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ベイカー寮221B/Baker House 221B

パペットホームズ、大河ドラマなどの好きなテレビ番組やラグビーについて書いています。アフィリエイトはやっていません。/Welcome to my blog. I write about some Japanese TV programmes including NHK puppetry and Taiga Drama, Sherlock Holmes and rugby. I don't do affiliate marketing.
ベイカー寮221B/Baker House 221B TOP  >  応天の門

『応天の門』菅原道真、遊行する比丘尼と会う事一

久々に『応天の門』です。試に落ちた道真は、書倉で貪るように本を読みまくります。

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道真が書庫に籠るようになって五日目、白梅は食事を摂るように懇願していた。彼女が書倉の外に置いた食事は時々手を付けた跡があり、父是善はならば心配ないと言う。是善は試験官に、少しでも至らぬところがあれば遠慮なく落とせと口添えしており、あとは息子に、自分が何が足りないかを自身で探求させるつもりだった。

その一方で、内教坊(宮中で舞姫のための楽舞を教えた場所)に大師と呼ばれる伎女が、舞の指導のために来ていた。この大師の美しさは有名で、仙女の娘であるとか、天女であるともささやかれており、かの業平も振られたことを告白する。またこの大師を、夜の伽の相手として、大枚はたいて買った大納言が、二日で寝込んでしまったなどという噂もあった。

業平は鷹狩をしようと考えていた。そこで菅原家の別荘を借りようと菅原邸を訪れ、是善直々に書庫の道真を呼び出してもらった。業平はそろそろ外へ出たくなったのではないかと言い、道真を誘おうとする。また是善も、書倉で少々調べ物があるので、そなたの出入りはしばらく禁ずると言い、道真は長岡の別荘へ、業平と向かわざるを得なくなる。しかしこの是善は、以前鷹狩はならぬと道真に忠告してもいた。

かつて都があった長岡も今は荒れ果てており、別荘など名ばかりだと道真は道中口にする。そんな折、行き倒れか病人と思しき者を道真は見つける。田畑は荒れ、水しか口にできないというその男の側に尼がいて、御仏はお見捨てにならないと、手から何かを出し、持って行かせた。その男も仲間の農民たちも驚き、奇跡であると叫ぶ。

業平は一見米のようにも見えるそれが、何であるのかを知りたがる。青海尼と呼ばれる、農民たちを救ったその尼は、まだ若く美しかった。

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のっけから国師なる伎女が登場します。舞を教えるのみならず売春もやっているようですが、その美しさはこの世のものとも思えぬと官人たちは一様に口にします。

片や道真は試に落ちた後書庫に籠りきりでしたが、業平が鷹狩のために菅原家の別荘を使いたいとやって来ます。また父是善も、自分が書庫を使うからと、道真を業平に同行させてしまいます。鷹狩はいけないと言っていたはずなのですが、どうにかして息子を外に出したいようです。別荘など名ばかりと言う道真は、荒れ果てた長岡に業平とやって来ますが、そこは作物ができず、青海尼なる尼僧が農民を救おうと「奇跡」を起こすのを目の当たりにします。

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[ 2020/09/11 23:30 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

『応天の門』大学寮にて騒ぎが起こる事三

かなりさぼってしまいましたが、『応天の門』続きです。己の才をどのように使うかで道真は悩みます。そして業平が通う女の家でちょっとした事件が起こり、是則が相談にやって来ます。

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業平の従者是則がもちかけた相談事とは、業平が通っている女の家の出来事だった。この手のことに興味がない道真は、さして乗り気のしないまま話を聞くが、その家で牛車を止めていると、必ずと言っていいほど牛が眠り込んでしまうと是則は言う。おかげで業平の滞在も長くなりがちだった。道真は誰も困っていないようだからと帰りかけるが、是則によると、その女は以前自分が付き合っていた相手だった。

道真は最早どうでもよかったのだが、是則は、世の中の不思議なことには仕組みがあると言ったこと、この裏にも何かあるのではないかと言うことから、道真への相談を決意したのだった。道真は仕方なく是則の頼みを引き受けるが、どう考えても主業平より家来の是則の方が、この手のことに理解があるようだった。

その女の家に向かった道真は、植えてあるのが薬草ばかりであることに気づく。そのせいか牛には飼葉が別に与えられており、是則が持って来たその中には紫陽花の葉が刻んで混ぜられていた。この植物は牛馬には有毒であり、故意に混ぜたのではないかと是則に話していたところ、業平が姿を現す。

事情を聞いた業平は、あろうことか是則の以前の女と知りながら通っていた。実は是則もその家で酔いつぶれたことがあり、業平は彼女を怒らせないよう穏便に姿をくらますことにする。業平は道真の試についても尋ねた。この試は知識量を試されるだけの形式的なもので、業平もその在り方に首をかしげる。一方で是則は、道真に密かに礼を言った。

さて試の結果発表の当日、道真と長谷雄は有兼が荷物を背負って出て行くのを目にする。有兼は「ただあなたが羨ましい」と言って出て行き、そして2人とも結果は不合格だった。橘広相は有兼が、自ら不正をしたと申し出て去ったことを伝える。

一方道真は、自分が不合格なのは贔屓と思われたくないが故の判断と言うが、要はただの実力不足であり、書かれていたのは書にある知識だけで、己で得た答えではないと一喝される。確かに菅原是善の子ともなれば、おのずと基準が厳しくなることもあるが、まだこの点では若さゆえの弱み、世間知らずが出てしまっていた。

道真は今まで出会った人々に言われたことを思い返し、さらにこれからまだ伸びると言われたことから、踵を返して大学寮を出ようとする。講義が始まるぞとの忠告にもかかわらず、道真はこう言った。
「学びに」

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この第8巻は、大学寮中心で物語が進み、道真は自分の才を如何に使うかで悩むことになります。実際業平も、学問よりもお前とやっていることの方が面白いと言っていたのに加え、暦の件で会った陰陽頭家原郷好からは、才とは機に恵まれるものと言われたこと、さらに、その偽の暦を作った古川幹麻呂の「お前には何でもできるだろうよ」というセリフなどなどが彼の脳裏をよぎります。このようないきさつから、道真は、学問とは何のためにあるのか、自分には何が足りないのか、考えを巡らせます。

その一方で、都では伎女の舞師の妖艶さが人々の話題となります。そして菅原家の別荘がある長岡では、美しく怪しげな尼僧が現れます。どちらも何やらいわく付きのようです。

[ 2020/06/06 23:30 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

『応天の門』大学寮にて騒ぎが起こる事二

久々に『応天の門』です。道真と安野有兼は試を受けることになります。その前の大学寮の火事で、道真はこの有兼を庇っていますが、相変わらず他の学生たちは、道真のことをよく言いません。

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普段大学寮に来ない道真と、貧乏ながら真面目な有兼が一緒に試を受けることになり、周囲の者は道真のことをとやかく言っていた。有兼はこの試に合格し、紀元道で身を立てるつもりでいた。ただ有兼は道真に助けられた件で、菅家に取り入ったといわれており、そのことを気にしているようだった。道真ははっきりと、自分は政治にも富にも興味がないと言う。

しかしなおも大学寮では、父是善が事前に問題を教えるのでないかと囁き合う者たちもいた。しかし是善は今回の試には関わっていなかった。道真も自分の力を見るためと割り切り、あたふた試験勉強をすることもなく試に臨む。そして試が始まった。道真は有兼が、よどみなく筆を動かすのに驚く。そして最初の試が終わり、しばし休憩となった。

道真は有兼に話しかけるが、有兼はしきりに左袖左の汚れを気にしているようだった。道真はそれを不審に思う。そして再び試が始まり、やはり有兼は躊躇することなく筆を動かしていた。しかしその最中に、文字を書きつけるための木簡が落ち、有兼は慌ててそれを右手で拾った。しかし左側に落ちたのだから、この場合は左手で拾うのが自然であった。

試が終わり、道真は有兼に木簡の件に加えて、書く速度が速く、しかも誤字を削るための小刀の使用が少ないことを問いただす。そして左袖の汚れは、実はあらかじめ書いてあった文字を消したことを見抜く。しかし有兼は開き直り、自分には後ろ盾もないからこうするしかない、あなたとは違うんだと答える。道真はこう言って有兼と別れる。「残念です」

一人家路をたどる道真に長谷雄が話しかけて来る。これで認められて、もう一つ上の試験である対策を受けることになったら、自分から離れて行くようで寂しいと長谷雄は言う。しかしその一方で呑気に、偉くなっても遊んでくれと言う長谷雄に、道真は一人で考え事をしたいと伝えて帰途につくが、その時業平の従者是則が話しかけて来た。

道真は、業平には忙しいと言ってくれと是則に頼むが、是則は業平のことではなく、個人的に相談したいことがあると言う。しかもそれは、業平には内密にしてほしいということだった。

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滅多に大学寮に来ない、しかも是善の子の道真がいきなり試を受ける、しかも真面目で努力型の有兼と一緒ということで、大学寮の学生の多くは有兼に同乗していました。そして道真も、有兼の能力は認めてはいたのです。しかし、試の最中に不正、所謂カンニングをやっていたことがわかり、道真はがっかりします。しかし貧しくて後ろ盾もない有兼は、こうするしかなかった、あなたとは違うと言います。これは暦の時と同じパターンです。尚この当時は木簡に文字を書き、誤字は小刀で削って書き直しました。「刀筆の吏」という言葉の通りです。

[ 2019/11/12 23:15 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

『応天の門』大学寮にて騒ぎが起こる事一

偽の暦を作っていた幹麻呂を咎めた道真ですが、お前は食い詰める心配がないからいいいよなとずばりと言われたことが、頭にこびりついて離れなくなっていました。しかも今度は大学寮で、とんでもない事件が起こってしまいます。

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道真が幹麻呂の言葉を思い出していたところへ、長谷雄がやって来る。結局幹麻呂は暦を作った時点でまだ陰陽寮に在籍しており、盗まれた商品の大部分は既に市に出回って、取り戻せない状態となっていた。これは最早極刑となってもおかしくなかった。さらに長谷雄が思っていた女性は、信心が足りないと出家してしまう。道真はそこで紀元道を学ぶため大学寮に赴き、橘広相に会おうとする。大学寮では口さがない学生たちが、道真に対して無遠慮な言葉をぶつけて来る。

広相は道真が陰陽寮に行かなかったことを喜ぶが、道真ははなから陰陽寮に行く気はなく、広相に頼みごとがあって来ていた。しかしその時蔵から出火したとの知らせがあり、道真は本が燃えてしまう前に水をかけて何とか火を防ぐ。水浸しになった本の殆どは写本で、菅原家にも同じ物があった。しかし自邸に同じ物があると言う道真に、学生たちは、あいつの家は俺たちとは違うからなと聞こえよがしに言う。その時、安野有兼が慌ててやって来た。昨日最後に蔵に入ったのはこの有兼だった。

有兼は鍵も戻したと言ったが、実は戻し忘れていたことに気づく。学生たちは皆、有兼がどの学閥にも属しておらず、対策(試験の一種)でも落ちている点でも疑惑の目を向けていた。しかしそういう有兼を道真は弁護し、その後一同は濡れた本を一枚ずつ乾かして、竹簡と木簡は陰干しにした。ダメになったのは5冊だけだったが、菅原家に写本があったことから、道真と長谷雄はその写本を作るように命じられてしまう。その時有兼が手伝いを申し出て来た。

有兼は道真とつるもうとしているのではと周囲の者は噂するが、道真はそれを無視する。そして菅原家で写本の作業が始まった。この時道真は珍しいことに、有兼の字の美しさを褒めて長谷雄を驚かせる。一方で道真は、出火の原因を探ろうとする。しかし有兼は火付けの容疑をかけられてしまう。誰かが役人に垂れ込んだようだが、後ろ盾のない有兼はこういう時は不利だった。しかしそこへ道真が現れ、火事の犯人はカラスだと断言する。

カラスは蜜蝋も食べるため、火がまだ残っているロウソクを加えて蔵に入ったのが原因だった。その証拠に小石や金釘、骨などカラスが集めそうな物がその近くにあった。その場に来ていた検非違使たちは訝しむが、道真がよく業平といるのを思い出して態度を軟化させる。それでも有兼に対して嫌味な口を利く学生たちに、道真はこう伝えた。
「陰口しか能のない馬鹿は帰っていいですよ」

有兼は道真に礼を述べる。その時橘広相が来て、他にも希望者がいたからということで、試が行われれることになった。試は5日後に行われることになり、道真と有兼は、互いが試を希望していたことを知る。

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まずこの中で登場する「対策」と「試」についてです。一見すると試の方がグレードが高い物に見えますが、実は対策と呼ばれる試験こそが最も重要であり、対策に合格することで官職に就くことが可能になったのです。それに比べると、試はそれほどレベルの高くないテスト程度のものだったようです。まず学生(がくしょう)が寮試に合格すると擬文章生(ぎもんじょうしょう)となり、さらに式部省による省試に合格して文章生となります。道真はこの文章生です。さらにその内2名の成績優秀者が文章得業生(もんじょうとくごうしょう)となり、最終的にこの2名が対策を受けて、合格すれば官吏となれます。尚この対策の問題を策文(問)といいます。

ところで前回は、お前は食い詰める心配がないと幹麻呂から言われた道真ですが、今回は写本が家にあると言ったことから、あいつは俺たちとは違うからなとまたしても言われてしまいます。その一方で、在原業平と知り合いであったことから、検非違使の追求の手を緩めることもできたわけです。しかしこの蔵の出火、道真の推理通りにカラスが犯人だったとしても、この回で登場した有兼はどのような人物なのでしょうか。後ろ盾がないということで、幹麻呂と多少似てもいます。

それにしても暦を信じた人たちから盗み出した品物や財宝は、かなりの数にのぼっていたようで、まるで詐欺商法です。しかも長谷雄の彼女は出家してしまいました。長谷雄が道真に本当に聞いてほしかったのは、こちらの方なのかもしれません。

[ 2019/08/23 00:30 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

『応天の門』都で流行りたりける暦の事二

道真は胡散臭いと思っていた暦が、実はかなりの知識のある者によって作られたことがわかります。そして陰陽寮へ行き、石川幹麻呂という人物の手になることを突き止めます。幹麻呂は才能ある陰陽師でしたが、人員整理で解雇されていました。

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出回っていた暦は、玉は西に置くべしとか、出かける時は裏戸に白い糸を結べ、何日は東の方角に詣でよといった具合に、盗人が欲しい物の目星をつけやすく、またいつ出かけているかがわかりやすくなっていた。無理しても守れなくてもいいとも書かれていたが、完璧主義で信心深い人物にしてみれば、それを守らないということは考えられなかった。ある意味彼らは騙されやすい人物でもあった。まだ風邪が治っていない道真はその暦を見ていてあることに気づき、白梅に父是善の暦を持ってこさせる。その暦は実は、かなり知識がある者が作った物と思われたからである。

是善は道真が陰陽寮へ進むものと決めてかかるが、陰陽寮は難関であると説得する。しかし道真の関心は別なところにあった。胡散臭いと思っていたその暦には、月食や日食の情報が書かれていた。本来このような情報は、天子の星回りや政に悪影響を与えるので、暦に書くのは控えることになっていたのである。この暦を作った陰陽師は相当な知識があると踏んだ道真は、長谷雄と探しに行こうとするものの、体力が限界に来ていてその日は無理だった。

道真は長谷雄と久々に大学寮へ行くが、目的は陰陽寮だった。しかし仲間は盛んに陰陽寮の悪口を言う。元々これは長谷雄が持ち込んだ話であったが、長谷雄はそこに現れた業平にことの次第を喋ってしまう。このようなことははじめから検非違使に任せろと言う業平だが、そこは抜かりなく道真の見解を聞いておくことにした。調子のいいことをと思いつつ、道真は陰陽寮の人物が作った可能性があると例の暦を見せる。かなりの知識があるにも関わらず、その者がなぜ盗みに等加担するのか道真には不可解だった。

結局業平でも長谷雄でもなく、道真が陰陽頭家原郷好(いえはらのさとよし)に会うことになる。郷好は道真の持参した暦を見て、何か心当たりがあるようだった。郷好は、恐らくこれは唐からの技術者が来たことにより、人員整理の対象になった古川幹麻呂という男だろうと言う。幹麻呂は出身は貧しかったが、暦の観測と計算に於いてはずば抜けていた。道真はそれだけ才があるならどこでもやって行けると言うが、郷好は、才のある者が陽の目を見るとは限らない、才とは機に恵まれたものと答える。その機を作るのは、天ではなく人ではないかと道真は内心思う。

家探しが行われることになった、幹麻呂の家に検非違使たちが押し掛け、一同を連行して盗品をすべて持ち去る。「真面目な人だったのに」と近所の者から声が漏れた。道真はその者たちをかき分け、幹麻呂に声をかける。幹麻呂は菅家の跡取りだなと言い、道真が暦のことについて、本を一通り読んだと話すと、自分はあの本に触れるまで10年かかったと答える。さらにこの暦を世間に流したのは、クビにした陰陽寮への仕返しかと聞かれ、幹麻呂はこう言った。
「食うためだよ。それ以外に何があるんだ?」

さらに幹麻呂は続けた。
「お前は跡目を継ごうが継ぐまいが、食いっぱぐれる心配はない。俺は下男のようなことをして努力したが、名家に跡取りが産まれたらそれまでだ」
そして、自分は自分の才を食うために使っただけだと再度言い、その後は検非違使たちに連行されて行った。道真は幹麻呂の言葉がひどく胸に突き刺さった。

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珍しく長めのストーリーです。都で流行っている暦の通りにしたところ、あちこちで盗難が相次ぎ、長谷雄が付き合っていた女性も同じ目に遭って、道真の所へ相談にやって来ます。ところが道真は風邪を引いて寝込んでいました。しかしこういう話になると身を乗り出す辺り、よくよく好きであるといえるでしょう。しかもこの暦は、単に盗み狙いのでたらめな代物ではなかったのです。

これを作った人物は相当の知識があると睨んだ道真ですが、暦に関心を持ったこと、陰陽寮に掛け合おうとしたのを陰陽師志望だと受け取られ、父からも仲間からも、あそこは難関だの止めておけだの言われてしまいます。そして陰陽頭に会うことになりますが、何やらこれも業平や長谷雄から押し付けられたような格好になりました。そして、この暦を作ったのが古川幹麻呂という男であることがわかります。

この幹麻呂は陰陽寮をいわばリストラされてしまい、生活のために私製の暦を作って人々を外出させたり、大事な物をわざわざ目立つようにさせて盗んだりしていました。善男善女を騙すのも問題ですが、幹麻呂にしてみれば、生きていくためのやむを得ない方法でした。道真に対して、自分は相当苦労したのに、お前は食いっぱぐれる心配がないからいいなと言って去って行き、その言葉は道真に重くのしかかります。家原郷好の「才とは機に恵まれたもの」が頭をよぎったかもしれません。

[ 2019/06/21 00:45 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

『応天の門』都で流行りたりける暦の事一

『応天の門』、久々に舞台が大学寮に戻ります。紀長谷雄が暦の写しを手に入れたと喜びますが、道真はそれを読んで何かおかしいと感じます。しかしずぶ濡れの道真、暦より何より風邪を引かない心配をすべきかと思うのですが。

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その暦はさる高名な陰陽師が作ったもので、今日は何を着ろとかどこへ行けとか、色々細かい指示があった。長谷雄はその通りにして素敵な帯を見つけ、思う女性にそれを贈って喜ばれたと嬉しがる。しかし道真は、本来暦は帝の公務や、祭の日程を決めるものであり、それも陰陽寮の技術者が作ったものであって、ここまでうるさく指示する物ではないはずだと訝しむ。

そこへ橘広相が来て、道真は父からの預かり物を渡す。道真は大学寮は久々だったが、都言道(良香)から良家の子息は気まぐれに来るだけで、ちやほやされていいのうと嫌味を言われる。道真は長谷雄が、ある人物に暦の写しを貰ったと言っていた件で、その人物に合わせた暦ならお前には何の関係もないと言いながらくしゃみをする。

その頃在原業平は、さる中納言の妻を訪れて逢瀬を楽しんでいた。しかしその女の髪飾りが盗まれたことがわかり、暦に寺で祈れと言われていたのに、それをやらなかったせいだと自分を責める。左近衛権少将で検非違使を束ねる業平は、最近急に盗難が増えたことに驚く。しかも高価そうな物ばかりなくなっており、さらに出頭して来た者たちは皆善人だった。

業平は中納言家の事情も話そうとするが、密会が公文書に記されてはまずいと思って適当に言葉を濁す。部下の検非違使たちは、何か訳ありであることを悟る。その後業平は牛車で菅原家に向かう途中、長谷雄を見かける。長谷雄は車に同乗し、付き合っている女性の家で、壺と高価そうな物だけが盗まれていたこと、そのことを道真に相談に行く途中であると話す。

失せ物なら、検非違使に届けるように業平は長谷雄に言うが、その時あることを思い出し、そのまま内裏へ引き返す。そして盗難に遭った者たちを再度出頭させ、暦を持っている者は持参するように言う。皆は不思議に思いつつ暦を見せる。結局長谷雄は徒歩で菅原邸へ向かい、風邪で伏せている道真に驚きつつも暦を渡す。道真も業平も、暦がどこか怪しいと睨んでいた。

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都で新しい暦が流行り始めますが、それには何をしろこれはいけないと、やけに事細かな指示が書かれていました。それと呼応するかのように、盗難が頻発するようになります。久々に大学寮にやって来た道真は、都言道に嫌味を言われつつも、長谷雄が見せた暦に違和感を覚え、暦にすっかり嵌ってしまている長谷雄を諫めます。一方業平は、密会中の家で盗みが起きた件に関しては、遠回しな言い方をするものの、部下たちはそれに感づいていました。

一連の盗難事件では、犯人は高価な物ばかりを狙っていました。しかも盗まれたのは善良な人々であり、業平が密会していた中納言の妻もそのような人物でした。しかし逢瀬にかけては、流石に業平は慣れたものです。ともあれ、ずぶ濡れになったせいで風邪を引いた道真も業平も、この暦と盗難に関係ありと感づいたようです。それにしてもこの2つは、結局のところどのような関係があったのでしょうか。
(2019年4月28日一部修正)


[ 2019/04/28 01:00 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

『応天の門』藤原多美子、入内の事六

多美子の入内が近づき、安全に父の屋敷へ移すために、ある方法を採ることになります。しかし多美子が乗ったはずの牛車は、百鬼夜行に出くわしてしまうのですが…。

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転倒した牛車に乗っていたのは長谷雄だった。紀豊城はお前は間男か、女守って死ぬのが趣味かと言って斬りかかろうとする。そこへ在原業平や検非違使たちがやって来る。長谷雄は遅いですよおと泣き叫びながら、多美子の無事を確認する。これを計画したのはやはり道真だった。道真はまず、多美子を阿弥陀堂への荷物の中に紛れ込ませるよう、業平に忠告する。

その荷物を積んだ車は当然寄進も積んでおり、大きな車を使っても、警備をつけても怪しまれないと道真は踏んでいた。さらにいくら何でも、白昼堂々阿弥陀堂への車を、襲う者もいないと考えたのである。今のままではどこかに留まる方が危険だと道真は言い、阿弥陀堂への車は明日の警備のためということで、検非違使をつけたまま、多美子の父良相の屋敷へ向かわせることにした。

そして日没後、多美子を乗せたと見せかけた牛車が出発したが、実際に乗っていたのは長谷雄だった。道真が肩入れしてくれたことに業平は礼を言うが、道真は淡々と、一族の道具にされているなど多美子に気づかせない方がいいからだと答える。多美子は白梅から、決して外をのぞかないように、経文を入れた葛籠に入っているように、そのようなしきたりであると言われてその通りにする。

多美子は葛籠の中で眠ってしまい、父良相の声で目を覚ます。その後正式に入内の運びとなった。道真は見物の人々から離れ、昨日牛車が襲われた場所へ向かう。不思議そうな顔の長谷雄を尻目に、異国の言葉を話す奇妙な行列、しかも豊城とその行列は関係がなく、さらにちぎれた紐が落ちていたことから思考を巡らす。

常行は業平に、多美子が無事であったことの礼を言い、女人と秘め事はお前に頼るのが一番だと戯言を言う。さらに、この計画には他の者が関わっていたのかと聞き、業平は返答に窮するが、常行は気に留めず去って行く。一方基経から多美子入内のことを聞いた高子は、第一皇子はそなたが産むものだと言う基経に、自分がいなければ政もできぬとはと兄に反論し、自分が男なら兄上のその首を掻き切るであろうとまで言う。

基経は去り際に高子に多美子の手紙を渡す。それには入内してからの日々が綴られており、帝と幸せに暮らしていること、高子のことをよく話すこと、そして高子も早く入内すればいいといった旨のことが書かれていた。高子は複雑な気持ちになり、自嘲気味に笑う。

貝合わせの道具の会話がきっかけで、帝と多美子はしばらく高子の話をする。部屋にはまだ片付いていない荷物もあった。多美子は葛籠を見せ、悪鬼を防ぐために、葛籠に入って父の屋敷へ向かったことも話す。帝は自分もそんな話は初めてだと言い、鬼は出たかと多美子に尋ねる。多美子は答えた。
「鬼などどこにもおりませんでしたの!」

急に雨が激しく降り出し、菅原邸は大騒ぎになった。その前に出かけた道真も雨に遭う。道真を待っていた長谷雄は、びしょ濡れの姿を見て、菅三殿ともあろう人が驚く。長谷雄はこれを見て対策をしてきたと言って、新作暦を道真に渡す。

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多美子の入内は滞りなく終わりました。しかし藤原良房や基経の邪魔が入ることから、道真はかなり奇抜な方法を思いつきます。多美子を阿弥陀堂へ向かう車に乗せ、本来多美子が乗る車には、長谷雄を囮として乗せるという方法でした。さらにこの多美子を狙っていたのは基経たちばかりではなく、紀豊城もまた同じでした。長谷雄は転倒した車から出ようとして、昭姫の店で会った豊城と再び出会い、恐れおののきます。

さて多美子は入内後、高子に手紙を送ります。これを見る限り、多美子は心から高子を慕っているように見えますし、無論自分が政争の道具となっていることも知らないようです。だからこそ、白梅が言う「(偽の)しきたり」にも素直に従ったのでしょう。しかし自分がそうであることを知り過ぎている高子にしてみれば、多美子の純真さは羨ましくもあり、妬ましいものであったかとも思われます。

そして道真が見つけたちぎれた紐、これは何を意味しているのでしょうか。そして長谷雄が見せてくれた新作暦が、次の新しいテーマになりそうです。それにしても、この計画に他の者も関与しているのかと尋ねた常行もなかなか鋭いです。百鬼夜行の正体もこれで見破ることができました。今後はこの人物も、道真に関わってくることになるのでしょうか。

[ 2019/02/10 23:30 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

『応天の門』藤原多美子、入内の事五

久々に『応天の門』です。多美子の入内が目前で、藤原良房が何か企んでいるようです。しかしそれとは別に、思わぬところから邪魔が入るのですが、多美子は無事に父の屋敷に行くことが出来るのでしょうか。

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多美子の入内に伴い、藤原良房が民に粥を振舞う。しかし常行はそれを訝しく思う。実はこれは基経の策で、炊き出しによって入内の話を広げ、さらに多くの人が集まることで、怪しい者を紛れ込ませやすくしたのである。多美子の警護をどうすべきかで、在原業平は道真に相談する。道真は、多美子の食事に毒を盛った深雪と、藁人形を打ち付けた者が別人なら、他にも多美子を狙う者がいると考えていいと忠告する。

白梅は女房頭の吉野に協力してもらうことを提案する。吉野は、白梅が高子の命を受けて多美子に接近したことを知り驚くが、多美子が藤原の家に生まれながら、恐ろしさや醜さと無縁に育って来たことを話し、白梅に多美子のことを一任する。多美子は写経も完成し、皆の幸せや白梅の幸せを願う。そんな多美子に白梅は、かつて仕えていた玉虫姫を思い出す。

その頃伴善男は、昭姫の店に押し掛けて狼藉を働いた豊城を叱りつけていた。好き勝手に暴れ回ることで、痛くもない腹を探られることになると善男は言い、さらに、魂鎮めの祭りで矢を放ったのは豊城であると断言する。そしていよいよ、多美子の入内の日が近づき、母親の実家から父良相の屋敷に移ることになった。

白梅はしきたりであると言って、牛車の中から鬼のいる外を見てはならないと多美子に言う。入内の前に、もう一目街中を見ておきたい多美子は不満げだったが、白梅の言葉に従う。そして多美子の経文、そして寄進の品を載せた牛車が動き出した。一方多美子の牛車の方は、業平自ら警護につくというものものしさで、周囲からは何やら噂話が聞こえてくる。経文を乗せた牛車はそのまま阿弥陀堂へと進んだ。

一方多美子の牛車の方は、業平が常行に、入内前の姫の車が他の車とすれ違うのは、縁起が悪いから夜間にと出発するよう説得していた。常行は百鬼夜行を案じていた。しかしそこで業平が手の内を晒し、常行もそれに納得する。無論これは、敵を欺くための罠であった。炊き出しを行うこと人気のない町に、敢えて入内前の姫を乗せた牛車を夜中に走らせる方法を採ったのである。

そして多美子の牛車は奇妙な黒衣の集団と鉢合わせする。しかし百鬼夜行ではないことを道真から聞かされていた業平、さらに常行も相手とにらみ合う。その時屋根の上から奇妙な臭いの液が降って来た。それは屋根の上にいた豊城がまき散らした、腐った酒と油だった。さらに豊城は火を放ち、一同は混乱して牛車が勝手に走り出してしまう。

牛車はしばらく走って横転した。豊城はそれに近づき、中の人物を引っ張り出そうとする。豊城はなおも乱暴に、多美子と思われるその人物を引きずり出そうとするが、その時大きな声が聞こえる。
「人違いです!」
牛車に乗っていたのは多美子ではなく、どういうわけか、以前昭姫の店で出会った紀長谷雄だった。

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粥を振舞うことを思いついたのは、やはりというか藤原基経でした。業平は多美子の異母兄常行に、自分の策を明かします。何せ基経といえば、かつて百鬼夜行と偽って、黒衣の集団を使ってあるものを運ばせた人物であり、それを常行も知っていたことが、この場合幸いしたといえます。それとは別に、昭姫の店で小藤に絡み、叔父の善男から叱られた豊城ですが、性懲りもなく悪さをしているようです。

そして玉虫姫については、こちらにリンクを貼っておきます。
白梅がかつて仕えていた謎の姫君玉虫姫は、実は幼くして亡くなっていました。そして白梅がかつての自分の主を重ね合わせた多美子は、無事に入内の運びとなります。

[ 2019/01/21 00:00 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

『応天の門』藤原多美子、入内の事四

入内前の藤原多美子が住んでいる屋敷で奇妙な物音がし、漢学の教師として屋敷に通っていた白梅は、ネズミの仕業と言って目草(ハッカ)を焚かせます。しかし奇妙な物音の正体は、五寸釘で人形を床下に打ち付ける音でした。さらに多美子の食事に毒が仕込まれていたことで、その配膳を請け負っていた女官が里下がりさせられるなど、入内前の姫を巡って、何やら陰謀が仕組まれているようです。そんな時白梅は在原業平に会います。

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多美子のいる屋敷で白梅は在原業平と出くわす。業平は訝しむが、すべて高子が仕組んだことと知って納得する。しかし高子は、敢えて業平を通さずに道真に要請してのに、白梅が見つかったことですべてがわかってしまう。その一方で、多美子の警護に関してはかなり事態が緊迫していた。道真は業平がいるから、わざわざ白梅が出るまでもないと言うが、入内前の姫の屋敷に、男が立ち入るのはまずいと白梅を頼りにする。

その多美子は入内前日に父良相の屋敷へ移り、それから御所へ向かうことになっていた。良相の屋敷から御所までは近く警護もできるが、問題は今の屋敷(多美子の母の実家)から良相の屋敷までの道順だった。過剰な警備はつけられないが、誰が多美子を狙っているかもわからなかった。そして百鬼夜行のこともあり、手が抜けない状態だった。道真は百鬼夜行という言葉にぴんと来るものがあった。

その頃紀長谷雄は、昭姫の店に来ていた。人通りが多いという長谷雄に昭姫は、藤原の姫様の入内が間近であること、さらにその祝いとして、藤原屋敷の前で粥の炊き出しが行われることを話す。昭姫はまた長谷雄に双六を勧めるが、長谷雄はもう二度としないと決めていた。最近道真も付き合いが悪いのでこの店に来たのだが、そこで長谷雄は店の女、小藤が怪しげな男に羽交い絞めにされているのを見る。

その男は伴善男の甥の豊城だった。同行していた中庸の制止を振り切り、小藤を慰みものにしようとするが、小藤の夫が現れる。しかし豊城はたじろぐ様子もなく、そこで長谷雄が小藤を助けたさに登場する。名を名乗れと豊城にいわれた長谷雄は、自分の名を名乗るが、紀家、特に兄の夏井を恨む豊城はその場で刀を抜いて、小藤の袖を床に突き刺し、そのうえでサイコロ勝負を挑む。お前が勝てばこの女を解放すると言うのだった。

長谷雄は受けて立つしかなかった。しかしその時、店の女たちが入り口で慌ただしくしているのを目にする。賽の目は豊城が8、長谷雄が9であったため、長谷雄が勝って小藤が解放されるはずだった。しかし豊城はいかさまだと言いがかりをつける。長谷雄は窮地に陥るが、その時業平が現れる。豊城は業平が昔藤原の姫を攫ったことに触れ、入内前の姫はさぞかし味がいいのだろうなと無遠慮に話す。

中庸が何とか豊城を連れ帰る。あれは誰なのですかと訊く長谷雄に、紀夏井の弟だと業平は答える。長谷雄にしてみれば、夏井の家はとうの昔に枝分かれており、一緒にされてはたまったものではなかった。危険な賭けに出た長谷雄を昭姫はほめるが、実は入り口付近の様子で、誰かが役人を呼びに行ったのに感づいていたのだった。しかしうちで借金を踏み倒したのは忘れませんからねと、今度は昭姫に釘を刺されてしまう。

業平は豊城の刀を不審に思っていた。それは検非違使の刀だったのである。魂鎮めの祭りで矢が撃ち込まれた際、殺された検非違使の刀は回収されていなかった。矢を射込んだのは豊城ではないかと思ったのである。そして業平は、長谷雄がなぜまた双六をしているのか尋ねる。暇だからと言う長谷雄に、手伝ってほしいことがあると業平は持ちかける。何でもやりますと言う長谷雄に、「何でも」だなと業平は念を押す。

そして藤原良房の屋敷では、護摩が焚かれ、祈祷が行われていた。表向きは多美子の入内の無事を祈願してのことだが、養子の良房はそれに裏があることに気づいていた。そして庭先で間者と会い、多美子の女官、深雪が失敗したという報告を受ける。良房は、ではやはり物の怪の力に頼るとするかと、意味ありげな言葉を吐く。その頃多美子は、奉納の写経を行っていた。入内まであと5日だった。

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品行の悪さで定評のある豊城が昭姫の店に押し掛け、乱暴狼藉を働きます。しかし業平がその場に呼ばれ、豊城は店を後にしますが、その時の豊城の刀が、検非違使の物であることに気づきます。あの場で矢を射た犯人は誰なのか、そして多美子をどうやって安全に父の屋敷に移すか、なにかと気苦労が多そうな業平です。その時店に来ていた長谷雄が暇そうにしているのを見て、業平はあることを思いついたようです。そして多美子の入内を快く思わない良房は、「物の怪の力」を借りることにします。

[ 2018/11/04 23:45 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)

『応天の門』藤原多美子、入内の事三

藤原多美子の入内準備として、漢学を教えに通う白梅ですが、多美子から寝所で妙な音がすることを聞かされます。そこで白梅は、意気揚々と床下の捜索に乗り出すのですが、そこで意外な物を見つけ、道真の指示を仰ぐことになります。

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結局白梅は、謎の音が何であるのかを突き止めることにし、多美子の今の寝所の下へもぐる。そこで白梅は、多くの鼠が群がっているのを目にする。その鼠たちは米を争って食べていたが、その米は藁人形の中に入れられていた。さらに白梅は、以前の多美子の寝所の下に移動したが、そこにも藁人形の残骸があった。妙な音とは、この人形を打ちつける音だったのである。白梅はすかさずそれを懐に入れ、音は鼠のせいだと言いつくろって、着物が汚れたのを理由に、菅原邸へ一度戻る。女官たちは鼠を退治しようとするが、白梅は取りあえず、鼠は多産で吉兆である、そのままにするようにと言ってその場を去った。

菅原邸へ戻った白梅は、道真に例の藁人形を見せ、自分は呪われるかもしれないと口にする。道真はその人形を取って来ているのに、今更何をと言い、その人形を手に取る。それはまだ新しかった。こういう物を床下に打ちつけるとは、警備の緩さの方が問題であると道真は言い、さらに多美子が寝所を変えるたびに人形を打ちつけているのなら、内部の者の犯行だろうとも言う。白梅は皆多美子をよく思っていると言うが、長年仕えていて不満がたまることもあると道真は一蹴し、さらに側に仕えていながら、直接多美子には手を下せない人物であろうとも言う。そしてその人形を火鉢にくべ、多美子の屋敷にはもう行かぬ方がいいと白梅に忠告する。

しかし白梅は、やはり多美子の力になりたいと道真に懇願する。そこで道真は、鼠駆除の方法が載っている農書を渡し、さらに白梅に髪と体を清めて、衣を一晩湯につけるように言う。お祓いかと尋ねる白梅に、鼠の糞臭いからだと素っ気なく道真は答える。ともあれ多美子の屋敷では、その農書通りに目草(まぐさ=ハッカ)をいぶし、鼠を駆除することになった。異臭がする中、深雪という女官がいまいましげに白梅をにらみ、多美子の食事に何かを入れた。そこへ逃げ出した鼠を追って白梅が現れ、多美子の膳を運ぼうとして深雪と奪い合いになり、膳をひっくり返してしまう。床に食物がこぼれ、鼠がそれを齧った途端絶命してしまう。

食事には毒が盛られていたのである、そこへ多美子付きの女官、吉野が現れた。深雪は毒を入れたのは白梅であると言い、床下を調べたのも何かの仕掛けだと主張する。吉野は白梅の行動を監視していたが、毒を盛れるような隙はなかったと言う。しかし深雪は、鼠が死んだのは多美子の羹(あつもの)を舐めたからだと言う。なぜ羹だとわかると吉野は言い、深雪はこれまでと毒の残りを呑んで自害しようとするが、姫様の周りをそなたの死で穢すことは出来ぬと言い、出て行くように命じる。白梅は安堵するが、吉野に、そなたとてよそ者、何かあれば責任を負わされることを覚悟せよと言われる。

その後多美子は鼠の仕業であったことを聞かされる、深雪については、祖母の急病で暇をもらったと吉野が説明した。するとそこへ藤原常行が現れ、妹の無事を喜ぶ。それと同時に白梅を始めて見て驚くが、吉野は漢学の師として、菅原家から呼んだと答える。菅原と聞いてやや思いがけない表情を浮かべる常行だが、多美子は高子の紹介であること、入内までに写経を奉納することを兄に話す。常行に好感を持った白梅は帰途につくが、退治したと思った鼠がまた現れ、床下をのぞき込んで新しい藁人形があるのを見つける。誰がこれを打ち付けたのかいぶかる白梅だが、その隣に在原業平が立っているのに気づく。

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怪しい音の正体は、どうやら藁人形が床下に打ちつけられた音のようでした。しかし表立っては言えない白梅は、道真の意見を聞きます。どうも内部の人間の犯行のようで、ともかくハッカをいぶして鼠を追い出すことになります。ちなみに、今でも鼠駆除にハッカ油が使われることがあります。しかしその鼠退治の最中、深雪が準備していた多美子の食事がひっくり返り、それを齧った鼠が絶命します。深雪は白梅がやったと言いますが、吉野は今日の白梅は鼠退治で忙しく、そのような暇はなかったと言い、自分がやったのがばれた深雪は屋敷を出て行ってしまいます。

しかしその後も鼠が現れ、新しい藁人形が打ちつけられているのに白梅は気づきます。もう深雪もいないと言うのに、一体誰の仕業なのか、不思議に思う白梅は業平に声をかけられます。それに加えて、白梅が菅原家に仕えていることに、意外そうな表情を浮かべる常行、さらに吉野といった人々はどのように関わってくるのでしょうか。そして何よりも、白梅は多美子のために役に立つことができるのでしょうか。

[ 2018/09/16 00:45 ] 応天の門 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

aK

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まず、一部の記事関連でレイアウトが崩れるようですので修復していますが、何かおかしな点があれば指摘していただけると幸いです。それから当ブログでは、相互リンクは受け付けておりませんので悪しからずご了承ください。

『西郷どん』復習の投稿をアップしている一方で、BSで再放送中の『葵 徳川三代』の再放送も観ています。そしてパペットホームズの続編ですが、これは是非とも再来年の大河が始まる前に、三谷氏にお願いしたいところです。

他にも国内外の文化や歴史、『相棒』をはじめとする刑事ドラマについても、時々思い出したように書いています。ラグビー関連も週1またはそれ以上でアップしています。2019年、日本でのワールドカップで代表は見事ベスト8に進出しました。これを機に、今後さらに上を目指してほしいです。そのためには、国内のラグビーももっと変わってしかるべきでしょう。

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