければ、SRは退いて、代表とトップリーグ(新リーグ)でプレイ、その後は代表を引退してトップリーグ(新リーグ)のみという方法も選べます。現に藤井氏は、外国出身選手で日本のトップリーグでプレイする場合は、既にSRや代表を退き、リーグ戦でプレイしたいという位置づけであったということで、今後は日本人選手もそうなって行けばいいとの由。また大学は日本ラグビーの1カテゴリーではありますが、中心となるカテゴリーはやはりこの3つになるでしょう。

一方で若手の選手はといえば

逆に、若い選手はどんどんスーパーラグビーにチャレンジしてほしい。そうすればトップリーグあるいは新リーグも活性化してレベルも価値もあがるし、スーパーラグビーも含めた選手の経験値も上がる。選択肢も増える

とのことで、SR(トップリーグ→新リーグも)若手育成のシステムを構築して行くべきでしょうし、そのためにも日本協会の決断が急がれます、今時必ずしも高校の部活→大学体育会→企業チームとはならなくなっているわけですから。またトップリーグ→新リーグのアカデミーが確立したら、SRのユース(アカデミー)と交流試合を持つのもいいでしょう。

また新リーグの立案者である清宮克幸日本協会副会長も、Rugbyぴあ~がんばれジャパンラグビー!特集号で似たようなことを提案しています。

秋から冬まで『国内プロリーグ』を実施しても、春から夏まで実施される『スーパーラグビー』との共存が可能で、選手がふたつのチームに所属することもできる。清宮氏に言わせれば、「試合出場数を調整する必要があるかもしれないが、代表チームを含めれば、二毛作、三毛作ができる」
(『国内プロリーグ』となっていますが、現在言われている新リーグのことです)

尚清宮氏は、釜石のポテンシャルにも注目していますが、実際釜石は新リーグに加入するのではないかと言われてもいます。

以上、『Number Web』の藤井氏のインタビュー、ジョセフHCの再契約関連とサンウルブズ関連とで5回に渡って投稿して来ました。新リーグの問題も含め、最初からすべてが変わるとは行かないにせよ、3シーズンほどかけて徐々に変えて行くことは可能でしょう。何と言ってもその旗振り役は、協会理事一人一人であるわけです。ここはやはり、理事の自覚と覚悟が求められてしかるべきと思われます。
(この項終わり)

飲み物-バーのビール
[ 2020/03/25 00:00 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

藤井雄一郎氏のインタビューに見る協会の問題点 4

先日の、藤井雄一郎代表強化委員長のインタビュー記事の続きです。日本はスーパーラグビーを撤退するどころか、寧ろ複数チームを作って参戦すべきというのが藤井氏の意見であり、さらにプロチームとしてユース育成組織を重視しています。

やはり、プロチームがないと育成が進まないんですよ。プロチームがユースチームを持って、ユースの選手を育成すれば、選手の情報も共有しやすいし、U20などのユースチームも作りやすい。海外の大会に参加したり、海外のチームに留学させることもやりやすい。

今のシステムだと、選手がバラバラに大学に行くから、どうしてもその大学のカリキュラムに縛られる。試験があればそこは外せないし、トップリーグの企業に入れば、研修があったりする。人生設計でそっちを選びたい選手はそうしていいけれど、現在はプロとして、競技に集中したいと思っている選手がたくさんいる。そういう選手に選択肢を示してあげないといけない。

私としては、新リーグのチームはユース組織を持ち、高校大学の枠に囚われず、そちらでプレイをした方がいいと考えていますが、まずサンウルブズにこの組織を持たせるのもいいでしょう。というか、プロアマに関わらず本来は下部組織を持ち、子供たちや高校生などをそこで育てるのが望ましいのですが、日本の場合企業、大学そして高校と別々になっていたため、そういう一貫性のある育成組織を作れなかったというのが実情です。こういう育成過程の方が学校と切り離せるため、ある程度の試合数も経験でき、若くして代表入りを果たすことも可能ですし、現にそういう育成組織で育った海外の選手を相手にする以上、これもまた避けて通れない問題です。

そして藤井氏は、次のようにも語っています。

次に必要なのは、価値があがったものを、対価を払う人のところへちゃんと売ることです。昨年のワールドカップで日本代表があれだけ躍進して、日本中にラグビーブームが起こって、ワールドカップ組織委員会は60億円もの収益をあげた。なのに、日本協会には全然お金が入ってこない。

選手があれだけ頑張ってワールドカップで勝って、日本ラグビーの価値を上げた。なのに、日本協会ではそれをちゃんと売ることができていない。結局、いままでのラグビー協会の仕組み、やり方、マーケティングを委任している業者が、そういう方向を向いていないから対応できない、発想も出てこないんです。

そして代表強化費も削られている点にも言及しています。費用を削られることが、如何に強化に響くかは『ノーサイド・ゲーム』でも描かれていました。特に今年は強豪国との対戦を控えており、その結果が次のワールドカップのシードに影響するわけで、逆に予算をさらに増やすべきなのですが、なぜそうならないのか。実際外国人選手の間でも、日本ラグビーの評価は上がっているのに、その評価を上げた選手たちを売り込み、費用を獲得するという発想になっていないと見るべきでしょう。

日本ラグビー界の「商品」、つまり選手に関しては、これも20年ほど前から、まず商品を作ってそれを売り込むようにしないといけないと、当時の社会人リーグの外国人コーチに指摘されてもいました。その20年後、「商品」は既に存在しているにも関わらず、なぜかお金が入ってくるようになっていない。この点も、その道のプロに委ねる必要があります。そのためにも、各分野のスペシャリストである理事の力を借りるべき、でないと次のステージに行けないというのが藤井氏の考えです。

チャンスをつかもうという選手が増えていますよね。だからサンウルブズの今後、日本とスーパーラグビーの関わり。まだまだ動きはあると、僕は見ています。そして、動かなければ未来はないと思っています。

「動かなければ未来はない」というのは、なかなか厳しい意見ではありますが、見方を変えれば、まだまだ協会はこういうことに対して、迅速に対応できるようになっていないということです。スーパーラグビーは現在コロナウイルスの感染拡大防止のため休止中ですが、今後何らかの動きをこちらから仕掛けることも必要になるでしょう。

次回は、日本の国内シーンと代表試合に、スーパーラグビーを組み込む件についてです。これは清宮克幸副会長も、同じことを提案しています。
(この項続く)

飲み物-ビールと夜景
[ 2020/03/22 23:15 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

藤井雄一郎氏のインタビューに見る協会の問題点 3

藤井雄一郎代表強化委員長のインタビュー、後編はサンウルブズ関連のインタビューです。今回は協会というより日本ラグビー界の問題点ともいえます。

日本ラグビーの交渉役、藤井雄一郎。
<後編>サンウルブズの可能性と存続。

これまで何度も書いてはいますが、サンウルブズは今シーズンが一応スーパーラグビー最終シーズンとなります。しかし藤井氏は、代表強化にスーパーラグビーは不可欠であり、撤退どころか逆に日本は複数のチームを持つべきで、また撤退を唯々諾々と受け入れることもないと主張しています。

SANZAAR(南ア、NZ、オーストラリア、アルゼンチンによるスーパーラグビーを運営する組織)が言って来たことなんて、めちゃめちゃです。『15チームだと日程が組みにくい。それはサンウルブズが入っているせいだ。サンウルブズを抜いた方がリーグの価値があがる』なんて、どう考えてもいちゃもんですよ(笑)。

実際この撤退が決まった時、ちょうど1年ほど前になりますが、ラグビー関連SNSの掲示板で、SANZAAR、特に南ア(ワールドカップの投票で日本に敗れ、意趣返しをしたという噂あり)はやっていることがヤクザだなどという書き込みもありました。これに関しても、やはり交渉能力のなさが原因となっていると藤井氏は見ています。サンウルブズを運営する社団法人ジャパンエスアールの前の首脳陣は、この時何ら交渉をしていませんでした。

さらに今のトップリーグでも、参戦したがっているチームは複数あること、海外は寧ろお客が少ないこと、最終的に南アが離脱する可能性もあることから、そうなれば日本の存在は重要になってくると語っています。実際スタジアムのキャパにもよりますが、そこそこのカードなのに空席がかなり目立つ試合もあります。しかも撤退を言われてはいるものの、ワールドカップで日本の置かれた位置が変わったこともあり、今後どうなるかわからないのが実情のようです。

『SANZAARはすべてカネで動く、あんなカネは出せない』と言う人もいますが、商売を優先するならなおさら、日本を巻き込んだ方が価値があがる。『そうした方がアナタも得するよ』と口説けば、まだまだ情勢が変わる可能性はある。来年をどうできるかはさすがに難しいタイミングになってきましたが、2年後、3年後を考えれば、そこまで見込んだ交渉をするべきです。2年後に復帰できれば、次のワールドカップへの準備には十分つなげられる。

さらに藤井氏はこうも話しています。

もちろん、日本協会がサンウルブズの価値を再評価する必要はあります。財務の安定は不可欠なので、協会およびスポンサーによる財政的支援は必要です。

私としては、このサンウルブズのPRがまだまだ可能であるにも関わらず、どこか中途半端な印象があるのが疑問です。トップリーグと代表以外に、ラグビー界がこういうチームもあることをもっとPRすれば、関心もまた高くなるはずでしょうし、それだけ後押しも期待できなくはないでしょう。何せ日本初のプロチームということで、どうすればいいのか図りかねているといったところでしょうか。また復帰の可能性はあるというのは、CEOの渡瀬裕司氏の意見とも共通する意見です。

「2021年から、これまで通りのサンウルブズとしての形を見直すのは難しいでしょうが、それでも何らかの形でスーパーラグビーへの関与ができないか、その可能性もゼロではないと思っています。リーグの見直しというのは、必ずありますから。これまでもチーム数が変更になることなどはありました」
(渡瀬裕司氏、Rugbyぴあ~がんばれジャパンラグビー!特集号)

前出南アの離脱の可能性ですが、南アとオセアニアとでは、時差がかなりあります。南アの場合ヨーロッパと同じタイムゾーンであり、そのためにはヨーロッパと連携した方が、生中継の視聴率も上がる可能性が高いわけです。実際かつてスーパーラグビーに所属していた南アのチームは、ヨーロッパ勢とプレイしています。たとえばNZと南アの試合が行われた場合、NZは夕方である程度の視聴率が見込めても、南アは朝の時間帯ですから、当然TV視聴にそれが影響します。

ラグビーの場合、オセアニアが強いこと、さらに日本がその地域と同じタイムゾーンにあることから、この利を生かすべきでしょう。試合を積極的に行うことで、TVでの生観戦の視聴率はかなり上がりそうです。(無論時差を逆手に取ることもできます。ヨーロッパの昼間の試合を週末の深夜にのんびり観るのは、これはこれで楽しみではあります)
ただしこの場合、アルゼンチンがどうなるでしょうか。本来ならば北米勢との試合が望ましいのでしょうが、北米は2027年のワールドカップが予定されているものの、現時点でそこまで強くなく、プロリーグのメジャーリーグラグビーも、やっと軌道に乗り始めたところです。

ともあれ、日本が数チームを擁してスーパーラグビーに再び乗り込めるのなら、それはそれで喜ぶべきことでしょう。海外勢にしても1試合のためでなく、複数の試合のために来日した方が効率はいいのですから。(この項続く)

飲み物-パブのビール
[ 2020/03/22 00:30 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

藤井雄一郎氏のインタビューに見る協会の問題点 2

『Number Web』の藤井雄一郎氏のインタビューhttps://number.bunshun.jp/articles/-/842818関連、先日の続きになります。

ジョセフ氏の再任に関して、藤井氏が先に交渉したのはトニー・ブラウン氏(ブラウニー)でした。「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」という諺が、この場合適切かどうかはわかりませんが、ブラウン氏は現場主義で、ボスとしてのジョセフ氏と組むことを望んだわけです。ちなみにこの2人はオタゴ出身で同郷です。

またその前に、NZ協会の副会長がやはりオタゴ出身でジョセフ氏に会っていますが、これはHCのオファーという目的があってのことでしょう。さらにNZがオファーをかけたことで、日本を除く他の国が退いたこともあり、NZだけを相手にすればよくなったため、逆に日本にプラスになったとはいえます。またブラウン氏の契約に当たって、藤井氏はこのような手も使っています。

あとは、直接の交渉ですね。実際の交渉手順を少しだけ明かすと、僕はまずブラウニー(トニー・ブラウン)にオファーを持っていったんです。あそこは奥さんが強いですから(笑)。奥さんの意向を考えれば『このオファーはとても蹴れない』と思わせるくらいの条件をまず出した。そしたら、ブラウニーは『オレはジェイミーとやる』と言った。ブラウニーはヘッドコーチじゃなく、現場に専念したいタイプで、そのためにはジェイミーのようなボスと一緒に組んでいたいんです。

ブラウン夫人がどのような人物なのかはわかりませんが、まず奥さんを説き伏せ、そして旦那さんもうなずかせたというのは、選手獲得経験のある藤井氏ならではと言えなくもありません。尚ブラウン氏も、ジェイミーとやりたいといったことをツイートしていますから、その時はほぼ腹が決まっていたのでしょう。

しかしながらオファーの条件としては、それなりの厚遇が求められます。しかしこの契約時は、ことを急ぐ必要があり、それにはできるだけ、協会の負担にならないことを条件にしなければなりませんでした。では協会に負担をかけずに、契約をスムーズにするためには何が必要なのか。

わかりやすく言えばスポンサーですね。実際のところをいえば、今までについても、サニックスがジェイミーにそれなりの額を出していたんです。これは、1990年代にジェイミーがサニックスでプレーしてくれた恩義、それ以来のつながりを大切にしていたからです。日本協会として出せる金額が決まっていた以上、どこかから上乗せ分を持ってこないといけない。その分を企業が負担していたのが実情なんです。その前も、前の前も、似た感じだったと思いますよ。

これはニュージーランドでも同じで、オールブラックスと契約する時点で、アディダスからいくら、AIGからいくらが入って、トータルで何億円に相当する収入が保証されている……というような契約になっているんですね。ヘッドコーチの契約は協会が負担する年俸だけで決まらないんです。海外のメディアで報じられる契約額は、ほとんどがそういうスポンサーマネーを含んだ数字です。

アディダス、AIGはNZ協会のスポンサーであり、そういうところも何らかの支出をして、HCの報酬を補っていることになります。また藤井氏はこれに関して、日本協会がこういう世界の事情を知らなかったこと、今後は先を読んで動ける人材が必要だと話してもいます。しかし日本協会も、世界を相手にする以上は、こういう能力こそ必要であると把握しておくべきなのですが。

尚この人材に関して、藤井氏はクリエイティブという言葉を使っています。クリエイティブというと創造性があるとか、独創的であるという印象が強いのですが、この場合は恐らく、置かれた状況下で工夫をして物事を編み出すという程度の意味でしょうか。

次はサンウルブズについてです。今シーズンでスーパーラグビーを離れることになり、有終の美を期待されるサンウルブズですが、藤井氏は逆に、寧ろ日本に取ってはスーパーラグビーに売り込むチャンスだとも言っています。それはなぜでしょうか、また、再びスーパーラグビーに参加することのメリットは何なのでしょうか。そして、なぜスーパーラグビーを外されることになったのか、藤井氏はこれも日本側の交渉能力の欠如と語っています。こちらの方も、日本協会に求められているものは大きいと言っていいでしょう。
(この項続く)

飲み物-タンブラーの白ビール
[ 2020/03/21 00:30 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)

藤井雄一郎氏のインタビューに見る協会の問題点 1

ラグビー関連ですが、本題に行く前にこの記事から。

ラグビートップリーグの“薬物休止” 協会決定に選手会が反発
(スポニチアネックス)

コロナウイルスでなく薬物で逮捕者が出、そのコンプライアンスの徹底でさらに試合休止期間を延長した結果、試合ができなくなった選手が反発しています。実際日野以外の選手は、煽りを受けたようなところもあります。ただ記事中にあるように、コロナウイルスの影響は3月一杯までは続いたでしょうから、どちらにしても試合休止は免れなかったでしょう。ただこの場合、わざわざコンプライアンスなどとしなくても、そのまま3月が終わるまでコロナウイルスによる休止とし、その間にコンプライアンス関連の対策を練ればよかったのです。このコンプライアンスによる中止は、当初はコロナウイルスとは関係ないと明言していただけに、協会サイドもこの件に関しては反省するべきでしょう。

そして協会関連で。
過去最大71億円予算承認 日本ラグビー協会理事会
(産経ニュース)

今回は代表強化費が減らされています。どのような事情なのかはわかりませんし、ワールドカップ前の強化はそこそこお金がかかるものでもありますが、今年の相手も強豪ぞろいである以上、そこそこの額を抑えておいてよかったのでは。

そして、先日ご紹介した大友信彦氏の『Number Web』の記事、藤井雄一郎代表強化委員長のインタビューを改めて読んでみたいと思います。
今協会に足りない点はというと、やはりこうなります。

今回分かったことは、日本ラグビー協会には契約交渉の専門家がいないことです。今回、日本協会はジェイミーと契約しようとしていたのですが、その競合相手がオールブラックスだったわけです。契約しようとすれば、相手よりいい条件を出さなければならない。でも相手もそう考えているから、相手が出してくる条件も毎日変わるんです。

正直、僕は協会からゴーサインが出る前から動いていました。(中略)W杯が終わって、ジェイミーが結果を出していれば、再契約のハードルは上がります。それよりは、結果が出る前に契約延長してしまった方がいいだろうと僕は思って、打診していた。(中略)これまでと同じ条件でもやってくれるか? と聞いたら『それでいい、やるよ』と言ってたんです。契約は勝ちを重ねれば重ねるほど難しくなる。
実際、ワールドカップが終わったらジェイミーにはいろいろな国からオファーが来て、オールブラックスと取り合いすることになったわけです。

ジェイミー・ジョセフ氏が代表を8強入りさせたにもかかわらず、再契約までやや時間がかかった理由として、協会サイドにそのプロがいなかったことが指摘されています。せっかくベスト8という快挙を成し遂げたのに、HCが変わってはまた一からやり直しです。またこれだけの好成績を納めれば、当然他の国からもオファーが来ます。日本協会は、こういった危機感をどの位持っていたのでしょうか。

藤井氏のコメント、さらに続きます。

僕はサニックス(宗像サニックスブルース)の部長兼監督として、外国人選手を獲得する作業をしていたから、競合相手がいるのは当たり前なんです。契約交渉はスピード勝負という感覚は身についていた。だけど日本協会の監督選びというのは、基本的にはずっと競合相手のいない、日本の中でずっとやってきたんです

結局、ワールドカップが終わってから、僕が『一任してもらえるなら』ということで交渉役を引き受けました。協会の手続はスピード感がないんです。こういう交渉事にはスピード感が必要。1日、2日で決めないと何も進まないんです。それで、全権を持って11月にNZへ行きました。

でも、そのときにはNZ国内は『オールブラックスの次期HCはジェイミーだ』という空気になっていたんです。(中略)そしてジェイミーは、ニュージーランドの派閥争いに巻き込まれたくなくて、オールブラックスのオファーを断る理由がほしかった。だから日本とサインしたがっていたんです。とはいえ、NZ側の提示があまりにも良かったら、なかなか断ることもできない。だから日本も、それなりのものを提示しなければいけない。

「協会の手続(ママ)はスピード感がないんです」
かつて故・宿沢広朗氏が強化委員長を務めていた頃、何事もスピードが大事と語っていたことがあります。その後も協会のやることは、言っては何ですがかなりスローペースではあったわけです。

かつて日本協会は、監督人事は「お願いする」形でやって来ていたし、外国人HC体制になってからも、エリサルド氏を除けば、日本のラグビーを理解していることが望ましく、そのためトップリーグの前身である社会人リーグでプレイ経験、または指導経験のある人ばかりでした。

ジョン・カーワン氏-NECグリーンロケッツ
エディー・ジョーンズ氏-サントリーサンゴリアス
ジェイミー・ジョセフ氏-宗像サニックスブルース

この中で日本をベスト8に導いたのは、もちろんジョセフ氏のみです。当然箔がついた形になり、次期オールブラックスHCの声がかかるのも無理からぬ話です。無論ジョーンズ氏も、南アに勝つという快挙を成し遂げたことが、イングランド代表HC就任のきっかけとなったと考えられます。しかもこの時は日本協会が引き止めることができず、結局ジョーンズ氏はイングランド代表HCとして采配を振るうことになりました。恐らく藤井氏は、この轍をもう踏めないと考えたかもしれません。しかもジョセフ氏の場合は、母国の代表、オールブラックスからのオファーということもあり、条件もよかったため、日本側も万全の対策を練っておく必要がありました。

ただこの時点で、ジョセフ氏がオールブラックスのオファーを断ろうとしていたのが、救いであったともいえます。ジョセフ氏は、派閥争いに巻き込まれたくなかったわけです。実はNZも派閥争い、とりわけ北島のオークランドと南島のクライストチャーチの対立はかなり激しいので有名です。そのようなこともあり、ジョセフ氏は、再度の日本代表のコーチングにやぶさかではなかったといえそうです。

結果的にジョセフ氏再任とはなりましたが、やはり日本協会はHC市場に関してあまりにも疎く、また急を要することにも時間がかかり過ぎ、それがこの再契約が遅々として進まず、藤井氏に一任せざるをえなかったというのは確かでしょう。
(この項続く)

飲み物-パブのビール3
[ 2020/03/20 00:00 ] ラグビー | TB(-) | CM(0)
プロフィール

aK

Author:aK
まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、『鎌倉殿の13人』の感想も書いています。そしてパペットホームズの続編ですが、これも『鎌倉殿の13人』終了後に三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出し、2022年秋には強豪フランス代表、そしてイングランド代表との試合も予定されています。そして2023年は次のワールドカップ、今後さらに上を目指してほしいものです。

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