『相棒』シーズン13の元日スペシャル「ストレイ・シープ」の最終編です。そういえば、またお正月スペシャルが放送されますね。
そして2017年は、2月に劇場版が公開されます。
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新井は山荘で、杉下と向き合っていた。杉下は椅子に縛られたまま、あれが数十年に一度花が咲く木ですかと、黄色い花に目をやる。それは悟巳が、数十年前に花をつけた時に、目にしたのと同じ花だった。その頃山荘は警察関係者に包囲されていた。迷い出ても探してもらえる杉下を羨む新井と、自分には相棒がいるからと答える杉下。その中には、警視庁の敏腕スナイパーである警部補の日野もいた。
新井は、飛城が顔を知られていないことから本人になりすまし、復讐代行をすることにした。やはり生き残った悟巳も、そのことを理解はしたが、殺人だけは許さなかった。その悟巳がなぜ自殺したのか、それは彼女が杉下に、勘違いによって恋人が自殺した気持ち、藤井が恋人を失ったのと同じ気持ちを味あわせたいと考えたからであり、そのため月本幸子との関係を誤解して死んだという設定になっていた。しかし悟巳の自殺そのものと遺書には、いささか乖離する点もあった。
実は悟巳は、復讐目的で近づいた杉下に恋をしたのだった。そのためそれ以上騙すことができなくなっていたのである。また、ダージリンとアールグレイのブレンドに毒を溶かして飲んだはずなのに、実際に彼女が毒を入れたのは、違う茶葉を淹れたものだった。しかもダージリンとアールグレイのブレンドのシミが、部屋のカーペットに残っていた。服毒自殺をしようとした悟巳を、新井が止めたのだった。
悟巳が自分を愛していたと口にする杉下。新井はそれに激昂する、彼も悟巳を愛していたからだった。しかしそれは、杉下が新井に、自殺を止めさせるための手段だった。銃を突き付ける新井を、日野の銃が狙い、そして外れた。関係者が一斉に山荘へ入り、犯人たちの身柄を拘束した。その後杉下は取り調べ中の新井に会う。彼はそこで初めて杉下に本名を名乗り、悟巳を知る者同士話したくて山荘に読んだことを打ち明ける。間違いなく、悟巳の葬儀に来ていたあの新井だった。杉下は、彼女を愛していたのかと問うが、新井は黙っていた。
罪を償うことこそ、生き残った意味だと新井に告げて去る杉下。その一方で杉下は、参事官の中園が、なぜ特命を捜査に参加させたかを不思議がっていた。実は中園は、妻から「キャリアを危険にさらす事件」の予言を受け、それに対抗できるのが杉下しかいないと考えたのである。また、新井に捕らえられていたと思われていた悦子は無事だった。単に携帯を落としていただけだったのである。携帯はすぐに見つかると言う杉下。また橘高は、警視庁広報の社美彌子によって、女性のためにすべてを捨てた英雄扱いになっていた。
杉下は、悟巳と初めて会った店で、アールグレイとダージリンのブレンドを啜りながら、悟巳が自殺前に認めた手紙に目を通していた。それには彼女の真意、つまり復讐のために近づきながら、愛してしまったこと、それが初恋だったこと、そして、杉下といる時間がかけがえのないものである、それゆえに果たせなかったことが綴られていた。しばらくして杉下は席を立ち、雪がちらつき始めた街を、甲斐や悦子、そして月本幸子が待つ花の里へ向かった。花の里には新しい年の干支にふさわしく、羊の親子の置物が飾られていた。
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スペシャルらしく結構複雑な内容ですが、この中で『シャーロック・ホームズ』と共通する部分が出て来ます。飛城という男が、樹海で新井に動脈瘤について打ち明け、その後話をする場面、これは『緋色の研究』の、ジェファーソン・ホープの告白とそっくりです。
また『真田丸』に出演した平岳大さん、村上新悟さん、寺島進さんが、それぞれ荒井良一、バイクを走らせていた実行犯越本、そして日野警部補の役で登場です。この日野警部補がとにかく格好いいと言っておきます。
それと数十年に一度、黄色い花をつける植物というのは、リュウゼツランと考えられます。この植物は開花を迎えると丈が高くなり、黄色の塊状の花をつけますが、このドラマのはそれとは若干違うことから、架空の花なのかもしれません。
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